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第8章 町の発展とみょんちゃん母さん〔大樹の視点〕
72 第8章第9話 社会見学?
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「ダイちゃん、早く出かけるわよ!」
「大丈夫だよ、みょんちゃん。まだ、早いってば。お店は開いてないよー」
「そんなことないわよー、今日は日曜日だし、朝早くから開いているお店だってあるわよ、ねえ、けんちゃん!」
「まあ、中にはあるかな?」
本当にお母さんは、買い物が大好きなんだ。そんなに高いものを買うわけではないけど、とにかく、たくさん買ったり、不思議なものを買ったりするんだよな。
この間の『みかん』も、あんなにたくさん買い込んだりするし、前も『熟した柿』を買い込んだりしていたことがあったなあ。理由を聞いても、好きだからというだけなんだから、よくわからない。
今日は、家族3人で、朝から商店街へ買い物に出かけることにした。特に、何を買うという目的はないので、いろいろなお店を見て回るのが目的のような感じだ。
「さあ、はじめはどこから行きましょうか? なんか、ドキドキするわね」
なぜか、お母さんだけが浮かれているような気がする。幸い12月の中旬とはいえ、天候に恵まれ今日は暖かい日でよかった。晴れているので、雪道でも安心して歩ける。
家から商店街までは、そんなに時間はかからない。手袋、帽子、防寒のオーバーを着て、長靴を履いて3人で雪道を20分ほど歩いた。
この辺も前は畑ばかりだったけど、今では住宅が多くなった。お父さんが心配していたように、畑が少なくなってきたっていうのは、このことなのかなあと考えてもみた。ただ、住宅の奥の方にはたくさんの畑が見えるし、虹空町全体では畑が減っているという話は、あの町長選挙の後、聞かなくなった。
きっとあの黒岩町長さんが、頑張っているんだろうと思う。
「あそこ……あの店が開いているわ!」
「どこ? みょんちゃん」
「あれは、豆腐屋さんだね。豆腐屋さんは、朝が早いお店だからね」
「そうね、ダイちゃん、豆腐ってどんな材料で作るか知ってる?」
「え? 材料? えっとね……豆腐は、……大豆だったかな……」
「そうね、ここの豆腐屋さんは、虹空町のおいしい大豆とおいしい湧き水を使っているの。だからおいしい豆腐が作れるのよ」
「そうか、ここは、虹空町の大豆を使っているのか……」
「おじさん……、いつもの油揚げ、くださいな」
「お、みょんちゃん、いらっしゃい、今日は、早いね」
「え? みょんちゃん、豆腐じゃないの? 油揚げなの?」
「何驚いているのダイちゃん。……知ってる? 油揚げって、豆腐で作るのよ! おいしい油揚げは、おいしい豆腐屋さんで売ってるの!」
「さすが、みよちゃん、買い物上手だね」
豆腐屋のおじさんが褒めてたんだ。
「次行くわよ、次はここね!」
「わあ、いいに香りだね~。これは、味噌のお店だね、みょんちゃん」
「そうよ、ここは、お味噌屋さんよ。おじさん、大根の粕味噌漬けちょうだい」
「あ、みょんちゃん、そろそろかなと思ってたよ、無くなる頃だもんな。待ってたよ、はい、これ」
「え? 味噌を買うんじゃないの?」
「うん、ここの味噌はとってもおいしいの、だから、味噌は1年分買ってあるの。でも、味噌がおいしいから、その味噌で漬けた漬物はもっとおいしいのよ。しかも、虹空町で採れた野菜を漬けてあるからなおさらでしょ」
「みょんちゃんは、漬物の味にもうるさいんだもんね! さすがだよ」
お味噌屋さんのおじさんも褒めてくれた。
お母さんは、不思議なものを買ってばかりだと思ってたのに、美味しいものをちゃんと分かって買っていたんだ。
「さあ、次は、ここよ」
「え! ここの香りは、ひょっとして、お醤油屋さん?」
「あ、正解」
「待って、みょんちゃん。なんか、全部、大豆でできる商品ばっかりじゃないの?」
「あれ? 分っちゃった?」
「ぼくも何か変だなあとは思ったんだけど、ひょっとしてこの後は……」
「そう……『納豆屋さん』とか『枝豆屋さん』とか『豆乳屋さん』とか……」
「おいおい、虹ヶ丘商店街には、確かにたくさんのお店があるけど、そんなに専門のお店があるのかい?」
「ええ、あるのよ。虹ヶ丘商店街は、今、とてもたくさんのお店があるの。実は、いろいろな種類のものを作らないと売れなくなったのよ。昨日、一太君が言っていたように、たくさん作っても買う人がいないので、品物が余ってしまうの。だから、いろんな種類のものを作っているの」
「そうか、品物が余ったら、お店が潰れてしまうんだ」
「そうなの。それで、いろいろな工夫をしているっていう訳なの。他の品物を売っているお店も似たようなことをしているわ。今、虹ヶ丘商店街は、多種多様なお店でいっぱいになっているの」
