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06 ところ変われば、エルフも人材活用! 3 (確信の夜)
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「素田教頭先生、今日はまだ早いけど、もう終わりにして家に戻ってくれないかなあ~」
「え? でもまだ、午前中ですよ。年度末で、やらなきゃならないこともあるし……」
「んー、そんなことは、教務主任にでも頼んでおくからさー。何より今は、エルフィーナさんだろ? 彼女には新学期から頑張ってもらわなきゃならいからね。何せ明日は、もう4月1日だから……ね……」
そうか、もう明日が4月1日なんだ。……ま、だから、自分のやらなければならない仕事が山済みだったんだけどなぁ~。
「ああ、はい、分かりました」
校長先生の頭の中は、エルフィーナ最優先になっているんだな。とにかく軌道に乗るまでは、僕は頑張らなきゃダメみたいだ。
「頼みましたよ、エルフィーナさん」
校長先生が声を掛けた。ところが……
「我の契約者は、素田直人だ。我は、素田直人以外の命令は聞かぬ!」と、エルフィーナが言うものだから、思わず僕は校長先生と顔を見合わせて、苦笑してしまったんだ。
それでも校長先生は、少しニヤっと笑うと、「……だ、そうだ。頼んだよ……素田直人…君」と、言って、肩をポンと叩いてきた。
こりゃ、えらいことに、なったなあと内心憂鬱になってきた。
「素田教頭先生、まずは自分の帰る準備をしてきてね……。こっちはこっちで、準備をして待ってるから……」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
僕は急いで校長室から職員室へ戻り、やりかけの仕事を先生達にお願いした。
「……これは、卒業生の名簿だから担任だった君がまとめて、町の協議会へ送っておいてください。……こっちは、施設部の先生達で新しい教室配置を確認しておいてね。……予定通り新6年生の担任は2人決定したから大丈夫だよ。ああ、誰かは、後で校長先生から発表するから。そう、僕はこれから退勤するので、後はよろしく頼みます」
「え? 素田教頭先生、もう帰っちゃうんですか? まだ、お昼前ですよ」
「うーん、ちょっと、用事があってね。……後は、年休ね。……あ、主任、最後の校舎見回り、代わりに頼むよ、お願いね」
「はいはい、わかりましたよ。後で何かおごってくださいね」
「ああ、分かったよ。……じゃあ、あとよろしくね……」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
僕が、もう一度校長室に寄ると、エルフィーナは、どこにもいなかった。
「田中校長先生、エルフィーナさんは?」
「目の前に座っているじゃないか……」
そう言われて、もう一度よく見ると、目の前のソファーには、しっかりと冬用のコートを着て、頭から毛糸の帽子をかぶり、手には毛糸の手袋を履き、冬用のオバーズボンを履いて座っている人がいた。
顔を覗きこんで見ると、間違いなくエルフィーナさんだった。
「もうすぐ4月とはいえ、ここは北海道だ。まだまだ雪は残っているし、今日だって粉雪は舞っている。それなりの服装をしないとね」
「でも、いつの間に、このような服を……」
「こんなこともあろうかと……これも校長の心得なんだよ……よろしいかな“素田君”」
「はあ……さすがです……」
まるで何とかの名探偵みたいだが、これを言ったら益々調子に乗るのでやめておいた。半分呆れて言ったのだが、田中校長先生はえらくご機嫌になってたようだった。
「これはね、変装も兼ねているんだ。さあ、こっちの扉から、みんなに見つからないうちに、早く帰るんだ。今、みんなは、私が引き付けておくからな……さあ……今だ……」
やっぱり探偵ものの単行本を胸ポケットに仕舞っているような気がするが、放っておくことにする。
「……じゃあ、帰ります。エルフィーナさん、一緒に来てください」
「うん、わかった」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「母ちゃん、ただいま……、お客さんを連れてきたからさー」
「おや……お嫁さんかい?」
「……見もしないで、何でそうなるの?」
「そうだね、ごめん、ごめん…………あ! やっぱり、お嫁さんじゃないか!」
「だから、何でそうなるんだよ?」
「いやあ、見たからさ~……いい子だね……名前は?」
「エルフィーナと申します。どうぞよろしくお願いいたします。……お母様」
「あら、やだ、もう、お母様だって!……やっぱり、お嫁さんじゃないの! で、どうやって見つけたの?」
おいおい、ちょっと待てよ。なんか変だぞ! あんなぶっきらぼうなしゃべり方しかしなかたエルフィーナさんが、“お母様”とか言ってるぞ! 何か変だ。
僕は小声で聞いてみた。
