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リル・スタットレイ 〜小さな町の小さな家に住む生命の錬金術師〜

第3話・リルvsケルベロス

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「ああっ~~、やっぱり駄目ですか」

 今日もリルは実験室で新しい生物を作っています。今はネズミと猫を使っての実験中のようです。

「デブ猫の雄×雄なら《ライオン》で、雌×雌なら《ホワイトタイガー》、雄×雌なら《2つのどちらか》ですか。フムフム」

 ついでにネズミと猫を合体させようとしたら、何も変化は起きませんでした。どうやら、何でもかんでも、錬金術で組み合わせる事は出来ないようです。成功するには、ある程度の法則があるようです。

「ほら、エサだよ~」と、ネズミと猫を、檻の中のライオンとホワイトタイガーに与えました。

「Roar」「Roar」と、どっちも鳴き声が同じで分かりづらいです。分かっているのは、2匹とも、もうお腹一杯だと言っているぐらいです。

「んんっ~~? 食べませんね。食欲がないのか、運動不足なのか。それとも遠慮しているのか……」

 リルは優しい飼い主です。毎日のように、実験に失敗した動物達の新鮮なお肉を2匹に与えています。そんなリルの優しさで、2匹は胸もお腹も一杯なのかもしれませんね。

「あっ! 分かりました。ネズミと猫を食べ飽きたんですね! 分かります、分かります。流石に毎日、同じ食べ物だと飽きちゃいますよね。よ~~~~し! 別の餌を用意してあげますね」

「Roar!! Roar!!」と、2匹も大喜びのようです。檻に壊れる勢いで激しく打つかっています。この檻は簡単には壊れない素材を使っているから、絶対に壊れませんよ。安心して、打つかってくださいね。

「ふっふふ、町にいる動物はあと1種類だけです」

 リルは早速、樫の木の棒と黒いトンガリ帽子と黒いマントを装備すると、町を彷徨く、《野犬》狩りに出掛けました。

 ♦︎

「bow wow」と、早速、猫をムシャムシャと食べている第一野犬を発見しました。リルの住む町は小さな町です。見つけるのは簡単です。

「怖くないですよぉ~。お腹が減っているのなら、うちに一杯ありますよぉ~」

 犬は警戒心が強いです。驚かせたり、怖がらせては駄目です。リルは地面にしゃがむと、野犬と同じ目線の高さで話しかけます。こうすれば、犬は警戒しないらしいです。

「bow⁉︎ Grrrr!!!」と、あれあれ? 野犬達はいつもリルと目が合うと唸り声を上げてしまいます。鋭い牙を剥き出しにして、『こっちに来るな!』と警告しています。

「きゃ! ううっ?? あの牙で噛まれたら痛そうです。でも、ランとシロの為にも、新鮮な犬肉をゲットしないと!」

 ブンブンと木の棒を振り回して、リルはライオンの《ラン》と、ホワイトタイガーの《シロ》の為に、凶暴な野犬と戦います。なんて健気けなげで優しい娘なんでしょう。

 ♦︎

【リル・スタットレイvs野犬】

☆リル・スタットレイ 体力40 攻撃力20 防御力20 魔法攻撃力20 魔法防御力20

 ①スイカ割り(ダメージ20) ②空振り(ダメージ0) ③サンダー(ダメージ20) ④空振り(ダメージ0) ⑤棒で叩く(ダメージ10) ⑥リル・サンダー(ダメージ40)

★野犬 体力40 攻撃力10 防御力10 魔法攻撃力0 魔法防御力0

 ①噛みつく(ダメージ5) ②空振り(ダメージ0) ③体当たり(ダメージ5) ④空振り(ダメージ0) ⑤お手パンチ(ダメージ5) ⑥空振り(ダメージ0)

 強そうなのは見た目だけでした。黒猫2匹と同じ程度の強さなら、リル・スタットレイの敵ではありません。樫の棒と雷魔法でギタギタのボコボコにして、町にいる野犬を全て家に連れて行きましょう。

「抵抗するなら仕方ありません。全力で倒します!」

 今日のリルはひと味違います。家にはお腹を空かせて、リルの帰りを待っている2匹がいます。2匹は檻を壊そうと必死になっていますが、その檻は絶対に壊れません。安心してください。いつものように先制攻撃はリルからです。

 1ターン目

 リル・スタットレイの攻撃『⑥』です。バチバチ! と強力な雷魔法がリルの右腕に集束しゅうそくしていきます。

「圧倒的な力と速さの前に沈め! 《リル・サンダー神速の雷槍》!」

 リル・スタットレイのリル・サンダーが命中しました。ダメージ『40』です。

 野犬のHPは『0』になりました。

【リル・スタットレイの勝利です!】

「やったぁ~♬ まったく、見掛け倒しで全然大した事がないじゃないですか」

 一撃必殺です。魔法防御力がない動物がリルに歯向かうから、こうなるのです。リルは黒コゲになった野犬の尻尾を掴むと、実験室に連れて行きました。

 ♦︎

「よし、これで準備完了です」

 あれあれ? 何の為に床に魔法陣を描いているのでしょう。捕まえた野犬2匹をランとシロに食べさせるんじゃないんですか?

