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第7章 虹ヶ丘小学校とみょんちゃん先生の幸せ〔あーちゃんの視点・他〕
63 第7章第15話 新たなる虹の向こうへ
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〔建造の視点〕
ここにいる僕達では、何もできないんだ。そんなことは始めっから分かっていたんだ。かといって、この町には医者はいない。美代が通っている病院は、遠い町の病院なんだ。
僕達には、美代の苦しみはお産の苦しみだけでないことも分かっていたんだ。美代の心臓が病を抱えているんだ。だから、この出産がとても危険だってことも、分かっていたんだ……。
だから……だからこそ、みんなで、考えたんだ。できるだけの方法を…………。
その時、玄関の扉が開き、あの男が帰って来たんだ。
「お待たせしました」
「あ! 岡崎先輩!」
「芯也君! 間に合った! 良かった!」
僕は、救世主といって岡崎芯也君に、思わず縋ってしまった。今にも崩れそうになっている僕に芯也君は、静かに笑顔で答えてくれた。
そして、彼の横には、同じように笑顔の女性が立っていたんだ。
目ざとい一太君が訪ねた。
「そちらの方は?」
「私は、芯さんの家内で幸子といいます。今回は、手術のお手伝いに着いて来ちゃいました。どうぞ、みな様、よろしくお願いいたします」
この緊迫した場面で、ニッコリと優しく微笑む笑顔は、みんなの張り詰めた緊張も一気に緩ませ、目標を再確認することができた。
「さあ、手術の準備をします。幸子、準備を頼むな。産婆のお富さん、赤ちゃんを取り出すので、受け取りの準備をしておいてください。万ちゃん機械の操作をお願いするよ! トウちゃん、これ輸血用の血液なんだ、教えた通り取り付けてほしい。他の人は、この部屋から出てください。そして、作業前にみんな手の消毒をお願いします。それでは、はじめます!」
テキパキとした芯也君の指示は、そこにいる人達の気持ちも上手く整理してくれたようだ。僕達は、自分のやるべきことを見出し、焦ることなく動くことが出来たんだ。
〔ここからは、岡崎芯也の視点〕
さすがにあの時は僕だって緊張したさ。玄関を入ってみんなを見た時、誰の目にも光は無かったんだ。それどころか、気持ちが張り詰めて今にも切れそうだということが、僕にも分かった。
あそこで助かったのは、幸子のお陰なんだ。あんな緊迫した場面で、みんなを安心させられる笑顔を見せることができるんなて……。
「幸子、ありがとうな」
僕は、手術の準備をしている幸子にそっと声を掛けた。
「何言ってんの、これからよ、頑張ってね」
本当に緊張というものを知らないんだろうか。いつもの笑顔で、僕にも声を掛けてくれるんだ。
本当に、また、助けられたな……。
僕は、美代乃先生の心臓の負担を少なくするために、通常の出産を避け帝王切開にすることを選んだ。僕は、東京の大学病院で、全ての科の医療を学んだ。学んだだけでなく、大学病院で実習も重ねた。そして、誰よりも経験を積みこの時に備えたんだ。
無事、男の子が生まれた。すぐに産婆のお富さんに渡され、元気な産声を聞くことができた。
後は、美代乃先生の心臓手術だ。僕は、美代乃先生の心臓を直すために、学んで来たんだ。手術をしなくても何とかもたせることはできる。でも、これから子供を育て、発展していく虹ヶ丘を見続けるためには、心臓を直す必要があるんだ。
僕は、美代乃先生が通っている大きな町の病院の先生とも連絡をとっていたんだ。心臓の様子を細かく検査し、どこが悪いかも調べていた。美代乃先生は、特殊な心臓弁膜症だったんだ。
僕は、東京の大学病院で、最後の課題として心臓弁膜症の手術について学んでいたんだ。美代乃先生の特殊な病気は、なかなか調べてもわからなかったが、上杉君の機械と僕の出術が合わさって、心臓に新しい弁を作成することに成功したんだ。
この人工弁さえ、埋め込むことができたら、美代乃先生は普通に生きて行くことができるんだ。
手術は、何時間にも及んだ。
やっぱり、この手術を支えてくれたのが、妻の幸子だ。彼女も医者なんだ。
東京の大学病院で出会った。彼女の専門が、心臓外科だったんだ。専門技術の高さでは、大学一かもしれない。でも、彼女は大学の中で医者になるのを諦めていたんだ。周りの医者が、技術の習得ばかりに心を奪われ、目の前の患者さんには目もくれない、そんな病院が嫌になっていたんだ。
そんなことを知らなかった僕は、彼女といろいろな話をするようになったんだ。特に、この虹ヶ丘のことを……。
