宝くじで『10億円』当てた日に、車にも当たりました。一度は地獄に落とされたけど、女神の力で幸運ＭＡＸ『９９９』で異世界再スタート！

問題です。3時間に1回分裂するスライムを洞窟に閉じ込めて、18時間後に洞窟を訪れて、経験値とお金を荒稼ぎしようとした少年はどうなりますか？

第4話・倒したスライムは８３７１匹。お金にすると３万４９２４ゴールドです。バイトをした方が良いです。

　昼12時になる前に4匹のスライムが溶け始めました。分裂する事は間違いないようです。

　クロム少年はスライムが10匹集まるとキングスライムになる事は知りませんが、10匹集まるとキングスライムになると予想はしているようです。

(1匹が2匹、2匹が4匹、4匹が8匹、8匹が16匹、おそらくはここでキングスライム1匹とスライム6匹になったんだろう。そして、スライム6匹が12匹になって、キングスライム1匹とスライム2匹になる。目の前の分裂しそうな4匹のスライムは、その2匹のスライムが分裂したものだろうな。そう考えると洞窟内のキングスライムとスライムの数が、分裂の時間とも合う)

　ゲームをしながらも、地面をノート代わりに計算を繰り返していました。やっと正解が分かったようです。でも、正解を確認する事はしません。確認するには実際にスライムを10匹以上にして、キングスライムになるか確かめる必要があります。そんな危険な事は出来ません。

「一応はスライムが転がって移動しないように壁とか作らないと駄目なんだけど、積み上げれそうな手頃な岩はないよな？」

　もう4匹のスライムはドロッ、と8匹に分裂しています。これから1匹ずつを隔離して増やさないといけません。

　間違っても隔離しているスライム達が別の場所のスライム達と合流して、キングスライムに合体するのは防がないといけません。

　一応は離れた場所に隔離しているので、そこまで問題はないとは思いますが、これ以上のキングスライム増加は生存率を大きく下げる事になります。

　クロム少年はほとんど眠らずに、通路の分かれ道で監視したり、8箇所の行き止まりを巡回するようになりました。そして、月日は流れて………。

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「オリャー！」と棍棒をフルスイングです。見事に攻撃が当たるとスライムは倒されました。けれども、倒すのが目的ではありません。

　①薬草　②薬草　③ハズレ　④ハズレ　⑤薬草　⑥薬草

「薬草出てくれ！　薬草出てくれ！」

　祈るようにサイコロを振りました。結果は『①』です。

「YES！　YES！」と薬草を手に入れただけで大喜びです。生きる為に必死です。

【1日目】夏休み開始から倒したスライムの合計は２８３匹、合計獲得経験値は５６６になりました。レベルは『3』、HPは『30』、攻撃力は『3』になりました。少しは強くなったようです。

　レベルは1上がるごとに必要な経験値が１００ずつ増えていきます。レベル2は経験値１００で、レベル3は経験値２００が必要になります。スライムで考えると、倒す数が50匹ずつ増える事になります。

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「うっふふふふ♬　何で誰も助けに来ないのかな？　お兄たん、死んじゃうよ？」

　何だか、楽しそうです。山積みの薬草をムシャムシャ、と涎を垂らしながら食べています。恍惚とした表情が不気味です。

【7日目】倒したスライムの数は合計で１８１９匹、獲得経験値は３６３８になりました。レベルは『9』、HPは『60』、攻撃力は『9』になりました。

　攻撃力が『9』になったので、もう棍棒を使わずに素手でもスライムを倒す事が出来ます。

　ついでに摂取した薬草が１０００枚を超えたので《称号・薬○中毒者》を獲得しました。この称号を獲得した事で、薬草を食べると少し気持ち良くなります。色々とおめでとうございます。

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「えっ？　何これ？」

　レベル10にアップすると、新しいスキルが2つ手に入りました。《攻撃力増加+1》と《命中力増加+1》です。

《攻撃力増加+1》の効果はステータスの攻撃力を上げる効果があるようです。攻撃力が『20』になっていました。

《命中力増加+1》の効果は、スライムと戦った時に分かりました。

　①フルスイング(HPダメージ28)　②フルスイング(HPダメージ28)　③空振り　④空振り　⑤空振り　⑥空振り

　サイコロの目から空振りの目が１つ減って、攻撃が当たりやすくなったようです。これは地味に嬉しい効果です。

【9日目】倒したスライムは２３３１匹になりました。レベルは『10』、HPは『65』、攻撃力は『20』、《スキル・攻撃力増加+1》、《スキル・命中力増加+1》、《称号・薬○中毒者》です。

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　ピコピコ、ピコピコ、とスマホゲームに夢中のようです。分裂した直後のスライム、合計で32匹を倒すと暇になってしまいます。レベルがアップした事で戦闘にも余裕ができ、今では山積みの薬草をポテトチップス代わりに食べているぐらいです。

『ピッピ♬　ピッピ♬　ピッピ♬』とスマホのアラームが鳴り出しました。スライムが分裂する時間をクロムに知らせています。

「なんだ、もう時間かよ。仕方ないなぁ」

　住めば都とはよく言ったものです。洞窟の中は冷んやりと涼しく、夏場でも快適に過ごす事が出来ます。

　それに薬草と綺麗な岩清水だけの食生活を続けている所為か、肌もツルツルと美肌になり、悪くなっていた視力も回復したようです。このまま一生洞窟で生活してもいいかもしれません。

【20日目】倒したいスライムは５１４７匹になりました。けれども、レベルは『14』、HPは『85』、攻撃力『24』とレベルアップの速度は遅くなっています。この程度の強さでは、キングスライムを倒すのは無理です。レベル20になれば、新しいスキルを獲得出来る可能性があります。それまで、もうひと頑張りです。

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「ダウンロードしたゲームは5本全部クリアした。持ってきたマンガ本はもう7周目だ。何か別の事をしないと」

　洞窟に閉じ込められて、34日目です。レベルは『19』になりましたが、次のレベル『20』になるには、もう2～3日は必要です。

「スライム風呂も飽きたし、洞窟の中を無意味に走るのは馬鹿みたいだし、やる事ないと暇だな」

　3時間ごとに8箇所4匹ずつ、合計で32匹のスライムを倒すだけの単純な作業です。倒したスライムの数は合計で８７３１匹になりました。

　スライム風呂とは8匹のスライムに身体の汚れを食べてもらう行為です。スライムは少年の排泄物も綺麗に処理してくれます。本当に便利なモンスターです。

(レベルが20になっても、キングスライムに勝てる保証はないし、次のレベル30はどう考えても、夏休みが終わって、冬休み突入みたいな感じになるし……)

「でも、1番気になるのは、何で誰も助けに来ないんだよ！　息子が30日間も音信不通だよ！　普通は事件性を疑うよ。家族って、友達って、こんなんじゃないだろう！」

　おそらくクロム少年の家族や友達は、少年が楽しい夏休みを送っていると思っているのでしょう。きっと大人の階段を上っているのだろうと温かい目でそっとしているのです。本当は天国の階段を上りそうになっているとも知らずにですが。

【34日目】レベル『19』、HP『１１０』、攻撃力『29』になりました。

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