一億円の福袋と空っぽの僕ら

北大路京介

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深夜、身を隠した郊外のファミリーレストランで、二人は向かい合った。 ルカは、プラスチックのコップに入った冷めたコーヒーを見つめ、不意に漏らした。

「私は、数字で測れないものは信じないことにしているんです。優しさとか、誠実さとか、そんな形の崩れやすいもの。一億円は、一億円分の自由を保証してくれる。だから、あなたのような無防備な人が理解できない」

武史は、福袋の中から出てきた安い加湿器を箱から出し、愛おしそうに撫でた。 「石川さんは、この加湿器がいくらに見えますか。僕にとっては、これがあると明日起きた時に喉が痛くない、その安心の値段なんです。数字にできないから、大切にできるものだってあるんじゃないでしょうか」

その言葉に、ルカの仮面がわずかに揺らいだ。彼女が必死に守ってきたのは三丸屋のプライドか、それとも自分を縛り付けてきた孤独だったのか。

追っ手の手はすぐそこまで伸びていた。ルカは百貨店内部に潜む不正を暴くため、そして武史を守るために、ある計画を立てる。武史は「自分は運が悪いから」と怯えながらも、逃走中に立ち寄る先々で、ある「仕掛け」を施し続けた。

そして三日の夜、ついに追い詰められた百貨店のロビーで、二人は決死のブラフを仕掛ける。
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