「エルフィーナさん、どうしたの? さっきとしゃべり方が違うような気がするんだけど、これが魔法なの?」
すると彼女は、表情もにこやかに説明してくれたんだ。
「先ほど校長室で、直人さんをお待ちしている時に、校長先生が1冊の本を貸してくれたのです。それがこれです」
見ると“渡る世間はラブストーリー”という単行本だった。有名なドラマにもなったもので、若い男女が結婚して夫の母親と楽しく暮らすという物語だったはず……。
「うーんとね、エルフィーナさん。あんまり、その本の内容は気にしなくていいから、自分の思ったようにしゃべってくださいね……お願いしますね」
「……はい……そうせよと言うのであれば……仰せのままに」
「んん……それもね……そんなに難しい言葉も使わなくていいからね……」
「難しいのですね……」
「まあ、ゆっくりでいいから……僕みたいに話せたらいいかなあ……まあ、何となくね……」
「では、そのうちに……」
「もう、何、いちゃいちゃしてんだよ。早く紹介してよね」
母ちゃんは、もう勘違いして、笑顔でニヤニヤしながら紹介されるのを待ってるし……。
「ああ、うーん。えーとね。こちらは、エルフィーナ先生っていって、今度うちの学校で働くことになったんだけど、うちに下宿させてあげてほしいんだ。いいかなあ?」
「もちろん、いいわよ~下宿なんてけち臭いこと言わないで、家族として、一緒に暮らしましょうね。……そして、早く孫の顔が見れたら嬉しいわ~~」
「おいおい……」
「エルフィーナと言います。よろしくお願いします」
「ところで、引っ越しは、いつするの?」
「いや、荷物は、何もないんだよ……だから、これから生活するものを用意しないとダメなんだ」
「よっしゃ! 母ちゃんに任せなさい! じゃあ、まず昼ご飯からだね、今作るからちょっと待っててねーー」
エルフィーナは、好き嫌いがなく何でも食べられるとのことだったが、きっと食べたことがないものは多いはずだと、僕は思った。
それで少しずつ体験できればいいと思い、今日は母ちゃん特製のカレーライスを食べさせてみたんだ。
幸い、おいしいと言って平らげてくれたので、僕はホッとした。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「よーし、昼ご飯が済んだら、買い物に行くよ! 洋服から日用品まで、必要なものを買いまくるからね。
直人は、荷物持ちね。ああ、エルちゃん……その恰好じゃね……とりあえずこれを着てごらん。私が着てた服だよ。
後でいいのを買ってあげるから、それまでね……」
母ちゃんのセーターとスカート、それにコートを借りで商店街に買い物に出かけた。
エルフィーナの仕事服や普段着、寝間着など日用品なども買いそろえた。
食事は、母ちゃんが毎食準備することとし、寝具は余った布団を使う。
部屋も一つを専用に用意した。足りないものがあれば、また買うことにし、今日は夜までかかって準備が終わった。
夕食は、みんなが集まる食堂で食べる。いつもは長々とおしゃべりをしたがるのに、気を聞かせた母ちゃんは、
「疲れたでしょ、今日は、早く寝た方がいいよ。直人、お風呂の場所教えてあげなよ」
と、さっさと後片付けを初めてしまった。
「ああ……」
お風呂は、始めてだということで、実物を見ながら教えた。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
その後、僕が茶の間でソファーに座りながらテレビを見ていると、
「あたしは、海や川には入ったことがあるんだ……でも、あんなに気持ちのいい“お湯”に毎日入れるのか?」
と、ほんのりピンク色に染まった顔で、エルフィーナは驚いたように風呂上がりの感想を言ってきたんだ。
「なあに、うちの風呂なんか大したことないんだよ。この世界には、温泉というもっと気持ちのいいでっかいお風呂があるんだ。今度、連れていってあげるよ」
エルフィーナは、嬉しそうに小さくうなずき微笑んだ。そして、まだ何か言いたそうにしていた。
「エルフィーナさん、どうかしたのかい?」
「こっちの世界に来て半日、安全だということが分かったわ……でも、安心かどうかは……」
そう言いながらもエルフィーナは、不安なそうな顔はしていなかった。
たぶん、最後の確認をしたいのではないかなあと感じたが、どうすればいいかがわからなかった。
「ほれ!」
そこへ母親が通りかかり、一枚の毛布を投げ込んできた。
「ここは、暖房が入っているから大丈夫、わたしゃ、先に寝るからね……」
と、言って茶の間から出て行った。
「エルフィーナさん、ここに座るかい?」
と、聞いてみた。
「…………」
黙って、隣に座って来た。
そして、母親が投げ入れてきた毛布を広げて、並んで座っている2人を包むように前から覆った。
「……森の中ではね……こうやって一晩中過ごすんだ……隣の人が守ってくれるのを信じられると安心して眠れる……」
僕は、黙ってエルフィーナの肩を抱くように毛布を引っ張り、もう片方の手でエルフィーナの手を握った。
