みょんちゃんが奏でる虹色のメロディー ~皆で紡ぐ、楽しい学校と素敵な町並み~

根 九里尾

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第8章 町の発展とみょんちゃん母さん〔大樹の視点〕

84 第8章第21話 私の進む道

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 1時間余りの講義が終わると、岡崎おかざき先生は、ぼく達を学生に紹介してくれた。そして、簡単な自己紹介の後、ぼく達から質問する時間を作ってくれたんだ。
 
 和美かずみ笑太しょうたは、学生が医者を目指す動機や勉強の仕方、勉強で苦労すること、大学で楽しいことなどを質問していた。
 動機は様々あったが、みんなお医者さんに憧れて、患者さんを助けたいと思っていることが分かった。
 ただ、勉強は難しいらしい。それでも、あきらめないで頑張っていると話してくれた。



 そんな話を聞きながら、ぼくは、ちょっと違うことが知りたくなったんだ。

「あのー、みなさんは、岡崎先生にいろいろ教えてもらっているんですよね。岡崎先生は、大学の先生ではなくて、病院の先生なんですけど、どうして病院の先生が、患者を直すこと以外に人に教えることをしていると思いますか?」

 学生の1人が、すぐに手を挙げて、答えてくれた。

「僕は、岡崎医院に子供の頃から通っていました。とってもよくしてもらいました。はじめは、患者さんもたくさん来ていたんです。病院ですから、繁盛していたというのは、おかしいんですけど……そうなんです」

 その学生さんは、少し遠慮しながらも、はっきりと話してくれた。

「ある時、先生は言ってました。『これじゃ、ダメだ』って。たぶん、時間が足りないんです。患者さん1人にかける時間が足りないんです。そこで、先生は仲間のお医者さんを増やすことにしたそうです。そして、患者さんを他のお医者さんと分け合うことにしたんだそうです。
 そうすると、1人の患者さんとゆっくり話もできるし、治療もできる。病気の研究もできるという訳です。でも、そう簡単にお医者さんは増えませんでした」

 学生さんは、ちらっと岡崎先生の方を向いて様子を確かめていた。先生の方は、ただ笑顔で頷いていただけだったんだ。

「そこで、先生は自分の時間の半分をお医者さんの育成に使うようにしたそうです。そうすれば、いつかきっと、この虹空町にお医者さんがいっぱい増えるだろうと考えたんです。ぼくも、その考えに共感しました。だから、ここで学ぶ事にしたんです。」



 別の学生も話してくれた。

「私も同じです。虹ヶ丘大学は、医学の勉強をしようと思えば、町のお医者さんが手伝ってくれます。また、他の大学へも勉強に行かせてくれます。東京だって、勉強に行っていいんです。もちろん、お医者さんになった時、どこでお医者さんになって勤めても構いません。とっても勉強のしやすい町なのです。もし、他の町でお医者さんになったとしても、いつかは虹空町のために役に立とうと、私は考えています」


 他の学生もみんな、頷いていた。



「私も……お医者さんの勉強がしたいの……」

 その時、和美が声を上げた。

「お父さんが、お医者さんだからという訳ではなく、……私は……『人がどうして病気になるのか』……を知りたいの。……そして、その病気を1つでも多く治せるようになりたいの。薬も調べたい。……人間自身の直す力も知りたいの。そんなお医者さんになりたい」

 すると、学生の1人が、「そんなお医者さんがいてもいいんじゃないかな。病気で苦しむ人が1人でも少なくなれば、きっと世の中がよくなると思うよ」と、優しく言ってくれた。

 そして、お母さんも、「そうね、そんなふうに思っている子供のことは、絶対にみんなが助けてくれると思うの。いいえ、この虹空の町は、今まで助けてきたのよ。あなたのお父さんのようにね……」と、岡崎先生を見つめながら言った。


「……助けられましたね……本当に。……私は、この虹ヶ丘で育てられたからこそ、医者になれたんだ。だから、何としても医者になりたかったんだ」

「何言ってるの?……お陰で私も、ここにこうしていられるんでしょ!」

 そうか、お母さんは自分だけが特別じゃないことをみんなに知ってほしかったんだ。この虹空町に住む人達が安心して暮らせることが、大切なんだってことを。

 お母さんの願いは、虹ヶ丘の町を発展させることでも、町民を裕福にさせることでもなかったんだ。ただ、そこで健やかに暮らすことが幸せだったんだ。

 お母さんにとって幸せとは、お金でも買えないし、物でも満たされることがないということを開拓に入った時からわかっていたんだから……。


 ぼくは、もう1度お母さんの顔を見た。いつも穏やかで優しい顔をしている。どんな時もみんなを信用して任せていたんだ。ただお母さんは、それを見守り、みんながこの虹空の町で幸せに暮らせることだけを願い、考えてきた。

 お母さんが作りあげた『虹ヶ丘小学校』は、そんな想いを受け止め、実現させられる多くの人達を育てたんだ。

 でも…………実際にそうだったとしても、きっと『みょんちゃん』は、こう言うだろう!

「私だって、いつもみんなに支えられ、育てられてきたのよ! 素敵でしょ、この虹ヶ丘は……ね!」










 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

「へえー、ぼく達が通っている虹小にじしょうって、そんな学校だったんだー」
「そうさなあー、太郎たろう君にしてみれば、もうこの虹空の町も立派になった頃じゃろから、町の発展なんてそんなに実感はないと思うが……けっこうな道のりじゃったんじゃ」

「そんな中で、みよのおばあちゃんって、いっぱい頑張って来たのね」
「ありがとうよ、しーちゃん。わしはな、しーちゃんのおじいさんに助けれたみたいなもんじゃ。あの時、死んでもオカシクなかったんだからな。……だから、あれからわしは、恩返しのつもりで生きてきたんじゃ」


「何、いってんのみよのおばあちゃん、うちの叔母さんなんか東京でお医者さんしてるけど、今でも『みょんちゃんにお世話になった』って言ってるのよ。わたし、その時、『みょんちゃん』がみよのおばあちゃんだなんて知らなかったんだもん。今回、おばあちゃんのお話を聞いてびっくりしちゃった!」

「そうかい、和美ちゃんがね~……だって、和美ちゃん、頑張り屋だったからね~懐かしいね」

「ねえ、わたし達も呼んでいい?」
「うん、ぼくも呼びたい! いいでしょ?」

「もちろん、いいさね~」


「「 これからも、一緒に遊んでね、みょんちゃん! 」」



(第8章 完 ・ 物語はつづく)

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