みょんちゃんが奏でる虹色のメロディー ~皆で紡ぐ、楽しい学校と素敵な町並み~

根 九里尾

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第5章 再開を信じて〔太郎の視点〕

27 第5章第1話 新しい出会い

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 ====主な登場人物====
 ◆上杉うえすぎ 三成実みなみ 23歳 女 (上杉電器商会)ミー(姉)ちゃん
 ◆岡崎おかざき 志津奈しずな 5年3組 女 (岡崎医院)しーちゃん
 ◆中村なかむら 太郎たろう 5年3組 男 (八百屋)
 ◆みよおばあちゃん ?歳 女
 ==============

 ぼくは、中村太郎なかむら たろう虹ヶ丘にじがおか小学校5年3組、自分で言うのもナンだけど、元気だけは十分にあるんだ。なんってたって、ぼくのうちは、町内でも老舗の八百屋なんだ。野菜だけじゃなくて、美味しい果物だって売ってるんだ。
 もちろん、ぼくは野菜も果物も大好きさ! だからこんなに元気だと思うんだよね。でも、今はちょっと元気を持て余してるんだ。

 だって冬休みで、学校はお休みなんだもんね。

 そう、あの冒険から、4ヶ月の時間が流れたんだ。あの後は、特に変わったことも起きなかった。あの三角軸さんかくじくの鉛筆も光らなかったんだ。

 特に学校からの宿題も無いし、ぼくは毎日なんとなく過ごしている。そう、ぼくが通っている虹ヶ丘小学校は、宿題が出ないんだ。その代わり、普段から自分の調べたい内容や気になることは自由に勉強していいことになってる。
 もちろん、自分が決めた勉強内容で困ったことがあったら、どの先生にでも自由に相談していいんだ。
 だから、ぼくとしーちゃんは、夏休みに三角軸の鉛筆について自由研究を始めた時、担任の北野きたの先生に相談したんだ。結局、北野先生は最後まで付き合ってくれて、不思議な冒険もして、ぼく達の虹ヶ丘小学校の成り立ちについて知ることが出来た。

 調べた内容は、ちょっと不思議な事も多かったので発表を控えた部分は多かったけど、北野先生だけじゃなく校長先生も褒めてくれた。嬉しかったなあ。
 素敵な学校を作りたいと考えた美代乃みよのさんのことも分かったので、ぼくはこの虹ヶ丘小学校に通えていることも嬉しくなったんだ。






「……君? ねえ、太郎君?」
「へ?……あ、ああ、しーちゃん、何?」

「何? じゃないわよ。何、ボーっとしてんの? あ、また美代乃さんの事、考えてたんでしょ?」
「そ、そんな事ないよ……」
「あー、なんか怪しいなあ~……まあ、それより太郎君、ここ間違ってるよ……早く直してよね、まったくもー」

「あ、ごめん、ごめん……しーちゃん、よく見つけるよね~」
 

 今、ぼくはしーちゃんと一緒に自由研究をまとめているんだ。決して自由研究のまとめをしーちゃんに任せっきりしている訳じゃないよ。ぼくだって、がんばっているんだ。……けど、ちょっと飽きて……いや、疲れて集中力が無くなってきただけなんだ。

 ぼくは、走り回るのは得意なんだけど、じっと座っているのは苦手なんだよね。座ってるだけだと、どうしても元気が余っちゃって……。



「しっかりしてよね。今度こそ、ちゃんと自由研究まとめて、みんなに発表するんだからね」
「わかってるよ……」


 ぼく達の夏休みに行った自由研究は、完成したけれどあまりに不思議な部分が多くて、発表したのはほんの一部分だけだったんだ。
 そこで、今回の冬休みは、みんなに発表できる自由研究にしようと、しーちゃんが言い出したんだ。しーちゃんは、リベンジに燃えてるんだ。





