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おまけ
34:ランジェリー②※
しおりを挟む咄嗟にズボンを上げて、下着を着用したままになってしまった。
「ん? どうした?」
「なんで我の時だけ入っていいかと一言聞かないんだ?」
「勝手に入っていいと言ったのはお前だろう」
あーー……そうだった気がする。警官隊の業務で、家にあまり居ないから好きにしろって言ってたし、今までも気にしなかった。隠し事する間柄でもない。
「何か都合が悪かったなら、すまない」
「…………都合と言うか……その…………」
どうしよう……随分と慣れたはずの性交に対して、初期以上に緊張しているし羞恥心が半端無い。
『ちゅっ』
「ぅひ!」
「どうした? 具合でも悪いのか?」
「違ぅ……ぇっと、なんと言うか」
言い訳が上手く出来ない。
頬にキスをされただけで身体が強張り、頭の中が真っ白になる。
ポスンとベッドに座らさせれて押し倒されそうになるのを、腹筋の力で抵抗する。
細やかな抵抗力であるにも関わらず、セリアスはすぐに身を引いて我の異変に寄り添う姿勢を見せた。
「デジィ……気が乗らないのなら、今夜は添い寝をさせてくれ」
「……セリアス、違う。違うんだ……我は……」
緊張して、羞恥心に身を焦がされて、抵抗していても……その気が無いわけではない。ただ、ただ本当に……恥ずかしいのだ。タスク殿がくれたランジェリーを着て、セリアスの興奮を誘えるかもと思っていた自分が。
「ぁ……ぅう……セリアス」
「?」
「どうか、わら……笑わないでくれ……失望、しないでくれ……嫌わないでくれ」
「???? ……ああ、デジィ。笑わない。失望もしない。ましてや、願われたとて、お前を嫌いになどなれない」
理由も聞かず、我の言葉に耳を傾け、手を取り誓ってくれる。
少し緊張が和らぎ、我はセリアスの肩を掴んで自らの背をベッドへ沈ませる。セリアスも共にベッドへ手をついて、我に覆い被さっている。
「……デジィ、いいのか?」
「お前は、嘘を吐かない……だから、もう……観念する」
自分が招いてしまった事だ。事態を受け入れるしかない。恥ずかしいけど。死ぬほど恥ずかしいけど。
「んっ……んぅ……ぁ」
唇を重ねると同時に、セリアスが舌を侵入させてきて我の口内を嬲り始める。
「ふぁっ、ぁぅ……んむっ」
いつもより激しくて深いキスに身体が追い付けず呼吸が浅くなる。舌が痺れるような快楽が身体の中に流れ込んできて腰が跳ねてしまう。息も絶え絶えな内に互いの口元が離れ、物足りなさを感じていると右耳に吹きかかる吐息に首筋がぞくぞくと粟立つ。
「んっ!」
セリアスの手が我の服のボタンを外し、そのまま素肌に触れていく。
胸の突起の周りを触れらる度に股からじわりと暑くなる感覚に襲われる。腰がもぞもぞして脚を閉じても意識は逸れない。
「ちょっと……待て」
「……やはり嫌か?」
「ちがっ……姿勢を、変えたい」
向き合っていた身体をひっくり返して、我はうつ伏せになり、セリアスへ背を向けた。
「……後からが、いい」
「わかった」
「ふっ……ぁあ……」
翼の付け根に舌を這わされ、翼の根元がじくりと熱を帯びる。繊細な神経と筋肉が集合している場所だけあり、小さな刺激でも身体が反応してしまう。
腰が上がってしまって、セリアスの腰に擦り寄るようなとても恥ずかしい体勢になる。
「ぁあっ……んんっ」
首の根元や背中、翼とセリアスの口が啄みながら下がっていき、並行してズボンに手をかけられた。
『スルン』
「っ……」
「!?」
背後でセリアスが息を呑んだ音が聞こえた。
どんな反応をされても居た堪れない。縮こまって、スルスルとズボンを全て引き抜かれる感触に肩を震わせて耐える。
「……こ、れは」
「ぉ……お前が、こういうの、好きだって……タスク殿が、くれた」
「…………」
「わ、わかってる! わかってるさ! 我には全く似合わないし、滑稽だと!」
無言に耐えられず、セリアスから顔を背けて早口で事実を連ねる。
