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Episode6.新たな恋と情熱だった
ステージ審査である。
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別室に案内する人のは、先ほど部屋に入ってきたおじさんではなく清楚なお姉さんにバトンタッチした。
別室には私と楓だけで入らされた。
中に入るとカメラマンの後ろ姿が見える。
カメラの調子を確かめていて、髪は綺麗な丸みを帯びたショートヘアだ。
私たちが入ったことに気が付かない様子だったので楓が、
「あ、あのぉ……」
と声をかけてみた。
するとびくっとしてこちらを振り向いた。
そのとき、思わず私たちまでびくっとしてしまった。
それには大きな理由がある。
「すみませんっまったく気が付かなくって。では、モデルの方こちらへどうぞ」
「女性……だったのですね、初めて知りました!」
「ああそれ、良く言われるんです。
やっぱりカメラマンといえば男性というイメージが根強く残っているらしくて……。
でも不安に思わないでくださいね、男性のカメラマンたちもいる中でやっと私が選ばれたんですから!」
少し凛々しい顔をしているものの、やっぱり女性だ。
男性たちと同じ土俵に立ってカメラマンとしての夢を追いかけているその姿は立派でかっこ良いな同じ女性ながら思った。
同じ女性ながら、というか、同じ女性『だから』かもしれない。
私は白いスクリーンの前に立ってカメラマンの方の指示に従った。
カメラマンさんの名前は歩夢あゆむというらしく、歩夢さんと呼んでいた。
夢に向かって歩む……今の彼女そのものを表す名前だった。
「RIHOさん、その手を腰に当てて……はい、そうですそう。
で、目線はちょっとカメラから外して……その調子であと5枚」
ポージングするごとに褒めてくださるので私自身気持ち良くポージングできた。
背景は星をモチーフにした服とマッチしたものを楓が選んでくれた。
この部屋を去るとき、
「ありがとうございました。歩夢さん、私たち雑誌に出るのでそのときはよろしくお願いしますね、応援してます!」
「はいっ! RIHOさんたちも、頑張ってください。陰から見てます!」
とハイタッチを交わした。
本当にその夢を実現させるために頑張らなきゃ……力が湧いてきた。
控え室に戻り、梓も写真撮影が終わった。
ここからでも聞こえるほど大きなドラムの音が聴こえてくる。
ステージの方でドラマーの方が演奏を始めた、すなわちそれはそろそろステージでのオーディションが始まることを表していた。
ステージ裏に順番に並び、ついにステージに出た。
私は関東ブロックなのでだいたいセンターの位置にいるのでさらに緊張する……。
目の前には眩しい光がたくさん見えた。
上から強く当てられるスポットライト、正面から容赦なく焚かれるフラッシュ、背後から優しく浴びせられるスクリーンの光……目の前が真っ白になって一瞬意識が飛びかけたがどうにか留めた。
司会の若そうなお兄さんが一人一人キャッチコピー的な一言とともに紹介されていく。
柚葉は『清らかでおしとやかなお姉さん』だった。
次は私。どんなことを言われるのかとドキドキしていると、
「ミステリアスな完璧美少女、関東ブロックから……RIHO!」
というなんとも恥ずかしい一言だった。
完璧美少女って……なによ……!
意外となんの前置きもなくオーディションは開始を告げた。
初めの審査は演技審査。
決められたセリフとシチュエーションの中でどれだけ自分が心を込めて演技できるか、その能力を見られる審査である。
同じブロックから抜け出た男女がペアになり演技する。
今回のシチュエーションは『敵同士の禁断の恋』で、簡潔に言うと敵対する組織のスパイ同士が恋に落ちてしまう、そういうありがちだが難しいもの。
私たちは1度集合して台本の読み合わせをした。
「あんたがどっちにいるかなんて気付いてるんだよ、大人しく出てきな」
「嫌よ、あんたみたいな性格ブスの言うことなんて従うわけないわ」
「そんなこと言っちゃってさぁ……」
「ひゃぁっ!?」
「今俺の気配にまったく気付かなかったでしょ、そういうところ本当に馬鹿だ」
「うるさい! 黙りなさい、そんな風におちょくるんだったら私なんて早く撃ってしまって!」
「じゃあ遠慮なく撃たせていただくよ……君の、ハートをね」
「なに言ってるのよ……もうだめなのに……好きになっちゃうじゃない……」
「大丈夫だ、俺の胸に安心して飛び込め、ここから抜け出すぞ!」
「……大好きよ、◯◯」
1度だけだが感情もなにもなく読んでみたが……。
「なにこのクサいセリフが集結した台本は」
なんて口に出してしまうほど恥ずかしい。
隣の部屋から熱演する男女の声が聞こえて焦りを感じ、私たちも演技してみたが、どうにも噛んでしまったり照れがあったりぐだぐだだった。
このまま練習しても意味がない、そう思った私は、
「梓さん、とりあえず……セリフだけ覚えませんか?
