つがいなんて冗談じゃない

ちか

文字の大きさ
8 / 39

お屋敷へ

しおりを挟む
 お城の部屋に戻ることなく、このままギルフォード殿下と共に彼の屋敷にことになった。言われるがまま馬車に乗った。

 馬車はギルフォード殿下と一緒だった。てっきり向かい合わせに座るのかと思ったらわたしの隣に彼は座った。

「あの、どうして隣なんですか?」

「ん?今まで会えなかった分の時間を少しでも取り戻したので、少しでもおそばにいたいのです」

 そういって彼はわたしの手を握り、髪に触りキスをした。

 触れられると何だが肌がザワザワして落ち着かなかった。

 嫌だったけど、でも気持ち悪い!触らないで!なんて言えなくて

「あっあの、あまり触れないでもらえないでしょうか、匂いも気になるしその恥ずかしいので」

「フフッ我がつがいの神子様はなんと奥ゆかしいのか。どうぞお気になさらず。とてもいい香りですよ。それに照れている姿もらなんと愛らしいことか」

 遠回し過ぎたのだろうか、やっぱりどこか話が噛み合わない……

 怖くてわたしはただされるがまま黙って窓の外を見ていた。

 その間も話しかけられ、声は聞こえるし単語の意味も一つ一つは理解しているのに、内容は何一つ入って来なかった。

 

 そうしているうちに馬車が止まった。馬車から降りる時、ギルフォード殿下に手を取られ支えられながら降りた。

 降りたら手を離すと思っていたら、そのまま屋敷の中へ案内された。振り解く事も出来ず、手を繋いだ状態のまま大人しくついていくとこちらが神子様の部屋です。隣が私の部屋です。と紹介され部屋の中に通された。

 部屋にはお城で見たような豪奢な家具が置かれていた。ベッドのそばの扉は何かと思ったら、ギルフォード殿下の部屋と繋がっている扉だと言う。何で部屋を繋ぐ必要があるのかわからなかった。
 そしてこの部屋で一番目を引くのが、大量のプレゼントであった。

 プレゼントの中身はたくさんのドレスと宝石のついたアクセサリーだという。

 正直私はドン引いた。確かに見ている分には綺麗だし素敵だと思う。けれど自分がこれを身につけることが想像できないし、それより何より多すぎる。

 しかも、今回用意したドレスは既製品だからまた改めてサイズを測ってドレスを作るという。

 部屋も急いで準備したので気に入らなければ家具も全て買い替えて構わないし、壁紙も好きに変えて構わないと言われた。

 人のお金で人のお屋敷なのにそんな恐ろしくお金がかかること出来るわけない。しかも、洋服を買い換えるくらいの気やすさで。

 もう十分ですと言っても遠慮なさらずにと言われるだけで本気にして貰えなかった。

 の案内の後は屋敷の中の案内へと移った。さすが王様の弟のお屋敷だ。かなり広かった。必要なところだけの案内でもかなり時間がかかった。

 ひとまず案内が終わり、食堂にて昼食となり、そのあとわたしに直接関わる使用人たちを紹介された。

 ロマンスグレーの痩せたアライグマの獣人の男性が執事のイーサン、私の身の回りのことをしてくれる二名の侍女がダナとキーラというらしい。赤みがかった茶髪でウサギの獣人がダナでブロンドヘアでキツネの獣人なのがキーラだ。

 名字も教えてもらったし、他の多くの使用人も紹介されたがあまりにも多かったため、常に接するだろうこの人達の名前を覚えるだけで精一杯だった。

 午後からは仕立て屋が呼ばれており、体の採寸が行われ、どのようなドレスがいいのか話し合いになった。わたしはあまり派手ではない、動きやすいものをと言ったがわたしの意見は全く採用されなかった。イーサンをはじめ、ダナとキーラにも神子様でありメレヴィス公爵殿下の番様ともあろう方がそのようなお召し物ではいけませんと言われた。

 困ったようにギルフォード殿下を見れば遠慮しないで下さいと言うだけだった。

 結局ほとんどギルフォード殿下に頼まれたダナとキーラが仕立て屋と話し合い、わたしが着る服が決まった。それが終わると今度は先ほどお昼を食べたばかりだと思っていたのにもう夕食だと言う。

 確かに窓の外を見れば日が傾いていた。
そして今度は夕食のために着替えなければならないと言われ、部屋戻り支度に取り掛かった。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