「でも、お前が……喜ぶかもと、思って着たんだ」
「……」
何も言わないのが更に羞恥心を擽ってくる。目頭が熱いし鼻の奥も痛い。これは涙が滲んでいる状態だ。それを悟られたくなくて枕を手繰り寄せて顔を押し付けた。もう嫌だ、耐えられない。このような格好をしてまでセリアスが昂るのを望む自分が情け無い。
「ぅ……着たのは我だ……お前の所為じゃない……」
「………………私の為だろ?」
やっと言葉を発したかと思うと、後ろから抱きすくめられる。
いつもより低く、熱の篭った声。脳と下半身に響く。
「私を興奮させたくて着てくれたんだろ? 私が好きだから」
「……そ、そうだけど……でも……」
もうやめてくれ。そんな良い声で聴かせるな。羞恥心と歓喜と後悔で心が乱されてて余裕がないのだから。もっとゆっくりと話してくれ。
「嬉しいよ、デジィ」
その言葉と共にセリアスの昂りが押し当てられる感覚に、ハッとする。
「ガーターの紐が尻肉に食い込んでる。スラっと長いストッキングで引き締まった脚をずっと撫で回したいくなる」
「ば、ばか……っ!」
欲望を隠さない言葉が聞こえてきて身体がドキリと強張ってしまう。
ガーターベルトとストッキングを着用した我の姿にセリアスが興奮しているという事実を伝えられてしまい、体が物凄く熱を持つ。心も頭もふわふわして、セリアスの一言一句で多幸感に包まれている感覚になり意識が保てなくなりそうだ。
「ウエストを強調する黒いベルトが、上品なデザインでお前によく似合っている」
「ぁあっ……だめっ、手つきが……」
「……相変わらず感じやすいな」
際どいTバックの下着の中へ侵入して我のを直接握る。
セリアスの右手が先走りを塗りつけるように動いた。敏感な裏筋から先端にかけて細い指で弄られる度に腰が跳ねて腹筋に力が入ってしまう。
「ふぅう! んっぁ……イく、すぐイって、しまう」
「イっていいぞ」
「んぁ、んんんん!」
刺激に耐えられなくなって、セリアスの掌に出してしまう。絶頂後の倦怠感を味わっていると、Tバックのヒップ側の布をズラして、後孔へ太い指が侵入してきた。中を解すように探られていく感覚に身体が震えてしまう。
「ひゃっ……ぁ、ぁっあ」
一度達した身体は些細な触れ合いで悦び震える程に敏感になっていて、後ろの圧迫感が増々セリアスの昂りを意識させてしまう。
「デジィ」
「んんんっ」
耳元で囁かれたと思うと、その口のまま耳を舐められ始める。その擽ったさに肩が竦み上がるが、耳穴まで舌を入れられると背をぞくぞくとした何かが駆け上がっていく。指の本数を増やされ、掻き乱すように指が暴れているのがわかる。強く押される度に生まれた隙間に薬指が入ってきて更に内部を広げられた。
「ぁああっ……ぅうっ」
「……美しいな。このランジェリーは性的にも魅力は増すが、全体の形が整って見える。素体である鍛えられた身体があってこその造形美だ」
「う、ぅうるしゃぃ、そんなの、し、知らなっ……あぁっ!」
『ズルルン』
知らぬ間に三本も入った指を一気に引き抜かれて身体が小刻みに跳ねる。
玩具を取られた幼子が駄々をこねるように、腰が卑猥にへこへこと動いてしまう。
動くたびにガーターベルトの紐が尻に食い込むのが自分でもわかって、恥ずかしいのに酷く興奮を煽り立てる。
「はぁ……ぁ」
『ピト』
「あっ」
「デジィ…………少々手荒になったら、すまない」
「んっ、んぅ、あっ……ああ」
セリアスがズボンを脱いで雄々しく猛った昂りを我の秘部へ押し付ける。
「ぁ……ぁあ……」
グッと腰が押し進められて、少しずつ圧迫感が増やされていく度に身体がぶるぶると震えてしまう。力が籠もって枕を握る手に爪が食い込む。目尻に涙が浮かんで視界がぼやけてきたと思ったら、途中から一気に突き上げられた。
「ふぁあああっっ!」
「くっ……う、デジィ」
思わず身体を仰け反らせてしまう。刺激に耐えられず達してしまう。まだ後ろは絶頂の余韻に震えているにも構わずセリアスは腰を揺さぶってくる。
『パチュンッ! パチュン!』