しばらくして、肩にもたれかかる重みを感じつつ、静かなエルフィーナの寝息を聴くことができた。
(つづく)
「え? でもまだ、午前中ですよ。年度末で、やらなきゃならないこともあるし……」
「んー、そんなことは、教務主任にでも頼んでおくからさー。何より今は、エルフィーナさんだろ? 彼女には新学期から頑張ってもらわなきゃならいからね。何せ明日は、もう4月1日だから……ね……」
そうか、もう明日が4月1日なんだ。……ま、だから、自分のやらなければならない仕事が山済みだったんだけどなぁ~。
「ああ、はい、分かりました」
校長先生の頭の中は、エルフィーナ最優先になっているんだな。とにかく軌道に乗るまでは、僕は頑張らなきゃダメみたいだ。
「頼みましたよ、エルフィーナさん」
校長先生が声を掛けた。ところが……
「我の契約者は、素田直人だ。我は、素田直人以外の命令は聞かぬ!」と、エルフィーナが言うものだから、思わず僕は校長先生と顔を見合わせて、苦笑してしまったんだ。
それでも校長先生は、少しニヤっと笑うと、「……だ、そうだ。頼んだよ……素田直人…君」と、言って、肩をポンと叩いてきた。
こりゃ、えらいことに、なったなあと内心憂鬱になってきた。
「素田教頭先生、まずは自分の帰る準備をしてきてね……。こっちはこっちで、準備をして待ってるから……」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
僕は急いで校長室から職員室へ戻り、やりかけの仕事を先生達にお願いした。
「……これは、卒業生の名簿だから担任だった君がまとめて、町の協議会へ送っておいてください。……こっちは、施設部の先生達で新しい教室配置を確認しておいてね。……予定通り新6年生の担任は2人決定したから大丈夫だよ。ああ、誰かは、後で校長先生から発表するから。そう、僕はこれから退勤するので、後はよろしく頼みます」
「え? 素田教頭先生、もう帰っちゃうんですか? まだ、お昼前ですよ」
「うーん、ちょっと、用事があってね。……後は、年休ね。……あ、主任、最後の校舎見回り、代わりに頼むよ、お願いね」
「はいはい、わかりましたよ。後で何かおごってくださいね」
「ああ、分かったよ。……じゃあ、あとよろしくね……」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
僕が、もう一度校長室に寄ると、エルフィーナは、どこにもいなかった。
「田中校長先生、エルフィーナさんは?」
「目の前に座っているじゃないか……」
そう言われて、もう一度よく見ると、目の前のソファーには、しっかりと冬用のコートを着て、頭から毛糸の帽子をかぶり、手には毛糸の手袋を履き、冬用のオバーズボンを履いて座っている人がいた。
顔を覗きこんで見ると、間違いなくエルフィーナさんだった。
「もうすぐ4月とはいえ、ここは北海道だ。まだまだ雪は残っているし、今日だって粉雪は舞っている。それなりの服装をしないとね」
「でも、いつの間に、このような服を……」
「こんなこともあろうかと……これも校長の心得なんだよ……よろしいかな“素田君”」
「はあ……さすがです……」
まるで何とかの名探偵みたいだが、これを言ったら益々調子に乗るのでやめておいた。半分呆れて言ったのだが、田中校長先生はえらくご機嫌になってたようだった。
「これはね、変装も兼ねているんだ。さあ、こっちの扉から、みんなに見つからないうちに、早く帰るんだ。今、みんなは、私が引き付けておくからな……さあ……今だ……」
やっぱり探偵ものの単行本を胸ポケットに仕舞っているような気がするが、放っておくことにする。
「……じゃあ、帰ります。エルフィーナさん、一緒に来てください」
「うん、わかった」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「母ちゃん、ただいま……、お客さんを連れてきたからさー」
「おや……お嫁さんかい?」
「……見もしないで、何でそうなるの?」
「そうだね、ごめん、ごめん…………あ! やっぱり、お嫁さんじゃないか!」
「だから、何でそうなるんだよ?」
「いやあ、見たからさ~……いい子だね……名前は?」
「エルフィーナと申します。どうぞよろしくお願いいたします。……お母様」
「あら、やだ、もう、お母様だって!……やっぱり、お嫁さんじゃないの! で、どうやって見つけたの?」
おいおい、ちょっと待てよ。なんか変だぞ! あんなぶっきらぼうなしゃべり方しかしなかたエルフィーナさんが、“お母様”とか言ってるぞ! 何か変だ。
僕は小声で聞いてみた。
「エルフィーナさん、どうしたの? さっきとしゃべり方が違うような気がするんだけど、これが魔法なの?」
すると彼女は、表情もにこやかに説明してくれたんだ。
「先ほど校長室で、直人さんをお待ちしている時に、校長先生が1冊の本を貸してくれたのです。それがこれです」
