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第8章 町の発展とみょんちゃん母さん〔大樹の視点〕
74 第8章第11話 夢の結実
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ぼくは、たぶん……夢のような飛行場計画……だけで終わるかもしれないと思っていたんだ。
ところが、冬休みが終わりに近づくにつれ、どんどんと飛行場計画案が寄せられてきた。虹空町全部の小学生、中学生、高校生、大学生、中には学校へ入る前の小さな子供までが、飛行場の絵を描いて送ってくれた。
ぼく達もいろいろ考えたが、勝るとも劣らないものがたくさんあったんだ。
いくつか紹介しておこう。
飛行場のまわりを『ひまわり畑』にするというものがあった。もちろん、収穫してひまわり油を採取できるが、飛行機が着陸する時、一面ひまわりの花の中に舞い降りるのは、とても気持ちがいいと感じるだろうというものだ。
次に、飛行場の中に商店街を作ろうというものがあった。そうすると、飛行場としてだけでなく、商店街としても活用できるだろうといのだ。
他には、他の町から物を買ったり、他の町へ物を売ったりするのだから、飛行場の中に、市場を作った方がいいのだろうというものだ。これは、今ある虹空町の市場と同じように使うのではなく、町の外へ物を売る時はここを使うという風に分けて考えるといいそうだ。
ぼく達も考えたんだ。和美がいいことを思いついた。
「私ね、一度、遊園地って行ってみたいの。だから、思い切って遊園地を飛行場にくっつけると、お客さんもいっぱい来るんじゃないかと思うの」
すると、笑太が何かひらめいた。
「じゃあさ、空港に旅館も作っちゃえば! 温泉付きの。そしたら、遊園地で遊んで、すぐそのまま泊まれるよ」
そして、最後にとても大事なことに気づかされる考えが寄せられた。それは、空港の場所だった。
『飛行機は、うるさい』
どんなに、改良しても、飛行機はたぶんうるさいと思う。だから、虹空町の真ん中に作るわけにはいかないというのだ。まったくその通りだ。気づかなかった!
そこで、少し、山側の家の無いところを選ぶことにした。だから、町からは離れている。
物を運ぶにも遠いというのだ。
だったら、空港と町とを結ぶ鉄道を引けばいいと考えたのだ。ところが、この鉄道は、普通の鉄道だったら、石炭を燃やして走っているものだから時間もかかるし、石炭もかかる。これじゃ、速い飛行機を飛ばしても何にもならない。
そこで考えたのが、虹空町の『電気』である。磁石と電気を使った鉄道を引こうというのである。電磁誘導鉄道である。
これは、小学校でもこの間、実験して知っているが、鉄道に応用しようというのだ。この考えをくれたのは、虹ヶ丘学園の大学生だった。
自分で実験しながら模型も作ったというのだ。磁石を使っているので、なめらかで、揺れが少ない。しかもスピードが出る。太陽光発電の電気を使うので、お金もかからない。荷物を運ぶのにはちょうどいい。
そんなことが、事細かにレポート用紙100枚以上に書かれていた。とても精密に虹空町の地形まで調べ上げ、どこに線路を引いたらいいかまで、地図が描かれていた。これらをまとめて、虹空町飛行場計画は、町長や光のお父さん達に、一旦預けることにしたんだ。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「いいじゃないですか、この計画でいきましょう」
「本気ですか? 町長」
「本気ですよ、上杉さん。それに、みなさんもよく考えてください。この空港をこれから使うのは誰ですか?」
「そりゃあ、長い目で見たら……あの子供達ですよ……でも」
「そうです。自分が使うものは、自分で作った方がいいのです。自分で苦労して考えた方が、必ず将来自分事として生きてくるのです」
「上杉さん、桜山さん、あなた達が、あの学校を作った時も……思い出してください」
「今は、あの時よりも大人が、ちょっとは力をもっています。あの子達の願いを叶えるだけの力を少しだけ貸してあげませんか?」
