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33 エル先生にとっての楽しい遠足 2(大切なこと)
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※エルフィーナの視点
次の日、1年生の教室から帰って来た勝君がボソッと一言つぶやいたの。
「おれ…………嫌がられたんだよなー」
「どうしたんだよ急に。今の休み時間だって、お前1年生にモテモテだったじゃないか……」
一緒に遊んでいた進太君が、急に元気がなくなった勝君を見て心配したいたの。
「ああ、いや、去年の遠足の時さ……」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
私は、気になって聞いてみたのね。
「去年、何があったの? よかったら聞かせてくれる?」
「あ、エル先生……でも次の授業が……」
彼は、気を使って周りを見ていたわ。私は、そんなこと気にしなくていいのにって思ったの。だから、笑顔のままこう言ったわ。
「みんなも、いいわよね。きっと何か参考になると思うのよ、ね!」
「なあ、話せよ勝……このままだとスッキリしないぜ!」
進太君が、勝君の背中を押してくれたの。
「うん…………去年オレは張りきって頑張ったんだ。……2年生のために……最初から気合を入れて歩く時も手を繋いだんだよ。小さい手だったなあ……。手加減はしたぞ、ちゃんとな。最初は、よかったんだ。…………でも、すぐに2年生の男の子は、手を振りほどいて、1人で走ったり、歩いたり、しゃがんだりしたんだ。オレは、優しく言ったさ、手をつなごうって。何度か、手はつないだけど、長くはもたなかったな………。途中からはあきらめちゃったんだ。2年生のその男の子は、オレから離れている時が、楽しそうだったから、何か悲しくてな。今が楽しい分だけ、今度の”遠足”が、ちょっと心配なんだよ」
「それ、私も…………」
何とクラスで一番面倒見のいいと言われている小百合さんが、勝君の話に同調してきたの。
「私の相手は女の子だったんだけど、道にお花が咲いているたびに、手を放してお花を摘むのよ。しまいには、その摘んだお花を私に持たせて、自分は両手を自由にして、他のお花を探し回るの。
そして、私が追いつけないと怒るのよね、だから私はほとんどその女の子と手をつないで歩いてないの」
「そうか、だから小百合は去年、遠足が終わってもなんか物足りなさそうにしてたんだね」
いつも一緒にいて仲のいい由香さんは、笑いながら話してたけど……。
すると、小百合さんも笑いながら続けたの。
「あははは……そうか、やっぱりわかってたのね。私ね、もっとお世話したくてウズウズしてたのよね。……実際、家に帰ってからいつも以上に妹にかまってしまって、お母さんに怒られちゃったんだ。……”あんたは、自分のやりたいことばかり優先するから嫌がられるのよ!”ってね。それ以来、少しは気にしてるけどね……あんまり上手くいかないわ……あはは」
小百合さんは、面倒見もいいけど、細かいことはあまり気にしないタイプなのね。
黙ってしばらく話を聞いていた私は、クラス全員を見渡した後、ゆっくりと尋ねてみたの。
「ねえ、あなた達が1年生の時はどうだったの? いっぱい面倒見てもらったんでしょ?」
私は、みんなの記憶を少しだけ刺激してみたわ。忘れかけている記憶の蓋を少し開けようと思ったの。
別に魔法じゃないの。教室には、6年前の時間が流れ出したわ。
あの楽しかった遠足の思い出が、クラスの一人一人の頭の中にゆっくりと甦ってきたのがわかったの。
大きなお兄さんやお姉さんに手を引かれ、歩いた遠足。足が痛かった、荷物が重かった、暑かった、でも一緒に遊んだ、お弁当を食べた、仲良くなった、水を分けてもらった、いろんな思い出がゆっくりと湧き上がってきたわ。
上手くいったかな?
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「なあ、みんな……何で遠足って、手を繋ぐんだ?」
勝君が、急に真面目な顔で言い出しだの。
「そりゃあ……危ないからだろう?」
進太君が、答えたわ。
「でもさ、片手を繋いでいたら、バランスが悪いから、転んだりするぞ」
「んんー、1年生が道路に飛び出さないようにだ!」
「まあ、それもあるか」
「手を繋いだら、楽しいときもあるのよ、男子にはわからなくても!」
由香さんが、『女子だったらきっとわかるよね』とでも言いたそうにしてたわ。可愛いわね!
