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全知全能と新世界
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僕は宇宙に居た。正確には、宇宙っぽい空間に居た。ここは、僕が創り出した新たな世界だ。時間的な流れは外と隔絶されており、僕がこっちの世界に居る間は地球での時間は進まない。
「うーん……」
見事に何も無い。真っ黒な世界だ。勿論、僕が不自由せず生存できるように、僕の体を目には見えない球形のシャボン玉のような不思議な膜が覆っている。この中に居る限り、僕は怪我一つ負うことは無いという、所謂無敵モードだ。
今回の目的は実験と言うか、純粋に魔術を楽しむことだからね。人として生きる上で当たり前のスリルと言うかリスクは、ここでは無くして良いだろう。
一先ず、土台が欲しいね。この空間は限りなく広がっているが、その何処にも星は疎か物質すら存在していない。
星を作るか、それとも……良し、一先ずはフラットな土台からにしよう。別に生き物が住む訳じゃないんだ。魔術の使用に足る土台があれば良い。
「ほいっ、とね」
軽く掛け声を上げれば、薄灰色の石畳が無限に広がる空間が生まれた。一応、石畳は一メートル四方だ。破壊は可能だが、一秒と待たずに再生するようになっている。
「よーし、先ずは景気付けに……」
僕は指先を真っ直ぐ前に向け、そこに広がる真っ黒な空に向かって呪文を唱えた。
「『天熱、冥炎、無婁の鎖』」
あれ、発動しない……何で?
――――この魔術の発動には太陽が必要ですが、この世界には太陽がありません。
なるほどね……僕は頷きながら彼方に太陽を浮かべた。今までは魔術で暗視の効果を付けていた僕だったが、燦々と照らす太陽によって石畳と闇の世界は明るく照らされた。これなら、暗視の魔術は必要ない。
「『天熱、冥炎、無婁の鎖』」
ここまで唱えて、冥炎と言うのは大丈夫なのかと思ったが、きっと大丈夫なのだろう。太陽は同じ世界に存在するものだが、冥炎を冥界の炎とするならば、そもそもが世界を隔てた場所にあるものだ。
「『溶かし、引き裂き、焼き尽くす』」
「『燃やし、押し潰し、焼き焦がす』」
声送りによる二重詠唱で同時に二つの言葉を唱える。滅茶苦茶難しかったけど、もう慣れたものだ。
「『繋がぬ鎖は、ただ炎熱の中に在れ』」
二枚の巨大な魔法陣が、僕の背後に並んで展開された。太陽を思わせる黄金色の魔法陣と、冥界を思わせる黒紫色の魔法陣が、膨大な魔力で輝いている。
「『天冥炎鎖』」
巨大な金色の炎の鎖と、紫色の炎の鎖がそれぞれ魔法陣から飛び出した。金と紫、二色の炎の鎖は僕の思い通りに動かすことが可能で、鎖を呼び出す為の魔法陣も好きに出したり消したり出来る。
仮想敵、どん。僕は百メートル先に超巨大な石の人形を作りだした。ゴーレムっぽいが、別にゴーレムでも何でもない灰色の岩の塊だ。全長百二十メートル、素材もただの岩では無く激硬岩である。
「燃えろ」
僕は巨大な二つの魔法陣から二色の炎の鎖を伸ばし、石人形を貫いた。黄金色の炎は石人形の全体に一瞬で広がって焼き尽くし、紫色の炎は貫いた胸の辺りからパラパラと石人形を崩壊させていく。
数秒と経たず、超巨大な石の人形は燃え尽きて消えた。
うん、火力は申し分無しだね。僕は伸びていた鎖を魔法陣に引き戻した後、その魔法陣を消し去った。
「再展開」
僕の左右に、さっきの魔法陣が浮かぶ。しかし、今度はその大きさが片腕を広げた程度になっている。大きさも可変であるということだ。
「ふッ」
僕は腕を振るい、二つの魔法陣から伸びる黄金と紫の鎖を操った。炎で作られた鎖は何を掴むことも無く、触れたものをその炎熱によって溶かすことしか出来ない。
縦横無尽に振るわれる鎖は、石畳の地面や今度は人間サイズの石人形を裂き、燃やし、暴虐の限りを尽くした。
「うん、悪くない」
僕は作り出した石製の椅子に座り、ひじ掛けに腕を預けて視線だけで鎖を操りながら呟いた。この二本の炎の鎖にはそれぞれ能力がある。
黄金色の鎖は言わば正の鎖であり、圧倒的な炎熱によって全てを焼き尽くす。また、そのエネルギーを触れたものに分け与えることも出来る。
紫色の鎖は負の鎖であり、物理的に物体を燃やすことはしない。だが、触れたものを負へと引き摺り落とすことが出来る。つまり、物体を崩して消滅させたり、魔力等のエネルギーを消し去ってしまうことも出来る。
この二本の鎖は燃やすものを僕が自由に選ぶことができ、仲間は正のエネルギーによって回復させて、敵は燃やして殺すことも可能という訳だ。仲間なんて居ないけど。
因みに、この魔術の使用には膨大過ぎる魔力が必要になったが僕の前には無力だった(全知全能)。
「さて、次は……」
この魔術は一度発動してしまえばずっと出したり戻したりを自由に行える。一旦消しておいて、さっさと次の魔術に行こう。
「うーん……」
見事に何も無い。真っ黒な世界だ。勿論、僕が不自由せず生存できるように、僕の体を目には見えない球形のシャボン玉のような不思議な膜が覆っている。この中に居る限り、僕は怪我一つ負うことは無いという、所謂無敵モードだ。
今回の目的は実験と言うか、純粋に魔術を楽しむことだからね。人として生きる上で当たり前のスリルと言うかリスクは、ここでは無くして良いだろう。
一先ず、土台が欲しいね。この空間は限りなく広がっているが、その何処にも星は疎か物質すら存在していない。
星を作るか、それとも……良し、一先ずはフラットな土台からにしよう。別に生き物が住む訳じゃないんだ。魔術の使用に足る土台があれば良い。
「ほいっ、とね」
軽く掛け声を上げれば、薄灰色の石畳が無限に広がる空間が生まれた。一応、石畳は一メートル四方だ。破壊は可能だが、一秒と待たずに再生するようになっている。
「よーし、先ずは景気付けに……」
僕は指先を真っ直ぐ前に向け、そこに広がる真っ黒な空に向かって呪文を唱えた。
「『天熱、冥炎、無婁の鎖』」
あれ、発動しない……何で?