「わかりました。大人は、大人で仲間を集めますか。みんなに声をかけてきます………」
「はい、お願いします。私も、私にしかできないことを頑張ります……」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
それから2年が過ぎ、ぼくは小学6年生になった。
ぼく達が描いた、あの虹空町飛行場が完成したのだ。
町から少し離れた静かな山に近い郊外に、大きな遊園地と併設した、温泉旅館や商店街や食堂、おみやげ店がたくさん入ったきれいな空港だった。一角には野菜や果物の市場があり、いつも人でにぎわっていた。
町から空港へは、電磁誘導鉄道が、30分おきに無人運転されている。空港までは、ほんの5分で到着する。歩いて行くと2時間はかかる距離だ。
飛行機もお腹に大きな買い物カゴがついた形に見える。このカゴは、完全密封式で空圧も自動調整されているので、果物を積んでも潰れたり破裂したりしない。
人が乗る専用の飛行機もあり、遊園地目当てで観光に訪れる人も増えた。空港と遊園地、宿泊地が一緒なので、虹空町の畑が減ったりすることがなく、農家は安心して野菜を作ることができる。おかげで、虹ヶ丘の特産品も増えた。
飛行機のエンジンも大部分が太陽光発電を利用した電気なので、経済的で静かなものになった。上空では、電気を利用したプロペラエンジンなので、無限に飛ぶことができる。
また、ガソリンを利用した力の強いエンジンも搭載しているので、離陸の時やいざというときは、安心だ。
珍しい野菜は、外国へも売っているので、ガソリンは外国からも買うことができている。
とにかく、あの時は、どんな形にせよ、虹ヶ丘の子供達みんなが空港作りに関わった。だから、みんな自分のこととして考えることができているんだ。
ところで、ぼくは、今、お母さんと空港に来ているんだ。
「ダイちゃん、来たわよ。来たわよ。いただきましょう」
空港の食堂で、お母さんはいつものようにはしゃいでいる。お父さんは仕事なので、今日はぼくが付き添いのような感じになっている。
「はいはい。本当に、毎週だもんな……」
「いいじゃないの! せっかく空港ができたんだから、ホントに美味しいのよ、チョコレートバナナサンデー」
「あー、このために、何か壮大な事をしたような気がするんだけど、……」
「うふー、……無くなっちゃった……おかわりしようかしら?」
(つづく)
ところが、冬休みが終わりに近づくにつれ、どんどんと飛行場計画案が寄せられてきた。虹空町全部の小学生、中学生、高校生、大学生、中には学校へ入る前の小さな子供までが、飛行場の絵を描いて送ってくれた。
ぼく達もいろいろ考えたが、勝るとも劣らないものがたくさんあったんだ。
いくつか紹介しておこう。
飛行場のまわりを『ひまわり畑』にするというものがあった。もちろん、収穫してひまわり油を採取できるが、飛行機が着陸する時、一面ひまわりの花の中に舞い降りるのは、とても気持ちがいいと感じるだろうというものだ。
次に、飛行場の中に商店街を作ろうというものがあった。そうすると、飛行場としてだけでなく、商店街としても活用できるだろうといのだ。
他には、他の町から物を買ったり、他の町へ物を売ったりするのだから、飛行場の中に、市場を作った方がいいのだろうというものだ。これは、今ある虹空町の市場と同じように使うのではなく、町の外へ物を売る時はここを使うという風に分けて考えるといいそうだ。
ぼく達も考えたんだ。和美がいいことを思いついた。
「私ね、一度、遊園地って行ってみたいの。だから、思い切って遊園地を飛行場にくっつけると、お客さんもいっぱい来るんじゃないかと思うの」
すると、笑太が何かひらめいた。
「じゃあさ、空港に旅館も作っちゃえば! 温泉付きの。そしたら、遊園地で遊んで、すぐそのまま泊まれるよ」
そして、最後にとても大事なことに気づかされる考えが寄せられた。それは、空港の場所だった。
『飛行機は、うるさい』
どんなに、改良しても、飛行機はたぶんうるさいと思う。だから、虹空町の真ん中に作るわけにはいかないというのだ。まったくその通りだ。気づかなかった!
