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第5章 ありふれた日常の変化
52 第5章第15話 泣き虫は弱虫じゃない
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「……お母さん、ただいま……今日はね、キャディーさんを助けたよ! あたしが、1人でやっつけたのよ……がん……ばった……ズズ……んだから……ズー……クッスン……」
「なー、姉ちゃんよ~……いい加減に、母ちゃんの前で泣くの止めろよなー」
「ウッサイわね! マーちゃんったら。いいじゃない、他に誰もいないんだから」
「バーロー……オレが居るじゃないかよーー」
「いいじゃん、別にあんたが居ても……」
「だってよー、横で姉ちゃんに泣かれたら……オレだって……オレだって……」
「ははああん……ズズ……マーちゃんだって……ズ……泣いてんじゃ……ズイッ……ないのーー? ねえってばー……ズズッ……」
「ウッサイってば、姉ちゃん……ズズ……もう、7年も前だぞ……ズズ……」
「母さん……まだ、7年しか経っていないんだね……あれから」
*******7年前の岡崎家*******
『……お父さん、お父さん、大変だよ! お母さんが、お母さんが……倒れちゃったよ~』
『何! 急いで救急車をお願いするから、お前達も急いで父さんの病院に来なさい……タクシーを向かわせるから……分かったか、マナミ!』
『……う、うん、分かった!』
真夏美の父親は、医者だった。名医だったために、たくさんの患者を抱え毎日忙しい日々を送っていた。
あの日も、緊急手術が入り、病院に泊まり込みだった。
真夏美が、母親の異変に気付いたのは、朝だった。いつもは、煩いくらいに起こされるのに、その日はいたって静かだったのだ。
もう少しで寝坊するくらいの時、真夏美は自分で目が覚めた。
気になって、2階の自分の部屋から下へ降りて行くと、台所で母親が倒れていた。慌てて、父親に電話して助けを求めたのだ。
******************
真夏美達が病院に着いた時は、母親は静かにベッドに寝かされていた。白い布を顔に掛けられて。
「…………おかあーーさーーんーーー………」
真夏美は、病室で思いっきり泣いた。声が枯れるほど。
それでも、彼女は弟の手をしっかりと握ったままだった。
彼女の弟は、小学校の1年生で、何が起きたかまだよく理解できていなかった。泣きじゃくる姉をただじっと見つめていたのだった。
真夏美は、今でも弟に『姉ちゃんは、よく泣くからなあ~』と、言われる。そんな時、彼女はいつもこう言い返すのだ。
「いいじゃん、別に泣いたって! ……その分、あたしは笑うことだって、たっくさんあるんだよ! ……あたしは、ただ自分に正直なだけなのよね」
真夏美は、いつも涙を流しながら、笑顔でそうやって弟に言い返していた。
(つづく)
「なー、姉ちゃんよ~……いい加減に、母ちゃんの前で泣くの止めろよなー」
「ウッサイわね! マーちゃんったら。いいじゃない、他に誰もいないんだから」
「バーロー……オレが居るじゃないかよーー」
「いいじゃん、別にあんたが居ても……」
「だってよー、横で姉ちゃんに泣かれたら……オレだって……オレだって……」
「ははああん……ズズ……マーちゃんだって……ズ……泣いてんじゃ……ズイッ……ないのーー? ねえってばー……ズズッ……」
「ウッサイってば、姉ちゃん……ズズ……もう、7年も前だぞ……ズズ……」
「母さん……まだ、7年しか経っていないんだね……あれから」
*******7年前の岡崎家*******
『……お父さん、お父さん、大変だよ! お母さんが、お母さんが……倒れちゃったよ~』
『何! 急いで救急車をお願いするから、お前達も急いで父さんの病院に来なさい……タクシーを向かわせるから……分かったか、マナミ!』
『……う、うん、分かった!』
真夏美の父親は、医者だった。名医だったために、たくさんの患者を抱え毎日忙しい日々を送っていた。
あの日も、緊急手術が入り、病院に泊まり込みだった。
真夏美が、母親の異変に気付いたのは、朝だった。いつもは、煩いくらいに起こされるのに、その日はいたって静かだったのだ。
もう少しで寝坊するくらいの時、真夏美は自分で目が覚めた。
気になって、2階の自分の部屋から下へ降りて行くと、台所で母親が倒れていた。慌てて、父親に電話して助けを求めたのだ。
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真夏美達が病院に着いた時は、母親は静かにベッドに寝かされていた。白い布を顔に掛けられて。
「…………おかあーーさーーんーーー………」
真夏美は、病室で思いっきり泣いた。声が枯れるほど。
それでも、彼女は弟の手をしっかりと握ったままだった。
彼女の弟は、小学校の1年生で、何が起きたかまだよく理解できていなかった。泣きじゃくる姉をただじっと見つめていたのだった。
真夏美は、今でも弟に『姉ちゃんは、よく泣くからなあ~』と、言われる。そんな時、彼女はいつもこう言い返すのだ。
「いいじゃん、別に泣いたって! ……その分、あたしは笑うことだって、たっくさんあるんだよ! ……あたしは、ただ自分に正直なだけなのよね」
真夏美は、いつも涙を流しながら、笑顔でそうやって弟に言い返していた。
(つづく)
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