悪役令嬢(魔女)の婿取り

すけさん

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第1章

6話 チャラ男の本音

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◇◆ケイ side◆◇

 あー……何かつまんない。
俺に近づいてくる女は、みんな同じ。
目をギラギラさせて、媚びを振り撒く令嬢達ばかりだ。

 同じような仕草、同じような笑顔。

 「ケイ様~♡」なんて言いながら、必死に俺を落とそうとしてくる。

 ……なんか萎えるんだよな。
俺、これでも結構モテる。
笑顔を向ければ、大抵の女子は顔を赤くするし、腰を抜かす子もいる。

 でも。
そんな毎日に飽きていた頃――

 魔女と出会った。

 あんな玩具見つけたら、面白すぎだろ。
最初に見た時、思わず吹きそうになった。
目の周りが真っ黒に塗り潰された化粧。
真っ黒な髪。
そして、不気味な紫の唇。

 ……正直。

 化け物級にヤバそうな見た目。
でも不思議と、嫌悪感は湧かなかった。
むしろ――印象は悪くない。

 なぜかって?
俺に媚びを売らないからだ。
俺が笑顔を振り撒いても。

 魔女は――

 怪訝な顔で俺を見てくるだけ。

 ……何?
もしかして魔女には、俺のフェロモン効かない?
それが逆に面白かった。

 

 そんなある日。

 俺はいつもの場所で昼寝していた。
裏校舎の、低い屋根の上。
そこは日当たりも良くて、ちょうどいい昼寝スポットなんだよな。

 そこから下を見ていると――
女子のイジメ現場に遭遇した。
集団に囲まれてるピンクちゃん発見。
……あーあ。

 可愛い子って嫉妬されるよな。
助けに行ってあげようかな?
そう思って動こうとした瞬間。

 魔女が登場した。

 何やら絡んでるのか、絡まれてるのか。
ここからじゃ会話がよく聞こえない。

 魔女、ピンクちゃん助けようとしてるのか?

 ……ん?…あれ?…形勢逆転?

 いつの間にか、ピンクちゃんとキャロライン嬢がトラブってるみたいだ。

 もっと近くで見ようと、身を乗り出した瞬間――

 パチン!

 キャロライン嬢が、ピンクちゃんを引っ叩いた。

 その直後。

「キャロライン!」

 殿下の怒号が響く。
ライト殿下と、その仲間達が登場した。

 ギャラリーもざわついている。
そして殿下は、その勢いのまま――
キャロライン嬢に手を振り上げた。

 ……その瞬間。
魔女が動いた。
殿下の腕を掴んで、止めたんだ。
そして、魔女は、低い声で言った。

「どんな理由があっても…
女に手を出そうとするなんて馬鹿じゃない?」


 周囲が一瞬で静まり返る。

 さらに魔女は続けた。

「このブリブリしたぶりっ子に毒されたのかしら?何ならその頭、沸いてない?」

 ……痺れた。

 その台詞を吐いた魔女に――
俺はなぜか、目が釘付けになっていた。
なんか……
カッコいいんだよな。

 その瞬間。
魔女の周りの空気が、変わった気がした。

 そして――
俺の中でも、何かが変わった。

 

 ――そして今。

 俺が昨日の出来事を見ていたって言った瞬間。
魔女は顔を真っ赤にしていた。
それを見た俺は、思わず言ってしまった。

「ジュリア嬢、なんか不気味だけど可愛い」

 すると魔女は、すぐに怒る。

「いい加減黙れ!」

「その口ひん剥いてやるわよ!」

 めっちゃ毒舌。
でもそれが逆に可笑しくて、思わず笑ってしまう。

 ……なんか。
こうやって話してる時間、嫌いじゃない。
むしろ――
ちょっと楽しい。


 …でも
そんな、俺と魔女の憩いの時間を邪魔するように――

 また昨日のメンバーが集まり始めた。

 ライト殿下。

 ピンクちゃん。

 そして取り巻き達。

 一部始終を見ていると。
ピンクちゃんが突然、腰をクネクネ振り始めた。

 ……え?
俺は目を疑った。
なんで他の男達、あの仕草で悩殺されてるの?

 いやいや。
あれ完全に奇妙な踊りだろ。
全然可愛いと思えないんだけど。
思わず笑いそうになるのを必死で堪える。

 その時――
魔女と目が合った。

 ……いやいや。
俺は落ちないよ?
ジュリア嬢、そんな目で俺を見るなって。

 すると今度は。
ピンクちゃんが、俺に話しかけてきた。

 しかも――
魔女の悪口、……は?

 正直、一気に幻滅した。
というか…無性にムカついてきた。

 

 俺のジュリアを貶すなよ。



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