私のレンズに写るものは 〜視覚障害を持つ少女〜

梅屋さくら

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1. 〜光穂〜

 黒、黒、黒……私に見えるものはたったそれだけ。
本当はこれが黒色なのかすらわからない。
だって他の“色”というものを知らないんだもの。

 私は生まれつき目が見えない。全盲だ。
私が小さい頃はお母さんが泣きながらよく謝っていたような記憶がある。
『健康に産んであげられなくてごめんね』って。
 でも私はぜんぜんお母さんを恨んでなんかいない。
お母さんたちの好きな絵は鑑賞できないけど、私は大好きなものを見つけることができた。
なにかって? ……クラシック音楽。
聴いているだけで頭にイメージが浮かんだり、たくさんの楽器が重なったり、私の人生にはクラシック音楽はずっと一緒にいたものだと思う。

 そして私が長く一緒にいるのは音楽だけじゃない。
特別支援学校で5歳くらいの頃に出会った理人《りひと》もだ。
彼は生まれつき耳が聴こえない。
だから私の聴いている音楽を彼と一緒に聴いたことはないけれど、彼はバスケットボールがとても得意で、彼がボールを操る音を聞くのが私は好きだった。

 私がつまずいて転んだ時に彼が声をかけてくれたのがきっかけだったと思う。
声をかけるとはいっても、理人はコンピュータに文字を打ち込んでそれが代わりに話すのでかけてくれた声は無機質な機械音だったけれど。

「目が見えないから怪我ばっかりでやだー」

 と泣き叫ぶ私を見て、なぜか理人も泣いていたっけ。
モコモコしたエプロンを着た先生が来てくれて頭をゆっくり撫でて慰めてくれた記憶がある。

 それから信頼していた友達に突然縁を切られることが何度かあって私は人を信用することが怖くなってしまった。
両親や理人がいればそれでいい……私は自然とそう思い始めていた。
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