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第7章 虹ヶ丘小学校とみょんちゃん先生の幸せ〔あーちゃんの視点・他〕
61 第7章第13話 七色の道
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〔あーちゃんの視点〕
9月下旬、この虹空町に町立図書館が完成したの。場所は、虹ヶ丘地区よ。今年も、もう半年が過ぎようとしている。
私、本田彩子が、この虹ヶ丘の図書館を任されて、初代館長になったの。私が嬉しいと感じるのは、みんながたくさん図書館に足を運んでくれることなの。たくさんの人に本好きになってもらうのが私の夢よ。
子供からお年寄りまで、本を読むだけでなくこの図書館で時間を過ごしてくれるだけでも嬉しいわ。
そんな町民を迎えるための図書館の職員も十人になったの。私と同年代の人も何人かいるけど、もちろん年上の人も多いの。
館長とはいえ、私はまだ17歳になったばかり。それでも、みんなは私を館長として扱ってくれるの。これは、とっても嬉しい事よ。
私は、みんなに助けられているなあといつも感じるの。だから、私もみんなに恩返しをしたいといつも考えているの。
私は、小さい頃から本が大好きだった。本は、『知識の世界を自分で泳げる事』だと感じたの。小さい時の自分は、何もできなかったけど、本を読む事で『学び』を広げていけたわ。
そして、あの人は、そんな私に惜しみなく手を貸してくれたの。文字が読めない時には、代わりに読んでくれたわ。大海原を懸命に泳ごうとしている私の手を引いて、一生懸命に泳ぎ方を教えてくれたみたいなものよ。私は、とっても感謝しているの。
だから、今度は、私が誰かに泳ぎを教えることができればいいと思うの。そうすることが、きっとあの人も喜んでくれることに違いないと思うの。完成した図書館を見るたびに、私はそんなことを考えてしまうわ。
「…………あーちゃん………少し………休ませてねー………」
「……!……校長先生!」
「ううん、今は、違うわよ。……ただの『みょんちゃん』よ、うふ!……」
少し疲れた表情はしているけど、いつものようにお茶目な笑顔で、笑っていた。今日も図書館に来てくれたんだ。
「はい、はい、わかりましたから、早く、この椅子に座って休んでくださいね」
私は、少し高くなっている椅子を勧めた。これは、クッションも貼ってあり、お腹の大きなみょんちゃんに配慮してのことよ。優しく手を引いて、椅子に案内したの。
「ありがとうね。……あ、これ、座りやすいわね。最近、低い椅子はダメなのよ、お腹がつかえちゃってね……あはは……太りすぎかしら?」
「何言ってるんですか、もうすぐ、赤ちゃん生まれるんでしょ……、こんなに歩いて来て、大丈夫なんですか?」
「うーん?……少し運動しなさいって、病院の先生にも、言われててね」
「それにしても、図書館は、遠くないですか?」
「まあ、新しい図書館は、大好きだしね。本当は、もっと通いたいんだけどね……」
「生まれたら、お子さんと一緒に来てくださいね。待ってますよ。絵本もいっぱいありますからね」
「わー、素敵。うれしいわ。ところで、昔、あーちゃんが描いていた絵本も、置いてるの?」
「……内緒ですよ、……ちゃんとわからないところにしまってます!」
「じゃあ、子供と来た時、ちゃんと教えてよね、約束よ! いい!」
「はい、はい。……ところで、今日は、何か借りに来たんですか?」
「ああ、……今日は、これを持って来たのよ」
みょんちゃんは、カバンから一冊のノートを取り出したの。表紙には、『なないろ にっき』
と、書いてあったわ。
私が預かっている『なないろ にっき』は、もう20冊を超えてるわ。小学校の卒業式で、将来「図書館」を作りたいと宣言してから、みょちゃん校長先生の『なないろ にっき』を預かることになったの。
『なないろ にっき』とは、みょんちゃんが、この虹ヶ丘に開拓に入ってからの出来事をまとめて日記風に書いているものよ。本人曰く、出来事日記ではなく、『出会いの日記』なんだって。
虹ヶ丘の開拓は、土地の開拓ではなく、人と人との出会いを開拓してきたんだといつもみょんちゃんは言うの。だから、他の人のことをあれだけ真剣に喜ぶし、あれだけ真剣に考えることができるんだって。
そして、そうやって想われた人達は、みょんちゃんのことを想わずにはいられなくなるんだと思うの。
「う! あー、あーちゃん、ん……………」
みょんちゃんが、お腹を押さえて小さなうめき声をあげたの。目を閉じて、うつむき、椅子から降りて、片膝を床に着いたわ。
私はびっくりして、急いて体を支えながら、近くにいる職員に声を掛けたの。
「お願いします。毛布と…………それから、学校の北野先生に連絡を………」
職員には、前もって知らせてあったから、みんな手際よく動いてくれたの。
「みょんちゃん、しっかり。大丈夫よ。すぐに、みんなが来るからね、ゆっくり、横になってね」
「ごめんね、ゥ、あ……」
「大丈夫だからね……」
私は、職員が持って来た毛布でみょんちゃんを包み、体を支えて横に寝かせたの。そして、頭を私の膝に乗せて少し高くして、みんなが来るのを待つことにしたの。