そして、彼女は言ってくれたんだ。「私も虹ヶ丘に住みたい」と。きっと、これらも僕は彼女に助けられると思っている。
だから、その分、僕はみんなを助けたいと思って、ここに帰って来たんだ。幸子と一緒に。
長った手術も終わった。成功した。僕も幸子も……それから、そこで待っていたみんなも、泣きながら笑ったんだ。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
3日目の朝になると、美代乃先生は、もう赤ん坊に自分のお乳を飲ませられるようになった。
入院は、まだ続くが、この岡崎医院も開業するので、第1番目の患者になってもらうことにしたんだ。
「本当にいい病院よね。それに、いいお嫁さんもらったのね。岡崎君ったら、うふっ」
「はあ、まあ、ありがとうございます。……体の調子は、どうですか?」
「あ、そうそう、今回は、治療していただいて、本当にありがとうございました」
「もー、先生はいつも、そうなんだから。自分のことより、まわりの人優先だもんな。ね、言った通りだろう」
「はい、あなたが、尊敬するのは無理ないわね。私だって、大好きよ!」
「あら、それで、岡崎君は、幸子さんが好きになったのかしら?」
「え? 美代乃さん、どういうことですか?」
「いいの、いいの。『みょんちゃん』で、いいのよ、『みょんちゃん』って呼んでね」
「はい、わかりました。早く元気になって、この辺案内してくださいね、みょんちゃん!」
「はい、楽しみね、うれしいわ」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「北野、よかったな、これで虹ヶ丘学園も安泰だな」
「う、うん。ありがとうございます、岡崎先輩。それが、美代乃校長先生は、これで引退するって言うんです」
「そうか、これで、校長先生からお母さんになるんだな。でも、またいろいろ頑張るんだろうな。…………じゃあ、北野校長誕生じゃないか」
「まあね、がんばりますよ!」
「それより、岡崎先輩。この虹ヶ丘で病院開くって、本当なんですか?」
「ああ、万ちゃんの電器屋と同じだよ」
「どうしてですか? 東京の大学で立派にお医者様やってたんでしょ?」
「そんなの決まってるだろ! ここの町に、病院が必要だからさ。町づくりには、病院は欠かせないんだよ」
「そっか、そうですよね。僕達は、そうやって、いろいろ決めてきたんですもんね」
(第7章 完 ・ 物語はつづく)
ここにいる僕達では、何もできないんだ。そんなことは始めっから分かっていたんだ。かといって、この町には医者はいない。美代が通っている病院は、遠い町の病院なんだ。
僕達には、美代の苦しみはお産の苦しみだけでないことも分かっていたんだ。美代の心臓が病を抱えているんだ。だから、この出産がとても危険だってことも、分かっていたんだ……。
だから……だからこそ、みんなで、考えたんだ。できるだけの方法を…………。
その時、玄関の扉が開き、あの男が帰って来たんだ。
「お待たせしました」
「あ! 岡崎先輩!」
「芯也君! 間に合った! 良かった!」
僕は、救世主といって岡崎芯也君に、思わず縋ってしまった。今にも崩れそうになっている僕に芯也君は、静かに笑顔で答えてくれた。
そして、彼の横には、同じように笑顔の女性が立っていたんだ。
目ざとい一太君が訪ねた。
「そちらの方は?」
「私は、芯さんの家内で幸子といいます。今回は、手術のお手伝いに着いて来ちゃいました。どうぞ、みな様、よろしくお願いいたします」
この緊迫した場面で、ニッコリと優しく微笑む笑顔は、みんなの張り詰めた緊張も一気に緩ませ、目標を再確認することができた。
「さあ、手術の準備をします。幸子、準備を頼むな。産婆のお富さん、赤ちゃんを取り出すので、受け取りの準備をしておいてください。万ちゃん機械の操作をお願いするよ! トウちゃん、これ輸血用の血液なんだ、教えた通り取り付けてほしい。他の人は、この部屋から出てください。そして、作業前にみんな手の消毒をお願いします。それでは、はじめます!」
テキパキとした芯也君の指示は、そこにいる人達の気持ちも上手く整理してくれたようだ。僕達は、自分のやるべきことを見出し、焦ることなく動くことが出来たんだ。
〔ここからは、岡崎芯也の視点〕
さすがにあの時は僕だって緊張したさ。玄関を入ってみんなを見た時、誰の目にも光は無かったんだ。それどころか、気持ちが張り詰めて今にも切れそうだということが、僕にも分かった。
あそこで助かったのは、幸子のお陰なんだ。あんな緊迫した場面で、みんなを安心させられる笑顔を見せることができるんなて……。
