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1話
しおりを挟む俺は、いわゆる剣と魔法のファンタジーの近年、飽和状態のヨーロッパ風異世界転生ものの世界に生まれた。
赤ん坊の頃は、あまり気にならなかった視線も、3歳になる頃には人の目が気になるようになった。
そうして気づいてしまった。あの視線に……
嫌悪、軽蔑のあの悪意ある視線に……
その目を向ける侍女と目があった。
メイドは俺が怖がった様子に気付き、ニヤリと口角をあげた。そうしてニヤニヤして近づいて来て俺の耳元でこう呟いた。
「気味の悪い子、どうして生まれて来たの?」と。
その瞬間、これまでの記憶とは別に前世の記憶が蘇った。そうして気がついた。
どうやらまた人間に生まれ変わったらしい。
生まれ変わりって本当にあるんだな……
でも俺、もう人間に生まれ変わりたくなかったな。
せめて記憶を忘れたままでいられたらよかったのに。
あぁ……またこれからこの記憶を持ったまま人として生きていくのか……
そう思うととても気が重かった。
この世界で、俺はディートリヒ・ヴァイツゼッカー公爵令息となった。そして実は俺はこいつを知っていた。前世の彼女がハマっていたゲームのキャラクターだった。
元々はネット小説だったらしいが、書籍化され、さらにコミカライズ、アニメ化、スマホアプリでゲーム化されたらしい。そのアニメで、とあるキャラの声優のファンだったをきっかけに彼女はどハマりし、ゲームもプレイしていた。(ちなみにゲームにもボイス実装されていた)
一度デート中にも、行列のできるカフェに並んで待っている時に、「今イベント期間中だからちょっとごめん」とスマホを取り出してプレイしていた。
その際に色々と、布ky……いや、熱心に、丁寧に説明してもらったのだ。
彼女によると、いわゆる乙女ゲームな展開なのだが、ネット小説が原作のせいか悪役令嬢がいるのだという。(彼女曰く普通、乙女ゲームにはいないらしい)
そして、それ以外に悪役令息までいるらしい。
こういったゲームでは女性の敵キャラには女性で、敵キャラで男性が出てもそれは大抵、攻略対象なのだがこのゲームの悪役令息は攻略できず、最初から最後まで敵なのだという。
この悪役令息は冷酷無慈悲な酷いやつで、ヒロインに恋をして執拗に狙い続け、最後には悪魔に魂を売り、手にした力でヒロインを魅了し、手に入れる。しかし、それぞれ選んだ攻略対象達にルートごとに方法は異なるがヒロインは救出され、悪役令息を倒し、ハッピーエンド、続編を匂わせて終わったらしい。
続編は次の大型アップデートでプレイできる様になるらしく、また課金しなきゃらしい。だからもっと働いて彼に貢ぐんだと言っていた。その頃はまだあんな未来が待ってるなんて想像もしてなかったから、彼氏は俺だろって笑っていた。
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