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問題です。3時間に1回分裂するスライムを洞窟に閉じ込めて、18時間後に洞窟を訪れて、経験値とお金を荒稼ぎしようとした少年はどうなりますか?
第3話・パンが無ければ、薬草を食べればいい。ちょっと苦いキャベツだと思えば大丈夫。
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クロム少年の目の前にはデカいスライムが1匹います。その名は【キングスライム】です。
「えっ~~? スライムって増えると合体するの? 聞いてないよ」
確かに小学校の理科の授業は聞いていませんでした。スライムは10匹集まるとキングスライムになります。
その強さはHP『245』、攻撃力『30』の化け物です。さっさと逃げる事をオススメします。
「まあ、スライムはスライムだろう? 一撃当てれば倒せるさ」
クロム少年はキングスライムと戦う事を決めたようです。無知と無謀は若者の特権です。空中に現れた黒いサイコロをキャッチすると早速投げました。
①フルスイング(HPダメージ8) ②空振り ③空振り ④空振り ⑤空振り ⑥空振り
サイコロはコロコロと転がると『①』で止まりました。クロム少年はガッツポーズをすると、棍棒をキングスライムにフルスイングしました。
ドォフっ! と布団を叩いたような音と感触が棍棒から伝わってきました。
「あれ? ちょっと硬いな………」
クロムは恐る恐るキングスライムの目を見ました。
『失せろ!』
「いや…ッア⁉︎ いやぁぁぁぁ!!!!」
①逃げる ②逃げる ③逃げる ④逃げる ⑤逃げる ⑥逃げる
目が合った瞬間に、確かにキングスライムの声が聞こえた気がします。目は口ほどに物を言うです。サイコロを放り投げるようにして、クロムは一目散にその場から走って逃げました。
「どういう事ですか! どういう事ですか!!」
誰に聞いているのか分かりませんが、混乱している事は分かります。
でも、混乱している所為か肝心な事を忘れています。スライムは10匹集まるとキングスライムになります。時間的に考えると、洞窟にいるのはキングスライム2匹とスライム4匹です。もう1匹は何処にいるのでしょう?
「あっあ!!! 何か詰まってる!」
狭い洞窟の道幅にスッポリと青い大きな塊が詰まっています。どう見てもキングスライムが通路に挟まって動けないようです。
「テメェ! オラ! 退けよ! 帰れないだろう!」
ドフ! ドフ! ドフ! と何度も通路に挟まって動けないキングスライムに足蹴りを喰らわせます。この先が洞窟の出入り口です。退いてもらわないと困ります。
『失せろ!』
「いや…ッア⁉︎ もうお家に帰してください!!!」
スライムを監禁したつもりが、自分が監禁されてしまいました。でも、まだまだ最悪な状況は着実に進行していきます。4匹のスライムを放置していれば、新たなキングスライムが誕生してしまいます。
そうなれば、いずれは狭い通路に閉じ込められて、キングスライムとキングスライムに挟まれてペシャンコか、窒息死してしまいます。さあ、どうする高校生?
(落ち着け! 落ち着いて考えれば、答えは必ず見えてくる。まずは携帯電話は圏外で助けを呼ぶ事は出来ない。俺がこの洞窟に来ている事を知っている人もいない。よし、分かったぞ! 俺はもう駄目だ!)
さすがは高校生です。状況判断能力が最悪です。幸運な事に今は夏休みです。洞窟探検で遊びに来る人がいるかもしれません。その時にキングスライムが通路に挟まっているのも目撃すれば、誰かに話すかもしれません。
そして、その話しを聞いた誰かが行方不明中のクロム少年が、もしかすると洞窟に閉じ込められていると思うかもしれません。最後まで希望を捨てたらいけません。
「とりあえず通路を引き返して、別の分かれ道に進もう。ここにいるよりは安全だろうからな」
意外と冷静な対応です。さっきまではパニック状態だったのに、狭い通路から広めの場所に移動するようです。
スマホのライトを懐中電灯代わりにちょっと暗い洞窟をゆっくりと進んでいきます。もしも隣に女子がいれば、「きゃ~~♡ 怖い♡」と抱き付いてくれるかもしれませんが、こんな人気のない暗い洞窟に、クロム少年と2人で入るようなチャラい女子は、まずクラスにはいないでしょう。残念です。
「んっ? スライムか……」
クロムは何かを見つけたようです。それは洞窟の地面をゴロゴロ、ゴロゴロと転がる、4匹のスライム達でした。呑気なものです。
「このまま放置すると、キングスライムになるよな………でも、倒してもいいのか?」
たった4匹のスライムです。1回分裂したとしても8匹になるだけです。今のところは脅威ではありませんが、全部倒してしまったら、もうスライムを利用する事が出来なくなります。
