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二章・領主・ナナ
超人達の大工仕事
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木を切り、倒れるまでの間に枝を切り、地面に接する頃には皮を剥く。
大分この作業にも熟達してきた。
丸太の山を築いた頃、土台を打ち込み終わったであろう彼がきた。
「この短時間でこの仕事ぶり…凄まじいな。
林業者が泣くぞ。」
先程のアレを見ているから、彼に褒められても素直に喜べない。
「このくらいルシェイルだって出来ますよ。
私には先程の“杭打ち”は出来ませんけどね。」
「おいおい、買い被るな。
私にはこんな繊細な技はない。一長一短さ。」
「……はい。」
(…………。)
「よし、次は打った土台に板を敷いていきたい。
ナナ、この丸太を板に出来るか?」
以前なら、こういう自分の腕を人に見せつけるような行為は苦手だった。
でも今はなんだか、見てほしい。
役に立ちたい。
丸みを帯びた部分を全て切り落とし、巨大な一つの角材となった丸太を等間隔でスライスし板を作った。
「……言っておくが、私にこれは出来んぞ。」
「…ちょっと、安心しました。」
お互い少し笑うと、私は板作り、彼は板張りに各々戻った。
板の使用頻度は恐らく高いという事で、今回切った丸太の山は全て板にする事になった。
(って事は、まだ肝心の家の骨子用にまだ丸太がいるのね。)
私が剣を振るう道を自分で選んでおいてなんだけど、他の道で私が役に立っている事が妙に嬉しいような気がする。
ーーーーー
「ここに切れ込みをいれてくれるか?」
小刀で彼がつけてくれた跡を私が切り取る。
「まるでバターだな…。」
ルシェイルが作った土台の上に、丸太の端と端に切れ込みを入れ交互に組んでゆく。
接合する部分をお互い凹凸を持たせパズルの用に繋ぎ合わせる。
こうして容易に崩れない、四方を丸太で囲んだ家の枠組みがあっという間に完成した。
「おぉ……
意外と形になるもんだな。」
「すごい…。」
私の脳内で崩れ去った家とは大違いの出来だ。
「あとは屋根だが、少し休憩しよう。
魚は食えるか?」
「あ、はい。
私が獲ってきますよ。」
「ん、いや一緒に行こう。」
昨日、私が大の字で寝そべっていた川。
そう、まだアレは昨日の出来事だったんだ。
なんて濃い一日だろう。
昨日と同じように魚の腹を下から打ち上げ、手掴みでとる。
「流石に鮮やかだな。」
彼はというと、下段突きの構えを取り水面向かって拳を振り下ろした。
ちょうど水に浸かるかどうかの所で拳を止めたように見えたが、川に浸かる私の足にはビリビリとした衝撃を感じる。
そして、一拍を置いたのち魚が二匹、プカプカと浮いてきた。
「しまった、一匹でよかったんだが…。
やはり私は繊細さに欠けるな。」
どうも拳圧で魚を気絶させたようだ。
(あ、相変わらず無茶苦茶な人ですね…)
「ファイア」
先程の材木の余りをかき集め、私達は火を囲んだ。
「ルシェイルは魔導も使えるのですね。」
「これでも一国の将だからな。
日常魔導はある程度使えるし、状況次第では戦場でも使うぞ。
ナナは使わんのか?」
「はい、というか使えません。
魔導の勉強そっちのけだったので。」
「まぁ、他の犠牲を払った先にお前の剣があると思うと、その選択は正しかった気もするな。」
「…そうですかね?」
「なんだ、自信がないのか?」
「分かりません。
ここまでの腕を持つに至った事に後悔はないのですが、人を切る事が本質な以上私は…。」
言葉が続かなかった。
人を殺傷する道を正道ととは言ってはいけないと考える私は、所詮邪の者で虚しいのだ。
「…私も、戦う術ばかりを学んできた身だから、お前が何を言いたいかはなんとなく分かるつもりだ。
そして私は私なりにその事に答えは出している。
だが私とお前が同じ答えを出す事はないし、自分の人生の答えは自分がもがいて導き出す物だと思う。
まぁ、今は悩む時なのだろう。
だが、戦場では死ぬから考えるなよ?」
「…はい。
ありがとうございます。」
許されたい訳じゃない。
邪道を歩んだ自分を責めてるわけじゃない。
