男の娘レイヤー時雨-メス堕ち調教-

清盛

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アナザールート その79 躾 その6 別離

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今回も、エロはございません・・・

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窓のない地下室、明かりを消されたそこは完全な暗闇だった。
 
その暗闇の中で、後ろ手に縛られて床に座り込んでいた。
 
見に纏うものといえば、まだ喉仏も飛び出していない、か細い首につけられた首輪と、その首輪から天井に伸びる鎖。
 
そして、両耳を覆うヘッドホンと、それを頭に固定するためにぐるぐる巻きに巻かれた革ベルト。
 
ヘッドホンからは僕自身が口にした言葉がでピート再生され続けている。
 
「僕はゴミクズです、生まれてきてごめんなさい。
 
僕は生まれつきのマゾメスです、ご主人様に虐めてもらうために生まれてきました。
 
僕には、生きる価値なんてありません。」
 
横になってボロボロの身体を休めることもできず、ただ自分の言葉で、自己肯定感も、矜持も、理不尽な運命に抗う気力も、そういった全てが摩耗させられてゆく。
 
そんな、暗闇の中で、僕はひたすらにある人の名を呟き続けていた。
 
「織田さん・・・、織田さん・・・オダさん・・・おださん・・・」
 
僕をお嫁さんにしたいと言ってくれた優しい人。
僕のたった一つの小さな希望。
 
その名を呼んでいれば、悪意に侵食されてゆく精神をかろうじて守ることができる気がした・・・
 
 
そんな、無限とも思える闇の終わりは突然訪れる。

急に電灯が灯って、部屋の中を明るく照らし、暗闇に慣れた網膜を強烈な灯りに焼かれる。
 
「ぅあッ!」
 
そのショックで、僕は呻き声をあげる。
 
その直後だった。
僕の首にはめられた鎖、それが何の前兆もなく天井に向けて引っ張られた。
 
「えっ・・・!な・・・に?、どうして!?」
 
僕は、訳も分からず、鎖に引っ張られるようにして床から立ち上がる。
 
立ち上がりながら首を振って周りを見渡すけれどこの地下室には僕1人しかいない。
 
首輪を引っ張る鎖に目を向けると、微かなモーター音と共に鎖が天井に穴にゆっくりと引き込まれてゆくのが見える。

この部屋には最初からそういう仕掛けが組み込まれていたのだろう。
 
このまま、鎖を引っ張られ続ければ、僕はほどなく絞首刑にされるようにして殺されてしまう・・・
 
背筋に冷水を浴びせられたような恐怖感が走る。
 
こんな、誰にも見られない地下室の中で、たった1人で孤独に死んでゆくのか。
自由にもなれず、織田さんにも会えずに・・・
 
「やめ・・・、どうし・・・て・・・助けて!助けてぇえええ!」
 
僕はガタガタと震えながら叫んだ。
理不尽過ぎる仕打ちに涙が溢れ、救いを求めて周囲を見回す。
 
その時だった、地下室のドアが開き、ご主人様が現れた。

上半身は裸で、下半身だけ黒いスラックスを履き、手にはリモコンのような何かを持っている。
 
そんなご主人様の姿を見た時、まず僕が感じたのは“安堵”だった。
 
冷静に考えれば、僕を絞首刑にして殺そうとしているのは、まさに目の前にいるこの人のはずだった。
 
だけど、パニックに陥った僕にとって、ご主人様は、今殺されそうになっている僕を救ってくれるただ1人の人。

それしか考えられなかった。
 
「ご・・・ご主人様・・・助けて・・・助けて下さい・・・」
 
恐怖で引き攣っていた泣き顔が、自分を救ってくれる人への、それも無意識のうちに僅かな媚びを含んだ笑顔に変化してゆく。
 
「お願い・・・助けて・・・」
 
だけどご主人は、何も話してくれない。

それどころか少し怒気を含んだような無表情で、今まさに首を吊られて殺されるそうになっている僕をただ眺めている。
 
「ごめんな・・・さ・・・い・・・」
 
何か怒っているように見えるご主人様に、訳も分からず謝罪の言葉を口にし、目線を伏せる。
 
「うぐっ!」
 
そして、ゆっくりと天井の穴に引き込まれてゆく鎖とそれに引っ張られる首輪が、とうとう僕の首に食い込み始める。
 
僕は爪先立ちになって、後ろ手にしばられたままの身体を真っ直ぐに伸ばして僅かばかりの高さを稼ぐ。
 
「ご・・・しゅじん・・・さ・・・ま・・・ゆる・・・し・・・」
 
最後の哀願を込めて、ご主人様を呼ぶ。
ようやく、ご主人様は手にしたリモコンのようなものを操作し、鎖の動きが止まった。
 
僕は、首輪で上に引っ張られ、細い身体を精一杯に伸ばし、爪先立ちのままの脚をプルプルと震わせながら、ご主人様の表情を窺う。
 
ご主人様は、黙って僕に近づくと、その手を伸ばして、僕の顔にぐるぐる巻きにした革ベルトを解き、両耳を塞ぐヘッドホンを毟り取る。
 
そして、相変わらず怒ったような、不機嫌な雰囲気を纏ったまま、僕の両手を拘束していた革手錠を外すと、天井からぶら下がっている鎖に片手づつ繋ぎ、逆に天井から僕の首輪に繋がっている鎖を外した。
 
