みょんちゃんが奏でる虹色のメロディー ~皆で紡ぐ、楽しい学校と素敵な町並み~

根 九里尾

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第8章 町の発展とみょんちゃん母さん〔大樹の視点〕

64 第8章第1話 みょんちゃん

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「みよのおばあちゃん、大変だったんだね。でも、病気も治って良かったね」
「ありがとうね、しーちゃん。そうさね、これはね、みんなのお陰なんじゃよ」

「そっか、みよのおばあちゃんとずっと一緒に頑張ってきたんだもんね」
「太郎君のおじいさんも頑張ったんだよ」
「へえーー、じいちゃんがね」

「しーちゃんのおじいさんには、今でも健康診断してもらってるんだよ」
「へえ、そうなんだ!」
「ウチは、家族みんなで、岡崎医院おかざきいいんのお世話になってるんだよ」

「ねえ、みよのおばあちゃん? 今度はさ、おばあちゃんの家族のこと教えてよ」


 うん、家族ねえ……そうさね~

 …………1人息子の大樹だいきが、生まれて…………
 いろんなことがあったねえ~


 楽しかったよ~・・・ ・  ・   ・    ・





 =====登場人物=====
 桜山美代乃(さくらやま みよの) 40歳 母
 桜山建造(さくらやま けんぞう) 40歳 父
 桜山大樹(さくらやま だいき) 10歳 長男
 ==============

 あれから10年経ったんだって。

 だって、ぼくは10歳になったんだもん! ぼくは、大樹。桜山家の1人息子だよ。まわりの大人は、『あの時は、大変だったなあ~』って、よく話しているけど、みんな楽しそうに話すんだよね。ぼくの誕生日って、そんなに嬉しい日だったのかなあ。

 ぼくにはさっぱり分からないんだ。それでも、ぼくに分かることが1つだけあるんだ!

 それは、ぼくのお母さんのことが、みんな大好きだってことさ! もちろんぼくだって大好きなんだ。
 でも、お母さんは、ぼくにもアレを押し付けてくるんだ。嬉しそうにね! 照れてるぼくを嬉しそうに見ながら、お願いしてくるんだよなあ~

 大人達は平気で、みんなそう呼んでいる。『みょんちゃん』ってね。でも、ぼくは、まだちょっとなんとなく恥ずかしいんだけどなあ……。





 トントントントントントン…………
 まな板の音が乾いてる! たぶん、今日もいい天気なんだな。

 ……早く起きなきゃ……

 味噌のにおいがする……ん! まずい! 急がないと!……よし!

 何とか間に合ったみたいだ。



「あら、ダイちゃん、おはよう。……うん? もう……、起きちゃったのね ╮(╯-╰)╭」

「おはようございます、みょんちゃん。……え? もうって、何?……ぼく、お腹すいたよ」

「あらまあ、じゃあ、早く顔洗って着替えちゃいなさい」


 今、『みょんちゃん』って呼んだのは、うちのお母さんだ。訳あって、うちでは……いや知っている人は、みんな『みょんちゃん』と呼んでいるんだ。ぼくだって、頑張って呼んでいるけど、お母さんが居ないところは、……えへっ……。


「お、ダイちゃん、最近は自分で起きれることが多いじゃないか」

 外の花壇の水撒きを終えて帰ってきたお父さんが、『知ってるくせに』、冷やかしてきた。

「おはようございます、けんちゃん。そんなこと、また聞くの?」

 因みに、お父さんのことは『けんちゃん』って呼べって言われてる。お母さんにね。


「そうなのよねーー。ダイちゃんったら、最近自分で起きちゃうから、私の出番がなくて、朝の楽しみが無いのよねー」

「だって、いつまでも寝ていると、みょんちゃんが……『布団はそんなに楽しいの?』って言って潜り込んできたり、体をこちょばしたりして、1人で笑い転げて楽しんでいるんだもの。……ぼくは、もう大変なんだよ」


「へー、そーなんだー、ふふふふ…」

 何となく、お父さんは、思い出し笑いをしているように見えた。

「けんちゃんだって、やられたら、大変なんだからね……」

「ふふっ……ああ、大丈夫だ……もう、だいぶ前に……いや……何でもないよ」


 お母さんは、何だか楽しそうに鼻歌を歌いながら、台所で茶碗にご飯を盛っていた。
 お父さんは、台所へ行き、お母さんが盛ったご飯やみそ汁など、食べるものを茶の間のちゃぶ台に運んだ。
 茶の間の真ん中には、大きくて丸いちゃぶ台があり、座布団が敷いてあるので、それに座ってみんなで食べるんだ。

「みよちゃん、あの花が、今年もきれいに育ってきたよ。つぼみも見えてきたぞ」

「きっと、黄色やオレンジの花がたくさん咲くわね。あの時、けんちゃんがくれた花束についていた種から増やした花ですものね」

 これは、この前聞いたんだけど、お父さんがお母さんに結婚を申し込んだ時に渡した、ドライフラワーっていう花の束に、種が紛れこんでいて、それを見つけた母さんが、この10年間でうちの庭いっぱいに増やしたそうだ。

「ねえ、けんちゃん? あのドライフラワーっていう花は、乾燥していたけど、とっても本物の生の花のようにきれいだったわよね。私も、ドライフラワーに負けないくらいきれいでしょ……?」

「ええ? やっぱり、あの花が育つと、今年もそれを聞くの?」

「もちろんよ!」

「はいはい! それは、やっぱり、みんなで『みょんちゃん』って呼び続けているからに、違いありません」

「そうそう! 『みょんちゃん』は、魔法の言葉なのよ! なのに、けんちゃんは、呼んでくれないのかしらね???」

「いいじゃないかー『みよちゃん』って昔から呼んでいるんだから、勘弁してよ!」

「まあ、いいでしょ! あははははは」


 お母さんは、いつもの笑い声で、また朝から食卓を明るく照らしていた。本当にお母さんは、自分の年齢よりも、ものすごく若く見えるんだ。化粧だってそんなにしているところは見たことがない。

 ぼくは、別に『みょんちゃん魔法』だとは思っていないけど、お母さんはいつでも誰に対しても、楽しく一生懸命に接している。だからみんなが、『みょんちゃん』って言ってくれるんだと思う。
 そして、みんなが元気になるから、その元気をちょっとずつ分けてもらっているお母さんが、いつまでも若いんだと思っているんだ。
 そんなお母さんが大好きだから、ぼくも『みょんちゃん』って呼んでいるんだ。……ちょっと恥ずかしいけど……。



「みょんちゃんは、今日、何するの?」

「そうね、今日は、何をしようかな? けんちゃんは、昨日の続きで、田中さんのお家を作るんでしょ。ダイちゃんは、今日も学校よね。」

「そうだよ」

「あ、お弁当は、これね」
「いつも、ありがとうございます。みょんちゃん」

「いいえ、どういたしまして。今日は、誰と食べるのかな?」

「いつもの、仲間かな……、ところで、みょんちゃん、今日、何するの?」

「……やっぱり、今日も好きな事を、いっぱいやります。……みんなも、好きなことを頑張ってね」



(つづく)
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