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アナザールート その40 side 夕立 約束
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今回もエロはございません…
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織田さんの胸でさんざんに泣きじゃくった。
そして、ようやく泣き止んだ頃、織田さんの温かい手が僕の頭を撫でる。
「夕立殿、なんとか落ち着きましたかな?」
僕はコクリとうなずいて、織田さんの胸から離れる。
「取り乱してしまってごめんなさい。時雨ちゃんをよろしくお願いします。」
そう言って、頭を下げた。
この人なら、時雨ちゃんを助けてくれる。
そんな安心感と、こんな僕にまで気を遣ってくれる優しさに感謝した。
「いえいえ、可愛い子を抱き締めて胸を貸すなど拙者にとってはご褒美です。
お気になさらずに。ところで、少しお願いが•••」
「私に出来る事なら何でも言って下さい!」
ふんっ!と鼻息を吹いて、ガッツポーズで即答する僕。
「やはり時雨殿はちゃんとした医者に診せるべきと思うのですが•••裏社会には、こういった場合に、秘密を守ってくれる医者の伝手などあるものではないかと。」
そういえば、それらしい医者を何度かお店で見かけたことがある。
「お金なら拙者が全額出しますから、ご心配なく。
そういった医者をご紹介いただけたらと•••」
「ちょっと待って下さい。」
僕はそう言ってスマホを手に取る。
僕には分からないけれど、お兄さんなら知っているに違いない。
そのまま電話をしてお兄さんに、かいつまんで事情を説明する。
「ああ、そういう医者なら知り合いがいる。
俺から電話して話しを通しておくから、向かってもらってくれ。
場所は今LINEで送るよ。」
「ありがとうございます。•••でもいいんですか、時雨ちゃんを織田さんに預けても?」
電話の向こうで、お兄さんが、"はーっ"とため息をついて、ガリガリと頭を掻く音と気配が伝わってくる。
「いいわきゃねえだろう!!
昨夜の事は何から何まで犯罪行為だぞ。
その秘密を部外者に漏らした挙句、被害者を他人預けるなんてなぁ!!
そんな事をさせないのが俺の仕事なんだよ。」
電話の向かうでお兄さんが語気を強くする。
僕は、ひっ、と思わず首をすくめてしまう。
でもそれに続く言葉は優しかった。
「だけどな、織田さんは時雨とお前が見込んだ男なんだろう。
それなら俺も信じるさ。この事は俺の胸にしまっておくさ。」
「お兄さん•••。」
「たからな、万一のことがあったら時雨にも、織田さんにも迷惑がかからないように俺らでケツ持ちをしてやらなくちゃいけない。
腹括れよ夕立、男と男の約束だ。」
僕はコクリと頷いて、電話を切った。
直ぐにお兄さんから、医者の住所と電話番号がLINEに届いた。
それを織田さんに見せ、そして大切なことを伝える。
「織田さん、もし•••万一•••、時雨ちゃんに何かあった時は僕に連絡を下さい。
後の事はお店で処理します。」
この場合の万一とは、時雨ちゃんが死んでしまうこと、その時は死体は秘密裏にお店側で処理をする。
そんな事は考えたくもないけれど。
例え、そうなったとしても織田さんに迷惑はかけられない。
だから、その時は僕とお兄さんで時雨ちゃんをここに連れ帰って、それからお店に報告しなければいけない。
「承知しました。そんな事が無いよう最善を尽くす事をお約束します•••が、万一の際は、必ず夕立殿にご連絡させていただきます。」
織田さんも言葉の意味を理解してくれたのだろう。
神妙にうなずいて約束してくれた。
「さて、それでは•••時雨殿をお連れさせていただきましょう。
恐縮ですが、手伝っていただいてよろしいですか?」
「はい、任せて下さい!」
そうして、時雨ちゃんを背負った織田さんを助け、何とか時雨ちゃんを織田さんの乗ってきた軽自動車の助手席に乗せた。
