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閑話休題:ご褒美

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 三ヶ月の調整期間を経て挑んだ大会は良い結果に繋がった。
 趣味で参加していたアマチュア大会から縁が出来て、ココに参加させてもらっている。無所属だし、ファイトマネーも受け取っていないが……優勝したら別だ。

「(優勝賞金が今回は……あーあ、今年も確定申告やんなきゃ)」

 必要書類、後で頼まないと。
 振り込まれた額を見て苦い溜め息を吐くのは俺ぐらいだ。
 
 更衣室で髪を解き、着替えてから主催側の人に書類の手配をお願いしてから会場を出て帰路につく。
 張り詰めた気持ちが緩み、目尻が下がる。
 三ヶ月もストイックに生活してきたから反動で、今めちゃくちゃSEXしたい。
 仕事も並行して頑張ったんだから、とびきりのご褒美が欲しい。
 
「(試合後で身体が昂ってるから、力加減間違えそう)」

 怪我をさせてしまうかもしれないから、女性とネコ男性は除外して考える。
 そうなると、今日予定が空いてる可能性がある近場のセフレは一人だ。

「……マジか。はは」

 考えただけで、腹部の奥が切なく疼き始めた。身体がもう期待している。なんて気が早い。

「(十君とのSEXは格別に気持ちいいもんね)」

 文句なしのご褒美だ。
 けど、相手の予定が空いてるかは運だ。三ヶ月も経ってるし、忘れられてる可能性もある。
 けど、もう彼以外は考えられなくなる。身体が求めている。
 それに、十君と過ごす時間は他のセフレと違う。
 その違いについては目を逸らしておこうと思う。後腐れは残さぬように。
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