みょんちゃんが奏でる虹色のメロディー ~皆で紡ぐ、楽しい学校と素敵な町並み~

根 九里尾

文字の大きさ
74 / 98
第8章 町の発展とみょんちゃん母さん〔大樹の視点〕

74 第8章第11話 夢の結実

しおりを挟む
 ぼくは、たぶん……夢のような飛行場計画……だけで終わるかもしれないと思っていたんだ。

 ところが、冬休みが終わりに近づくにつれ、どんどんと飛行場計画案が寄せられてきた。虹空町全部の小学生、中学生、高校生、大学生、中には学校へ入る前の小さな子供までが、飛行場の絵を描いて送ってくれた。
 ぼく達もいろいろ考えたが、勝るとも劣らないものがたくさんあったんだ。

 いくつか紹介しておこう。
 
 飛行場のまわりを『ひまわり畑』にするというものがあった。もちろん、収穫してひまわり油を採取できるが、飛行機が着陸する時、一面ひまわりの花の中に舞い降りるのは、とても気持ちがいいと感じるだろうというものだ。
 
 次に、飛行場の中に商店街を作ろうというものがあった。そうすると、飛行場としてだけでなく、商店街としても活用できるだろうといのだ。
 
 他には、他の町から物を買ったり、他の町へ物を売ったりするのだから、飛行場の中に、市場を作った方がいいのだろうというものだ。これは、今ある虹空町の市場と同じように使うのではなく、町の外へ物を売る時はここを使うという風に分けて考えるといいそうだ。
 


 ぼく達も考えたんだ。和美かずみがいいことを思いついた。

「私ね、一度、遊園地って行ってみたいの。だから、思い切って遊園地を飛行場にくっつけると、お客さんもいっぱい来るんじゃないかと思うの」

 すると、笑太が何かひらめいた。

「じゃあさ、空港に旅館も作っちゃえば! 温泉付きの。そしたら、遊園地で遊んで、すぐそのまま泊まれるよ」

 そして、最後にとても大事なことに気づかされる考えが寄せられた。それは、空港の場所だった。




『飛行機は、うるさい』




 どんなに、改良しても、飛行機はたぶんうるさいと思う。だから、虹空町の真ん中に作るわけにはいかないというのだ。まったくその通りだ。気づかなかった!
 
 そこで、少し、山側の家の無いところを選ぶことにした。だから、町からは離れている。

 物を運ぶにも遠いというのだ。
 
 だったら、空港と町とを結ぶ鉄道を引けばいいと考えたのだ。ところが、この鉄道は、普通の鉄道だったら、石炭を燃やして走っているものだから時間もかかるし、石炭もかかる。これじゃ、速い飛行機を飛ばしても何にもならない。

 そこで考えたのが、虹空町の『電気』である。磁石と電気を使った鉄道を引こうというのである。電磁誘導鉄道でんじゆうどうてつどうである。
 これは、小学校でもこの間、実験して知っているが、鉄道に応用しようというのだ。この考えをくれたのは、虹ヶ丘学園の大学生だった。

 自分で実験しながら模型も作ったというのだ。磁石を使っているので、なめらかで、揺れが少ない。しかもスピードが出る。太陽光発電の電気を使うので、お金もかからない。荷物を運ぶのにはちょうどいい。

 そんなことが、事細かにレポート用紙100枚以上に書かれていた。とても精密に虹空町の地形まで調べ上げ、どこに線路を引いたらいいかまで、地図が描かれていた。これらをまとめて、虹空町飛行場計画は、町長や光のお父さん達に、一旦預けることにしたんだ。



 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

「いいじゃないですか、この計画でいきましょう」
「本気ですか? 町長」
「本気ですよ、上杉さん。それに、みなさんもよく考えてください。この空港をこれから使うのは誰ですか?」

「そりゃあ、長い目で見たら……あの子供達ですよ……でも」

「そうです。自分が使うものは、自分で作った方がいいのです。自分で苦労して考えた方が、必ず将来自分事として生きてくるのです」

「上杉さん、桜山さん、あなた達が、あの学校を作った時も……思い出してください」

「今は、あの時よりも大人が、ちょっとは力をもっています。あの子達の願いを叶えるだけの力を少しだけ貸してあげませんか?」

「わかりました。大人は、大人で仲間を集めますか。みんなに声をかけてきます………」
「はい、お願いします。私も、私にしかできないことを頑張ります……」








 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 それから2年が過ぎ、ぼくは小学6年生になった。

 ぼく達が描いた、あの虹空町飛行場が完成したのだ。




 町から少し離れた静かな山に近い郊外に、大きな遊園地と併設した、温泉旅館や商店街や食堂、おみやげ店がたくさん入ったきれいな空港だった。一角には野菜や果物の市場があり、いつも人でにぎわっていた。

 町から空港へは、電磁誘導鉄道が、30分おきに無人運転されている。空港までは、ほんの5分で到着する。歩いて行くと2時間はかかる距離だ。

 飛行機もお腹に大きな買い物カゴがついた形に見える。このカゴは、完全密封式で空圧も自動調整されているので、果物を積んでも潰れたり破裂したりしない。

 人が乗る専用の飛行機もあり、遊園地目当てで観光に訪れる人も増えた。空港と遊園地、宿泊地が一緒なので、虹空町の畑が減ったりすることがなく、農家は安心して野菜を作ることができる。おかげで、虹ヶ丘の特産品も増えた。
 
 飛行機のエンジンも大部分が太陽光発電を利用した電気なので、経済的で静かなものになった。上空では、電気を利用したプロペラエンジンなので、無限に飛ぶことができる。
 また、ガソリンを利用した力の強いエンジンも搭載しているので、離陸の時やいざというときは、安心だ。
 