そこで、少し、山側の家の無いところを選ぶことにした。だから、町からは離れている。
物を運ぶにも遠いというのだ。
だったら、空港と町とを結ぶ鉄道を引けばいいと考えたのだ。ところが、この鉄道は、普通の鉄道だったら、石炭を燃やして走っているものだから時間もかかるし、石炭もかかる。これじゃ、速い飛行機を飛ばしても何にもならない。
そこで考えたのが、虹空町の『電気』である。磁石と電気を使った鉄道を引こうというのである。電磁誘導鉄道である。
これは、小学校でもこの間、実験して知っているが、鉄道に応用しようというのだ。この考えをくれたのは、虹ヶ丘学園の大学生だった。
自分で実験しながら模型も作ったというのだ。磁石を使っているので、なめらかで、揺れが少ない。しかもスピードが出る。太陽光発電の電気を使うので、お金もかからない。荷物を運ぶのにはちょうどいい。
そんなことが、事細かにレポート用紙100枚以上に書かれていた。とても精密に虹空町の地形まで調べ上げ、どこに線路を引いたらいいかまで、地図が描かれていた。これらをまとめて、虹空町飛行場計画は、町長や光のお父さん達に、一旦預けることにしたんだ。
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「いいじゃないですか、この計画でいきましょう」
「本気ですか? 町長」
「本気ですよ、上杉さん。それに、みなさんもよく考えてください。この空港をこれから使うのは誰ですか?」
「そりゃあ、長い目で見たら……あの子供達ですよ……でも」
「そうです。自分が使うものは、自分で作った方がいいのです。自分で苦労して考えた方が、必ず将来自分事として生きてくるのです」
「上杉さん、桜山さん、あなた達が、あの学校を作った時も……思い出してください」
「今は、あの時よりも大人が、ちょっとは力をもっています。あの子達の願いを叶えるだけの力を少しだけ貸してあげませんか?」
「わかりました。大人は、大人で仲間を集めますか。みんなに声をかけてきます………」
「はい、お願いします。私も、私にしかできないことを頑張ります……」
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それから2年が過ぎ、ぼくは小学6年生になった。
ぼく達が描いた、あの虹空町飛行場が完成したのだ。
町から少し離れた静かな山に近い郊外に、大きな遊園地と併設した、温泉旅館や商店街や食堂、おみやげ店がたくさん入ったきれいな空港だった。一角には野菜や果物の市場があり、いつも人でにぎわっていた。
町から空港へは、電磁誘導鉄道が、30分おきに無人運転されている。空港までは、ほんの5分で到着する。歩いて行くと2時間はかかる距離だ。
飛行機もお腹に大きな買い物カゴがついた形に見える。このカゴは、完全密封式で空圧も自動調整されているので、果物を積んでも潰れたり破裂したりしない。
人が乗る専用の飛行機もあり、遊園地目当てで観光に訪れる人も増えた。空港と遊園地、宿泊地が一緒なので、虹空町の畑が減ったりすることがなく、農家は安心して野菜を作ることができる。おかげで、虹ヶ丘の特産品も増えた。
飛行機のエンジンも大部分が太陽光発電を利用した電気なので、経済的で静かなものになった。上空では、電気を利用したプロペラエンジンなので、無限に飛ぶことができる。
また、ガソリンを利用した力の強いエンジンも搭載しているので、離陸の時やいざというときは、安心だ。
珍しい野菜は、外国へも売っているので、ガソリンは外国からも買うことができている。
とにかく、あの時は、どんな形にせよ、虹ヶ丘の子供達みんなが空港作りに関わった。だから、みんな自分のこととして考えることができているんだ。
ところで、ぼくは、今、お母さんと空港に来ているんだ。
「ダイちゃん、来たわよ。来たわよ。いただきましょう」
空港の食堂で、お母さんはいつものようにはしゃいでいる。お父さんは仕事なので、今日はぼくが付き添いのような感じになっている。
「はいはい。本当に、毎週だもんな……」
「いいじゃないの! せっかく空港ができたんだから、ホントに美味しいのよ、チョコレートバナナサンデー」
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