「そうか、これが昨日、笑太のお父さんが言っていた『遠くに品物を売れない』ということなんだ」
「ダイちゃん、わかった? もし、どこへでも売れるようになったら、品物は余る心配がないから、たくさん作れるわ。これが、作物だったらどう? ダイコンやジャガイモだったらどう?」
「うん、いっぱい作っても心配ないと思う」
「いいや、待ってくれ。ダイコンやジャガイモなら、どこでも作ってるぞ! いっぱい作ったからと言って、売れるか?」
お父さんは、心配そうに言った。するとお母さんが、自慢げに言ったんだ。
「さっきの豆腐の話を思い出して。普通の豆腐なら、買わないけど、おいしい豆腐なら、また買いたいと思うのよ。ダイコンだって、特別なダイコンなら、特別なおいしいダイコンなら、きっとまた買いたいと思うはずなの!」
その話をしている時、1人の男の人が、みんなの前に現れ、話に割り込んで来た。
「そう、その特別なダイコンを作らなければなりません。ダイコンだけじゃなくて、ジャガイモも、カボチャも、虹空町特製のものです。これが、農業を基本に据えて、この町を守るために考えた大切な方針です」
黒岩町長だった。あの選挙の時より、少し、しっかりした感じに見えた。体格はそんなに変わらなかったが、表情がはっきりし、優しい笑顔は、ますます優しく見えるように感じたんだ。
「あ、すみません。あの時は。……僕も一太さんから、相談を受けたんです。とにかく、虹空町の野菜は、素晴らしいです。皆さんが、開拓の時から、品種改良して育ててきたジャガイモの話は知っています。同じようなことをいろいろな作物で行い、美味しく、そしてもっといろんな料理や生活に生かせるように価値付けして、何とか多くの人に買ってもらえるようにしたいと考えています。…………そのためには……」
その時、ちょうど笑太のお父さんもやって来た。
「やあ、みんな、そろっていたんだね。建造さん、みょんちゃん、ダイちゃん、商店街は見ることができたかな?」
「はい、何件か回りました。朝早くから開いているお店もあって驚きました」
「朝じゃないと、だめな商売もあるんだ」
「それに、1つの材料から、違う商品を作っていることもわかりました」
「あはは……それは、まあ、苦肉の策なんだけどな……」
「で、どうだい? たくさんの人に品物を買ってもらう方法、何かいい方法あるかな?」
「ねえみんな、これから、上杉君の電器屋さんに行ってみない?」
また、お母さんが何か思いついたらしいけど、ニコニコしながら言っているところが、怪しいんだよなあ。
(つづく)
「大丈夫だよ、みょんちゃん。まだ、早いってば。お店は開いてないよー」
「そんなことないわよー、今日は日曜日だし、朝早くから開いているお店だってあるわよ、ねえ、けんちゃん!」
「まあ、中にはあるかな?」
本当にお母さんは、買い物が大好きなんだ。そんなに高いものを買うわけではないけど、とにかく、たくさん買ったり、不思議なものを買ったりするんだよな。
この間の『みかん』も、あんなにたくさん買い込んだりするし、前も『熟した柿』を買い込んだりしていたことがあったなあ。理由を聞いても、好きだからというだけなんだから、よくわからない。
今日は、家族3人で、朝から商店街へ買い物に出かけることにした。特に、何を買うという目的はないので、いろいろなお店を見て回るのが目的のような感じだ。
「さあ、はじめはどこから行きましょうか? なんか、ドキドキするわね」
なぜか、お母さんだけが浮かれているような気がする。幸い12月の中旬とはいえ、天候に恵まれ今日は暖かい日でよかった。晴れているので、雪道でも安心して歩ける。
家から商店街までは、そんなに時間はかからない。手袋、帽子、防寒のオーバーを着て、長靴を履いて3人で雪道を20分ほど歩いた。
この辺も前は畑ばかりだったけど、今では住宅が多くなった。お父さんが心配していたように、畑が少なくなってきたっていうのは、このことなのかなあと考えてもみた。ただ、住宅の奥の方にはたくさんの畑が見えるし、虹空町全体では畑が減っているという話は、あの町長選挙の後、聞かなくなった。
きっとあの黒岩町長さんが、頑張っているんだろうと思う。
「あそこ……あの店が開いているわ!」
「どこ? みょんちゃん」
「あれは、豆腐屋さんだね。豆腐屋さんは、朝が早いお店だからね」
「そうね、ダイちゃん、豆腐ってどんな材料で作るか知ってる?」
「え? 材料? えっとね……豆腐は、……大豆だったかな……」
「そうね、ここの豆腐屋さんは、虹空町のおいしい大豆とおいしい湧き水を使っているの。だからおいしい豆腐が作れるのよ」
「そうか、ここは、虹空町の大豆を使っているのか……」
「おじさん……、いつもの油揚げ、くださいな」
