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第8章 町の発展とみょんちゃん母さん〔大樹の視点〕
82 第8章第19話 魔法のことば
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お昼前には、健康診断が終わり、3人とも診察室から戻ってきた。
「やれやれ、ようやく終わりましたよ、お待たせしましたね、くたびれたでしょダイちゃん。では、芯ちゃん、約束通り『とびっきりのおやつ』をご馳走していただきましょうか?」
「はいはい、わかりましたよ」
「もちろん、私だけじゃなくて、ダイちゃんや、和美ちゃん、始ちゃん、幸子さんに芯ちゃんの分もあって、みんなで楽しく食べることができるんでしょうね?」
「わかってますよ。みょんちゃんは、絶対にそう言うと思って、全員分用意してますから!さあ、今回は『特製、バナナメロンプリンのサクランボ付き』ですよ!」
「なんと、甘―い果物づくしですね、さすが優しい芯也様ですなー」
なぜか、お母さんの機嫌がものすごく良くなり、満面の笑顔になった。つられて、その場にいる人みんなが笑顔になっていくのを感じた。
「じゃあ、場所をうちの茶の間にしましょうよ」
岡崎先生の奥さんの幸子さんが、みんなを先導して、母屋の方へ向かった。病院の待合室の廊下を少し歩いて奥へ行くと、和美達が普段生活している部屋がある方へ行く。そんなに大きなつくりの家ではないけど、病院と母屋は分かれていて、茶の間は母屋の方にあるんだ。
ぼくは、時々遊びに来るからよく知ってる。
家族が椅子に座ってご飯が食べられるように少し大きな長方形の食卓が置かれ、真ん中には花が飾られた花瓶が置かれていた。10畳間ぐらいの部屋の一面は縁側になっていて、大きな窓があり、開ければそのまま外へ出ることができた。
外には、菜園が広がっていて、見たことのない植物が何種類も育てられていた。
「あら、その花が珍しい? それね、ハーブっていう花で、とってもいい香りがするのよ。他にも、薬草って言われる植物がいろいろあるの」
ぼくが、菜園の花を眺めていると、和美が庭の植物を指さして説明してくれた。
「ハーブってね、お薬にも使えるんですって。私、今度、ハーブの研究もしたいなって思っているの。絶対、病気のお手当の役に立つと思うのよね……」
そんなことを言う和美は、笑顔で生き生きしているように見えた。
「はい、どーぞ、みなさん、お座りくださいな」
和美のお母さんが、『バナナメロンプリンのサクランボ付き』を運んで来た。真っ先に、お母さんが席に着き、笑顔で「いただきま~す!」と、満足そうに食べ始めた。見ている方も、なんとなく幸せな気持ちになってしまった。
・・・・・・・・・・・・・・・・
「ところで、今日の健康状態も万全でしたよ。心臓の状態も良かったです。この調子で生活してくださいね」
「芯ちゃん、いつもありがとうね。でも、本当に薬も何も飲まなくていいの?」
「もちろん、みょんちゃんの体に必要なのは、薬じゃないからね。みょんちゃんが、元気に過ごすためには、『好きな事をすること』『好きな物を食べること』『好きなところへ行くこと』そして『たくさんの人に会うこと』なんだ。そうすれば、いつまでも元気でいられるよ」
「うん、わかってるわ。だから、みんなにも協力してもらっての、ねえ、ダイちゃん!」
ぼくは、お母さんがなぜいつまでもこんなに若く元気なのか分かったような気がした。きっと岡崎先生は、心臓の手術をした時、お母さんに魔法をかけたんだ。それまで、自分のことより他の人のために頑張ってきたお母さんを知っていたから、今度は少しでも自分を大切にしてほしくて『こんな魔法の言葉』を『薬』にしたに違いないと思った。
たぶん、この魔法は、毎月の健康診断のお陰で効果が保たれているのかもしれないと、ぼくは思った。
