当て馬悪役令息に転生したはずが何故か俺がヒロインに狙われています

ちか

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15話

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 昼夜問わず近くに人がいる生活はこの世界に生まれて、ある程度慣れたと思っていた。

 けれど、従者が付く生活を実際にはわかっていなかったことがこの数日よくわかった。そして、これまで父様達が俺に随分気を遣って使用人に言い聞かせてくれていたのをよくよく理解した。使用人達はかなり、俺にとって適切な距離を保って接してくれていたことがよくわかった。

 何せ、従者候補のマリウスはかなり、俺と接する時の距離が近い。年齢が近い所為もあると思うが。

 またマティスはかなり、細かいことまで俺に注意をしてくる。身分差があること、公爵家としての振る舞いをしなくてはいけないことは重々承知しているが、正直そこまで?ということも言ってくるので参ってしまう。さすが、この中で一番年上なだけあるなと思う。

 ルッツは十才にしてかなり、要領がいいらしく他人が見ている時ほど一生懸命行い、大変なことや面倒なことはさりげなく、他の二人に回していた。

 ある日、従者候補の中では一番年下のマリウスがいつも屋敷にいるのが気に食わなかったようで、街に行こうと言い出した。

 俺も行ってみたいとは思うものの、まだ対人女性恐怖症問題があるため、断っていたのだが数日後、何をどうやったのか外出許可をもぎ取って来た。そこで少しの間だが、街に行くことになった。

 今回は、大聖堂の近くのエリアに行くことになった。そこなら比較的治安がいいとされているからだ。

 そこに行くため、裕福な商人もしくは下位貴族のような服装に着替えた。護衛三人と従者候補三人とで行くことになった。

 馬車に揺られること数十分、街に着いた。馬車はいつも父様達と乗るときに使う家紋入りではなく、あまり装飾のない地味な馬車を使った。

 大聖堂の近くで馬車を降りた。

 初めて見る景色に心なしか浮かれた。「異世界だー」なんて改めて思ったりもした。

 いつも屋敷の中で過ごし、外といえば庭くらいの生活。唯一の外出は先日のお披露目。その時でさえ、馬車からの景色、王宮の様子にはワクワクしたものだ。

 俺の専属従者になるまでは街にはよく来ていたらしいマリウスが案内役を買って出た。

 魔法のあるファンタジーなゲームの世界だからかもしくは比較的治安のいいエリアのためかイメージしていた中世の街とは違っていた。下水などもきちんとしているようだし、かつてテレビの雑学で聞いたハイヒールの由来のようなこともないようでちょっと安心した……

 おこづかい程度のお金は従者が持たされている。
 そのため、買い物も出来るのだが、見ているだけでも結構楽しい。ただ女性には気をつけて歩かなければいけないが……

 初めて見るものばかりで歩き回って見ているだけで小一時間ぐらいたっていたようだ。大聖堂の周辺を見ているばかりの俺に痺れを切らしたのか、マリウスは街に来たらぜひ食べてほしい屋台飯があるとかで、俺の腕を掴んで街路の方へと連れ出した。

 確かに街路の方には屋台が並んでおりその匂いがこちらの広場まで漂っていた。けれど、今回は護衛から危険性を考慮して街路には行かないように事前に言われていた。そのため、今日の外出では広場の散策程度の予定だった。

 それを護衛に確認もせず、マリウスにいきなり腕を掴まれて街路の屋台の方へ引きずられるように連れ出されてしまった。予想してない動きと人混みを避けれる子供と避けれない大人の差によって護衛との距離が少し開いてしまった。その上、街路は屋台も出ているため狭く、人とぶつかりそうになったり、明らかにさっきの広場より治安が悪そうだった。

 ようやく目的の屋台に着いたのか、急にマリウスが止まった。それな合わせて俺も動きを止めた。

 普段こんなに走ったこともないため、息がなかなか整わなかった。はぁはぁと息を整えながら俯いていた顔を上げると、おすすめを嬉しそうに紹介するマリウスの後ろに人相の悪い男の笑顔が見えた。



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