更に眠っているように見せる為に毛布をかけてあげて、送り出した。
織田さんと時雨ちゃんが乗った車が見えなくなるまで、僕は深々と頭を下げて見送った。
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織田さんの胸でさんざんに泣きじゃくった。
そして、ようやく泣き止んだ頃、織田さんの温かい手が僕の頭を撫でる。
「夕立殿、なんとか落ち着きましたかな?」
僕はコクリとうなずいて、織田さんの胸から離れる。
「取り乱してしまってごめんなさい。時雨ちゃんをよろしくお願いします。」
そう言って、頭を下げた。
この人なら、時雨ちゃんを助けてくれる。
そんな安心感と、こんな僕にまで気を遣ってくれる優しさに感謝した。
「いえいえ、可愛い子を抱き締めて胸を貸すなど拙者にとってはご褒美です。
お気になさらずに。ところで、少しお願いが•••」
「私に出来る事なら何でも言って下さい!」
ふんっ!と鼻息を吹いて、ガッツポーズで即答する僕。
「やはり時雨殿はちゃんとした医者に診せるべきと思うのですが•••裏社会には、こういった場合に、秘密を守ってくれる医者の伝手などあるものではないかと。」
そういえば、それらしい医者を何度かお店で見かけたことがある。
「お金なら拙者が全額出しますから、ご心配なく。
そういった医者をご紹介いただけたらと•••」
「ちょっと待って下さい。」
僕はそう言ってスマホを手に取る。
僕には分からないけれど、お兄さんなら知っているに違いない。
そのまま電話をしてお兄さんに、かいつまんで事情を説明する。
「ああ、そういう医者なら知り合いがいる。
俺から電話して話しを通しておくから、向かってもらってくれ。
場所は今LINEで送るよ。」
「ありがとうございます。•••でもいいんですか、時雨ちゃんを織田さんに預けても?」
電話の向こうで、お兄さんが、"はーっ"とため息をついて、ガリガリと頭を掻く音と気配が伝わってくる。
「いいわきゃねえだろう!!
昨夜の事は何から何まで犯罪行為だぞ。
その秘密を部外者に漏らした挙句、被害者を他人預けるなんてなぁ!!
そんな事をさせないのが俺の仕事なんだよ。」
電話の向かうでお兄さんが語気を強くする。
僕は、ひっ、と思わず首をすくめてしまう。
でもそれに続く言葉は優しかった。
「だけどな、織田さんは時雨とお前が見込んだ男なんだろう。
それなら俺も信じるさ。この事は俺の胸にしまっておくさ。」
「お兄さん•••。」
「たからな、万一のことがあったら時雨にも、織田さんにも迷惑がかからないように俺らでケツ持ちをしてやらなくちゃいけない。
腹括れよ夕立、男と男の約束だ。」
僕はコクリと頷いて、電話を切った。
直ぐにお兄さんから、医者の住所と電話番号がLINEに届いた。
それを織田さんに見せ、そして大切なことを伝える。
「織田さん、もし•••万一•••、時雨ちゃんに何かあった時は僕に連絡を下さい。
後の事はお店で処理します。」
この場合の万一とは、時雨ちゃんが死んでしまうこと、その時は死体は秘密裏にお店側で処理をする。
そんな事は考えたくもないけれど。
例え、そうなったとしても織田さんに迷惑はかけられない。
だから、その時は僕とお兄さんで時雨ちゃんをここに連れ帰って、それからお店に報告しなければいけない。
「承知しました。そんな事が無いよう最善を尽くす事をお約束します•••が、万一の際は、必ず夕立殿にご連絡させていただきます。」
織田さんも言葉の意味を理解してくれたのだろう。
神妙にうなずいて約束してくれた。
「さて、それでは•••時雨殿をお連れさせていただきましょう。
恐縮ですが、手伝っていただいてよろしいですか?」
「はい、任せて下さい!」
そうして、時雨ちゃんを背負った織田さんを助け、何とか時雨ちゃんを織田さんの乗ってきた軽自動車の助手席に乗せた。
更に眠っているように見せる為に毛布をかけてあげて、送り出した。
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