そうして、僕は絞首刑寸前の状況から、鎖で両手首を吊るされた“Y”の字の格好で拘束し直された。
 
その間、加虐者特有の酷薄な笑みさえ浮かべず一言の言葉も発しないのが不気味だった。
 
僕は、そんなご主人様におののきがらも、死の恐怖から解放された安堵の息を漏らす。
 
その時だった、ご主人様が僕の前髪を掴んで、思い切り後ろに引っ張る。
 
「あああ゛っ!!」
 
前髪に引っ張られて上向いて悲鳴をあげる僕。
ご主人様はそんな僕と鼻先が触れ合うほどの距離に顔を近づける。
 
その瞳には、初めて見るご主人様のギラギラとした激しい感情が漏れ出ていた。
 
「時雨・・・そんなに織田って奴が・・・あのデブが好きなのか?」
 
ご主人様の口から、低く、怒気を込められた言葉が溢れたその時、僕はご主人様が何を怒っているのかを理解できた。
 
織田さんの名を呼び、助けを求めた声を聞かれていたんだ。
僕が織田さんを好きなことが気に入らないんだ。
 
「織田って奴の事は、お前の調査報告にもあったから知っているぞ。
ずいぶんと仲が良かったらしいな・・・
此処に来る前は奴の家に入り浸りだったしなぁ!」
 
「あ・・・あ・・・」
 
どうしよう、なんて答えればいい。

下手な答えかたをすれば織田さんにまで迷惑をかけしまうかもしれない。
 
「織田さんのことは・・・好きでした・・・
でも・・・もう、終わりです・・・
もう・・・会えません、合わせる顔も・・・ありません。
僕は・・・僕は・・・これから・・・ご主人様の愛奴になって・・・生きていきます・・・」
 
必死で口にする心にもない言葉。
自分からご主人様の奴隷になると宣言までしていた。
 
その言葉が僕に心をズタズタに傷つけてゆく。

僕はその心の痛みに、大粒の涙を流しながらも、たどたどしく言葉を紡ぎはじめる。
 
だけど、そんな言葉では、とてもご主人様を満足させることなど出来はしない。
 
バシン!
 
ご主人様の手のひらが僕の頬を打つ。
手加減なしの一撃だった。
 
「ああっ!」
 
大人の男の人の力で思い切り殴られた衝撃で軽い脳震盪を起こし、身体に力が入らなくなって、僕は天井に両手を繋いでる鎖に吊り下げられた体勢でがっくりと首を落とした。

「う・・・ぁぁ・・・」
 
そんな僕のアゴに手を伸ばしたご主人様に、無理矢理上を向かされて、僕は小さく呻き声を漏らす。
 
「その場凌ぎの嘘ばかり言いやがって・・・そんな顔で言っても織田への未練が透けて見えるんだよ!!
どうせ俺よりあいつの方がいいんだろう?!」
 
この人に出会って初めて、こんな強い生の感情を叩きつけられたのは初めてではないだろうか。
 
その、あまりにも身勝手で理不尽な言いように・・・萎え切ったはずの心の奥にふつふつと怒りの感情が湧き上がってくる。
 
“あたり前です、優しい織田さんと貴方では比べようもないです。いや、比べるのが失礼です!!”
 