「それは、大人になってからだろう?」
あれ? 勝君は、何のことだか分かってるみたいね!
「なあ、無理に手を繋がない方が楽しい遠足もあるんじゃないか?」
勝君が、半信半疑ながらみんなに呼びかけてみたの。
私は、ここでまたみんなに確認してみることにしたの。
「正解はないと思うの。みんなが、自分の想いを全部話してみたらどうかしら? ここで、黙っていたら、まだ楽しくない遠足を繰り返すことになってしまわないかなあ~」
学級の中では、隣同士、気の合う者、グループごと、男子対女子など、自然にみんなが誰かの意見を聞いたり、誰かに質問したり、とにかく自分の想いを吐き出すように話し合いが行われたわ。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
たぶん、子ども達は、自分の想いを吐き出しながら、誰かが自分の想いを受け取ってくれた時に、ものすごい満足感を得られることを体験してるんだと思うの。
そして、最初にその想いを受けとってくれたのが、誰なのかときっと考えてくれるんじゃないかな。
私は、そんなことを考えながら子ども達の話し合いを黙ってみていたの。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
しばらく話し合いが続き、あまり意見も出なくなった頃、大人しい静奈さんが立ち上がって話し出したの。
「エル先生……今回の”遠足”は、無理じいはやっぱりダメだと思うの。私達が、教室訪問する時に、最初に決めたこと、……ねえ、みんな覚えてる?”無理に教えない”だったわよね!…………遠足だって同じだと思うの。遠足だって、相手の嫌がることを無理にしてもダメだと思うの。だから、必要もないのに勝手に手を繋ぐのはやめましょうよ」
「そうだな、その通りだ」
勝君が、賛成したわ。他のみんなも、賛成だったみたい。
「わかったわ。思った通りに、おやりなさい。その気持ちを1年生に伝えればいいわ。頑張ってね」
いつも通り、私は子ども達の考えを知り、尊重することにしたの。
(つづく)
次の日、1年生の教室から帰って来た勝君がボソッと一言つぶやいたの。
「おれ…………嫌がられたんだよなー」
「どうしたんだよ急に。今の休み時間だって、お前1年生にモテモテだったじゃないか……」
一緒に遊んでいた進太君が、急に元気がなくなった勝君を見て心配したいたの。
「ああ、いや、去年の遠足の時さ……」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
私は、気になって聞いてみたのね。
「去年、何があったの? よかったら聞かせてくれる?」
「あ、エル先生……でも次の授業が……」
彼は、気を使って周りを見ていたわ。私は、そんなこと気にしなくていいのにって思ったの。だから、笑顔のままこう言ったわ。
「みんなも、いいわよね。きっと何か参考になると思うのよ、ね!」
「なあ、話せよ勝……このままだとスッキリしないぜ!」
進太君が、勝君の背中を押してくれたの。
「うん…………去年オレは張りきって頑張ったんだ。……2年生のために……最初から気合を入れて歩く時も手を繋いだんだよ。小さい手だったなあ……。手加減はしたぞ、ちゃんとな。最初は、よかったんだ。…………でも、すぐに2年生の男の子は、手を振りほどいて、1人で走ったり、歩いたり、しゃがんだりしたんだ。オレは、優しく言ったさ、手をつなごうって。何度か、手はつないだけど、長くはもたなかったな………。途中からはあきらめちゃったんだ。2年生のその男の子は、オレから離れている時が、楽しそうだったから、何か悲しくてな。今が楽しい分だけ、今度の”遠足”が、ちょっと心配なんだよ」
「それ、私も…………」
何とクラスで一番面倒見のいいと言われている小百合さんが、勝君の話に同調してきたの。
「私の相手は女の子だったんだけど、道にお花が咲いているたびに、手を放してお花を摘むのよ。しまいには、その摘んだお花を私に持たせて、自分は両手を自由にして、他のお花を探し回るの。
そして、私が追いつけないと怒るのよね、だから私はほとんどその女の子と手をつないで歩いてないの」
「そうか、だから小百合は去年、遠足が終わってもなんか物足りなさそうにしてたんだね」
