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全知全能と銀貨
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僕は地下室を出て、外で律義に待っていた男に声をかけた。
「終わりましたよー」
「おぉ、本当かい!? 直ぐ終わるとは言ってたけど、こんなに簡単に終わるもんなんだなぁ」
「あはは、思ったよりも時間かかったくらいですよ」
「へぇぇ……凄いなぁ、最近の若い冒険者ってのはみんな優秀なのかね」
僕が答えると、男は駆け足で家の中を確認しに行って、それから走って戻って来た。
「凄い、本当に呪いがさっぱり無くなってたぞ!? しかも、あの変な箱も空いてたしよぉ」
「あ、はい。そこが根源だったんで」
「凄いなぁ!」
僕はあははと愛想笑いを返し、依頼書に達成確認のサインを求めた。男はギルドで見かけたものより原始的に見えるペンのようなモノでサインをすると、僕に依頼書を返した。
「ありがとうございます。それでは」
「おー、こっちこそ助かったよ。頑張ってなぁ」
笑顔で手を振る中年の男に手を振り返し、僕はその家を後にした。
ギルドに帰って来た僕は依頼書を返して達成報告を終え、報酬を受け取った。サクと呼ばれる銀貨よりも大きく重い、カシフという銀貨が三枚だ。大体、三万円くらいだと思えば良いだろう。
「あと一時間くらい、か……」
その間、暇だね。頑張ればもう一個くらい依頼を受けれそうではあるけど、流石に間に合わなかったら怖くはある。
そうだ。ご飯でも食べに行こう。お腹空いたしね。でも、ユモンの前で自分だけ食べてると文句言われそうだなぁ。まぁ良いか。
レティシアがお勧めしていた飯屋にでも行ってみよう。……いや、先ずは宿屋の食堂で食べておこうかな。飯の美味さが自慢の宿屋でもあるみたいだし、一度も宿で食べずに外でずっと食べているというのも失礼な気がする。
『何しに行くんだよ』
「ご飯食べに行くんだよ」
『おお、良いな! 何喰うんだ?』
「何、とかは……分からないけど」
早速行こうとギルドを出た僕に、ユモンが指輪の中から思念で声をかけて来た。でも、どんなメニューがあるのかとかも僕は知らないからね。行ってからのお楽しみではある。
『何屋とかくらい分かるだろ?』
「食堂だよ。宿屋の食堂」
『へぇ……美味いんだろうな?』
「知らないよ。知らないし、君は食べられないよ?」
僕が言うと、ユモンが指輪の中で固まったような気がした。
『な、何だと……? お前、オレ様とまたやり合う気か?』
「やり合ったって、僕が勝つでしょ。……ていうか、食べるったってどうする気なの? 聖職者とか相手には気付かれるんでしょ?」
別に僕がやろうと思えば気付かれないようにも出来るんだろうけど、そこまでしてやろうという気にはなれなかった。こういうことは、何でも助けていたらキリがないし、ユモンは甘やかすとつけあがりそうなタイプに見えたからだ。
『……確かに、そうだったな。お前とオレ様が一緒に食ってたらマズイか』
「そうだよ」
僕はそう答えて、ちらりと通った人に怪訝そうな視線を向けられたことに気付いた。結構騒がしい雑踏の中だから一人で喋ってても目立たないだろうと思ったけど、やっぱり気付かれちゃうか。僕は自分の声を周りに聞こえないようにした。
『だったら、オレ様は別で行くぜ。どこか人気の無い所で出してくれよ』
「バレたらマズいんじゃないの?」
『オレ様だけならどうとでもなるから良いんだよ。あの似非聖女レベルの奴にバレたらヤベェが、そうじゃなけりゃ逃げ出すくらい簡単なのさ。問題はお前が悪魔と契約してるとバレることだよ。隣歩いて一緒に飯食ってたらバレてもおかしくねぇだろ?』
「それは、そうだね」
一人なら絶対逃げられる自信があるんだ。流石に、自分でそれなりの悪魔と言ってただけはあるね。
『つーわけで、良いだろ? オレ様も腹減ってんだよ。本になってからずっと何も食ってねぇんだよ。飢えて、渇いて、しょうがねぇや』
「……確かにね、まぁ良いよ」
食べるのが大好きなのに、長い間何も食べれてなかったのは確かに可哀想だ。僕は人のいない路地裏を検索して、さっさとそこに入り込んだ。
「でも、お金はどうするの? 僕が出してあげても良いけど、返しては貰うよ」
『あ? んなもん、稼ごうと思えば簡単だよ。オレ様は悪魔だぜ? ヒヒッ』
前にも聞いた悪そうな笑いに、僕は溜息を吐いた。
「あくどいやり方で稼いだら駄目だからね?」
『分かってるよ。そんなことしなくたって、オレ様は悪魔だからな……相手の願いが何なのか、目ェ見れば大体見抜けんだぜ?』
「心を読める的な?」
『いや、それよりも相手の欲の色が見えるとでも言うべきだな。腹が減ってるだとか、ヤリてぇだとか、眠てぇだとかな』
「三大欲求が分かるみたいな感じなんだ」
『だけじゃねえけどな。金が欲しい、見栄を張りたい、復讐したい……欲が単純で強ければ、その分だけ分かりやすいな』
へぇ、それは凄いね。流石は悪魔だ。
「それで、具体的にどうやってお金を稼ぐつもりなの?」
『どうとでもなるさ。気になるならオレ様を出して、ちょいと見とけば良い』