ただの新米騎士なのに、竜王陛下から妃として所望されています

柳葉うら
恋愛
北の砦で新米騎士をしているウェンディの相棒は美しい雄の黒竜のオブシディアン。 領主のアデルバートから譲り受けたその竜はウェンディを主人として認めておらず、背中に乗せてくれない。 しかしある日、砦に現れた刺客からオブシディアンを守ったウェンディは、武器に使われていた毒で生死を彷徨う。 幸にも目覚めたウェンディの前に現れたのは――竜王を名乗る美丈夫だった。 「命をかけ、勇気を振り絞って助けてくれたあなたを妃として迎える」 「お、畏れ多いので結構です!」 「それではあなたの忠実なしもべとして仕えよう」 「もっと重い提案がきた?!」 果たしてウェンディは竜王の求婚を断れるだろうか(※断れません。溺愛されて押されます)。 さくっとお読みいただけますと嬉しいです。

オマケなのに溺愛されてます

浅葱
恋愛
聖女召喚に巻き込まれ、異世界トリップしてしまった平凡OLが 異世界にて一目惚れされたり、溺愛されるお話

【完結】番が見ているのでさようなら

堀 和三盆
恋愛
 その視線に気が付いたのはいつ頃のことだっただろう。  焦がれるような。縋るような。睨みつけるような。  どこかから注がれる――番からのその視線。  俺は猫の獣人だ。  そして、その見た目の良さから獣人だけでなく人間からだってしょっちゅう告白をされる。いわゆるモテモテってやつだ。  だから女に困ったことはないし、生涯をたった一人に縛られるなんてバカみてえ。そんな風に思っていた。  なのに。  ある日、彼女の一人とのデート中にどこからかその視線を向けられた。正直、信じられなかった。急に体中が熱くなり、自分が興奮しているのが分かった。  しかし、感じるのは常に視線のみ。  コチラを見るだけで一向に姿を見せない番を無視し、俺は彼女達との逢瀬を楽しんだ――というよりは見せつけた。  ……そうすることで番からの視線に変化が起きるから。

番が見つけられなかったので諦めて婚約したら、番を見つけてしまった。←今ここ。

三谷朱花
恋愛
息が止まる。 フィオーレがその表現を理解したのは、今日が初めてだった。

大丈夫のその先は…

水姫
恋愛
実来はシングルマザーの母が再婚すると聞いた。母が嬉しそうにしているのを見るとこれまで苦労かけた分幸せになって欲しいと思う。 新しくできた父はよりにもよって医者だった。新しくできた兄たちも同様で…。 バレないように、バレないように。 「大丈夫だよ」 すいません。ゆっくりお待ち下さい。m(_ _)m

おばさんは、ひっそり暮らしたい

蝋梅
恋愛
30歳村山直子は、いわゆる勝手に落ちてきた異世界人だった。 たまに物が落ちてくるが人は珍しいものの、牢屋行きにもならず基礎知識を教えてもらい居場所が分かるように、また定期的に国に報告する以外は自由と言われた。 さて、生きるには働かなければならない。 「仕方がない、ご飯屋にするか」 栄養士にはなったものの向いてないと思いながら働いていた私は、また生活のために今日もご飯を作る。 「地味にそこそこ人が入ればいいのに困るなぁ」 意欲が低い直子は、今日もまたテンション低く呟いた。 騎士サイド追加しました。2023/05/23 番外編を不定期ですが始めました。

最愛の番に殺された獣王妃

望月 或
恋愛
目の前には、最愛の人の憎しみと怒りに満ちた黄金色の瞳。 彼のすぐ後ろには、私の姿をした聖女が怯えた表情で口元に両手を当てこちらを見ている。 手で隠しているけれど、その唇が堪え切れず嘲笑っている事を私は知っている。 聖女の姿となった私の左胸を貫いた彼の愛剣が、ゆっくりと引き抜かれる。 哀しみと失意と諦めの中、私の身体は床に崩れ落ちて―― 突然彼から放たれた、狂気と絶望が入り混じった慟哭を聞きながら、私の思考は止まり、意識は閉ざされ永遠の眠りについた――はずだったのだけれど……? 「憐れなアンタに“選択”を与える。このままあの世に逝くか、別の“誰か”になって新たな人生を歩むか」 謎の人物の言葉に、私が選択したのは――

眺めるだけならよいでしょうか?〜美醜逆転世界に飛ばされた私〜

蝋梅
恋愛
美醜逆転の世界に飛ばされた。普通ならウハウハである。だけど。 ✻読んで下さり、ありがとうございました。✻

処理中です...