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一章・冒険者・ナナ

Bランク冒険者の魅力

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体も心も軽い。

翌日から私は精力的に依頼をこなした。

敵前線の撃退依頼。
奪われた砦の奪還依頼。
敵指揮官の撃破依頼。

数々の依頼をこなして大分財布も暖かくなった。

両親には私が無事でやってる手紙と一緒に仕送りをした。
別に私の仕送りが必要なほど貧しい暮らしをしてる訳じゃないけど、何らかの形で感謝と謝罪の気持ちを表したかったから。

離れて思う。
人間的感情が豊かとは言い難い私でも両親の事を愛していると。
戦場に出ればその男女比率の偏りを嫌でも味わい、私の無理がいかに両親を心配させたか。
それでも私の為にそれを堪えて送り出してくれた事への感謝。

そしてこんな術でしか生の充実を得られない事の謝罪。


(これからも仕送りは続けよう。
せめて多少贅沢を出来る暮らしをしてもらいたい。)


私は今日も戦場に1人立つ。

ーーーーー

時は少し経ち、私はBランクの冒険者認定を受けた。
もともとBランク相当と思しき対人戦の依頼ばっかり受けていたから依頼周りの変化はない。

しかし、私にとってとても重大な事があった。

それは、Bランク以上の冒険者は依頼を受けた日に限りギルドが提携している酒場でご飯が一食無料で食べられる事!

これが美味しい!
私の母が料理が上手かったかどうか、正直私にはわからない。
けど王都の料理は種類が圧倒的に豊富。
知らないお肉、知らない香り、知らない味付け。
どれをとっても私の知らない世界だ。
今日の“鶏肉の串焼き・胡椒”なんて最高だった。
塩とも違う塩っぱさと香ばしさ、私の故郷にはなかったものだ。

ああ、私は今剣以外で初めて明確に娯楽を感じている。
…少し大仰かもしれないけど、私は毎日楽しみにしているんだ。
勇気はいるけど、こんな事もあるから体験する事は大事だなぁ。

さぁ、今日は敵の魔導士の撃破依頼だ。
魔導士を相手にするのは初めてだけど、心身共に充足してる私は強い。
あまり感じた事のない自信のようなモノが私の中に芽生えた。

私はカウンターの前をなるべく聞こえるように「ご馳走様でした」と言って酒場を出た。
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