ユモンの提案に僕は頷いて、黄金の指輪から悪魔を解放した。
「終わりましたよー」
「おぉ、本当かい!? 直ぐ終わるとは言ってたけど、こんなに簡単に終わるもんなんだなぁ」
「あはは、思ったよりも時間かかったくらいですよ」
「へぇぇ……凄いなぁ、最近の若い冒険者ってのはみんな優秀なのかね」
僕が答えると、男は駆け足で家の中を確認しに行って、それから走って戻って来た。
「凄い、本当に呪いがさっぱり無くなってたぞ!? しかも、あの変な箱も空いてたしよぉ」
「あ、はい。そこが根源だったんで」
「凄いなぁ!」
僕はあははと愛想笑いを返し、依頼書に達成確認のサインを求めた。男はギルドで見かけたものより原始的に見えるペンのようなモノでサインをすると、僕に依頼書を返した。
「ありがとうございます。それでは」
「おー、こっちこそ助かったよ。頑張ってなぁ」
笑顔で手を振る中年の男に手を振り返し、僕はその家を後にした。
ギルドに帰って来た僕は依頼書を返して達成報告を終え、報酬を受け取った。サクと呼ばれる銀貨よりも大きく重い、カシフという銀貨が三枚だ。大体、三万円くらいだと思えば良いだろう。
「あと一時間くらい、か……」
その間、暇だね。頑張ればもう一個くらい依頼を受けれそうではあるけど、流石に間に合わなかったら怖くはある。
そうだ。ご飯でも食べに行こう。お腹空いたしね。でも、ユモンの前で自分だけ食べてると文句言われそうだなぁ。まぁ良いか。
レティシアがお勧めしていた飯屋にでも行ってみよう。……いや、先ずは宿屋の食堂で食べておこうかな。飯の美味さが自慢の宿屋でもあるみたいだし、一度も宿で食べずに外でずっと食べているというのも失礼な気がする。
『何しに行くんだよ』
「ご飯食べに行くんだよ」
『おお、良いな! 何喰うんだ?』
「何、とかは……分からないけど」
早速行こうとギルドを出た僕に、ユモンが指輪の中から思念で声をかけて来た。でも、どんなメニューがあるのかとかも僕は知らないからね。行ってからのお楽しみではある。
『何屋とかくらい分かるだろ?』
「食堂だよ。宿屋の食堂」
『へぇ……美味いんだろうな?』
「知らないよ。知らないし、君は食べられないよ?」
僕が言うと、ユモンが指輪の中で固まったような気がした。
『な、何だと……? お前、オレ様とまたやり合う気か?』
「やり合ったって、僕が勝つでしょ。……ていうか、食べるったってどうする気なの? 聖職者とか相手には気付かれるんでしょ?」
別に僕がやろうと思えば気付かれないようにも出来るんだろうけど、そこまでしてやろうという気にはなれなかった。こういうことは、何でも助けていたらキリがないし、ユモンは甘やかすとつけあがりそうなタイプに見えたからだ。
『……確かに、そうだったな。お前とオレ様が一緒に食ってたらマズイか』
「そうだよ」
僕はそう答えて、ちらりと通った人に怪訝そうな視線を向けられたことに気付いた。結構騒がしい雑踏の中だから一人で喋ってても目立たないだろうと思ったけど、やっぱり気付かれちゃうか。僕は自分の声を周りに聞こえないようにした。
『だったら、オレ様は別で行くぜ。どこか人気の無い所で出してくれよ』
「バレたらマズいんじゃないの?」
『オレ様だけならどうとでもなるから良いんだよ。あの似非聖女レベルの奴にバレたらヤベェが、そうじゃなけりゃ逃げ出すくらい簡単なのさ。問題はお前が悪魔と契約してるとバレることだよ。隣歩いて一緒に飯食ってたらバレてもおかしくねぇだろ?』
「それは、そうだね」
一人なら絶対逃げられる自信があるんだ。流石に、自分でそれなりの悪魔と言ってただけはあるね。
『つーわけで、良いだろ? オレ様も腹減ってんだよ。本になってからずっと何も食ってねぇんだよ。飢えて、渇いて、しょうがねぇや』
「……確かにね、まぁ良いよ」
食べるのが大好きなのに、長い間何も食べれてなかったのは確かに可哀想だ。僕は人のいない路地裏を検索して、さっさとそこに入り込んだ。
「でも、お金はどうするの? 僕が出してあげても良いけど、返しては貰うよ」
『あ? んなもん、稼ごうと思えば簡単だよ。オレ様は悪魔だぜ? ヒヒッ』
前にも聞いた悪そうな笑いに、僕は溜息を吐いた。
「あくどいやり方で稼いだら駄目だからね?」
『分かってるよ。そんなことしなくたって、オレ様は悪魔だからな……相手の願いが何なのか、目ェ見れば大体見抜けんだぜ?』
「心を読める的な?」
『いや、それよりも相手の欲の色が見えるとでも言うべきだな。腹が減ってるだとか、ヤリてぇだとか、眠てぇだとかな』
「三大欲求が分かるみたいな感じなんだ」
『だけじゃねえけどな。金が欲しい、見栄を張りたい、復讐したい……欲が単純で強ければ、その分だけ分かりやすいな』
へぇ、それは凄いね。流石は悪魔だ。
「それで、具体的にどうやってお金を稼ぐつもりなの?」
『どうとでもなるさ。気になるならオレ様を出して、ちょいと見とけば良い』
ユモンの提案に僕は頷いて、黄金の指輪から悪魔を解放した。
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