ある日、僕は全知全能になった。

暁月ライト

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全知全能と敵について

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 御岳さんはソファに深く座り、敵についての話を始めた。

「まぁ、話した通り敵の首魁はマズヴァイPLCなる金融会社の頭な訳だが……本拠地はイギリスだからな。全戦力をパッと送ってくるようなことはない訳だ。それでも、腹心って程では無いにしてもそこそこ重宝してたらしいダクドとか言う吸血鬼を送って来やがったんだ。本気なのは間違いない」

「あぁ……」

 あの吸血鬼、か。思い出すとちょっと嫌になるよ。

「その、治さん……ごめんなさい、あの時は」

「あはは、いや、良いんだよ。僕は大丈夫、もうね」

 暫くはトラウマに感じるようなレベルだったけど、今となっては、凄く嫌な思い出くらいだ。うん、まぁ。多分。

「そして、アレから一週間くらいは大した動きも無かった訳なんだが……また奴らは動き始めて、今度は結構本気で動いてるみたいだな。前は、ダクドは確かに厄介だったんだが使ってる奴は木っ端と言えば木っ端だった。人狼は居たが、それくらいだったな」

「つまり、今は違うのね」

「そうだ。中々に厄介な奴らを雇ってるみたいでな……碌に外も出歩けやしない。情報も引き継がれてるらしくてな。恐らく、ここもまぁバレてるだろう。俺という存在も、向こうに伝わってるだろうからな」

 まぁ、御岳相談事務所だからね。御岳さんがバレたら同時にここもバレるかも知れない。拠点変えた方が良いんじゃないのかな……?

「ただ、ここもある程度は要塞化してあるからな。もし襲撃をかけて来ても、外で襲われるよりは楽に対応できる筈だ。向こうも管理局が流石に言い訳出来ないくらいに派手な襲撃は出来ないだろうからな」

「へ、へぇ……」

 要塞化されてるんだここ。全然気付かなかった。まぁ、見て分かるような仕掛けはしてないってことだよね。僕が鈍い訳じゃない。

「……まぁ、それで敵がどんな奴らでどんなことをしてくるかって話な訳だが」

 僕は頷き、話に耳を傾けた。

「先ず、影堕ちの徒とか言う怪しい奴らだ。前回も使ってたみたいだが、今回は本腰入れてるみたいでな……より厄介になってる」

 先ずってことは、それだけじゃないってことか。

「こいつらは基本的な魔術も使えるが、闇系統の術を使ってる。魔術だけでなく、呪術もな。怪しい宗教組織だか知らないが、神から授かってるだとか……まぁ、そんな感じらしい。深く関わる気も無いから俺も詳しくは知らん」

「んだその胡散臭ぇ組織」

 ボーっと聞いていたユモンが眉を顰めてそう言った。実際、お近づきになりたくない組織ではある。間違いなくね。

「まぁ、そういう組織だから術で居場所を探って来たりだとか、呪いをかけてきたりだとか、情報が割れる度に厄介なことになっていく相手だ。正面戦闘に限れば、大したことは……そんなに無い」

 本当かなぁ。御岳さん、普通にめっちゃ強そうだし、その基準で語る大したことないだったら、全然怖いんだけど。それに、呪いとかも普通に怖いな。ユモンの魔術書を見てるから、呪いが大きな力を持つ個とは知っている。

「その、呪いって大丈夫なんですか?」

「呪いに関しては、光と瑞樹が居れば大事にはならないからな。孤立してるところに、直接重い呪いをぶち込まれて助けも呼べないって状況じゃなければ……大抵は問題無い筈だ。少なくとも、今のところは対処できないような呪いは食らっていない」

 なるほど、光の妖精の力で何とかなっちゃうんだね。それと、瑞樹さんはヒーラー的な感じの人なのかな。解呪には専門的な知識が必要だったりするって異世界でも聞いたし、それがこっちでも同じなら、割とそういう分野に精通した人なんだろう。

「そして、もう一つが……名前は知らんが、恐らく影堕ちの徒とは別の組織だ。動き方が明らかに意思統一されてないように見えたからな」

 そんなに有名じゃない相手ってことは、影堕ちの徒よりは強くなさそうだね。

「こいつらは少数精鋭だ。恐らく、五人程度だな。聞いたところによると殺しには相当慣れていそうって話だ。影堕ち共は訓練は受けていて躊躇いも無いが、実際の殺しの経験自体はある奴と無い奴でまばらに見えた。数が多い分、全員が殺しの経験を積んでるって訳じゃないんだろうが」

 なんか、影堕ちよりも強そうな雰囲気が漂ってるなぁ……。

「役割というか、組織自体の方向性が違うという所はあるが……俺からすれば、その名無しの方が数倍は厄介に思える。尤も、俺はまだ見ちゃ居ないんだが」

 なるほど、御岳さんとは出会ってないんだ。つまり、相手を選んで弱そうなところから削ろうとしてるとかなのかな。どうやら、狡猾な相手みたいだ。
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