いつも一緒にいて仲のいい由香さんは、笑いながら話してたけど……。
すると、小百合さんも笑いながら続けたの。
「あははは……そうか、やっぱりわかってたのね。私ね、もっとお世話したくてウズウズしてたのよね。……実際、家に帰ってからいつも以上に妹にかまってしまって、お母さんに怒られちゃったんだ。……”あんたは、自分のやりたいことばかり優先するから嫌がられるのよ!”ってね。それ以来、少しは気にしてるけどね……あんまり上手くいかないわ……あはは」
小百合さんは、面倒見もいいけど、細かいことはあまり気にしないタイプなのね。
黙ってしばらく話を聞いていた私は、クラス全員を見渡した後、ゆっくりと尋ねてみたの。
「ねえ、あなた達が1年生の時はどうだったの? いっぱい面倒見てもらったんでしょ?」
私は、みんなの記憶を少しだけ刺激してみたわ。忘れかけている記憶の蓋を少し開けようと思ったの。
別に魔法じゃないの。教室には、6年前の時間が流れ出したわ。
あの楽しかった遠足の思い出が、クラスの一人一人の頭の中にゆっくりと甦ってきたのがわかったの。
大きなお兄さんやお姉さんに手を引かれ、歩いた遠足。足が痛かった、荷物が重かった、暑かった、でも一緒に遊んだ、お弁当を食べた、仲良くなった、水を分けてもらった、いろんな思い出がゆっくりと湧き上がってきたわ。
上手くいったかな?
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「なあ、みんな……何で遠足って、手を繋ぐんだ?」
勝君が、急に真面目な顔で言い出しだの。
「そりゃあ……危ないからだろう?」
進太君が、答えたわ。
「でもさ、片手を繋いでいたら、バランスが悪いから、転んだりするぞ」
「んんー、1年生が道路に飛び出さないようにだ!」
「まあ、それもあるか」
「手を繋いだら、楽しいときもあるのよ、男子にはわからなくても!」
由香さんが、『女子だったらきっとわかるよね』とでも言いたそうにしてたわ。可愛いわね!
「それは、大人になってからだろう?」
あれ? 勝君は、何のことだか分かってるみたいね!
「なあ、無理に手を繋がない方が楽しい遠足もあるんじゃないか?」
勝君が、半信半疑ながらみんなに呼びかけてみたの。
私は、ここでまたみんなに確認してみることにしたの。
「正解はないと思うの。みんなが、自分の想いを全部話してみたらどうかしら? ここで、黙っていたら、まだ楽しくない遠足を繰り返すことになってしまわないかなあ~」
学級の中では、隣同士、気の合う者、グループごと、男子対女子など、自然にみんなが誰かの意見を聞いたり、誰かに質問したり、とにかく自分の想いを吐き出すように話し合いが行われたわ。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
たぶん、子ども達は、自分の想いを吐き出しながら、誰かが自分の想いを受け取ってくれた時に、ものすごい満足感を得られることを体験してるんだと思うの。
そして、最初にその想いを受けとってくれたのが、誰なのかときっと考えてくれるんじゃないかな。
私は、そんなことを考えながら子ども達の話し合いを黙ってみていたの。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
しばらく話し合いが続き、あまり意見も出なくなった頃、大人しい静奈さんが立ち上がって話し出したの。
「エル先生……今回の”遠足”は、無理じいはやっぱりダメだと思うの。私達が、教室訪問する時に、最初に決めたこと、……ねえ、みんな覚えてる?”無理に教えない”だったわよね!…………遠足だって同じだと思うの。遠足だって、相手の嫌がることを無理にしてもダメだと思うの。だから、必要もないのに勝手に手を繋ぐのはやめましょうよ」
「そうだな、その通りだ」
勝君が、賛成したわ。他のみんなも、賛成だったみたい。
「わかったわ。思った通りに、おやりなさい。その気持ちを1年生に伝えればいいわ。頑張ってね」
いつも通り、私は子ども達の考えを知り、尊重することにしたの。
(つづく)
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