30 / 39
15話
しおりを挟む
昼夜問わず近くに人がいる生活はこの世界に生まれて、ある程度慣れたと思っていた。
けれど、従者が付く生活を実際にはわかっていなかったことがこの数日よくわかった。そして、これまで父様達が俺に随分気を遣って使用人に言い聞かせてくれていたのをよくよく理解した。使用人達はかなり、俺にとって適切な距離を保って接してくれていたことがよくわかった。
何せ、従者候補のマリウスはかなり、俺と接する時の距離が近い。年齢が近い所為もあると思うが。
またマティスはかなり、細かいことまで俺に注意をしてくる。身分差があること、公爵家としての振る舞いをしなくてはいけないことは重々承知しているが、正直そこまで?ということも言ってくるので参ってしまう。さすが、この中で一番年上なだけあるなと思う。
ルッツは十才にしてかなり、要領がいいらしく他人が見ている時ほど一生懸命行い、大変なことや面倒なことはさりげなく、他の二人に回していた。
ある日、従者候補の中では一番年下のマリウスがいつも屋敷にいるのが気に食わなかったようで、街に行こうと言い出した。
俺も行ってみたいとは思うものの、まだ対人女性恐怖症問題があるため、断っていたのだが数日後、何をどうやったのか外出許可をもぎ取って来た。そこで少しの間だが、街に行くことになった。
今回は、大聖堂の近くのエリアに行くことになった。そこなら比較的治安がいいとされているからだ。
そこに行くため、裕福な商人もしくは下位貴族のような服装に着替えた。護衛三人と従者候補三人とで行くことになった。
馬車に揺られること数十分、街に着いた。馬車はいつも父様達と乗るときに使う家紋入りではなく、あまり装飾のない地味な馬車を使った。
大聖堂の近くで馬車を降りた。
初めて見る景色に心なしか浮かれた。「異世界だー」なんて改めて思ったりもした。
いつも屋敷の中で過ごし、外といえば庭くらいの生活。唯一の外出は先日のお披露目。その時でさえ、馬車からの景色、王宮の様子にはワクワクしたものだ。
俺の専属従者になるまでは街にはよく来ていたらしいマリウスが案内役を買って出た。
魔法のあるファンタジーなゲームの世界だからかもしくは比較的治安のいいエリアのためかイメージしていた中世の街とは違っていた。下水などもきちんとしているようだし、かつてテレビの雑学で聞いたハイヒールの由来のようなこともないようでちょっと安心した……
おこづかい程度のお金は従者が持たされている。
そのため、買い物も出来るのだが、見ているだけでも結構楽しい。ただ女性には気をつけて歩かなければいけないが……
初めて見るものばかりで歩き回って見ているだけで小一時間ぐらいたっていたようだ。大聖堂の周辺を見ているばかりの俺に痺れを切らしたのか、マリウスは街に来たらぜひ食べてほしい屋台飯があるとかで、俺の腕を掴んで街路の方へと連れ出した。
確かに街路の方には屋台が並んでおりその匂いがこちらの広場まで漂っていた。けれど、今回は護衛から危険性を考慮して街路には行かないように事前に言われていた。そのため、今日の外出では広場の散策程度の予定だった。
それを護衛に確認もせず、マリウスにいきなり腕を掴まれて街路の屋台の方へ引きずられるように連れ出されてしまった。予想してない動きと人混みを避けれる子供と避けれない大人の差によって護衛との距離が少し開いてしまった。その上、街路は屋台も出ているため狭く、人とぶつかりそうになったり、明らかにさっきの広場より治安が悪そうだった。
ようやく目的の屋台に着いたのか、急にマリウスが止まった。それな合わせて俺も動きを止めた。
普段こんなに走ったこともないため、息がなかなか整わなかった。はぁはぁと息を整えながら俯いていた顔を上げると、おすすめを嬉しそうに紹介するマリウスの後ろに人相の悪い男の笑顔が見えた。
けれど、従者が付く生活を実際にはわかっていなかったことがこの数日よくわかった。そして、これまで父様達が俺に随分気を遣って使用人に言い聞かせてくれていたのをよくよく理解した。使用人達はかなり、俺にとって適切な距離を保って接してくれていたことがよくわかった。
何せ、従者候補のマリウスはかなり、俺と接する時の距離が近い。年齢が近い所為もあると思うが。
またマティスはかなり、細かいことまで俺に注意をしてくる。身分差があること、公爵家としての振る舞いをしなくてはいけないことは重々承知しているが、正直そこまで?ということも言ってくるので参ってしまう。さすが、この中で一番年上なだけあるなと思う。
ルッツは十才にしてかなり、要領がいいらしく他人が見ている時ほど一生懸命行い、大変なことや面倒なことはさりげなく、他の二人に回していた。
ある日、従者候補の中では一番年下のマリウスがいつも屋敷にいるのが気に食わなかったようで、街に行こうと言い出した。
