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第5章 再開を信じて〔太郎の視点〕
28 第5章第2話 名探偵しーちゃん
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しーちゃんは、おばあちゃんの手袋をつけていない方の手を両手で握った。
「……冷たかったでしょー……みよおばあちゃん、これあたたかいお茶です。少し持っていると、手も温まりますよ」
そっと湯呑を渡して、暖をとることを勧めるしーちゃんは、羨ましいくらい優しくしてあげていたんだ。
おばあちゃんは、身長17cmぐらい。腰は真っすぐの延び、髪の毛はきれいに結っていた。目がぱっちりしていて、なんてかわいいんだろうと思った。上下のジーンズ姿なんて、おばあちゃんにしては、おしゃれだなあ。でも、首や手の感じじゃ、けっこう歳はとっているような気がするが、女の人の歳はぼくには分からないや。
ぼくは、そんなことを考えながら、おばあちゃんとしーちゃんの会話を聞いていた。
そして、最近ぼくはよく思ってしまうことがあるんだ。特に、あの時間旅行の後、感じることが多くなったような気がする。
『しーちゃんって、優しいよなー』
初めて会ったおばあちゃんにも、こんなに親切にして……、誰かも分からないのに……。時々は、ぼくにも優しいことを言ってくれるけど、うっかりしてるとすぐ怒るんだもんな。
「どの辺で、手袋を無くしたか、分かりますか?」
しーちゃんが、おばあちゃんに質問をしている声で、またボーとしていたぼくは慌てて我に返った。
危ない! またしーちゃんに怒られちゃう。そうか、おばあちゃんの手袋を探すんだな。ぼくは、何か手伝えることがあるかなと考えてみたけど、何も思いつかなかった。
おばあちゃんは、少し戸惑いながらも、
「わからないんだのー。……でも、これを買ったお店に入る時はのー……、あったようなのー……、気がするのー……」
と、買い物カゴを見ながら一生懸命に思い出そうとしていた。
そこには、ジャガイモ、ニンジン、玉ねぎが入っていた。
「あと、お肉屋さんに行ってのー……、買い物をするだのー……」
「あー、今晩は、カレーライスなんですね」
「おー、よく分かったのー……。その通りだのー……」
「しーちゃんすごい!」
ぼくは、しーちゃんの閃きの凄さにびっくりして拍手していた。
ちょっとだけ、難しい顔をしたかと思ったら、すぐにしーちゃんが、
「太郎君、今、携帯電話を持ってる?」
と、ぼくに聞いてきた。
「え? う、うん。携帯電話なら、お母さんに持たされてるよ。はい、これ!」
「ありがとう。これで、お母さんとお話が出来るわね。ちょっと貸してね」
ぼくは、しーちゃんが何をするつもりなのかも分からず、ただ言われるがままに携帯電話を貸したんだ。
『もしもし…………。はい。お願いします。…… あ!……ありがとうございます。それじゃあ、今、行きますから』
しーちゃんは、八百屋であるぼくのお母さんと何やら話をした後、笑顔になってこちらに向き直った。
「……みよおばあちゃん、手袋があったわよ!」
「おー、なんとのー……、見つかったのかのー……」
「しーちゃんすごい!!」
またも、ぼくはびっくりして、手放しで喜んで拍手をしていたんだ。
そしたら、急にしーちゃんがぼくの方を向いて、
「太郎君、何やってんのよ? 早くお母さんの所へ行って、手袋もらって来て! ほら、急いで!」
と、急かし始めた。たぶん何かの解決策なんだと思うけど、ぼくには全く説明なしで、澄ました顔で次の指示を始めたんだ。
「へ?」
「いいから、早く!」
ぼくは、何が何だか分からないまま、ただしーちゃんに言われた通りに自分のうちの八百屋に向かって走った。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
ぼくは、息を切らして、ミー姉ちゃんの上杉電器商会に戻った。たぶん、急いでお母さんから品物を受け取っただけで、説明も何も聞かなかったので、あんまり時間は経っていないと思う。
「………は、はい、これ!」
