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全知全能と事務所再来
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それから、御岳相談事務所に到着した僕たちは車を降りて早速古びた扉を叩いた。
「なんだ、人を連れて戻って来て……それも、認識阻害の魔術までかけてるようだが、どういうつもりだ?」
扉を開いて出て来た御岳さんはそう言いながら僕たちをじろりと観察するように見て、何かに気付いたように目を細めた。
「……夜咲紫苑」
御岳さんの言葉に紫苑ちゃんは目を丸くして、安堂さんと朝熊さんは警戒を強めるように一歩前に出た。
「あら、会ったことなんてあったかしら?」
「いや、無いが……そこに居るのは、水銀だろう?」
御岳さんの言葉に、安堂さんは眉を顰めた。
「……懐かしい呼び名でございますな」
「お噂はかねがね、な。赤霧のから聞いている」
「あぁ、アレの知り合いでしたか……ということは、随分と苦労をして来たのではありませんか?」
「まぁ、それなりにな……俺の話は良い。お前達はここに何の用で来たんだ? 内容によっちゃ、中には入れられんが」
それを聞いた紫苑ちゃんは一歩前に出て、腕を胸の前で組んでふんぞり返った姿勢で御岳さんを見た。
「助けてあげても良いわっ!」
「なに? それは助かるが……対価は何だ?」
「……思ったよりあっさりと受け入れるのね。警戒心とかプライドとか、そういうのは無いの?」
「警戒するにしても話は聞く。プライドなんてのは言ってる場合じゃないんでな」
紫苑ちゃんは若干残念そうにしながらも、話を続け始めた。
「そう……まぁ良いわ。対価は要らないわよ。治への恩返しでやってるみたいなものだから」
「恩返し、か」
御岳さんは眉を顰め、僕の方に視線を移した。
「対価を支払う相手は、アンタの方か」
「え? いや、僕は全然大丈夫ですよ。あんな話聞いちゃったんで、放っておく訳にもって思っただけで……」
「そういう訳にもいかんだろう。ただでさえ、前回の礼も……いや、アレはアンタじゃないって話だったか」
御岳さんの言葉に僕は視線を逸らして、ユモンの方を見た。
「何だよ」
「いや、何でも無いけど」
認識阻害の魔術をかけてなかったら、凄く注目されてただろうなぁって思っただけだ。紫苑ちゃんも目立つし、ユモンも目立つし、何なら安堂さんも目立つかも知れない。一応、敵に僕らの動きがバレたりしないようにと認識阻害をかけてやって来たけど、これが無かったらスマホのカメラを沢山向けられてたかも知れない。
「取り敢えず、対価は要りません。どうしても渡したいなら、紫苑ちゃんに渡してあげてください」
報酬とか貰えたらちゃんと喜ぶタイプな気がするしね。
「……そうか。まぁ良い、一先ずは上がると良い」
御岳さんはそう言うと、踵を返して事務所の中に引っ込んでいった。僕らもそれを追って事務所に上がり、ちょっと前に見た光景を再び見ることになった。
「あ? 何でまた来た……つーか、誰だそいつら」
「僕の知り合い……もとい、支配者」
目を細めた茜さんに僕がそう答えると、細められていた目が真ん丸に開いた。
「なんでだ!?」
「困ってそうだから、もしかして支配者なら助けてくれるんじゃないかなぁって話してみたら、来てくれたよ」
まぁ、本当は指輪の恩返しだのどうのこうのがあるけど、以下省略である。
「行動力化け物かよ……!?」
「あ、いや、知り合いだからね。元々」
「知り合いなのは知り合いなので凄いけどね……そもそも、貴方は一般人なんじゃなかったの。支配者が知り合いの一般人なんて、一般人じゃないけど?」
「黙っててごめん。一般魔術士です。でも、妹の前では言えなくてさ、一応出来るだけ他言しないようにしてるんだ」
遂に白状した僕に、茜さんはしたり顔を浮かべた。
「ハッ、やっと吐きやがったかテメェ。私にこんなもんくれやがった時点で、一般人なワケねぇんだよ」
「いや、それが君の手に渡ったのは本当に偶然なんだけど……」
茜さんの手に現れた炎の鞭に、僕は懐かしさを感じつつ息を吐いた。
「んな偶然あるかよ。だったら、これはあそこに落としましたー、とでも言うつもりかよ?」
いや、そうだけど。蛇にビビって取り落として逃げただけだけど?