「お、みょんちゃん、いらっしゃい、今日は、早いね」
「え? みょんちゃん、豆腐じゃないの? 油揚げなの?」
「何驚いているのダイちゃん。……知ってる? 油揚げって、豆腐で作るのよ! おいしい油揚げは、おいしい豆腐屋さんで売ってるの!」
「さすが、みよちゃん、買い物上手だね」
豆腐屋のおじさんが褒めてたんだ。
「次行くわよ、次はここね!」
「わあ、いいに香りだね~。これは、味噌のお店だね、みょんちゃん」
「そうよ、ここは、お味噌屋さんよ。おじさん、大根の粕味噌漬けちょうだい」
「あ、みょんちゃん、そろそろかなと思ってたよ、無くなる頃だもんな。待ってたよ、はい、これ」
「え? 味噌を買うんじゃないの?」
「うん、ここの味噌はとってもおいしいの、だから、味噌は1年分買ってあるの。でも、味噌がおいしいから、その味噌で漬けた漬物はもっとおいしいのよ。しかも、虹空町で採れた野菜を漬けてあるからなおさらでしょ」
「みょんちゃんは、漬物の味にもうるさいんだもんね! さすがだよ」
お味噌屋さんのおじさんも褒めてくれた。
お母さんは、不思議なものを買ってばかりだと思ってたのに、美味しいものをちゃんと分かって買っていたんだ。
「さあ、次は、ここよ」
「え! ここの香りは、ひょっとして、お醤油屋さん?」
「あ、正解」
「待って、みょんちゃん。なんか、全部、大豆でできる商品ばっかりじゃないの?」
「あれ? 分っちゃった?」
「ぼくも何か変だなあとは思ったんだけど、ひょっとしてこの後は……」
「そう……『納豆屋さん』とか『枝豆屋さん』とか『豆乳屋さん』とか……」
「おいおい、虹ヶ丘商店街には、確かにたくさんのお店があるけど、そんなに専門のお店があるのかい?」
「ええ、あるのよ。虹ヶ丘商店街は、今、とてもたくさんのお店があるの。実は、いろいろな種類のものを作らないと売れなくなったのよ。昨日、一太君が言っていたように、たくさん作っても買う人がいないので、品物が余ってしまうの。だから、いろんな種類のものを作っているの」
「そうか、品物が余ったら、お店が潰れてしまうんだ」
「そうなの。それで、いろいろな工夫をしているっていう訳なの。他の品物を売っているお店も似たようなことをしているわ。今、虹ヶ丘商店街は、多種多様なお店でいっぱいになっているの」
「そうか、これが昨日、笑太のお父さんが言っていた『遠くに品物を売れない』ということなんだ」
「ダイちゃん、わかった? もし、どこへでも売れるようになったら、品物は余る心配がないから、たくさん作れるわ。これが、作物だったらどう? ダイコンやジャガイモだったらどう?」
「うん、いっぱい作っても心配ないと思う」
「いいや、待ってくれ。ダイコンやジャガイモなら、どこでも作ってるぞ! いっぱい作ったからと言って、売れるか?」
お父さんは、心配そうに言った。するとお母さんが、自慢げに言ったんだ。
「さっきの豆腐の話を思い出して。普通の豆腐なら、買わないけど、おいしい豆腐なら、また買いたいと思うのよ。ダイコンだって、特別なダイコンなら、特別なおいしいダイコンなら、きっとまた買いたいと思うはずなの!」
その話をしている時、1人の男の人が、みんなの前に現れ、話に割り込んで来た。
「そう、その特別なダイコンを作らなければなりません。ダイコンだけじゃなくて、ジャガイモも、カボチャも、虹空町特製のものです。これが、農業を基本に据えて、この町を守るために考えた大切な方針です」
黒岩町長だった。あの選挙の時より、少し、しっかりした感じに見えた。体格はそんなに変わらなかったが、表情がはっきりし、優しい笑顔は、ますます優しく見えるように感じたんだ。
「あ、すみません。あの時は。……僕も一太さんから、相談を受けたんです。とにかく、虹空町の野菜は、素晴らしいです。皆さんが、開拓の時から、品種改良して育ててきたジャガイモの話は知っています。同じようなことをいろいろな作物で行い、美味しく、そしてもっといろんな料理や生活に生かせるように価値付けして、何とか多くの人に買ってもらえるようにしたいと考えています。…………そのためには……」
その時、ちょうど笑太のお父さんもやって来た。
「やあ、みんな、そろっていたんだね。建造さん、みょんちゃん、ダイちゃん、商店街は見ることができたかな?」
「はい、何件か回りました。朝早くから開いているお店もあって驚きました」
「朝じゃないと、だめな商売もあるんだ」
「それに、1つの材料から、違う商品を作っていることもわかりました」
「あはは……それは、まあ、苦肉の策なんだけどな……」
「で、どうだい? たくさんの人に品物を買ってもらう方法、何かいい方法あるかな?」
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