推し(勇者)に貢ぎすぎた魔王、うっかり資金が底をつく。――レベル上げを最適化した結果、勇者がカジノに引きこもって世界が止まった。

唯崎りいち

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推しすぎ魔王、勇者に尽くしすぎて世界が止まる

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 私は魔王なのに、勇者を愛しすぎてしまった。

 だから、勇者の家の周りには弱いモンスターを配置した。

「よし、では、あの塔はお前に任せよう」

「は!」

「良いのですか? 奴は四天王でも最弱……」

 だから良いのだ。
 
 こっちだぞと勇者を誘導する。

 モンスターは私と勇者をつなぐ駒だ。

 強くなって、魔王城に早く会いに来て! 勇者様。

◆◇◆

「なんだか敵がちょうど俺が倒しやすいレベルばかりになっている気がする」

「えー? 気のせいですよ勇者様~」

「モンスターが勇者様にレベルに合わせて配置してあるって? そんなわけないって」

「そうか?」

 魔法使いと賢者が言うんだからそうなんだろう。

 まあ、なんでも疑う、そんな前世からの自己肯定感の低い考えは捨てたんだ!

『強くなって、魔王城に早く会いに来て! 勇者様。』

 こんな手紙を貰ったんだ、隠キャは卒業だ!

「こんな得体の知れない手紙が来たからって勇者になるなんて、チョロいって」

「ウチらは報酬が貰えればなんでもやるからいいけど~」



 草むらに宝箱が見えた。

「ラッキー! 何が入ってるかなぁ」

「あ、あっちにもある~!」

「うわっ! 伝説の剣じゃん!」

「ゴールド、いっぱ~い」

「え!?」

 おかしい。

 こんな事ってあるか?

 もしかしたら、昔助けたモンスターが、今度は俺を助けてくれているのかもな。

「なにそれ、モンスターとの恋愛。ウケる!」

「モテないとモンスターまで恋愛対象なの~。キモっ!」

 ……。

 同じ事を言われて、モンスターを捨てさせられた。

「お前ら報酬持って帰れ」

 オタクに優しいギャルだと思って雇ったのが間違いだった。



「うそ! メタル系モンスター!」

「経験値とお金がザックザク~!」

「いや、お前ら帰れって!」

「勇者様といるとお金も経験値も楽に貯まるし、離れたくない!」

「気のせいじゃなくて、勇者様を成長させる用に配置されてるのかも~」

「こんな楽にお金が手に入ったら、成長しないけどね!」

「成長しなくていいんだ」

「え~?」

「い、いいの、勇者様!」

 俺が勇者になった本当の理由。

 金を貯めて誰にも邪魔されない俺だけの場所を作る。

 ギャルの洗礼を受けて思った。

 隠キャはやっぱり引きこもるのみ!

◆◇◆

 勇者様。

 昔、助けて貰った貴方に、世界をあげます。

 さあ、すべてのモンスターをたおして世界の英雄になって!

「魔王! 勇者が!」

「ついに来たのか!」

「いえ、金が貯まったから、カジノを開くそうです」

 ……。

「え?」

 ……。

 え?

 私は勇者を、愛しすぎた。

 いや、貢ぎすぎた。

「魔王様! 今日の夕食の材料がありません!」

 ……。

 勇者様の存在だけで、私は滅ぼされました。

◆◇◆

 カジノの闘技場に私はいる。

「ここなら、お前と一緒にいられる」

 勇者も魔王を、愛しすぎた。

「人間の女は怖いし、お前と引きこもってるのが一番だ」

「勇者の気持ちは私が分かってるから」

 勇者と魔王は、今日もカジノで働いている。
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