 珍しい野菜は、外国へも売っているので、ガソリンは外国からも買うことができている。

 とにかく、あの時は、どんな形にせよ、虹ヶ丘の子供達みんなが空港作りに関わった。だから、みんな自分のこととして考えることができているんだ。
 




 ところで、ぼくは、今、お母さんと空港に来ているんだ。

「ダイちゃん、来たわよ。来たわよ。いただきましょう」

 空港の食堂で、お母さんはいつものようにはしゃいでいる。お父さんは仕事なので、今日はぼくが付き添いのような感じになっている。

「はいはい。本当に、毎週だもんな……」

「いいじゃないの! せっかく空港ができたんだから、ホントに美味しいのよ、チョコレートバナナサンデー」

「あー、このために、何か壮大な事をしたような気がするんだけど、……」

「うふー、……無くなっちゃった……おかわりしようかしら?」



(つづく)
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

エリクサーは不老不死の薬ではありません。~完成したエリクサーのせいで追放されましたが、隣国で色々助けてたら聖人に……ただの草使いですよ~

シロ鼬
ファンタジー
エリクサー……それは生命あるものすべてを癒し、治す薬――そう、それだけだ。 主人公、リッツはスキル『草』と持ち前の知識でついにエリクサーを完成させるが、なぜか王様に偽物と判断されてしまう。 追放され行く当てもなくなったリッツは、とりあえず大好きな草を集めていると怪我をした神獣の子に出会う。 さらには倒れた少女と出会い、疫病が発生したという隣国へ向かった。 疫病? これ飲めば治りますよ? これは自前の薬とエリクサーを使い、聖人と呼ばれてしまった男の物語。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

アルフレッドは平穏に過ごしたい 〜追放されたけど謎のスキル【合成】で生き抜く〜

芍薬甘草湯
ファンタジー
アルフレッドは貴族の令息であったが天から与えられたスキルと家風の違いで追放される。平民となり冒険者となったが、生活するために竜騎士隊でアルバイトをすることに。 ふとした事でスキルが発動。  使えないスキルではない事に気付いたアルフレッドは様々なものを合成しながら密かに活躍していく。 ⭐︎注意⭐︎ 女性が多く出てくるため、ハーレム要素がほんの少しあります。特に苦手な方はご遠慮ください。

大和型戦艦、異世界に転移する。

焼飯学生
ファンタジー
第二次世界大戦が起きなかった世界。大日本帝国は仮想敵国を定め、軍事力を中心に強化を行っていた。ある日、大日本帝国海軍は、大和型戦艦四隻による大規模な演習と言う名目で、太平洋沖合にて、演習を行うことに決定。大和、武蔵、信濃、紀伊の四隻は、横須賀海軍基地で補給したのち出港。しかし、移動の途中で濃霧が発生し、レーダーやソナーが使えなくなり、更に信濃と紀伊とは通信が途絶してしまう。孤立した大和と武蔵は濃霧を突き進み、太平洋にはないはずの、未知の島に辿り着いた。 ※ この作品は私が書きたいと思い、書き進めている作品です。文章がおかしかったり、不明瞭な点、あるいは不快な思いをさせてしまう可能性がございます。できる限りそのような事態が起こらないよう気をつけていますが、何卒ご了承賜りますよう、お願い申し上げます。

大学生活を謳歌しようとしたら、女神の勝手で異世界に転送させられたので、復讐したいと思います

町島航太
ファンタジー
2022年2月20日。日本に住む善良な青年である泉幸助は大学合格と同時期に末期癌だという事が判明し、短い人生に幕を下ろした。死後、愛の女神アモーラに見初められた幸助は魔族と人間が争っている魔法の世界へと転生させられる事になる。命令が嫌いな幸助は使命そっちのけで魔法の世界を生きていたが、ひょんな事から自分の死因である末期癌はアモーラによるものであり、魔族討伐はアモーラの私情だという事が判明。自ら手を下すのは面倒だからという理由で夢のキャンパスライフを失った幸助はアモーラへの復讐を誓うのだった。

アガルタ・クライシス ―接点―

来栖とむ
SF
神話や物語で語られる異世界は、空想上の世界ではなかった。 九州で発見され盗難された古代の石板には、異世界につながる何かが記されていた。 同時に発見された古い指輪に偶然触れた瞬間、平凡な高校生・結衣は不思議な力に目覚める。 不審な動きをする他国の艦船と怪しい組織。そんな中、異世界からの来訪者が現れる。政府の秘密組織も行動を開始する。 古代から権力者たちによって秘密にされてきた異世界との関係。地球とアガルタ、二つの世界を巻き込む陰謀の渦中で、古代の謎が解き明かされていく。

異世界転移からふざけた事情により転生へ。日本の常識は意外と非常識。

久遠 れんり
ファンタジー
普段の、何気ない日常。 事故は、予想外に起こる。 そして、異世界転移? 転生も。 気がつけば、見たことのない森。 「おーい」 と呼べば、「グギャ」とゴブリンが答える。 その時どう行動するのか。 また、その先は……。 初期は、サバイバル。 その後人里発見と、自身の立ち位置。生活基盤を確保。 有名になって、王都へ。 日本人の常識で突き進む。 そんな感じで、進みます。 ただ主人公は、ちょっと凝り性で、行きすぎる感じの日本人。そんな傾向が少しある。 異世界側では、少し非常識かもしれない。 面白がってつけた能力、超振動が意外と無敵だったりする。

処理中です...