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全知全能と食事場
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それから僕は、木人達と共に村……と言うべきか、里と言うべきか、神樹の周辺をぐるぐると回って、色んな場所を観光気分で見せて貰った。やっぱり、木人の皆は割と素直な性格で、褒めたり楽しそうにすると凄く喜んでくれた。
「ここが食事場ね。好きなとこに座って良いわよ」
広場のようなその場所には、木製の床と無数に設置された机と椅子だけがあり、隣にある調理場から食器やらを持って来なければいけないシステムになっているようだった。
天井は疎か、壁すらも無く、青空教室ならぬ青空食堂だった。自然豊か過ぎてビビってしまうくらいだ。蔵とかはちゃんとしてるらしいし、虫とかの対策とかは考えてそうなものだけど……この食事場には、そういった配慮は見えなかった。
「えっと……メニューとかって、無いよね?」
「ぷっ、何言ってんのよ? ここは店じゃないのよ? その時に取れた食材を調理して出すだけだから」
いや、まぁ、そうだろうとは思ってたけどさ。余りにもな光景に、思わず聞いてしまっただけだ。
「ま、ここで待っときなさい。さっき落とした枝食みの肉で料理を作らせてるから、それが出来たらここに運ばせたげるわ」
「うん、待ってるよ」
座りながら言ったスイに、僕はスイが座った席の正面の席に座って、料理が来るのを大人しく待つことにした。
しかし、こうして座って見ると……なるほど確かに、素晴らしい光景だ。大いなる神樹が聳え立ち、木漏れ日が美しく照らす。枝と葉の間に透けて見える青空は美しく、離れて神樹を囲む木々には温かみがあり、この景色を壁や天井で塞いでしまうのは勿体無いという気持ちも理解できた。
「……良い場所だね」
「そうでしょう? 神樹様のありがたみを全身で感じながら食事出来るってので好評なワケよ」
「なるほどね。確かに、ここからは神樹が良く見える。それに、周りの自然とも調和して見える場所だよね」
「えぇ、ここで毎日ご飯を食べられるなんて幸せでしょう? 寝る時は神樹の上で眠って、まるで天国みたいだって思う時もあるわ」
僕が言うと、スイは嬉しそうに笑いながら語った。
「……だけど、それだけでも無いのよ。幸せなことばっかりって訳じゃないわ」
「そうなの?」
僕が素っ頓狂に声を上げると、スイは微笑んだまま頷いた。
「私達には敵が居るわ。みんなにも……他の木人にも、言われたんでしょう? お前も神樹の敵じゃないのかって」
「うん、言われたね」
「その、敵よ。神樹は強大で、存在するだけで数多の恩恵を齎し続ける存在だからこそ……その恩恵に預かろうと……いや、それだけなら良いわ。神樹の恩恵を奪い去ろうとする敵が、私達には居るの」
「……あ」
僕はそこで、ここまで何度か出ていた言葉を思い出した。
「――――根齧りに、枝食み」
今までは良く分からないから聞き逃していたけど、そういえばそんな名前を出していた気がする。
「そう、そいつらよ」
スイは、僕の出した言葉に忌まわし気に頷いた。
「こいつらって、結局のところ何なの?」
「根齧りは土の中を這い回る巨大なトカゲよ。鋭い牙と強靭な顎で根を齧って、その力を神樹様から奪い取ろうとするのよ。地下から来るから対処も面倒で、本当に大嫌いよ」
「……じゃあ、枝食みは?」
「根齧りよりはマシだけれど……群れを成して来ると、本当に厄介ね。枝食みは、私が魔術で落としたあの鳥よ。神樹様の枝を食べて力を得ようとするの」
まさかの、どっちも知ってる奴だった……あのクソデカい土竜みたいな蜥蜴みたいな奴と、クソデカい鳥のことだったらしい。
「奴らは共に神樹の力の影響下に生まれた生物という特徴があって、故に神樹から絶大な力を得られることも身をもって知ってるのよ。他にも、同じように神樹様を狙う生き物は居るけれど、いつもしつこく付け狙っていて、面倒なのはその二種ね」
「……なるほどね。因みに、神樹を食べた奴はどうなるの?」
「強くなるわよ、物凄くね。元とは比べ物にならないくらい強靭で、逞しく、一段階上の生物に進化するの」
「それは、凄いね……」
飽くまでも忌まわしそうに、スイは説明してくれた。
「そんな進化済みの個体を、蝕獣と呼ぶわ。神樹を蝕むという、決して許されない罪を背負った獣としてね」
「……やっぱり、完全に神樹を守り切れはしないんだね」
「ふふ、治が力を貸してくれたら楽勝なんだけどね?」
「残念ながら、僕は力を貸さないよ」
僕がそう答えると、スイは分かっていたように、でもやっぱり残念そうに首を振った。
「ま、そうよねぇ……分かってたわよ」
「でも、イシなら力を貸してくれるよ」
僕が言うと、スイは首を傾げた。
「イシ……?」
「あ、ごめん。あのゴーレムのことだよ。守護神だの、智慧の神だの言われてた、あの石のゴーレムのこと」
「え、あ、あのゴーレム……? ほ、本気で?」
僕が説明すると、スイは狼狽したように聞いてきた。
