みょんちゃんが奏でる虹色のメロディー ~皆で紡ぐ、楽しい学校と素敵な町並み~

根 九里尾

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第7章 虹ヶ丘小学校とみょんちゃん先生の幸せ〔あーちゃんの視点・他〕 

60 第7章第12話 流れをつくる

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 〔上杉の視点〕




 北の大地の夏は短い。

 9月になれば収穫の時期と同時に、冬を迎える準備にも入らなければならない。

 しかし、俺には、まったく関係ないことだった。最近、虹空町にじぞらちょうは人口も増え、家を建てる人も増えてきた。そのため、電気工事も増えて、電器屋の俺、上杉万作うえすぎ まんさくも休み無しで働いていたんだ。
 店は、奥さんの千子せんこにまかせっきりにしている。申し訳ないと思いつつ、お客さんの扱いが上手い千子には、いつも頼ってしまっている。


 今日は、早く電気工事が済んだから、昼飯前には家に帰れるかな? そんなことを考えながら、家路に向かっていたんだ。


「やあ、ばんちゃん!……どっか行っていたのかい?」
 畑の真ん中の道を家に向かって急いでいる途中、横のとうきびの間から、急に声を掛けられ、俺は少し驚いた。

「え?……なーんだ、大空じゃないか。どうしたんだよ、とうきび畑で」
 顔を出したのは、虹ヶ丘小学校で教員をやっている俺の仲間の北野大空きたの おおぞらだった。

「なーに、来週あたり、遠足に来ようかと思っているんだ。たぶん、この辺に来たら、子ども達は、とうきびをもがせろとか、言うに決まってんだろ。それで、あちこち調べているってわけさ」

「そうだな、勝手にもいだら、怒られるからな。でも、とうきびだけで、いいのか?」

「いいわけあるか! 他にも、たくさん野菜や果物が育っているだろ。これらを収穫できたら、子ども達がどんなに喜ぶか……」

「そうだよな…………」


 周りには、ブドウ畑もあった。少し離れてはいるが、オンコの木やドングリの木もあり、良さげに実を蓄えているのも見える。


「まあ、運が良ければ、見つけられるかもしれないなあ」
「誰にとって運がいいんだか……」
「そうだな、木にしてみれば、実を食われっちまうんだらなあ……あはは」


 大空は、下調べはするが、親切にその情報を子ども達に教えるつもりはないらしい。当然のことだと、俺は思った。楽しいことは、自分で、探し当てないとなんの意味もない。そして、探しあてたものは、無条件で認めてやる。これが大人の心得だ……………そうやって、俺自身も小さい時、彼女から学んできたんだ。

 そうだ、こんな簡単なことだったんだけど、俺達は、あの人と一緒に学んできたんだ。


「なあ、大空よ。今は、お前が、代理になったんだろう?」
「ああ、そうさ」
「すごいじゃないか。今や虹ヶ丘小学校は、北野大空先生が校長代理なんだからな!」

「いやあー。それがさ……ちょくちょく来るんだよ。心配なのかな?」

「誰が?」

「……みょんちゃん……」

「あはは……きっと、暇なんだよ……。付き合ってやんな……、お前だって、その方が落ち着くんだろう?」

「はははは、実はそうなんだけど…………。たぶん、来週の遠足も、現地集合だと思うんだよね……」

「いいじゃないか。……ところで、体の具合の方は、どうなんだ?」

「うん、……だいぶ、辛そうだな。ちょっと歩くと、息が上がってしまうようだし、時々、心臓をおさえているし。…………それでも、ニコニコしながら、大丈夫って言うんだよ」

「そっか、こっちも、最終仕上げといくか…………急がないとな」

「うん……」




 俺は、大空と別れてから家までの道を歩きながら、改めて自分の住んでいる町を見渡した。町外れに作った大きな風車も今は、10機を超えた。太陽光を98%の精度で蓄電できる発明は、火力発電にも匹敵すると言われている。

 俺は、この特許を基に様々な発電技術の会社と協力して技術協力を結んだ。すべてお金に換えて大金持ちになることもできたが、そんなことをしても自分のまわりの人達は喜ばないことを俺は知ってる。

 俺が考えるのは、いつもあの人のことなんだ。彼女が喜んでくれるのは、きっと他の人を助けた時だけだと信じていた。だから、自分の仲間が喜ぶのも、同じだと考えているだけだ。

 東京などでは、電気よりやっぱり石油やガスの方が、普及している。大きい会社が供給していることと、個人が手間をかけないで済んでいるからだ。

 虹ヶ丘を中心に発展してきた虹空町では、一人一人が自分の考えで行動できることを大切にしてきた。そのためには、自分の事を自分で惜しまずに頑張れるようになってほしいと考えていた。
 発電も蓄電も各自ができるように俺は手助けしてきた。今、各家庭は、電気がガスや石油よりも動力になりつつある。これからは、台所だって、電気が調理器具を動かすようになっていくと、俺は思う。そのために、俺はこの虹ヶ丘で頑張ってきたんだ。

 そうすることが、今まであの人にしてもらってきたことに対しての答えになるはずだと、信じている。



(つづく)
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