無邪気に笑いっているお母さんだけど、きっとそのことはわかっているのかもしれない。自分が元気でいることで、今度はぼく達が幸せだということが…………きっと、その時に感じたんだと思うから。
(つづく)
「やれやれ、ようやく終わりましたよ、お待たせしましたね、くたびれたでしょダイちゃん。では、芯ちゃん、約束通り『とびっきりのおやつ』をご馳走していただきましょうか?」
「はいはい、わかりましたよ」
「もちろん、私だけじゃなくて、ダイちゃんや、和美ちゃん、始ちゃん、幸子さんに芯ちゃんの分もあって、みんなで楽しく食べることができるんでしょうね?」
「わかってますよ。みょんちゃんは、絶対にそう言うと思って、全員分用意してますから!さあ、今回は『特製、バナナメロンプリンのサクランボ付き』ですよ!」
「なんと、甘―い果物づくしですね、さすが優しい芯也様ですなー」
なぜか、お母さんの機嫌がものすごく良くなり、満面の笑顔になった。つられて、その場にいる人みんなが笑顔になっていくのを感じた。
「じゃあ、場所をうちの茶の間にしましょうよ」
岡崎先生の奥さんの幸子さんが、みんなを先導して、母屋の方へ向かった。病院の待合室の廊下を少し歩いて奥へ行くと、和美達が普段生活している部屋がある方へ行く。そんなに大きなつくりの家ではないけど、病院と母屋は分かれていて、茶の間は母屋の方にあるんだ。
ぼくは、時々遊びに来るからよく知ってる。
家族が椅子に座ってご飯が食べられるように少し大きな長方形の食卓が置かれ、真ん中には花が飾られた花瓶が置かれていた。10畳間ぐらいの部屋の一面は縁側になっていて、大きな窓があり、開ければそのまま外へ出ることができた。
外には、菜園が広がっていて、見たことのない植物が何種類も育てられていた。
「あら、その花が珍しい? それね、ハーブっていう花で、とってもいい香りがするのよ。他にも、薬草って言われる植物がいろいろあるの」
ぼくが、菜園の花を眺めていると、和美が庭の植物を指さして説明してくれた。
「ハーブってね、お薬にも使えるんですって。私、今度、ハーブの研究もしたいなって思っているの。絶対、病気のお手当の役に立つと思うのよね……」
そんなことを言う和美は、笑顔で生き生きしているように見えた。
「はい、どーぞ、みなさん、お座りくださいな」
和美のお母さんが、『バナナメロンプリンのサクランボ付き』を運んで来た。真っ先に、お母さんが席に着き、笑顔で「いただきま~す!」と、満足そうに食べ始めた。見ている方も、なんとなく幸せな気持ちになってしまった。
・・・・・・・・・・・・・・・・
「ところで、今日の健康状態も万全でしたよ。心臓の状態も良かったです。この調子で生活してくださいね」
「芯ちゃん、いつもありがとうね。でも、本当に薬も何も飲まなくていいの?」
「もちろん、みょんちゃんの体に必要なのは、薬じゃないからね。みょんちゃんが、元気に過ごすためには、『好きな事をすること』『好きな物を食べること』『好きなところへ行くこと』そして『たくさんの人に会うこと』なんだ。そうすれば、いつまでも元気でいられるよ」
「うん、わかってるわ。だから、みんなにも協力してもらっての、ねえ、ダイちゃん!」
ぼくは、お母さんがなぜいつまでもこんなに若く元気なのか分かったような気がした。きっと岡崎先生は、心臓の手術をした時、お母さんに魔法をかけたんだ。それまで、自分のことより他の人のために頑張ってきたお母さんを知っていたから、今度は少しでも自分を大切にしてほしくて『こんな魔法の言葉』を『薬』にしたに違いないと思った。
たぶん、この魔法は、毎月の健康診断のお陰で効果が保たれているのかもしれないと、ぼくは思った。
無邪気に笑いっているお母さんだけど、きっとそのことはわかっているのかもしれない。自分が元気でいることで、今度はぼく達が幸せだということが…………きっと、その時に感じたんだと思うから。
(つづく)
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