俺も行ってみたいとは思うものの、まだ対人女性恐怖症問題があるため、断っていたのだが数日後、何をどうやったのか外出許可をもぎ取って来た。そこで少しの間だが、街に行くことになった。
今回は、大聖堂の近くのエリアに行くことになった。そこなら比較的治安がいいとされているからだ。
そこに行くため、裕福な商人もしくは下位貴族のような服装に着替えた。護衛三人と従者候補三人とで行くことになった。
馬車に揺られること数十分、街に着いた。馬車はいつも父様達と乗るときに使う家紋入りではなく、あまり装飾のない地味な馬車を使った。
大聖堂の近くで馬車を降りた。
初めて見る景色に心なしか浮かれた。「異世界だー」なんて改めて思ったりもした。
いつも屋敷の中で過ごし、外といえば庭くらいの生活。唯一の外出は先日のお披露目。その時でさえ、馬車からの景色、王宮の様子にはワクワクしたものだ。
俺の専属従者になるまでは街にはよく来ていたらしいマリウスが案内役を買って出た。
魔法のあるファンタジーなゲームの世界だからかもしくは比較的治安のいいエリアのためかイメージしていた中世の街とは違っていた。下水などもきちんとしているようだし、かつてテレビの雑学で聞いたハイヒールの由来のようなこともないようでちょっと安心した……
おこづかい程度のお金は従者が持たされている。
そのため、買い物も出来るのだが、見ているだけでも結構楽しい。ただ女性には気をつけて歩かなければいけないが……
初めて見るものばかりで歩き回って見ているだけで小一時間ぐらいたっていたようだ。大聖堂の周辺を見ているばかりの俺に痺れを切らしたのか、マリウスは街に来たらぜひ食べてほしい屋台飯があるとかで、俺の腕を掴んで街路の方へと連れ出した。
確かに街路の方には屋台が並んでおりその匂いがこちらの広場まで漂っていた。けれど、今回は護衛から危険性を考慮して街路には行かないように事前に言われていた。そのため、今日の外出では広場の散策程度の予定だった。
それを護衛に確認もせず、マリウスにいきなり腕を掴まれて街路の屋台の方へ引きずられるように連れ出されてしまった。予想してない動きと人混みを避けれる子供と避けれない大人の差によって護衛との距離が少し開いてしまった。その上、街路は屋台も出ているため狭く、人とぶつかりそうになったり、明らかにさっきの広場より治安が悪そうだった。
ようやく目的の屋台に着いたのか、急にマリウスが止まった。それな合わせて俺も動きを止めた。
普段こんなに走ったこともないため、息がなかなか整わなかった。はぁはぁと息を整えながら俯いていた顔を上げると、おすすめを嬉しそうに紹介するマリウスの後ろに人相の悪い男の笑顔が見えた。
52
あなたにおすすめの小説
虐げられた令息の第二の人生はスローライフ
りまり
BL
僕の生まれたこの世界は魔法があり魔物が出没する。
僕は由緒正しい公爵家に生まれながらも魔法の才能はなく剣術も全くダメで頭も下から数えたほうがいい方だと思う。
だから僕は家族にも公爵家の使用人にも馬鹿にされ食事もまともにもらえない。
救いだったのは僕を不憫に思った王妃様が僕を殿下の従者に指名してくれたことで、少しはまともな食事ができるようになった事だ。
お家に帰る事なくお城にいていいと言うので僕は頑張ってみたいです。
生まれ変わったら知ってるモブだった
マロン
BL
僕はとある田舎に小さな領地を持つ貧乏男爵の3男として生まれた。
貧乏だけど一応貴族で本来なら王都の学園へ進学するんだけど、とある理由で進学していない。
毎日領民のお仕事のお手伝いをして平民の困り事を聞いて回るのが僕のしごとだ。
この日も牧場のお手伝いに向かっていたんだ。
その時そばに立っていた大きな樹に雷が落ちた。ビックリして転んで頭を打った。
その瞬間に思い出したんだ。
僕の前世のことを・・・この世界は僕の奥さんが描いてたBL漫画の世界でモーブル・テスカはその中に出てきたモブだったということを。
夫から『お前を愛することはない』と言われたので、お返しついでに彼のお友達をお招きした結果。
古森真朝
ファンタジー
「クラリッサ・ベル・グレイヴィア伯爵令嬢、あらかじめ言っておく。
俺がお前を愛することは、この先決してない。期待など一切するな!」
新婚初日、花嫁に真っ向から言い放った新郎アドルフ。それに対して、クラリッサが返したのは――
※ぬるいですがホラー要素があります。苦手な方はご注意ください。
美形令息の犬はご主人様を救いたい
皮
BL
シエノークは美しき侯爵令息ルスランの忠実なしもべであり、犬だった。ルスランを盲信し、王家に叛逆するルスランを支え、ルスランが王家の騎士に斬られて命を落とすまで傍にいた。その後、シエノークもまた命を落とし、──ベッドの上で目を覚ました。9歳に戻ったシエノークはご主人様であるルスランの破滅を防ぐことを決意する。/美形令息×美形令息の犬
身代わりになって推しの思い出の中で永遠になりたいんです!