「幸子、ありがとうな」
僕は、手術の準備をしている幸子にそっと声を掛けた。
「何言ってんの、これからよ、頑張ってね」
本当に緊張というものを知らないんだろうか。いつもの笑顔で、僕にも声を掛けてくれるんだ。
本当に、また、助けられたな……。
僕は、美代乃先生の心臓の負担を少なくするために、通常の出産を避け帝王切開にすることを選んだ。僕は、東京の大学病院で、全ての科の医療を学んだ。学んだだけでなく、大学病院で実習も重ねた。そして、誰よりも経験を積みこの時に備えたんだ。
無事、男の子が生まれた。すぐに産婆のお富さんに渡され、元気な産声を聞くことができた。
後は、美代乃先生の心臓手術だ。僕は、美代乃先生の心臓を直すために、学んで来たんだ。手術をしなくても何とかもたせることはできる。でも、これから子供を育て、発展していく虹ヶ丘を見続けるためには、心臓を直す必要があるんだ。
僕は、美代乃先生が通っている大きな町の病院の先生とも連絡をとっていたんだ。心臓の様子を細かく検査し、どこが悪いかも調べていた。美代乃先生は、特殊な心臓弁膜症だったんだ。
僕は、東京の大学病院で、最後の課題として心臓弁膜症の手術について学んでいたんだ。美代乃先生の特殊な病気は、なかなか調べてもわからなかったが、上杉君の機械と僕の出術が合わさって、心臓に新しい弁を作成することに成功したんだ。
この人工弁さえ、埋め込むことができたら、美代乃先生は普通に生きて行くことができるんだ。
手術は、何時間にも及んだ。
やっぱり、この手術を支えてくれたのが、妻の幸子だ。彼女も医者なんだ。
東京の大学病院で出会った。彼女の専門が、心臓外科だったんだ。専門技術の高さでは、大学一かもしれない。でも、彼女は大学の中で医者になるのを諦めていたんだ。周りの医者が、技術の習得ばかりに心を奪われ、目の前の患者さんには目もくれない、そんな病院が嫌になっていたんだ。
そんなことを知らなかった僕は、彼女といろいろな話をするようになったんだ。特に、この虹ヶ丘のことを……。
そして、彼女は言ってくれたんだ。「私も虹ヶ丘に住みたい」と。きっと、これらも僕は彼女に助けられると思っている。
だから、その分、僕はみんなを助けたいと思って、ここに帰って来たんだ。幸子と一緒に。
長った手術も終わった。成功した。僕も幸子も……それから、そこで待っていたみんなも、泣きながら笑ったんだ。
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3日目の朝になると、美代乃先生は、もう赤ん坊に自分のお乳を飲ませられるようになった。
入院は、まだ続くが、この岡崎医院も開業するので、第1番目の患者になってもらうことにしたんだ。
「本当にいい病院よね。それに、いいお嫁さんもらったのね。岡崎君ったら、うふっ」
「はあ、まあ、ありがとうございます。……体の調子は、どうですか?」
「あ、そうそう、今回は、治療していただいて、本当にありがとうございました」
「もー、先生はいつも、そうなんだから。自分のことより、まわりの人優先だもんな。ね、言った通りだろう」
「はい、あなたが、尊敬するのは無理ないわね。私だって、大好きよ!」
「あら、それで、岡崎君は、幸子さんが好きになったのかしら?」
「え? 美代乃さん、どういうことですか?」
「いいの、いいの。『みょんちゃん』で、いいのよ、『みょんちゃん』って呼んでね」
「はい、わかりました。早く元気になって、この辺案内してくださいね、みょんちゃん!」
「はい、楽しみね、うれしいわ」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「北野、よかったな、これで虹ヶ丘学園も安泰だな」
「う、うん。ありがとうございます、岡崎先輩。それが、美代乃校長先生は、これで引退するって言うんです」
「そうか、これで、校長先生からお母さんになるんだな。でも、またいろいろ頑張るんだろうな。…………じゃあ、北野校長誕生じゃないか」
「まあね、がんばりますよ!」
「それより、岡崎先輩。この虹ヶ丘で病院開くって、本当なんですか?」
「ああ、万ちゃんの電器屋と同じだよ」
「どうしてですか? 東京の大学で立派にお医者様やってたんでしょ?」
「そんなの決まってるだろ! ここの町に、病院が必要だからさ。町づくりには、病院は欠かせないんだよ」
「そっか、そうですよね。僕達は、そうやって、いろいろ決めてきたんですもんね」
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