スライムを生かしておいて、増やして倒せば、薬草とお金と経験値は手に入ります。時間をかけてレベルアップすれば、キングスライムを倒して、力尽くで脱出する事も夢ではないかもしれません。
「生かすべきか、倒すべきか。あと23匹倒せば、レベル2になる。それに全ての分かれ道の行き止まりに、1匹ずつスライムを置けば、8箇所8匹64匹までは安全に増やす事が出来るか………ハッ!」
クロム少年は何かに気付いたようです。地面に落ちている石を拾うと、忘れる前に急いで洞窟の壁に数式を書き殴り始めました。
(洞窟の行き止まりは全部で9箇所。1箇所はキングスライムに居座られて使えない。つまりは使用可能な場所は8箇所。8箇所×8匹で64匹。8箇所ごとに8匹に増えたら、半分の4匹だけ倒して、合計32匹を3時間ごとに倒し続けると………)
どう見ても足し算と掛け算の組み合わせ程度の数式ですが、クロム少年は天才物理学者になりきっているようです。
「はっはははは、ふっふふふふ♬ 実に面白い。倒せるのは1日256匹。計算では9日目にレベル10になれる。そして、38日目でレベル20になれる。フッフフフフ、普通に餓死するな」
ポイっと、石ころを放り投げると、地面に座り込んで、本格的に諦め始めました。食料と水があれば生き残る事も出来そうですが、そんなものはアイテムポーチに1日分しか入っていません。もう万策尽きた感じです。
(確か、岩の隙間から水が流れる場所があったから飲み水は確保できる。でも、食べ物がないと駄目か。食べ物ねぇ~?)
自力で脱出するのを諦めたと思ったら、まだ考えているようです。この洞窟にはキノコや苔も生えていません。あるとしたら、目の前のスライムぐらいです。
「ゴクリ、流石にスライムは食べられないよな。まあ、食べられるのはスライムが落とす薬草ぐらいかな。薬草か………」
薬草の大きさは手の平サイズです。味は少し苦味があり、食感はキャベツと似ています。薬草100枚でキャベツ1玉ぐらいの量になります。まさか、薬草を食べて飢えを凌ぐつもりでしょうか?
「やる事ないし、もともとお金集めに来たんだし、助けが来るまでは、やれる事はやっておきますか」
そう言いながらもクロムはアイテムポーチに棍棒をしまうと、スマホでオフラインゲームを始めました。スライム4匹が8匹に分裂するまで、待つようです。8匹に増えてから、1匹ずつを洞窟の行き止まりに運ぶようです。さて、どうなる事やら。
「えっ~~? スライムって増えると合体するの? 聞いてないよ」
確かに小学校の理科の授業は聞いていませんでした。スライムは10匹集まるとキングスライムになります。
その強さはHP『245』、攻撃力『30』の化け物です。さっさと逃げる事をオススメします。
「まあ、スライムはスライムだろう? 一撃当てれば倒せるさ」
クロム少年はキングスライムと戦う事を決めたようです。無知と無謀は若者の特権です。空中に現れた黒いサイコロをキャッチすると早速投げました。
①フルスイング(HPダメージ8) ②空振り ③空振り ④空振り ⑤空振り ⑥空振り
サイコロはコロコロと転がると『①』で止まりました。クロム少年はガッツポーズをすると、棍棒をキングスライムにフルスイングしました。
ドォフっ! と布団を叩いたような音と感触が棍棒から伝わってきました。
「あれ? ちょっと硬いな………」
クロムは恐る恐るキングスライムの目を見ました。
『失せろ!』
「いや…ッア⁉︎ いやぁぁぁぁ!!!!」
①逃げる ②逃げる ③逃げる ④逃げる ⑤逃げる ⑥逃げる
目が合った瞬間に、確かにキングスライムの声が聞こえた気がします。目は口ほどに物を言うです。サイコロを放り投げるようにして、クロムは一目散にその場から走って逃げました。
「どういう事ですか! どういう事ですか!!」
誰に聞いているのか分かりませんが、混乱している事は分かります。
でも、混乱している所為か肝心な事を忘れています。スライムは10匹集まるとキングスライムになります。時間的に考えると、洞窟にいるのはキングスライム2匹とスライム4匹です。もう1匹は何処にいるのでしょう?
「あっあ!!! 何か詰まってる!」
狭い洞窟の道幅にスッポリと青い大きな塊が詰まっています。どう見てもキングスライムが通路に挟まって動けないようです。
「テメェ! オラ! 退けよ! 帰れないだろう!」
ドフ! ドフ! ドフ! と何度も通路に挟まって動けないキングスライムに足蹴りを喰らわせます。この先が洞窟の出入り口です。退いてもらわないと困ります。
『失せろ!』
「いや…ッア⁉︎ もうお家に帰してください!!!」
スライムを監禁したつもりが、自分が監禁されてしまいました。でも、まだまだ最悪な状況は着実に進行していきます。4匹のスライムを放置していれば、新たなキングスライムが誕生してしまいます。
そうなれば、いずれは狭い通路に閉じ込められて、キングスライムとキングスライムに挟まれてペシャンコか、窒息死してしまいます。さあ、どうする高校生?