「んぁっ……んっんんっ! セリアス、セリアス、激しい」
肌と肌がぶつかる乾いた音と水音が混ざって響く。激しく動いている為かベッドの軋む音も加わって、部屋の中に反響する音がさらに我を追い込んでくる。
しかし、あのセリアスが無我夢中で我の身体を求めているのは、悪くないと思った。
優越感に浸っていると、胸の突起を強く引っ張られる。
「ひっ!? ぁあん!」
不意の刺激に耐えられなくなり、枕から手を離してセリアスの腕へ手を添える。自分の体制の変化で腰を突き出してしまい、セリアスの昂りが奥の奥まで挿さる。目の裏で光がチカチカ光って、意識が飛びそうなほど気持ちよくて口から涎が垂れた事にも気付かずに快楽に溺れてしまう。
『ビュルルッ』
「……あ、ぁ……なか」
我の中へ欲を吐き出されたと同時に、また達してしまった。
「デジィ」
余韻で意識が朦朧とする中、後ろから強く肩を掴まれたと思うと身体の向きを変えられる。半分身体を起こされてセリアスが身動ぎする度に中に吐き出された精液がこぽこぽと溢れてしまう。その感覚が酷く気持ちよくて身体を捩ると、今度は脚を抱えられながら挿入される。
「あぅうっ……あっ!」
「デジィ……すまない、止まらない」
「ッ」
射抜かれそうな程の熱視線を浴びせられる。
ああ……これは、シーツがダメになる。
妙に冷静な脳裏で、これから起こる惨状を分析していた。
『ガチガチ』
『ガリッ……ギギギ』
情事の音に歯がぶつかる音と皮膚に爪を立てる音が混じり始める。
鋭利な歯で血の滲む唇を舐め取りながら続く口付けと、優位を奪おうと掴み合えば爪が皮膚に食い込む。
興奮により血流が速まり、流れる血潮の量はいつもの倍以上だ。
「はぁ……はあっ」
「……ッ……」
だが、お互い全力を出し合っていた為限界が近いのもわかっている。
我はもう何度達したかもわからない。興奮で目が血走るセリアスもかなり疲労の色が濃い。荒い呼吸を繰り返すセリアスの口から滴り落ちる血の混じった涎を舐め取りたい衝動を抑えながらぼんやりと顎を伝って我の鎖骨に滴り落ちる光景を見続ける。
もうどちらの物かわからない紅白の体液で全身ぐちゃぐちゃだが今更気にする程の自制心は我にもセリアスにもない。
『グチュ』
「あ"っ」
「デジィ……デジィ……」
爪が引っかかりところどころ破れたストッキング。だが、未だにガーターベルトは無傷で、Tバックも布をズラしたまま挿入され続けていた。
本当に……好きなんだな。意外だ。
膝立ちの状態で手首を掴まれて、後ろへ引っ張られながら、腰を打ち付けられる。
『パチュ、ズニュン!』
「あ……ああ、もぉ、どんだけ……お気に入りなんだ、変態」
「お互い、様だ」
「んぁあ、ぁあ……イ、く、またイく」
「ああ……私、も……」
『グプッ……ドプン』
一際強く引き寄せられて、前のめりになった瞬間にセリアスが脱力してしまい後ろから押し潰すように倒れ込んできた。そして首筋に感じる荒い呼吸に興奮してしまい、セリアスが射精している間もずっと甘イキが止まらなかった。
「はーっ……はーっ……」
「……はぁ」
龍人同士というのもあり、力加減を気にする事なく事に及んでいるが、今日は特に激しかった。
予想はしていたが、ベッドのシーツが事故現場みたいな事になってる。
『コプッ』
「あ、う……溢れて、くる」
大量に注がれた精液が、突き上げた尻から溢れる。
腿を伝ってシーツを汚してしまう。
今更汚れきったシーツを庇う必要などないのだが、セリアスのを零すのは勿体無く感じて、腿に手を潜らせて後孔に蓋をする。
「デジィ……ただの精液だ。孕んでない」
「違う。孕む、孕まない、関係なく……お前のを零したくないんだ」
「…………」
「あえ? なんでまたおっきく……ま、待って! もう限界だかッりゃ、あッ!」
歯止めの効かないセリアスは絶倫だった。いやぁ、酷い目に合った。
けれど、案外……悪くないとも思った。
応援ありがとうございます!
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