ただ自分の道を、自分で信じてあげたい。
そういう答えをいつか出せたらいいのだけど。
大分この作業にも熟達してきた。
丸太の山を築いた頃、土台を打ち込み終わったであろう彼がきた。
「この短時間でこの仕事ぶり…凄まじいな。
林業者が泣くぞ。」
先程のアレを見ているから、彼に褒められても素直に喜べない。
「このくらいルシェイルだって出来ますよ。
私には先程の“杭打ち”は出来ませんけどね。」
「おいおい、買い被るな。
私にはこんな繊細な技はない。一長一短さ。」
「……はい。」
(…………。)
「よし、次は打った土台に板を敷いていきたい。
ナナ、この丸太を板に出来るか?」
以前なら、こういう自分の腕を人に見せつけるような行為は苦手だった。
でも今はなんだか、見てほしい。
役に立ちたい。
丸みを帯びた部分を全て切り落とし、巨大な一つの角材となった丸太を等間隔でスライスし板を作った。
「……言っておくが、私にこれは出来んぞ。」
「…ちょっと、安心しました。」
お互い少し笑うと、私は板作り、彼は板張りに各々戻った。
板の使用頻度は恐らく高いという事で、今回切った丸太の山は全て板にする事になった。
(って事は、まだ肝心の家の骨子用にまだ丸太がいるのね。)
私が剣を振るう道を自分で選んでおいてなんだけど、他の道で私が役に立っている事が妙に嬉しいような気がする。
ーーーーー
「ここに切れ込みをいれてくれるか?」
小刀で彼がつけてくれた跡を私が切り取る。
「まるでバターだな…。」
ルシェイルが作った土台の上に、丸太の端と端に切れ込みを入れ交互に組んでゆく。
接合する部分をお互い凹凸を持たせパズルの用に繋ぎ合わせる。
こうして容易に崩れない、四方を丸太で囲んだ家の枠組みがあっという間に完成した。
「おぉ……
意外と形になるもんだな。」
「すごい…。」
私の脳内で崩れ去った家とは大違いの出来だ。
「あとは屋根だが、少し休憩しよう。
魚は食えるか?」
「あ、はい。
私が獲ってきますよ。」
「ん、いや一緒に行こう。」
昨日、私が大の字で寝そべっていた川。
そう、まだアレは昨日の出来事だったんだ。
なんて濃い一日だろう。
昨日と同じように魚の腹を下から打ち上げ、手掴みでとる。
「流石に鮮やかだな。」
彼はというと、下段突きの構えを取り水面向かって拳を振り下ろした。
ちょうど水に浸かるかどうかの所で拳を止めたように見えたが、川に浸かる私の足にはビリビリとした衝撃を感じる。
そして、一拍を置いたのち魚が二匹、プカプカと浮いてきた。
「しまった、一匹でよかったんだが…。
やはり私は繊細さに欠けるな。」
どうも拳圧で魚を気絶させたようだ。
(あ、相変わらず無茶苦茶な人ですね…)
「ファイア」
先程の材木の余りをかき集め、私達は火を囲んだ。
「ルシェイルは魔導も使えるのですね。」
「これでも一国の将だからな。
日常魔導はある程度使えるし、状況次第では戦場でも使うぞ。
ナナは使わんのか?」
「はい、というか使えません。
魔導の勉強そっちのけだったので。」
「まぁ、他の犠牲を払った先にお前の剣があると思うと、その選択は正しかった気もするな。」
「…そうですかね?」
「なんだ、自信がないのか?」
「分かりません。
ここまでの腕を持つに至った事に後悔はないのですが、人を切る事が本質な以上私は…。」
言葉が続かなかった。
人を殺傷する道を正道ととは言ってはいけないと考える私は、所詮邪の者で虚しいのだ。
「…私も、戦う術ばかりを学んできた身だから、お前が何を言いたいかはなんとなく分かるつもりだ。
そして私は私なりにその事に答えは出している。
だが私とお前が同じ答えを出す事はないし、自分の人生の答えは自分がもがいて導き出す物だと思う。
まぁ、今は悩む時なのだろう。
だが、戦場では死ぬから考えるなよ?」
「…はい。
ありがとうございます。」
許されたい訳じゃない。
邪道を歩んだ自分を責めてるわけじゃない。
ただ自分の道を、自分で信じてあげたい。
そういう答えをいつか出せたらいいのだけど。
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