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第8章 町の発展とみょんちゃん母さん〔大樹の視点〕
81 第8章第18話 健康診断
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「いらっしゃい、みょんちゃん」
岡崎医院で出迎えてくれたのは、院長先生の岡崎芯也さんで、和美のお父さんだった。昔は、『理屈っぽくて硬くて』と、お母さんがよく言っているが、いつもにこやかに接してくれるやさしいおじさんに見える。
「もー、芯ちゃん、何とか検診の間隔をあけることができないのかなあ? あと、もうちょっと短い時間で終わるとうれしいなあーー」
「まあー、そんなこと言わないで、今日は終わったら、とびっきりの『おやつ』を食べさせてあげるからね!」
「え! 本当なの? じゃあ、がんばるね!!」
本当に、こんな我儘お母さんに文句の一つも言わないで、笑顔で優しくしている岡崎先生が『堅物』なんて、ぼくには信じられないと思った。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「今日は、大樹君が付き添いなのね」
岡崎先生の後ろから、和美も笑顔で出迎えてくれた。
「和美ちゃん、待っている間、この間約束した始君の勉強をみてあげられるけど、待合室に来れるかな?」
「大丈夫だと思うわ? ねえ、私も行っていいかしら?」
「もちろん、いいよ」
「じゃあ、今、始に知らせてくるわ……」
日曜日だから、他の患者さんがいなくて病院は静かだ。でも、岡崎医院は、普段の日でもそんなに患者さんは多くはない。どちらかと言えば、少ないような気がする。
「それじゃあ、みょんちゃん、検診をはじめるから診察室へどうぞ」
「ダイちゃんは、ここで終わるの待っててね」
「うん、和美ちゃん達と勉強でもしてるよ……」
「今、うちのが、おやつでも持ってくると思うから、しばらく待っててね」
とにかく、岡崎先生は、ぼくにも優しかった。
お母さんと岡崎先生が診察室へ入って行ったと同時に、和美と弟の始が待合室にやって来た。
「ところで、大樹君って誕生日はいつ?」
「ん?……もうすぐだけど……9月28日だよ」
「そっか、やっぱりそうなんだ……」
「え? 何が?」
「うちのお父さんが、今日言ってたの。『あれから13年かあ』って……。たぶん、大樹君って、うちの病院で生まれたんでしょ。そして、その時に、お父さんが、とっても頑張ったのよ、きっと」
「お姉ちゃん?…………何をがんばったの?」
「んー、わからないわ……。だから、私もお医者さんになるの! お医者さんになれば、きっと何をすればいいかわかると思うの。だから大樹君、勉強教えてね!」
「そうか、和美ちゃんも今年小学校を卒業するんだね」
「姉ちゃん、ぼくも……がんばるから! ダイキセンパイよろしくお願いします」
そこへ、和美達のお母さんが、おやつとジュースを持って待合室に入って来た。
「あら? もう始めてるの? えらいわね。これでも食べながら楽しくやったらいいわよ。これは、みょんちゃんに出す『とびっきりのオヤツ』じゃないから遠慮しないで、食べてね」
和美のお母さんも、優しくしてくれる。おやつを置きながら、ニコッと笑って頭を撫でてくれた。
「……いつも……ありがとうございます……」
何だか照れてしまい、お礼が言えたかどうか心配になっちゃった。
「あら、中学生の男の子にしては、丁寧に何言ってるの。こっちこそ、あなたのお母さんには、とってもお世話になっているのよ」
益々、恥ずかしくなる。
「え? だって、うちのお母さんなんて、いつも自分のやりたい事ばかり言って、それに毎月こんなに丁寧に健康診断してもらっているのに……」
「それはね、みんなが、あの時のことを忘れられないからなのよ……」
「あの時のこと?」
「そう、大樹君が生まれた時、あんなにみんが、あなたとお母さんを助けようと頑張っていたの。そしてね、その時にみんなが頑張っただけじゃないのよ。みんなが頑張れたのは、それまでにあなたのお母さんが、どれだけみんなのために頑張ってきたかということを誰もが理解していたのよね……」
「……そうなんですか……」
「それにね、この病院も、この設備も、みんなお母さん達が用意してくれたみたいなものなのよ……」
この虹ヶ丘に学校を最初に作ったのは、お母さんだという話は知っていたが、病院も作ったというのは初めて聞いたんだ。まあ、お母さんだけではできないと思うけど、普段は何もしていないように見えるから、本当に驚くことが多いんだ。
「でもね、あんまりそんなことを言うと、みょんちゃんは返って気にしてしまうから、知らないふりしてるのよね。あなた達も、お願いね。じゃあ、私も検診を手伝ってくるから、ここでゆっくり待っててね……」