ぼくは、お母さんから渡された片方の手袋を差し出した。
しーちゃんが受け取って、みよおばちゃんに尋ねたんだ。
「この手袋で、間違いないですか?」
「あーこれこれだのー……。間違いないだのー……」
無事おばあちゃんの手袋は、本人のもとに戻った。
「やっぱり、しーちゃんはすごいよー!」
ぼくは、何だか自分のことのように嬉しかった。
すると、ミー姉ちゃんも、「太郎もそう思うだろう!」と、自慢そうに笑っていた。
「ねえ、しーちゃん、どうしてわっかんだい? あたしに教えてよ。種明かしをしてくれよー」
ミー姉ちゃんが、しーちゃんの頭を撫でながら嬉しそうに尋ねたんだ。ぼくだって、訳が分からないからしーちゃんの説明が聞きたかった。
するとしーちゃんは、少しもったいぶって、ゆっくりと話し始めたんだ。
「んー、そうね~。……ミーちゃんにそう言われちゃあ、仕方ないわね。今から説明するから、最後まで聞いてね! ……秘密は、カゴの中よ」
しーちゃんは、おばちゃんのカゴを指差して笑顔で続けたんだ。
「中身を見たらね、八百屋さんでの買い物だったのよ。しかも新鮮で、おいしそうなものばかりだったの。みよおばあちゃんの足で行けるのは、この近所だから……。うん、すぐに分かったわ」
今度は、しーちゃん、ぼくを指差してきたんだ。
「……だから、あんな美味しそうな野菜を売ってる八百屋さんは、太郎君の家しかないのよ。きっとお金を払うとき、右手だけ手袋を脱いだのね。その時、手袋をポケットに入れたつもりで落としたんだわ」
うっわー、そこ迄考えたんだ。あの短時間に、やっぱりしーちゃんは凄いなあ~。
「たぶん親切な太郎君のお母さんなら、手袋を拾ったら、きっと大切に預かってくれてるはずなの……ね、太郎君!」
「そーか! それで、電話して確かめたんだね!!」
最後にしーちゃんは、ぼくの方を見て、ニコッと微笑んでくれたんだ。お母さん、ありがとう!
「あんたのー……、すごいのー……。まるで、探偵さんみたいじゃのー……」
「いやーよ、みよおばあちゃんたらー。あはははー…………」
1つの事件をきっかけに、楽しい笑いに包まれた上杉電器商会だった。これが、この可愛らしいおばあちゃんとの初めての出会いだと……ぼくは思っていたんだ。
(つづく)
「……冷たかったでしょー……みよおばあちゃん、これあたたかいお茶です。少し持っていると、手も温まりますよ」
そっと湯呑を渡して、暖をとることを勧めるしーちゃんは、羨ましいくらい優しくしてあげていたんだ。
おばあちゃんは、身長17cmぐらい。腰は真っすぐの延び、髪の毛はきれいに結っていた。目がぱっちりしていて、なんてかわいいんだろうと思った。上下のジーンズ姿なんて、おばあちゃんにしては、おしゃれだなあ。でも、首や手の感じじゃ、けっこう歳はとっているような気がするが、女の人の歳はぼくには分からないや。
ぼくは、そんなことを考えながら、おばあちゃんとしーちゃんの会話を聞いていた。
そして、最近ぼくはよく思ってしまうことがあるんだ。特に、あの時間旅行の後、感じることが多くなったような気がする。
『しーちゃんって、優しいよなー』
初めて会ったおばあちゃんにも、こんなに親切にして……、誰かも分からないのに……。時々は、ぼくにも優しいことを言ってくれるけど、うっかりしてるとすぐ怒るんだもんな。
「どの辺で、手袋を無くしたか、分かりますか?」
しーちゃんが、おばあちゃんに質問をしている声で、またボーとしていたぼくは慌てて我に返った。
危ない! またしーちゃんに怒られちゃう。そうか、おばあちゃんの手袋を探すんだな。ぼくは、何か手伝えることがあるかなと考えてみたけど、何も思いつかなかった。
おばあちゃんは、少し戸惑いながらも、
「わからないんだのー。……でも、これを買ったお店に入る時はのー……、あったようなのー……、気がするのー……」
と、買い物カゴを見ながら一生懸命に思い出そうとしていた。
そこには、ジャガイモ、ニンジン、玉ねぎが入っていた。
「あと、お肉屋さんに行ってのー……、買い物をするだのー……」
「あー、今晩は、カレーライスなんですね」
「おー、よく分かったのー……。その通りだのー……」
「しーちゃんすごい!」