「勿論、本気だよ。イシには、ソラやこの星を守って貰うように約束したから。きっと、皆にも協力してくれると思うよ」
悪用されることを恐れて木人全体を守るようにとは命令しなかったけど、神樹を守るということは同時に木人を守ることでもある筈だ。きっと、手を取り合って行けるだろう。
「ここが食事場ね。好きなとこに座って良いわよ」
広場のようなその場所には、木製の床と無数に設置された机と椅子だけがあり、隣にある調理場から食器やらを持って来なければいけないシステムになっているようだった。
天井は疎か、壁すらも無く、青空教室ならぬ青空食堂だった。自然豊か過ぎてビビってしまうくらいだ。蔵とかはちゃんとしてるらしいし、虫とかの対策とかは考えてそうなものだけど……この食事場には、そういった配慮は見えなかった。
「えっと……メニューとかって、無いよね?」
「ぷっ、何言ってんのよ? ここは店じゃないのよ? その時に取れた食材を調理して出すだけだから」
いや、まぁ、そうだろうとは思ってたけどさ。余りにもな光景に、思わず聞いてしまっただけだ。
「ま、ここで待っときなさい。さっき落とした枝食みの肉で料理を作らせてるから、それが出来たらここに運ばせたげるわ」
「うん、待ってるよ」
座りながら言ったスイに、僕はスイが座った席の正面の席に座って、料理が来るのを大人しく待つことにした。
しかし、こうして座って見ると……なるほど確かに、素晴らしい光景だ。大いなる神樹が聳え立ち、木漏れ日が美しく照らす。枝と葉の間に透けて見える青空は美しく、離れて神樹を囲む木々には温かみがあり、この景色を壁や天井で塞いでしまうのは勿体無いという気持ちも理解できた。
「……良い場所だね」
「そうでしょう? 神樹様のありがたみを全身で感じながら食事出来るってので好評なワケよ」
「なるほどね。確かに、ここからは神樹が良く見える。それに、周りの自然とも調和して見える場所だよね」
「えぇ、ここで毎日ご飯を食べられるなんて幸せでしょう? 寝る時は神樹の上で眠って、まるで天国みたいだって思う時もあるわ」
僕が言うと、スイは嬉しそうに笑いながら語った。
「……だけど、それだけでも無いのよ。幸せなことばっかりって訳じゃないわ」
「そうなの?」
僕が素っ頓狂に声を上げると、スイは微笑んだまま頷いた。
「私達には敵が居るわ。みんなにも……他の木人にも、言われたんでしょう? お前も神樹の敵じゃないのかって」
「うん、言われたね」
「その、敵よ。神樹は強大で、存在するだけで数多の恩恵を齎し続ける存在だからこそ……その恩恵に預かろうと……いや、それだけなら良いわ。神樹の恩恵を奪い去ろうとする敵が、私達には居るの」
「……あ」
僕はそこで、ここまで何度か出ていた言葉を思い出した。
「――――根齧りに、枝食み」
今までは良く分からないから聞き逃していたけど、そういえばそんな名前を出していた気がする。
「そう、そいつらよ」
スイは、僕の出した言葉に忌まわし気に頷いた。
「こいつらって、結局のところ何なの?」
「根齧りは土の中を這い回る巨大なトカゲよ。鋭い牙と強靭な顎で根を齧って、その力を神樹様から奪い取ろうとするのよ。地下から来るから対処も面倒で、本当に大嫌いよ」
「……じゃあ、枝食みは?」
「根齧りよりはマシだけれど……群れを成して来ると、本当に厄介ね。枝食みは、私が魔術で落としたあの鳥よ。神樹様の枝を食べて力を得ようとするの」
まさかの、どっちも知ってる奴だった……あのクソデカい土竜みたいな蜥蜴みたいな奴と、クソデカい鳥のことだったらしい。
「奴らは共に神樹の力の影響下に生まれた生物という特徴があって、故に神樹から絶大な力を得られることも身をもって知ってるのよ。他にも、同じように神樹様を狙う生き物は居るけれど、いつもしつこく付け狙っていて、面倒なのはその二種ね」
「……なるほどね。因みに、神樹を食べた奴はどうなるの?」
「強くなるわよ、物凄くね。元とは比べ物にならないくらい強靭で、逞しく、一段階上の生物に進化するの」
「それは、凄いね……」
飽くまでも忌まわしそうに、スイは説明してくれた。
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「……やっぱり、完全に神樹を守り切れはしないんだね」
「ふふ、治が力を貸してくれたら楽勝なんだけどね?」
「残念ながら、僕は力を貸さないよ」
僕がそう答えると、スイは分かっていたように、でもやっぱり残念そうに首を振った。
「ま、そうよねぇ……分かってたわよ」
「でも、イシなら力を貸してくれるよ」
僕が言うと、スイは首を傾げた。
「イシ……?」
「あ、ごめん。あのゴーレムのことだよ。守護神だの、智慧の神だの言われてた、あの石のゴーレムのこと」
「え、あ、あのゴーレム……? ほ、本気で?」
僕が説明すると、スイは狼狽したように聞いてきた。
「勿論、本気だよ。イシには、ソラやこの星を守って貰うように約束したから。きっと、皆にも協力してくれると思うよ」
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