当て馬悪役令息に転生したはずが何故か俺がヒロインに狙われています

ちか

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 翌朝、出勤の準備をして、昨日の今日で電車に乗るのは怖かったため、タクシーで会社へと向かった。

 会社に着くと何か視線のようなものを感じた。なんだか落ち着かない気分のまま、自分の部署に向かった。そこでも何か視線を感じ、何か言われている気がした。

 上司に昨日の無断欠勤を謝罪し、休暇申請について相談した。すると上司はすぐに了承してくれ、「今まで使っていなかった有給全て使ってしばらくゆっくりしたらいいんじゃないか? 何なら今日も申請をしたら帰っていいぞ」とまで言ってくれた。

 でも迷惑をかけてしまうと渋った俺に「気にするな今までよく働いてくれたよ。お前は働き過ぎだ。人間休むことも必要だ」と言ってくれた。

 普段そんな気遣いを見せない上司の様子に訝しみながら、休暇の申請をしに、担当部署に向かうとそこでも嫌な視線を感じた。なぜか気まずい思いをしながら手続きを済ませ、上司にはそのまま帰っていいと言われたが、挨拶だけでもと思い、自分の部署に戻ると、声が聞こえて来た。


 「いやー、しっかし昨日、無断欠勤したと思ったらまさか痴漢してたなんてなー」

 「ほんと、人は見かけによらないですよねー」

 その会話に戦慄した。なぜ? 会社のみんなが知っているんだ? それにあれは冤罪だ。

 「まさか、ネットであんな騒ぎになってるのに、出社してくるとはねぇ」

 「ははっすごい度胸」

 「あぁ俺も驚いたよ。そんで休暇申請したいって言うからしばらく休めって言ってやったよ。正直、会社に来られても迷惑だしな」

 「えー、休暇申請ってことは有給っすか?犯罪者に、給料だして休まるんですか? ずるりぃー」

 「本当だよなー。休暇なんか申請しないでさっさと辞めてくれりゃいいんだよ」

 「いや、辞めてもらうにしても、有給消化してもらわないと問題になるかも知れないからな仕方ないさ。そんなこともあって俺は今までの分全て使ってしばらく休めって言ってやったんだよ。それにまだ捕まった訳でもないしな」

 「いやー。捕まるのも時間の問題っしょ。あれは絶対やってますって」

 「まぁ様子見て俺から転職でも勧めてみるさ。さ、無駄話はこれくらいにしてそろそろ仕事に集中しろよー」

 こちらに誰かが来る気配がして俺は慌てて引き換えして会社の出口へと向かった。ようやくあの視線の意味がヒソヒソ囁かれた意味がわかった。みんな俺が痴漢したと思っているってことが悲しくて情けなくて恥ずかしかった。

 
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