見ると“渡る世間はラブストーリー”という単行本だった。有名なドラマにもなったもので、若い男女が結婚して夫の母親と楽しく暮らすという物語だったはず……。
「うーんとね、エルフィーナさん。あんまり、その本の内容は気にしなくていいから、自分の思ったようにしゃべってくださいね……お願いしますね」
「……はい……そうせよと言うのであれば……仰せのままに」
「んん……それもね……そんなに難しい言葉も使わなくていいからね……」
「難しいのですね……」
「まあ、ゆっくりでいいから……僕みたいに話せたらいいかなあ……まあ、何となくね……」
「では、そのうちに……」
「もう、何、いちゃいちゃしてんだよ。早く紹介してよね」
母ちゃんは、もう勘違いして、笑顔でニヤニヤしながら紹介されるのを待ってるし……。
「ああ、うーん。えーとね。こちらは、エルフィーナ先生っていって、今度うちの学校で働くことになったんだけど、うちに下宿させてあげてほしいんだ。いいかなあ?」
「もちろん、いいわよ~下宿なんてけち臭いこと言わないで、家族として、一緒に暮らしましょうね。……そして、早く孫の顔が見れたら嬉しいわ~~」
「おいおい……」
「エルフィーナと言います。よろしくお願いします」
「ところで、引っ越しは、いつするの?」
「いや、荷物は、何もないんだよ……だから、これから生活するものを用意しないとダメなんだ」
「よっしゃ! 母ちゃんに任せなさい! じゃあ、まず昼ご飯からだね、今作るからちょっと待っててねーー」
エルフィーナは、好き嫌いがなく何でも食べられるとのことだったが、きっと食べたことがないものは多いはずだと、僕は思った。
それで少しずつ体験できればいいと思い、今日は母ちゃん特製のカレーライスを食べさせてみたんだ。
幸い、おいしいと言って平らげてくれたので、僕はホッとした。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「よーし、昼ご飯が済んだら、買い物に行くよ! 洋服から日用品まで、必要なものを買いまくるからね。
直人は、荷物持ちね。ああ、エルちゃん……その恰好じゃね……とりあえずこれを着てごらん。私が着てた服だよ。
後でいいのを買ってあげるから、それまでね……」
母ちゃんのセーターとスカート、それにコートを借りで商店街に買い物に出かけた。
エルフィーナの仕事服や普段着、寝間着など日用品なども買いそろえた。
食事は、母ちゃんが毎食準備することとし、寝具は余った布団を使う。
部屋も一つを専用に用意した。足りないものがあれば、また買うことにし、今日は夜までかかって準備が終わった。
夕食は、みんなが集まる食堂で食べる。いつもは長々とおしゃべりをしたがるのに、気を聞かせた母ちゃんは、
「疲れたでしょ、今日は、早く寝た方がいいよ。直人、お風呂の場所教えてあげなよ」
と、さっさと後片付けを初めてしまった。
「ああ……」
お風呂は、始めてだということで、実物を見ながら教えた。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
その後、僕が茶の間でソファーに座りながらテレビを見ていると、
「あたしは、海や川には入ったことがあるんだ……でも、あんなに気持ちのいい“お湯”に毎日入れるのか?」
と、ほんのりピンク色に染まった顔で、エルフィーナは驚いたように風呂上がりの感想を言ってきたんだ。
「なあに、うちの風呂なんか大したことないんだよ。この世界には、温泉というもっと気持ちのいいでっかいお風呂があるんだ。今度、連れていってあげるよ」
エルフィーナは、嬉しそうに小さくうなずき微笑んだ。そして、まだ何か言いたそうにしていた。
「エルフィーナさん、どうかしたのかい?」
「こっちの世界に来て半日、安全だということが分かったわ……でも、安心かどうかは……」
そう言いながらもエルフィーナは、不安なそうな顔はしていなかった。
たぶん、最後の確認をしたいのではないかなあと感じたが、どうすればいいかがわからなかった。
「ほれ!」
そこへ母親が通りかかり、一枚の毛布を投げ込んできた。
「ここは、暖房が入っているから大丈夫、わたしゃ、先に寝るからね……」
と、言って茶の間から出て行った。
「エルフィーナさん、ここに座るかい?」
と、聞いてみた。
「…………」
黙って、隣に座って来た。
そして、母親が投げ入れてきた毛布を広げて、並んで座っている2人を包むように前から覆った。
「……森の中ではね……こうやって一晩中過ごすんだ……隣の人が守ってくれるのを信じられると安心して眠れる……」
僕は、黙ってエルフィーナの肩を抱くように毛布を引っ張り、もう片方の手でエルフィーナの手を握った。
しばらくして、肩にもたれかかる重みを感じつつ、静かなエルフィーナの寝息を聴くことができた。
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