「ね、ねぇ、なによその鞭……!」
「これは……凄まじい術でございますな」
茜さんが出した炎の鞭に詰め寄るように近付いて行く紫苑ちゃんと、驚愕をその顔に浮かべる安堂さん。
「ちょっ、私のだぞッ! 近付くんじゃねえよ!」
「な、なんでよ!? 見せなさいよっ!!」
炎の鞭をパッと赤いリングに変えて懐に隠した。紫苑ちゃんは茜さんに至近距離まで迫って再び見せるようせがむが、茜さんは焦ったように首を振っている。
「お嬢様、どうかお控えくださいませ」
「そうだよッ、支配者だからって渡しゃしねぇぞ!?」
「な、何も盗る訳じゃないわよ! ただ、見たいってだけっ!」
「見せるくらいなら良いじゃない。子供相手なんだから」
「お、お前、他人事だからってなぁ……!」
止める執事に、焦る茜さん、食らいつく紫苑ちゃんに、微笑ましい表情を浮かべている瑞樹さん。いやぁ、早速混沌の様相を呈してきたね。
「取り敢えず、全員座れ。……いや、椅子足りるか?」
御岳さんの言葉に僕はソファに歩き、ぼちぼちと他の面子も座り始めた。
「なんだ、人を連れて戻って来て……それも、認識阻害の魔術までかけてるようだが、どういうつもりだ?」
扉を開いて出て来た御岳さんはそう言いながら僕たちをじろりと観察するように見て、何かに気付いたように目を細めた。
「……夜咲紫苑」
御岳さんの言葉に紫苑ちゃんは目を丸くして、安堂さんと朝熊さんは警戒を強めるように一歩前に出た。
「あら、会ったことなんてあったかしら?」
「いや、無いが……そこに居るのは、水銀だろう?」
御岳さんの言葉に、安堂さんは眉を顰めた。
「……懐かしい呼び名でございますな」
「お噂はかねがね、な。赤霧のから聞いている」
「あぁ、アレの知り合いでしたか……ということは、随分と苦労をして来たのではありませんか?」
「まぁ、それなりにな……俺の話は良い。お前達はここに何の用で来たんだ? 内容によっちゃ、中には入れられんが」
それを聞いた紫苑ちゃんは一歩前に出て、腕を胸の前で組んでふんぞり返った姿勢で御岳さんを見た。
「助けてあげても良いわっ!」
「なに? それは助かるが……対価は何だ?」
「……思ったよりあっさりと受け入れるのね。警戒心とかプライドとか、そういうのは無いの?」
「警戒するにしても話は聞く。プライドなんてのは言ってる場合じゃないんでな」
紫苑ちゃんは若干残念そうにしながらも、話を続け始めた。
「そう……まぁ良いわ。対価は要らないわよ。治への恩返しでやってるみたいなものだから」
「恩返し、か」
御岳さんは眉を顰め、僕の方に視線を移した。
「対価を支払う相手は、アンタの方か」
「え? いや、僕は全然大丈夫ですよ。あんな話聞いちゃったんで、放っておく訳にもって思っただけで……」
「そういう訳にもいかんだろう。ただでさえ、前回の礼も……いや、アレはアンタじゃないって話だったか」
御岳さんの言葉に僕は視線を逸らして、ユモンの方を見た。
「何だよ」
「いや、何でも無いけど」
認識阻害の魔術をかけてなかったら、凄く注目されてただろうなぁって思っただけだ。紫苑ちゃんも目立つし、ユモンも目立つし、何なら安堂さんも目立つかも知れない。一応、敵に僕らの動きがバレたりしないようにと認識阻害をかけてやって来たけど、これが無かったらスマホのカメラを沢山向けられてたかも知れない。
「取り敢えず、対価は要りません。どうしても渡したいなら、紫苑ちゃんに渡してあげてください」
報酬とか貰えたらちゃんと喜ぶタイプな気がするしね。
「……そうか。まぁ良い、一先ずは上がると良い」
御岳さんはそう言うと、踵を返して事務所の中に引っ込んでいった。僕らもそれを追って事務所に上がり、ちょっと前に見た光景を再び見ることになった。
「あ? 何でまた来た……つーか、誰だそいつら」
「僕の知り合い……もとい、支配者」
目を細めた茜さんに僕がそう答えると、細められていた目が真ん丸に開いた。
「なんでだ!?」
「困ってそうだから、もしかして支配者なら助けてくれるんじゃないかなぁって話してみたら、来てくれたよ」
まぁ、本当は指輪の恩返しだのどうのこうのがあるけど、以下省略である。
「行動力化け物かよ……!?」
「あ、いや、知り合いだからね。元々」
「知り合いなのは知り合いなので凄いけどね……そもそも、貴方は一般人なんじゃなかったの。支配者が知り合いの一般人なんて、一般人じゃないけど?」
「黙っててごめん。一般魔術士です。でも、妹の前では言えなくてさ、一応出来るだけ他言しないようにしてるんだ」
遂に白状した僕に、茜さんはしたり顔を浮かべた。
「ハッ、やっと吐きやがったかテメェ。私にこんなもんくれやがった時点で、一般人なワケねぇんだよ」
「いや、それが君の手に渡ったのは本当に偶然なんだけど……」
茜さんの手に現れた炎の鞭に、僕は懐かしさを感じつつ息を吐いた。
「んな偶然あるかよ。だったら、これはあそこに落としましたー、とでも言うつもりかよ?」
いや、そうだけど。蛇にビビって取り落として逃げただけだけど?
「ね、ねぇ、なによその鞭……!」
「これは……凄まじい術でございますな」
茜さんが出した炎の鞭に詰め寄るように近付いて行く紫苑ちゃんと、驚愕をその顔に浮かべる安堂さん。
「ちょっ、私のだぞッ! 近付くんじゃねえよ!」
「な、なんでよ!? 見せなさいよっ!!」
炎の鞭をパッと赤いリングに変えて懐に隠した。紫苑ちゃんは茜さんに至近距離まで迫って再び見せるようせがむが、茜さんは焦ったように首を振っている。
「お嬢様、どうかお控えくださいませ」
「そうだよッ、支配者だからって渡しゃしねぇぞ!?」
「な、何も盗る訳じゃないわよ! ただ、見たいってだけっ!」
「見せるくらいなら良いじゃない。子供相手なんだから」
「お、お前、他人事だからってなぁ……!」
止める執事に、焦る茜さん、食らいつく紫苑ちゃんに、微笑ましい表情を浮かべている瑞樹さん。いやぁ、早速混沌の様相を呈してきたね。
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