そんな言葉が喉元まで出かかったけれど、かろうじてそれを飲み込み、黙ってご主人様を睨む。

その瞳には、怒りと反発心が漏れ出るのを抑えきれない。
 
そんな僕を見て、ご主人様が今日初めて笑った。

ただし、それは、織田さんのような優しい笑顔ではなく、獲物を前に舌舐めずりする猛獣の獰猛な笑顔だった。
 
そして、ご主人様は酷薄な笑みをそのからに貼り付けたまま、スラックスのポケットから何かを取り出す。
 
「僕のスマホ・・・」
 
それは、お店の運転手兼用心棒のお兄さんに取り上げられた僕のスマホだった。
 
ご主人様はその指紋認証部に僕の親指を押し付けてロックを解除すると、僕のスマホを操作し始めた。
 
「これか・・・ずいぶんとアイツと仲がいいなぁ、時雨よ」
 
そして僕の鼻先に掲げたスマホの画面に表示されているのは、僕と織田さんのLINEのトークだった。
 
「やっ・・・見ないで・・・返して下さい!!」
 
僕は、究極のプライベートとも言える部分を見られる恥ずかしさと屈辱感に身体を捩り、スマホを取り返したくてめちゃくちゃに暴れた。
 
だけど、それはどうにもならない無駄な抵抗に過ぎない。
 
チビでひ弱な僕がどんなに力を込めても、両手首を拘束する鎖はガチャガチャと、無機質な金属音を立てるだけでビクともしない。
 
「返してぇ!!」
 
ご主人様はそんな僕をせせら嗤いながら、黙って僕のスマホをいじっている・・・そうして暫く経って、僕にその画面を向けて言った。
 
「ほら、これからこのメッセージを織田に送ってやるよ。」
 
僕と織田さん、2人だけのトークにご主人様が打ち込んだその文章それは・・・
 
“キモオタの織田さんへ。

僕は本当はあなたが大嫌いでした。
だって、デブで豚みたいだし。

いつも湿った雑巾みたいな匂いがして臭いし、
気持ち悪いくて、生理的に受け付けません。
自分を『拙者』とか呼ぶのも馬鹿っぽくて、本当は心の底から呆れていました。

それでもあなたと、付き合っていたのは、気前よくお金を落としてくれる上客だったから、それだけの理由です。

好意なんて一欠片もありませんでした。それどころか嫌悪感しかありません。

そして、僕はもうお店を辞めました。
あなたと付き合う理由はもう何処にもありません。

同じ空気を吸うのもごめんです、二度と僕に近づかないで、電話もLINEもお断りです。
 
じゃあね、せいぜい僕の見えないところでお金の力で他の男の娘を買って、卑しい性欲を満足させて生きて下さい。
 
いや、むしろ死ね。
あんたは生きているだけで社会の迷惑だ。
気持ち悪いんだよ、ブタ!!”
 
あまりにも悪意に満ちた織田さんへの罵倒と、拒絶の言葉の羅列だった。
 
そして、ご主人様の指はLINEの送信アイコンのすぐ上に置かれて、今にもそれを送信しようとしている。
 
「あ・・・ぁ・・・。駄目・・・」
 
氷の手に心臓を握り潰されるような絶滅感で身体を震わせ、ふるふると首を振る。
 
「やめて下さい・・・お願いだから・・・なんでも言うことをききますから。
だから・・・だからぁ!」
 
織田さんと過ごした日々は、僕に残された僅かばかりの暖かな記憶。
織田さんは、僕の残された最後の希望。
 
「だからなんだ?
お前には最初から拒否権なんて無いんだよ。
お前は、その身体も、心も、全部俺のモノだ。
アイツには二度と合わせない。
俺だけの愛奴に生まれ変わって、俺の為に生きて俺の為に死ね。」
 
その、最後の希望を守る為なら僕はプライドでも何でもかなぐり捨てよう。
土下座して足でもなんでも舐めても構わない。
 
「なります!
愛奴でも、奴隷でも・・・なんにでもなりますから、そのメッセージを送らないで下さい、
お願いだから・・・」
 
僕はただひたすらに懇願する。
最後の希望を奪わないでと。
救いの糸を切らないでと。
 
だけど、ご主人様にとっては、それこそが許せない事なのだ。
 
僕が織田さんの為に身体もプライドも・・・愛情以外の全てを投げうとうとしていることこそが、我慢ならないのだ。
 
それだから・・・ご主人様の親指は、ゆっくりと・・・僕に見せつけるように・・・送信アイコンをタップした。

「ああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!
駄目ぇえええええええええええええええええええええ!!!!」

僕は血を吐くように絶叫し拘束を解こうと力の限り暴れた。

今なら、今すぐならあのスマホを取り返して、電話で謝れば織田さんは許してくれるかもしれない。

僕は狂気じみて、
両手首が千切れても構わないとばかりに、鎖を引きちぎろうと両手をめちゃくちゃに振り回し、
いったん鎖を緩めてから勢いをつけて力いっぱい引っ張ったり、首を伸ばして鎖に噛みつこうとまでした。

だけど、現実は・・・この冷酷で残酷な現実は何も変わらない。

頑丈な鎖はビクともしない。

僕は1ミリもご主人様に近づけない。

すぐそこにあるスマホに手を伸ばすこともできない。

そんな僕を嘲笑しながら、ご主人様は僕と織田さんのトークにブロックをかけ、そしてトークそのものを削除してゆく様を見せつける。

僕は泣きながら、叫びながら、許しを乞いながら、その様子をただ見ていることしかできなかった。

織田さん・・・ごめんなさい・・・
僕は無力で、弱虫で・・・なんにも守ることができない子供です。

でも・・・せめて、ご主人様、いやこの男だけは・・・

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気に入って頂けましたら幸いです。

感想、ブクマ登録、などしていただけますと、
励みになります(^^♪
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