冨士原のもち
BL
桜舞う王立学院の入学式、ヤマトはカイユー王子を見てここが前世でやったゲームの世界だと気付く。ヤマトが一番好きなキャラであるカイユー王子は、ゲーム内では非業の死を遂げる。
「そうだ!カイユーを助けて死んだら、忘れられない恩人として永遠になれるんじゃないか?」
前世の死に際のせいで人間不信と恋愛不信を拗らせていたヤマトは、推しの心の中で永遠になるために身代わりになろうと決意した。しかし、カイユー王子はゲームの時の印象と違っていて……
演技チャラ男攻め×美人人間不信受け
※最終的にはハッピーエンドです
※何かしら地雷のある方にはお勧めしません
※ムーンライトノベルズにも投稿しています
第2王子は断罪役を放棄します!
木月月
BL
ある日前世の記憶が蘇った主人公。
前世で読んだ、悪役令嬢が主人公の、冤罪断罪からの巻き返し痛快ライフ漫画(アニメ化もされた)。
それの冒頭で主人公の悪役令嬢を断罪する第2王子、それが俺。内容はよくある設定で貴族の子供が通う学園の卒業式後のパーティーにて悪役令嬢を断罪して追放した第2王子と男爵令嬢は身勝手な行いで身分剥奪ののち追放、そのあとは物語に一切現れない、と言うキャラ。
記憶が蘇った今は、物語の主人公の令嬢をはじめ、自分の臣下や婚約者を選定するためのお茶会が始まる前日!5歳児万歳!まだ何も起こらない!フラグはバキバキに折りまくって折りまくって!なんなら5つ上の兄王子の臣下とかも!面倒いから!王弟として大公になるのはいい!だがしかし自由になる!
ここは剣と魔法となんならダンジョンもあって冒険者にもなれる!
スローライフもいい!なんでも選べる!だから俺は!物語の第2王子の役割を放棄します!
この話は小説家になろうにも投稿しています。
第十王子は天然侍従には敵わない。
きっせつ
BL
「婚約破棄させて頂きます。」
学園の卒業パーティーで始まった九人の令嬢による兄王子達の断罪を頭が痛くなる思いで第十王子ツェーンは見ていた。突如、その断罪により九人の王子が失脚し、ツェーンは王太子へと位が引き上げになったが……。どうしても王になりたくない王子とそんな王子を慕うド天然ワンコな侍従の偽装婚約から始まる勘違いとすれ違い(考え方の)のボーイズラブコメディ…の予定。※R 15。本番なし。
悪役キャラに転生したので破滅ルートを死ぬ気で回避しようと思っていたのに、何故か勇者に攻略されそうです
菫城 珪
BL
サッカーの練習試合中、雷に打たれて目が覚めたら人気ゲームに出て来る破滅確約悪役ノアの子供時代になっていた…!
苦労して生きてきた勇者に散々嫌がらせをし、魔王軍の手先となって家族を手に掛け、最後は醜い怪物に変えられ退治されるという最悪の未来だけは絶対回避したい。
付き纏う不安と闘い、いずれ魔王と対峙する為に研鑽に励みつつも同級生である勇者アーサーとは距離を置いてをなるべく避ける日々……だった筈なのになんかどんどん距離が近くなってきてない!?
そんな感じのいずれ勇者となる少年と悪役になる筈だった少年によるBLです。
のんびり連載していきますのでよろしくお願いします!
※小説家になろう、アルファポリス、カクヨムエブリスタ各サイトに掲載中です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる