みょんちゃんが奏でる虹色のメロディー ~皆で紡ぐ、楽しい学校と素敵な町並み~

根 九里尾

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第7章 虹ヶ丘小学校とみょんちゃん先生の幸せ〔あーちゃんの視点・他〕 

55 第7章第7話 幸せすぎて

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 ======主な登場人物======
 ・桜山さくらやま 美代乃みよの【みょんちゃん・みよ】……虹小校長 女29歳
 ・桜山さくらやま 建造けんぞう【けんちゃん】……建築 男29歳
 ・美代乃の父親……虹ヶ丘の元村長
 ・上杉うえすぎ 万作まんさく……電器屋(発明家) 男28歳
 ・岡崎おかざき 芯也しんや……医者 男28歳
 ・中村なかむら 一太いちた……八百屋 男27歳
 ・北野きたの 大空おおぞら……教師 男27歳
 ・多田野ただの ひとし……教師 男27歳
 ・本田ほんだ 彩子あやこ……大きな町の中学校へ 女15歳
 ==================

 〔美代乃の視点〕



 あれからもう数か月も経ったのね。

 私にとっては、信じられないくらい夢のような出来事だったわ。学校の図書室で、10年ぶりに再会したあの人達は、また自分に力をくれたような気がするの。本当に嬉しかった。だから、また夢中で頑張れているの。
 
 気が付けば、もう冬休みなのね。ここ北の大地は、一面雪に覆われてしまったわ。しばらくは閉ざされた国になってしまうのよね。



「けんちゃん、また夕べ雪が降ったみたいなの。今朝は、止んでるけどまた積もったら嫌だから、玄関前の雪、ハネてほしいんだけどなあ~」
「ああ、いいとも。仕事に行く前にやっておくよ……雪ハネは、物置だっかな?」

 虹ヶ丘には、冬になると雪が降るの。この辺に降る雪は、とっても軽いのよ。春になって段々暖かくなると雪も湿って重くなるんだけど、冬のうちは降った雪を跳ね飛ばすような感じで退かしていくの。竹で編んだ大きなシャベルみたいなものを使うのよ。

 けんちゃんはね……あ、私の旦那様ね……、今ね、町の図書館を建てているの。一晩で10センチ以上積もることもある雪なんだけど、そんな中でも頑張っているんだから。

 朝食を済ませて、これから出かけるところだったけど、けんちゃんはすぐに引き受けてくれたわ。以前なら、このくらいの除雪は、私が自分で平気でやっていたんだけど、どうも最近、すぐに疲れて息があがっちゃうのよね。
 
 けんちゃんは、そのことをよく知っていて、体を動かすことなんかは、代わりにすぐにやってくれるの。優しいのよね。


「本当に、ごめんなさい。朝の忙しい時に」
「何言っての、みよの体が1番だから、気にするなって」

「ありがとうね……」

「ところで、もうすぐお正月だろう? 家の大掃除とかは、あんまり無理してしなくていいからね。松飾は、帰ってきたら、僕がつけるから」
「うん、わかったわ」

「じゃ、玄関のところ、雪ハネしたら出かけるからね……」
「お願いします。行ってらっしゃい……」


 私は、学校が冬休みなので、家の片づけをすることにした。さっきは、けんちゃんにあんまり大掃除なんかしなくていいと言われたけど、やっぱり少しぐらいはやっておきたいわよね。

 私は、そんなことを考えながら、家の掃除を始めたの。結婚してから、けんちゃんは家を建ててくれたの。今は、2人で住んでるの。そんなに大きな家じゃないけど、部屋が3つと台所や風呂がついているの。すべて、けんちゃんの手作りなのよ。

 けんちゃんは気を利かせて、虹ヶ丘小学校の近くに家を建ててくれたの。おかげて、学校までは歩いて10分ぐらいで通えたわ。

 この辺りは、冬になると1メートル以上雪が積もるの。今はまだ半分ぐらいかな。気温は、そんなに低くはならないけど、それでも常時マイナス10度ぐらいにはなるのよ。寒い時は、マイナス20度を超えるのよ。
 ただね、家の中はストーブを焚いているので、結構あたたかいの。薪を燃やしたり、最近は電気を使ったストーブも使ったりするのよ。この電気ストーブは上杉君が作ったもので、太陽の熱を貯めておける太陽電池というのを家に備え付けていて、そこから電気を使っているの。
 
 この太陽電池は、まだ実験の途中で、使っているのは上杉君の家とウチだけかな。

 虹ヶ丘もどんどん広くなって、虹空町になってから、ますます発展してきたように思うけど、それでも基本は農業なのよ。開拓当初からのジャガイモやダイコンに加え、たくさんの種類の畑作野菜を育てているわ。それらの野菜を売る商業も盛んになってきたし。

 それに、虹空町のまわりにはたくさんの森林があるので林業も行われているの。けんちゃんの会社が、リーダーになって、今では他にもいくつか会社が出来て、林業も盛んになってきたの。

 だんだん人口も増えつつあるわ。だから、小学校も、各地区に作られてきたの。政府の学校制度も変わり、それに合わせて、中学校や高等学校などもできつつあるのよ。


 そんな町だから、けんちゃんのお仕事も増えるのよね。家を建てたり、それに合わせて山の木を切ったり植えたりして、とても大変なお仕事なのよね。この年末ぎりぎりまで、お仕事なんて、本当に大変よね。

 ……少し、寂しいんだけど、仕方がないわよね。








 ・・・・・・・・・・・・・・

「さあ、どうぞ、いらっしゃい。……」
「……おじゃまします……」

 お正月、けんちゃんと私は、私の実家に新年の挨拶に行ったの。

「明けまして、おめでとうございます。今年もよろしくお願いいたします」
「はい、こちらこそ、よろしくお願いいたします」

「いやあ、久しぶりだね」
「村長さんも、お元気ですか?」
「おいおい、いつの話だい? 村長は、だいぶ前に辞めたじゃないか」
「あ! すみません。つい」

「まあ、今日は、ゆっくりしていきなさい。雑煮を作ったんだ、食べていきなさいね」

 私は、久しぶりに実家でおいしいお雑煮を食べたの。




「……うっ、……」
 私は急に胸のあたりがムカムカして、その場を離れて、台所で吐いちゃったの。

「あら、どうしたの?」
 あわてて、お母さんが駆け寄って来て、背中をさすってくれたの。

「……大丈夫かい?」
 けんちゃんも心配して傍に来たわ。

「うん、何ともないわよ。変ね、さっき迄何ともなかったのに?」

 するとお母さんは、私の顔を両手で押さえてから、「ちょっと、こっち見てごらんなさい」と言って、ジーッと見ながら、目の色や肌の色などを確かめていたわ。

 そして、耳元でささやいたの。

「……やっぱり……そうかもね!」



 それから、お母さんがけんちゃんに向かって小さな声で言ったの。

「建造さん! おめでとうございます」

 けんちゃんは、急にそんなことを言われ、きょとんとした顔をしていたけど、「あ!……明けまして、おめでとうございます」と言って、お母さんに笑われたの。

「そうじゃなくて……おめでとうございます!……お・め・で・た・なのよ! たぶんね!!」




「えーーーー?」




 すると、食卓にいたお父さんが、いつもは出さない大きな高い声を出して驚いたの。

「本当なのか! 母さん!」

「たぶん、間違いないわ! よかったわね。大事にしなさいよ」

 私もけんちゃんも、何が何だかわからないうちに、おめでたいことが重なってしまったみたいなの。



(つづく)
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