――――この魔術の発動には太陽が必要ですが、この世界には太陽がありません。
なるほどね……僕は頷きながら彼方に太陽を浮かべた。今までは魔術で暗視の効果を付けていた僕だったが、燦々と照らす太陽によって石畳と闇の世界は明るく照らされた。これなら、暗視の魔術は必要ない。
「『天熱、冥炎、無婁の鎖』」
ここまで唱えて、冥炎と言うのは大丈夫なのかと思ったが、きっと大丈夫なのだろう。太陽は同じ世界に存在するものだが、冥炎を冥界の炎とするならば、そもそもが世界を隔てた場所にあるものだ。
「『溶かし、引き裂き、焼き尽くす』」
「『燃やし、押し潰し、焼き焦がす』」
声送りによる二重詠唱で同時に二つの言葉を唱える。滅茶苦茶難しかったけど、もう慣れたものだ。
「『繋がぬ鎖は、ただ炎熱の中に在れ』」
二枚の巨大な魔法陣が、僕の背後に並んで展開された。太陽を思わせる黄金色の魔法陣と、冥界を思わせる黒紫色の魔法陣が、膨大な魔力で輝いている。
「『天冥炎鎖』」
巨大な金色の炎の鎖と、紫色の炎の鎖がそれぞれ魔法陣から飛び出した。金と紫、二色の炎の鎖は僕の思い通りに動かすことが可能で、鎖を呼び出す為の魔法陣も好きに出したり消したり出来る。
仮想敵、どん。僕は百メートル先に超巨大な石の人形を作りだした。ゴーレムっぽいが、別にゴーレムでも何でもない灰色の岩の塊だ。全長百二十メートル、素材もただの岩では無く激硬岩である。
「燃えろ」
僕は巨大な二つの魔法陣から二色の炎の鎖を伸ばし、石人形を貫いた。黄金色の炎は石人形の全体に一瞬で広がって焼き尽くし、紫色の炎は貫いた胸の辺りからパラパラと石人形を崩壊させていく。
数秒と経たず、超巨大な石の人形は燃え尽きて消えた。
うん、火力は申し分無しだね。僕は伸びていた鎖を魔法陣に引き戻した後、その魔法陣を消し去った。
「再展開」
僕の左右に、さっきの魔法陣が浮かぶ。しかし、今度はその大きさが片腕を広げた程度になっている。大きさも可変であるということだ。
「ふッ」
僕は腕を振るい、二つの魔法陣から伸びる黄金と紫の鎖を操った。炎で作られた鎖は何を掴むことも無く、触れたものをその炎熱によって溶かすことしか出来ない。
縦横無尽に振るわれる鎖は、石畳の地面や今度は人間サイズの石人形を裂き、燃やし、暴虐の限りを尽くした。
「うん、悪くない」
僕は作り出した石製の椅子に座り、ひじ掛けに腕を預けて視線だけで鎖を操りながら呟いた。この二本の炎の鎖にはそれぞれ能力がある。
黄金色の鎖は言わば正の鎖であり、圧倒的な炎熱によって全てを焼き尽くす。また、そのエネルギーを触れたものに分け与えることも出来る。
紫色の鎖は負の鎖であり、物理的に物体を燃やすことはしない。だが、触れたものを負へと引き摺り落とすことが出来る。つまり、物体を崩して消滅させたり、魔力等のエネルギーを消し去ってしまうことも出来る。
この二本の鎖は燃やすものを僕が自由に選ぶことができ、仲間は正のエネルギーによって回復させて、敵は燃やして殺すことも可能という訳だ。仲間なんて居ないけど。
因みに、この魔術の使用には膨大過ぎる魔力が必要になったが僕の前には無力だった(全知全能)。
「さて、次は……」
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