「大丈夫なのかい、君達? えーっと、ところで、どうして君達は、私の家で、勉強してるかな?」
「あー、気にしなくていいです。ミー姉ちゃん」
「そうそう、これは、勉強ではなくて、自由研究をまとめているだけだからね~」


 そう、ぼくとしーちゃんは、夏休みと同じように、また上杉電器商会の三成実さんのところでやってるんだ。


「んんー、そういうことじゃなくて、ここは、上杉電器商会という所で、塾ではないのですよ。そういうことは、中村太郎君の家か、岡崎志津奈おかざき しずなさんの家でやればいいんじゃないでしょうか?」

 お盆にジュースとお菓子を載せてもってきたミー姉ちゃんは、ちょっと意地悪風なセリフを言ったが、目は笑っているんだ。
 ミー姉ちゃんは、しーちゃんの幼馴染で、年齢は離れていたが、姉妹のようにしているんだ。そこで、ぼくも弟のふりをしてお世話になってるんだ。

 しーちゃんは、ミー姉ちゃんのセリフに合わせるように、おどけて
「だあって、うちは病院で患者さんが来るし、太郎君の家も八百屋さんで忙しいのよ。それに、ここならミーちゃんがいるから、おやつも出るし、とっても嬉しいの!」

「まったくもー、はい、はい、そのおやつですよ! あははは………」
 と、お互いに大笑になった。

 年は10歳以上離れているが、とても仲良しだ。

 そして、なによりミー姉ちゃんは、ぼく達と夏休みに不思議な時間旅行をした仲間だったんだ。もう、ぼく達のなかではミー姉ちゃんも仲間なんだ。もちろん、ミー姉ちゃんもそう思ってくれてるはず。だって、いつ来ても楽しく迎えてくれるんだもんね。
 
 今は、この3人で楽しく冬休みの自由研究作りをしている。

 上杉電器商会は、入り口が広くて外がよく見える。玄関も広くて、そこに大きなテーブルもあるから、自由研究の模造紙を広げるには、もってこいだ。すべてしーちゃんのアイディアなんだ。
 ミー姉ちゃんは、店番をしながら、ぼく達の自由研究を時々覗いてくれる。と、言っても、見てるだけでほとんど何にもしない。わからないことを聞けば答えてくれるが、それも調べ方を教えてくれることが多い。

 だから、ぼく達には、ありがたいんだ。放っておかれることが、ありがたいんだよね。 場所を貸してくれることと、見てくれているという安心感で、満足なんだもん。



 ミー姉ちゃんが、不意に立ちあがり外の方を見つめた。

「どうしたの?」
「んー、何か探しているみたい」と、言って玄関の外へ行ってしまった。

 ぼくは、外を注意深く見たが、何も見つけられなかった。

「誰か、いるんだわ」
 しーちゃんが、ぼくに教えてくれた。
「ミーちゃんは、すぐに他の人のことが気になるのよね、放っておけない人なのよ……」




 すぐに、ミー姉ちゃんは、1人のおばあちゃんを連れて、店に戻って来た。

「どうしたの?」
 しーちゃんが、心配そうに聞くと、
「手袋を無くしたんだって、このおばあちゃん。それで、自分が歩いたところをずーっと探して歩いていたらしいの」

「そっか、それで右手だけ手袋をつけてないのね」
「え?」
 ぼくは、しーちゃんの言葉を聞いて初めて気が付いた。おばちゃんの左手は手袋をつけているのに、右手は何もつけていなかったんだ。


 冬だから、外はとても寒いんだ。昼間とはいえ、手袋なしではとてもつらいだろうに。だから、ミー姉ちゃんはすぐに店につれてきたんだ……。しーちゃんもミー姉ちゃんも、よく気が付くなあ~。


「手が冷たかったでしょう? おばちゃん。あ、お名前、何て言うんですか?」

「……はい?……すみません。わしか??……みよ・のー…??……いいます・のー……??…」



(つづく)
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