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第2話
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「田代警部、本当に村の中に犯人はいるのでしょうか?」
事件現場から村長の家に向かう田んぼ道を歩きながら、藤岡は田代に訊ねてみた。
村長の家には村に住んでいる村人全員の名前を書いた名簿があるそうで、名簿を見せてもらうついでに、村長に話を聞こうと向かっている。
「さあ、どうでしょうねぇ~。その可能性はありますが、高いとは断言できません。藤岡君、ダイイング・メッセージの先入観で犯人探しはやめた方がいいですよ」
「そうですよね。多角的(さまざま)な視点から判断しないと駄目ですよね」
「ええ、その通りです。それにダイイング・メッセージも被害者本人が書いたものなのか、加害者や第三者が書いたものなのか、それさえもハッキリしていません。調べることは山程ありますよ」
「はい! 了解しました!」
二人は田んぼ道を話しながら進んでいく。
しばらく進んでいくと、少し大きめの木造の村長の家に到着した。
テニスコートぐらいの広さの庭に白い軽トラックが止まり、家庭菜園にトマトが成っている。
玄関に呼び鈴はなく、扉は開けっ放し状態だ。
「すみません! どなたかいませんか!」
「はいはい! 何でしょうか!」
藤岡が玄関の外から家の中に大声で呼びかけると、すぐに返事が返ってきた。
待っていると50代の男がやって来た。白いTシャツに半ズボン姿の男だ。
「すみません、村長の田中一(たなかはじめ)さんでしょうか?」
「ええ、そうですそうです! 村長の一です。もしかして、お二人は警察の方ですか?」
田代が村長らしからぬ男の姿を見て訊ねると、男が村長だと認めて、二人を見て訊き返した。
「はい、警視庁から来た田代と藤岡です。こちらに住民の方の名簿があると聞きまして、拝見させてもらえないでしょうか?」
「それは構いませんが……名簿なんて見てどうするんですか? 勇雄の事件と関係あるんですか?」
「申し訳ない。守秘義務がありまして、何ともハッキリ言えないのが現状なんですよ」
「あ~警察の方は大変ですな。ああ! どうぞどうぞ上がってください! 名簿ですね! すぐに用意します!」
「どうもすみません」
玄関での立ち話は失礼だと思ったのか、村長は慌てて二人に家に上がるように促した。
二人は家に上がると、縁側の畳(たたみ)の部屋に案内された。
中央に足の短い大きな長四角の立派な木テーブルが置かれている。
しばらくその部屋で座って待っていると、ガラスコップに氷と麦茶を入れて、村長が戻って来た。
「どうもすみません。家内のヤツがどこで道草食っているのか、全然帰って来ないので、こんなもんしか出せませんよ。何であんなヤツと結婚したのか、昔の自分に聞きたいぐらいですよ。ははっ!」
「ああ、お気遣いなく。それに夫婦喧嘩は犬も食わないと言うぐらいです。離婚せずに結婚を長く続けられるのは、仲が良い証拠ですよ」
「そうですよ~! 田代警部みたいに離婚してないのは——」
「藤岡君! 事件とは関係ない話をするのはやめなさい! 村長さんの迷惑ですよ!」
「す、すみません! 田代警部!」
田代警部は離婚一回のバツ1だ。
そのことを笑顔で言おうとして、藤岡は田代に怒られすぐに謝った。
田代のバツは事件とはまったく関係ない話だ。
事件現場から村長の家に向かう田んぼ道を歩きながら、藤岡は田代に訊ねてみた。
村長の家には村に住んでいる村人全員の名前を書いた名簿があるそうで、名簿を見せてもらうついでに、村長に話を聞こうと向かっている。
「さあ、どうでしょうねぇ~。その可能性はありますが、高いとは断言できません。藤岡君、ダイイング・メッセージの先入観で犯人探しはやめた方がいいですよ」
「そうですよね。多角的(さまざま)な視点から判断しないと駄目ですよね」
「ええ、その通りです。それにダイイング・メッセージも被害者本人が書いたものなのか、加害者や第三者が書いたものなのか、それさえもハッキリしていません。調べることは山程ありますよ」
「はい! 了解しました!」
二人は田んぼ道を話しながら進んでいく。
しばらく進んでいくと、少し大きめの木造の村長の家に到着した。
テニスコートぐらいの広さの庭に白い軽トラックが止まり、家庭菜園にトマトが成っている。
玄関に呼び鈴はなく、扉は開けっ放し状態だ。
「すみません! どなたかいませんか!」
「はいはい! 何でしょうか!」
藤岡が玄関の外から家の中に大声で呼びかけると、すぐに返事が返ってきた。
待っていると50代の男がやって来た。白いTシャツに半ズボン姿の男だ。
「すみません、村長の田中一(たなかはじめ)さんでしょうか?」
「ええ、そうですそうです! 村長の一です。もしかして、お二人は警察の方ですか?」
田代が村長らしからぬ男の姿を見て訊ねると、男が村長だと認めて、二人を見て訊き返した。
「はい、警視庁から来た田代と藤岡です。こちらに住民の方の名簿があると聞きまして、拝見させてもらえないでしょうか?」
「それは構いませんが……名簿なんて見てどうするんですか? 勇雄の事件と関係あるんですか?」
「申し訳ない。守秘義務がありまして、何ともハッキリ言えないのが現状なんですよ」
「あ~警察の方は大変ですな。ああ! どうぞどうぞ上がってください! 名簿ですね! すぐに用意します!」
「どうもすみません」
玄関での立ち話は失礼だと思ったのか、村長は慌てて二人に家に上がるように促した。
二人は家に上がると、縁側の畳(たたみ)の部屋に案内された。
中央に足の短い大きな長四角の立派な木テーブルが置かれている。
しばらくその部屋で座って待っていると、ガラスコップに氷と麦茶を入れて、村長が戻って来た。
「どうもすみません。家内のヤツがどこで道草食っているのか、全然帰って来ないので、こんなもんしか出せませんよ。何であんなヤツと結婚したのか、昔の自分に聞きたいぐらいですよ。ははっ!」
「ああ、お気遣いなく。それに夫婦喧嘩は犬も食わないと言うぐらいです。離婚せずに結婚を長く続けられるのは、仲が良い証拠ですよ」
「そうですよ~! 田代警部みたいに離婚してないのは——」
「藤岡君! 事件とは関係ない話をするのはやめなさい! 村長さんの迷惑ですよ!」
「す、すみません! 田代警部!」
田代警部は離婚一回のバツ1だ。
そのことを笑顔で言おうとして、藤岡は田代に怒られすぐに謝った。
田代のバツは事件とはまったく関係ない話だ。
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