ぼくは、しーちゃんの閃きの凄さにびっくりして拍手していた。
ちょっとだけ、難しい顔をしたかと思ったら、すぐにしーちゃんが、
「太郎君、今、携帯電話を持ってる?」
と、ぼくに聞いてきた。
「え? う、うん。携帯電話なら、お母さんに持たされてるよ。はい、これ!」
「ありがとう。これで、お母さんとお話が出来るわね。ちょっと貸してね」
ぼくは、しーちゃんが何をするつもりなのかも分からず、ただ言われるがままに携帯電話を貸したんだ。
『もしもし…………。はい。お願いします。…… あ!……ありがとうございます。それじゃあ、今、行きますから』
しーちゃんは、八百屋であるぼくのお母さんと何やら話をした後、笑顔になってこちらに向き直った。
「……みよおばあちゃん、手袋があったわよ!」
「おー、なんとのー……、見つかったのかのー……」
「しーちゃんすごい!!」
またも、ぼくはびっくりして、手放しで喜んで拍手をしていたんだ。
そしたら、急にしーちゃんがぼくの方を向いて、
「太郎君、何やってんのよ? 早くお母さんの所へ行って、手袋もらって来て! ほら、急いで!」
と、急かし始めた。たぶん何かの解決策なんだと思うけど、ぼくには全く説明なしで、澄ました顔で次の指示を始めたんだ。
「へ?」
「いいから、早く!」
ぼくは、何が何だか分からないまま、ただしーちゃんに言われた通りに自分のうちの八百屋に向かって走った。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
ぼくは、息を切らして、ミー姉ちゃんの上杉電器商会に戻った。たぶん、急いでお母さんから品物を受け取っただけで、説明も何も聞かなかったので、あんまり時間は経っていないと思う。
「………は、はい、これ!」
ぼくは、お母さんから渡された片方の手袋を差し出した。
しーちゃんが受け取って、みよおばちゃんに尋ねたんだ。
「この手袋で、間違いないですか?」
「あーこれこれだのー……。間違いないだのー……」
無事おばあちゃんの手袋は、本人のもとに戻った。
「やっぱり、しーちゃんはすごいよー!」
ぼくは、何だか自分のことのように嬉しかった。
すると、ミー姉ちゃんも、「太郎もそう思うだろう!」と、自慢そうに笑っていた。
「ねえ、しーちゃん、どうしてわっかんだい? あたしに教えてよ。種明かしをしてくれよー」
ミー姉ちゃんが、しーちゃんの頭を撫でながら嬉しそうに尋ねたんだ。ぼくだって、訳が分からないからしーちゃんの説明が聞きたかった。
するとしーちゃんは、少しもったいぶって、ゆっくりと話し始めたんだ。
「んー、そうね~。……ミーちゃんにそう言われちゃあ、仕方ないわね。今から説明するから、最後まで聞いてね! ……秘密は、カゴの中よ」
しーちゃんは、おばちゃんのカゴを指差して笑顔で続けたんだ。
「中身を見たらね、八百屋さんでの買い物だったのよ。しかも新鮮で、おいしそうなものばかりだったの。みよおばあちゃんの足で行けるのは、この近所だから……。うん、すぐに分かったわ」
今度は、しーちゃん、ぼくを指差してきたんだ。
「……だから、あんな美味しそうな野菜を売ってる八百屋さんは、太郎君の家しかないのよ。きっとお金を払うとき、右手だけ手袋を脱いだのね。その時、手袋をポケットに入れたつもりで落としたんだわ」
うっわー、そこ迄考えたんだ。あの短時間に、やっぱりしーちゃんは凄いなあ~。
「たぶん親切な太郎君のお母さんなら、手袋を拾ったら、きっと大切に預かってくれてるはずなの……ね、太郎君!」
「そーか! それで、電話して確かめたんだね!!」
最後にしーちゃんは、ぼくの方を見て、ニコッと微笑んでくれたんだ。お母さん、ありがとう!
「あんたのー……、すごいのー……。まるで、探偵さんみたいじゃのー……」
「いやーよ、みよおばあちゃんたらー。あはははー…………」
1つの事件をきっかけに、楽しい笑いに包まれた上杉電器商会だった。これが、この可愛らしいおばあちゃんとの初めての出会いだと……ぼくは思っていたんだ。
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