「Roar⁉︎ Roar!!」と、ランとシロも興味津々のようです。ガンガン、檻を叩いてリルを応援しています。

「ちちんぷいぷい、なんたら、かんたら」と長い呪文を唱え終わると、ボン! と魔法陣が爆発して、白い煙が上がります。

 そして、煙の中から1匹の新しい動物が現れました。現れたのは、【狼】です。

★狼 体力40 攻撃力15 防御力15 魔法攻撃力0 魔法防御力0

「Awoo?」と、ここが何処だか分かっていないようです。それに大して大きくなっていません。

「Roar~~~♬」と2匹は安心しているようです。檻を叩くのをやめました。弱そうな狼となら仲良く出来そうです。

「んんっ? 狼さんですか………確か……」

 あれあれ? リルが何かを思い出そうとしています。狼を倒して、ランとシロの餌にするんじゃないんですか。

「そうです! 絶対に組み合わせはいけない動物に狼さんがいました! しかも、狼3匹を用意するだけの超簡単なお手軽なヤツです。ふっふふ、駄目と言われたら余計にやりたくなるものですね」

 ガンガン! ガンガン! とランとシロがまた檻を激しく叩き始めました。2匹もリルと同じ気持ちのようです。これはやるしかありません。でも、その前に。

「まずは材料集めですね。悪いですけど、狼さんには倒されてもらいます」

 バチバチ! とリルの右腕に雷が集まっていきます。リルが使える魔法は雷魔法だけですが、炎魔法や風魔法と違って、灰になるまで燃やしたり、身体をバラバラに切断したりしないので、非常に都合がいいです。材料は出来るだけ無傷が一番です。

「圧倒的な力と速さの前に沈め! 《リル・サンダー神速の雷槍》!」

「Awoo!!」と、強力な雷魔法が狼を黒コゲにしました。この調子で残り2匹の狼も集めましょう。

 ♦︎

「ふふ~ん♬ ふふ~ん♬」

 鼻歌を歌いながら、カッカッ、カッカッと魔法陣を描いていきます。完成した魔法陣の上に、ポイっと、3匹の狼を投げ入れていきます。

「Roar~」「Roar~」と、ランとシロは何やら悲しそうに鳴いています。狼さんを食べたかったのでしょうか?

「ちちんぷいぷい、なんたら、かんたら」と長い呪文を唱え終わると、ボン! と魔法陣が爆発して、白い煙が上がります。

 そして、煙の中から1匹の新しい魔物が現れました。現れたのは、【ケルベロス】です。

★ケルベロス 体力80 攻撃力30 防御力30 魔法攻撃力30 魔法防御力30

「Grrrrrrr!!」と、大きな身体と3つの頭を持つ凶暴、凶悪な地獄の猛犬です。口から炎も吐き出す危険な魔物です。出会ったら、すぐに逃げ出しましょう。

「Roar!」「Roar!」「ヤバい奴です!」と、3人も一目見ただけで殺されると理解したようです。でも、ランとシロは檻の中です。逃げられるのは1人だけです。

 あっ! やっぱりもうリルの姿が見えません。

 ギィー、バタァン! ガチャ! ガチャ! ガチャ! ガチャ! ガチャ! とリルは実験室の分厚い頑丈な扉を閉めると、素早く鍵を掛けていきます。実験室の中にケルベロスとライオンとホワイトタイガーを閉じ込めました。あとは3人で仲良くするんですよ。

「Grrrr!!!」と、ケルベロスの3つの口からメラメラと炎が見えています。焼き加減は灰まで残らない《ウェルダン》になりそうです。

「Roar~」「Roar~」と、2匹は最初からこうなる事が分かっていたようです。檻を壊す事が出来なかった2匹が悪いのです。

 そして当然のように、『その後、ランとシロの姿を見た者は誰もいない』になりました。

 ♦︎

「このケルベロスは全然弱りませんね。もう逃しましょう」

 1ヶ月後に実験室の様子を見に行くと、ケルベロスは元気に動いていました。リルはポチッと、リモコンのボタンを押すと、実験室の非常ドアが開きました。

「さあ、森にお帰り」

 優しいリルはケルベロスを野に放してあげました。もうこの町には二度と戻ってくるんじゃありませんよ。

 ♦︎













 

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