あとは言ってはいけないですが一か八か……ぶっつけ本番、ではいかがかと」
私のまっすぐな目を見たからか、初めは目を剥いた梓も頷いてくれた。
普通のオーディション前の様子像を破壊させた作戦。
ある意味これが私のやり方かもしれない。
考えすぎず、感覚だけでやってみる。
私の大きな賭けの始まり始まり……。
別室には私と楓だけで入らされた。
中に入るとカメラマンの後ろ姿が見える。
カメラの調子を確かめていて、髪は綺麗な丸みを帯びたショートヘアだ。
私たちが入ったことに気が付かない様子だったので楓が、
「あ、あのぉ……」
と声をかけてみた。
するとびくっとしてこちらを振り向いた。
そのとき、思わず私たちまでびくっとしてしまった。
それには大きな理由がある。
「すみませんっまったく気が付かなくって。では、モデルの方こちらへどうぞ」
「女性……だったのですね、初めて知りました!」
「ああそれ、良く言われるんです。
やっぱりカメラマンといえば男性というイメージが根強く残っているらしくて……。
でも不安に思わないでくださいね、男性のカメラマンたちもいる中でやっと私が選ばれたんですから!」
少し凛々しい顔をしているものの、やっぱり女性だ。
男性たちと同じ土俵に立ってカメラマンとしての夢を追いかけているその姿は立派でかっこ良いな同じ女性ながら思った。
同じ女性ながら、というか、同じ女性『だから』かもしれない。
私は白いスクリーンの前に立ってカメラマンの方の指示に従った。
カメラマンさんの名前は歩夢あゆむというらしく、歩夢さんと呼んでいた。
夢に向かって歩む……今の彼女そのものを表す名前だった。
「RIHOさん、その手を腰に当てて……はい、そうですそう。
で、目線はちょっとカメラから外して……その調子であと5枚」
ポージングするごとに褒めてくださるので私自身気持ち良くポージングできた。
背景は星をモチーフにした服とマッチしたものを楓が選んでくれた。
この部屋を去るとき、
「ありがとうございました。歩夢さん、私たち雑誌に出るのでそのときはよろしくお願いしますね、応援してます!」
「はいっ! RIHOさんたちも、頑張ってください。陰から見てます!」
とハイタッチを交わした。
本当にその夢を実現させるために頑張らなきゃ……力が湧いてきた。
控え室に戻り、梓も写真撮影が終わった。
ここからでも聞こえるほど大きなドラムの音が聴こえてくる。
ステージの方でドラマーの方が演奏を始めた、すなわちそれはそろそろステージでのオーディションが始まることを表していた。
ステージ裏に順番に並び、ついにステージに出た。
私は関東ブロックなのでだいたいセンターの位置にいるのでさらに緊張する……。
目の前には眩しい光がたくさん見えた。
上から強く当てられるスポットライト、正面から容赦なく焚かれるフラッシュ、背後から優しく浴びせられるスクリーンの光……目の前が真っ白になって一瞬意識が飛びかけたがどうにか留めた。
司会の若そうなお兄さんが一人一人キャッチコピー的な一言とともに紹介されていく。
柚葉は『清らかでおしとやかなお姉さん』だった。
次は私。どんなことを言われるのかとドキドキしていると、
「ミステリアスな完璧美少女、関東ブロックから……RIHO!」
というなんとも恥ずかしい一言だった。
完璧美少女って……なによ……!
意外となんの前置きもなくオーディションは開始を告げた。
初めの審査は演技審査。
決められたセリフとシチュエーションの中でどれだけ自分が心を込めて演技できるか、その能力を見られる審査である。
同じブロックから抜け出た男女がペアになり演技する。
今回のシチュエーションは『敵同士の禁断の恋』で、簡潔に言うと敵対する組織のスパイ同士が恋に落ちてしまう、そういうありがちだが難しいもの。
私たちは1度集合して台本の読み合わせをした。
「あんたがどっちにいるかなんて気付いてるんだよ、大人しく出てきな」
「嫌よ、あんたみたいな性格ブスの言うことなんて従うわけないわ」
「そんなこと言っちゃってさぁ……」
「ひゃぁっ!?」
「今俺の気配にまったく気付かなかったでしょ、そういうところ本当に馬鹿だ」
「うるさい! 黙りなさい、そんな風におちょくるんだったら私なんて早く撃ってしまって!」
「じゃあ遠慮なく撃たせていただくよ……君の、ハートをね」
「なに言ってるのよ……もうだめなのに……好きになっちゃうじゃない……」
「大丈夫だ、俺の胸に安心して飛び込め、ここから抜け出すぞ!」
「……大好きよ、◯◯」
1度だけだが感情もなにもなく読んでみたが……。
「なにこのクサいセリフが集結した台本は」
なんて口に出してしまうほど恥ずかしい。
隣の部屋から熱演する男女の声が聞こえて焦りを感じ、私たちも演技してみたが、どうにも噛んでしまったり照れがあったりぐだぐだだった。
このまま練習しても意味がない、そう思った私は、
「梓さん、とりあえず……セリフだけ覚えませんか?
あとは言ってはいけないですが一か八か……ぶっつけ本番、ではいかがかと」
私のまっすぐな目を見たからか、初めは目を剥いた梓も頷いてくれた。
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ある意味これが私のやり方かもしれない。
考えすぎず、感覚だけでやってみる。
私の大きな賭けの始まり始まり……。
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