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第5章 ありふれた日常の変化
53 第5章第16話 思い出
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真夏美は、母が亡くなった頃のことを思い出すといつも複雑な気持ちになる。もちろん、母が亡くなったのだから悲しいのは当たり前だ。
しかし、同時にとても楽しかった思い出も蘇るのだ。
*******母が亡くなった頃の岡崎家******
真夏美達の父親は、腕のいい医者で、みんなから頼りにされていた。いつ、どんな時でも病院に駆け付けるのは、当たり前だった。
父親は、家族のみんなに、よく冗談でこんなことを言っていた。
「お父さんは、正義の味方なんだぞ! だから悪い病気が現れたら、いつでも人々を助けに行くんだ! 正義の味方には、土曜も日曜も、昼も夜も無いんだ。だから、みんなにはこの防衛本部を頼んだぞ! 正義の味方が、いつでも帰還できるように、任せたからね」
と、言っていつも笑っていた。だから、家族も胸を張って、父親が頑張れるように協力を惜しまなかった。
ところが、母親が倒れた。
熱中症だった。
世界中の死亡原因の8割を占めるのが、熱中症だ。どんなに元気でも、どんなに若くても、気を緩めれば罹ってしまう。
今の地球では、致し方無いところなのだが……。
正義の味方の役割は、変わらない。いつも、助けを求める人を救いに出かけるのだ!
だから、防衛本部を守るのは、小学3年の真夏美と小学1年の真冬也だった。
「姉ちゃん、お腹空いたよ~……もうすぐ、夜になるよ! ゴハンまだ~」
「うん……今日は、お父さん帰れるかな~……なんかお菓子でも食べよっか!」
「うん、うん……ボク、チョコレートがいいなあ~」
「チョコレート?……あったかな~……昨日もチョコ食べてたわよね……もう無いかも?」
「えーえー……ヤダヨ―……お腹空いたよ~」
ピンポ~ン!……ピンポ~ン!
「あ、誰か来たわ…………はーーい! 今、出まーす!」
ガチャ、ガチャ……「どちら様ですか?」
「こんばんは! ……マナちゃん、マーちゃん、ウチ行こう! 一緒に晩ご飯食べよ!」
「あ! ミー姉ちゃん! ……え? いいの?」
玄関で見えた笑顔は、真夏実の1学年上の先輩であり、今まで家族ぐるみで楽しく付き合っていた上杉家の南中子だった。
「いいのよ、マナちゃんのお父さんにも言ってあるから、大丈夫よ! お姉ちゃんも待ってるから! ね、早く行きましょ!」
「う、うん! ありがとう! ……マーちゃん、ミーちゃんの家に行くわよ!」
「ホント! 姉ちゃん! ……やったー! ミー姉ちゃんの家だー、イヤッホー!」
「こら、マーちゃん、あんまり騒いだら、ダメよ!」
「大丈夫よ、マナちゃん! 嬉しいんだもんね、マーちゃんは! そんなに喜んでもらえて、わたしも嬉しいよ!」
「ミー姉ちゃん……ありがと!」
母親が亡くなる前から親しくしていた上杉家だったが、変わらずに声を掛けてくれることに、小学生ながらも、嬉しかったのを真夏美は、今でも覚えている。
(つづく)
しかし、同時にとても楽しかった思い出も蘇るのだ。
*******母が亡くなった頃の岡崎家******
真夏美達の父親は、腕のいい医者で、みんなから頼りにされていた。いつ、どんな時でも病院に駆け付けるのは、当たり前だった。
父親は、家族のみんなに、よく冗談でこんなことを言っていた。
「お父さんは、正義の味方なんだぞ! だから悪い病気が現れたら、いつでも人々を助けに行くんだ! 正義の味方には、土曜も日曜も、昼も夜も無いんだ。だから、みんなにはこの防衛本部を頼んだぞ! 正義の味方が、いつでも帰還できるように、任せたからね」
と、言っていつも笑っていた。だから、家族も胸を張って、父親が頑張れるように協力を惜しまなかった。
ところが、母親が倒れた。
熱中症だった。
世界中の死亡原因の8割を占めるのが、熱中症だ。どんなに元気でも、どんなに若くても、気を緩めれば罹ってしまう。
今の地球では、致し方無いところなのだが……。
正義の味方の役割は、変わらない。いつも、助けを求める人を救いに出かけるのだ!
だから、防衛本部を守るのは、小学3年の真夏美と小学1年の真冬也だった。
「姉ちゃん、お腹空いたよ~……もうすぐ、夜になるよ! ゴハンまだ~」
「うん……今日は、お父さん帰れるかな~……なんかお菓子でも食べよっか!」
「うん、うん……ボク、チョコレートがいいなあ~」
「チョコレート?……あったかな~……昨日もチョコ食べてたわよね……もう無いかも?」
「えーえー……ヤダヨ―……お腹空いたよ~」
ピンポ~ン!……ピンポ~ン!
「あ、誰か来たわ…………はーーい! 今、出まーす!」
ガチャ、ガチャ……「どちら様ですか?」
「こんばんは! ……マナちゃん、マーちゃん、ウチ行こう! 一緒に晩ご飯食べよ!」
「あ! ミー姉ちゃん! ……え? いいの?」
玄関で見えた笑顔は、真夏実の1学年上の先輩であり、今まで家族ぐるみで楽しく付き合っていた上杉家の南中子だった。
「いいのよ、マナちゃんのお父さんにも言ってあるから、大丈夫よ! お姉ちゃんも待ってるから! ね、早く行きましょ!」
「う、うん! ありがとう! ……マーちゃん、ミーちゃんの家に行くわよ!」
「ホント! 姉ちゃん! ……やったー! ミー姉ちゃんの家だー、イヤッホー!」
「こら、マーちゃん、あんまり騒いだら、ダメよ!」
「大丈夫よ、マナちゃん! 嬉しいんだもんね、マーちゃんは! そんなに喜んでもらえて、わたしも嬉しいよ!」
「ミー姉ちゃん……ありがと!」
母親が亡くなる前から親しくしていた上杉家だったが、変わらずに声を掛けてくれることに、小学生ながらも、嬉しかったのを真夏美は、今でも覚えている。
(つづく)
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