(落ち着け! 落ち着いて考えれば、答えは必ず見えてくる。まずは携帯電話は圏外で助けを呼ぶ事は出来ない。俺がこの洞窟に来ている事を知っている人もいない。よし、分かったぞ! 俺はもう駄目だ!)
さすがは高校生です。状況判断能力が最悪です。幸運な事に今は夏休みです。洞窟探検で遊びに来る人がいるかもしれません。その時にキングスライムが通路に挟まっているのも目撃すれば、誰かに話すかもしれません。
そして、その話しを聞いた誰かが行方不明中のクロム少年が、もしかすると洞窟に閉じ込められていると思うかもしれません。最後まで希望を捨てたらいけません。
「とりあえず通路を引き返して、別の分かれ道に進もう。ここにいるよりは安全だろうからな」
意外と冷静な対応です。さっきまではパニック状態だったのに、狭い通路から広めの場所に移動するようです。
スマホのライトを懐中電灯代わりにちょっと暗い洞窟をゆっくりと進んでいきます。もしも隣に女子がいれば、「きゃ~~♡ 怖い♡」と抱き付いてくれるかもしれませんが、こんな人気のない暗い洞窟に、クロム少年と2人で入るようなチャラい女子は、まずクラスにはいないでしょう。残念です。
「んっ? スライムか……」
クロムは何かを見つけたようです。それは洞窟の地面をゴロゴロ、ゴロゴロと転がる、4匹のスライム達でした。呑気なものです。
「このまま放置すると、キングスライムになるよな………でも、倒してもいいのか?」
たった4匹のスライムです。1回分裂したとしても8匹になるだけです。今のところは脅威ではありませんが、全部倒してしまったら、もうスライムを利用する事が出来なくなります。
スライムを生かしておいて、増やして倒せば、薬草とお金と経験値は手に入ります。時間をかけてレベルアップすれば、キングスライムを倒して、力尽くで脱出する事も夢ではないかもしれません。
「生かすべきか、倒すべきか。あと23匹倒せば、レベル2になる。それに全ての分かれ道の行き止まりに、1匹ずつスライムを置けば、8箇所8匹64匹までは安全に増やす事が出来るか………ハッ!」
クロム少年は何かに気付いたようです。地面に落ちている石を拾うと、忘れる前に急いで洞窟の壁に数式を書き殴り始めました。
(洞窟の行き止まりは全部で9箇所。1箇所はキングスライムに居座られて使えない。つまりは使用可能な場所は8箇所。8箇所×8匹で64匹。8箇所ごとに8匹に増えたら、半分の4匹だけ倒して、合計32匹を3時間ごとに倒し続けると………)
どう見ても足し算と掛け算の組み合わせ程度の数式ですが、クロム少年は天才物理学者になりきっているようです。
「はっはははは、ふっふふふふ♬ 実に面白い。倒せるのは1日256匹。計算では9日目にレベル10になれる。そして、38日目でレベル20になれる。フッフフフフ、普通に餓死するな」
ポイっと、石ころを放り投げると、地面に座り込んで、本格的に諦め始めました。食料と水があれば生き残る事も出来そうですが、そんなものはアイテムポーチに1日分しか入っていません。もう万策尽きた感じです。
(確か、岩の隙間から水が流れる場所があったから飲み水は確保できる。でも、食べ物がないと駄目か。食べ物ねぇ~?)
自力で脱出するのを諦めたと思ったら、まだ考えているようです。この洞窟にはキノコや苔も生えていません。あるとしたら、目の前のスライムぐらいです。
「ゴクリ、流石にスライムは食べられないよな。まあ、食べられるのはスライムが落とす薬草ぐらいかな。薬草か………」
薬草の大きさは手の平サイズです。味は少し苦味があり、食感はキャベツと似ています。薬草100枚でキャベツ1玉ぐらいの量になります。まさか、薬草を食べて飢えを凌ぐつもりでしょうか?
「やる事ないし、もともとお金集めに来たんだし、助けが来るまでは、やれる事はやっておきますか」
そう言いながらもクロムはアイテムポーチに棍棒をしまうと、スマホでオフラインゲームを始めました。スライム4匹が8匹に分裂するまで、待つようです。8匹に増えてから、1匹ずつを洞窟の行き止まりに運ぶようです。さて、どうなる事やら。
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