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第1章
8話 学園調査クラブへの勧誘②
しおりを挟む爆弾発言に、私は思わず固まってしまった。
「大丈夫? ジュリア嬢?」
含み笑いを浮かべながら、あくまでも第三者のような顔で声を掛けてくる腹黒王子。
……この人、絶対わざとでしょ。
もしかして、祖父との賭けのこと知ってるの?
隣ではチャラ男が、訳が分からないといった様子で私と腹黒王子を何度も見比べている。
「もしかして会長、ジュリア嬢と知り合いなんですか?」
チャラ男の質問に、腹黒王子は意味ありげに微笑むと――
ニヤリと私へ視線を向けた。
「まぁ……シークレットってことで」
いやいや!
今の言い方だと関係ありますって暴露してるでしょ!?
絶対わざとだ!
これ以上突っ込まれたくなくて、私は慌てて話題を変える。
「この学園調査クラブには、どのくらいの生徒が所属しているのですか?」
私は指を折りながら続けた。
「チャラ男と、眼鏡と、俺様が本年度加入として……」
すると腹黒王子は、クスッと笑いながらさらりと言った。
「俺以外、二年生はいないよ」
……はぁ?
思わず間抜けな声が出そうになる。
「前は女生徒もいたんだけどね」
王子は肩をすくめながら続けた。
「何か全員、俺目当てみたいでさ。喧嘩しだして大暴動に発展しちゃって」
……嫌な予感しかしない。
「だから女子には全員辞めてもらったんだよね」
ってことは――
私しか女子いないってこと!?
私は思わず眉をひそめた。
「私も女子の分類に当てはまると思うのですが……」
すると腹黒王子は、悪戯っぽく笑った。
「だってジュリア嬢は魔女でしょ?
当てはまらないよね?」
クスッ、と意地悪そうに笑う。
……この腹黒、今すぐ叩き潰していい?
ぐっと怒りを押さえ込み、私は平静を装った。
「ちなみに、どんな問題を解決したり調査したりするのですか?」
すると王子は少しだけ真面目な表情になる。
「依頼人からの依頼は守秘義務があるから、具体的には話せないかな」
……案外ちゃんとしてるんだ。
私はクラブ室をぐるりと見渡した。
そのとき――
「……あの、調査依頼いいですか?」
入口から、おそるおそる声がした。
振り向くと、もやしみたいにヒョロヒョロした男子生徒が立っていた。
腹黒王子はすぐに満面の笑みを浮かべる。
「どうぞ、こちらへ」
ソファへ案内する王子。
私は立ち上がりかける。
「えっ、依頼人の方が来たのでしたら私は――」
退席しようとした瞬間。
ぐいっ。
腹黒王子が私の腕を掴み、隣へ引き寄せた。
……ちょっと、この腹黒!何するのよ!
男子生徒はポケットから木箱を取り出し、テーブルに置いた。
そして、恐る恐るその箱を開く。
中から出てきたのは――
古びたゴールドの指輪。
宝石もついていない、ただのリングだ。
刻印らしきものも見当たらない。
男子生徒は不安そうに言った。
「この指輪……呪われているんでしょうか?」
私は思わず指輪を見つめた。
……どう見ても普通の指輪なんだけど。
男子生徒は続ける。
「この指輪を嵌めてから、階段から落ちたり……」
「両親が怪我をしたり……」
「不幸なことが重なってるんです」
偶然じゃないの?
そんな表情が顔に出てしまったのか、相手も苦笑いしている。
だが、彼は小さな声で続けた。
「それで……聞いてしまったんです」
腹黒王子が身を乗り出す。
「どんな話を?」
男子生徒はごくりと唾を飲んだ。
「ある女生徒が、誰かと話していたんです」
そして震える声で言った。
「この指輪に呪いの刻印をしたから、俺を叩き潰せるって……」
……一気にオカルトな話になってきた。
けれど私は、もう一度指輪を見た。
やはり刻印は見当たらない。
腹黒王子は静かに頷いた。
「分かりました。こちらで詳しく調査してみます」
そして、鋭い視線を向ける。
「差し支えなければ教えてください。
この指輪は、誰から譲り受けたんですか?」
核心を突く質問に――
男子生徒は、言いにくそうに口ごもった。
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