みょんちゃんの手を握りながら、私は祈ったわ。
(つづく)
9月下旬、この虹空町に町立図書館が完成したの。場所は、虹ヶ丘地区よ。今年も、もう半年が過ぎようとしている。
私、本田彩子が、この虹ヶ丘の図書館を任されて、初代館長になったの。私が嬉しいと感じるのは、みんながたくさん図書館に足を運んでくれることなの。たくさんの人に本好きになってもらうのが私の夢よ。
子供からお年寄りまで、本を読むだけでなくこの図書館で時間を過ごしてくれるだけでも嬉しいわ。
そんな町民を迎えるための図書館の職員も十人になったの。私と同年代の人も何人かいるけど、もちろん年上の人も多いの。
館長とはいえ、私はまだ17歳になったばかり。それでも、みんなは私を館長として扱ってくれるの。これは、とっても嬉しい事よ。
私は、みんなに助けられているなあといつも感じるの。だから、私もみんなに恩返しをしたいといつも考えているの。
私は、小さい頃から本が大好きだった。本は、『知識の世界を自分で泳げる事』だと感じたの。小さい時の自分は、何もできなかったけど、本を読む事で『学び』を広げていけたわ。
そして、あの人は、そんな私に惜しみなく手を貸してくれたの。文字が読めない時には、代わりに読んでくれたわ。大海原を懸命に泳ごうとしている私の手を引いて、一生懸命に泳ぎ方を教えてくれたみたいなものよ。私は、とっても感謝しているの。
だから、今度は、私が誰かに泳ぎを教えることができればいいと思うの。そうすることが、きっとあの人も喜んでくれることに違いないと思うの。完成した図書館を見るたびに、私はそんなことを考えてしまうわ。
「…………あーちゃん………少し………休ませてねー………」
「……!……校長先生!」
「ううん、今は、違うわよ。……ただの『みょんちゃん』よ、うふ!……」
少し疲れた表情はしているけど、いつものようにお茶目な笑顔で、笑っていた。今日も図書館に来てくれたんだ。
「はい、はい、わかりましたから、早く、この椅子に座って休んでくださいね」
私は、少し高くなっている椅子を勧めた。これは、クッションも貼ってあり、お腹の大きなみょんちゃんに配慮してのことよ。優しく手を引いて、椅子に案内したの。
「ありがとうね。……あ、これ、座りやすいわね。最近、低い椅子はダメなのよ、お腹がつかえちゃってね……あはは……太りすぎかしら?」
「何言ってるんですか、もうすぐ、赤ちゃん生まれるんでしょ……、こんなに歩いて来て、大丈夫なんですか?」
「うーん?……少し運動しなさいって、病院の先生にも、言われててね」
「それにしても、図書館は、遠くないですか?」
「まあ、新しい図書館は、大好きだしね。本当は、もっと通いたいんだけどね……」
「生まれたら、お子さんと一緒に来てくださいね。待ってますよ。絵本もいっぱいありますからね」
「わー、素敵。うれしいわ。ところで、昔、あーちゃんが描いていた絵本も、置いてるの?」
「……内緒ですよ、……ちゃんとわからないところにしまってます!」
「じゃあ、子供と来た時、ちゃんと教えてよね、約束よ! いい!」
「はい、はい。……ところで、今日は、何か借りに来たんですか?」
「ああ、……今日は、これを持って来たのよ」
みょんちゃんは、カバンから一冊のノートを取り出したの。表紙には、『なないろ にっき』
と、書いてあったわ。
私が預かっている『なないろ にっき』は、もう20冊を超えてるわ。小学校の卒業式で、将来「図書館」を作りたいと宣言してから、みょちゃん校長先生の『なないろ にっき』を預かることになったの。
『なないろ にっき』とは、みょんちゃんが、この虹ヶ丘に開拓に入ってからの出来事をまとめて日記風に書いているものよ。本人曰く、出来事日記ではなく、『出会いの日記』なんだって。
虹ヶ丘の開拓は、土地の開拓ではなく、人と人との出会いを開拓してきたんだといつもみょんちゃんは言うの。だから、他の人のことをあれだけ真剣に喜ぶし、あれだけ真剣に考えることができるんだって。
そして、そうやって想われた人達は、みょんちゃんのことを想わずにはいられなくなるんだと思うの。
「う! あー、あーちゃん、ん……………」
みょんちゃんが、お腹を押さえて小さなうめき声をあげたの。目を閉じて、うつむき、椅子から降りて、片膝を床に着いたわ。
私はびっくりして、急いて体を支えながら、近くにいる職員に声を掛けたの。
「お願いします。毛布と…………それから、学校の北野先生に連絡を………」
職員には、前もって知らせてあったから、みんな手際よく動いてくれたの。
「みょんちゃん、しっかり。大丈夫よ。すぐに、みんなが来るからね、ゆっくり、横になってね」
「ごめんね、ゥ、あ……」
「大丈夫だからね……」
私は、職員が持って来た毛布でみょんちゃんを包み、体を支えて横に寝かせたの。そして、頭を私の膝に乗せて少し高くして、みんなが来るのを待つことにしたの。
みょんちゃんの手を握りながら、私は祈ったわ。
(つづく)
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