和美達のお母さんも、やっぱりお医者さんで、普段はこの病院で働いている。お母さんの健康診断は、いつも2人で診てくれるんだ。悪いところがあるわけじゃないけど、やっぱり心配なんだと思う。
(つづく)
岡崎医院で出迎えてくれたのは、院長先生の岡崎芯也さんで、和美のお父さんだった。昔は、『理屈っぽくて硬くて』と、お母さんがよく言っているが、いつもにこやかに接してくれるやさしいおじさんに見える。
「もー、芯ちゃん、何とか検診の間隔をあけることができないのかなあ? あと、もうちょっと短い時間で終わるとうれしいなあーー」
「まあー、そんなこと言わないで、今日は終わったら、とびっきりの『おやつ』を食べさせてあげるからね!」
「え! 本当なの? じゃあ、がんばるね!!」
本当に、こんな我儘お母さんに文句の一つも言わないで、笑顔で優しくしている岡崎先生が『堅物』なんて、ぼくには信じられないと思った。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「今日は、大樹君が付き添いなのね」
岡崎先生の後ろから、和美も笑顔で出迎えてくれた。
「和美ちゃん、待っている間、この間約束した始君の勉強をみてあげられるけど、待合室に来れるかな?」
「大丈夫だと思うわ? ねえ、私も行っていいかしら?」
「もちろん、いいよ」
「じゃあ、今、始に知らせてくるわ……」
日曜日だから、他の患者さんがいなくて病院は静かだ。でも、岡崎医院は、普段の日でもそんなに患者さんは多くはない。どちらかと言えば、少ないような気がする。
「それじゃあ、みょんちゃん、検診をはじめるから診察室へどうぞ」
「ダイちゃんは、ここで終わるの待っててね」
「うん、和美ちゃん達と勉強でもしてるよ……」
「今、うちのが、おやつでも持ってくると思うから、しばらく待っててね」
とにかく、岡崎先生は、ぼくにも優しかった。
お母さんと岡崎先生が診察室へ入って行ったと同時に、和美と弟の始が待合室にやって来た。
「ところで、大樹君って誕生日はいつ?」
「ん?……もうすぐだけど……9月28日だよ」
「そっか、やっぱりそうなんだ……」
「え? 何が?」
「うちのお父さんが、今日言ってたの。『あれから13年かあ』って……。たぶん、大樹君って、うちの病院で生まれたんでしょ。そして、その時に、お父さんが、とっても頑張ったのよ、きっと」
「お姉ちゃん?…………何をがんばったの?」
「んー、わからないわ……。だから、私もお医者さんになるの! お医者さんになれば、きっと何をすればいいかわかると思うの。だから大樹君、勉強教えてね!」
「そうか、和美ちゃんも今年小学校を卒業するんだね」
「姉ちゃん、ぼくも……がんばるから! ダイキセンパイよろしくお願いします」
そこへ、和美達のお母さんが、おやつとジュースを持って待合室に入って来た。
「あら? もう始めてるの? えらいわね。これでも食べながら楽しくやったらいいわよ。これは、みょんちゃんに出す『とびっきりのオヤツ』じゃないから遠慮しないで、食べてね」
和美のお母さんも、優しくしてくれる。おやつを置きながら、ニコッと笑って頭を撫でてくれた。
「……いつも……ありがとうございます……」
何だか照れてしまい、お礼が言えたかどうか心配になっちゃった。
「あら、中学生の男の子にしては、丁寧に何言ってるの。こっちこそ、あなたのお母さんには、とってもお世話になっているのよ」
益々、恥ずかしくなる。
「え? だって、うちのお母さんなんて、いつも自分のやりたい事ばかり言って、それに毎月こんなに丁寧に健康診断してもらっているのに……」
「それはね、みんなが、あの時のことを忘れられないからなのよ……」
「あの時のこと?」
「そう、大樹君が生まれた時、あんなにみんが、あなたとお母さんを助けようと頑張っていたの。そしてね、その時にみんなが頑張っただけじゃないのよ。みんなが頑張れたのは、それまでにあなたのお母さんが、どれだけみんなのために頑張ってきたかということを誰もが理解していたのよね……」
「……そうなんですか……」
「それにね、この病院も、この設備も、みんなお母さん達が用意してくれたみたいなものなのよ……」
この虹ヶ丘に学校を最初に作ったのは、お母さんだという話は知っていたが、病院も作ったというのは初めて聞いたんだ。まあ、お母さんだけではできないと思うけど、普段は何もしていないように見えるから、本当に驚くことが多いんだ。
「でもね、あんまりそんなことを言うと、みょんちゃんは返って気にしてしまうから、知らないふりしてるのよね。あなた達も、お願いね。じゃあ、私も検診を手伝ってくるから、ここでゆっくり待っててね……」
和美達のお母さんも、やっぱりお医者さんで、普段はこの病院で働いている。お母さんの健康診断は、いつも2人で診てくれるんだ。悪いところがあるわけじゃないけど、やっぱり心配なんだと思う。
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