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全知全能と水銀
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凄まじい勢いで踏み込んだ安堂さんの、稲妻の如き速度の拳がユモンへと突き出される。その拳には濃密な魔力が纏われており、それを見たユモンは眉を顰め……その身から魔力を滲み出させた。
「悪くねェ」
「ッ!!」
パシリと、その拳を受け止めたユモン。その瞬間に安堂さんは拳に纏った金属を操作して棘の様に突き出させ、ユモンの手を貫こうとした。
「だが、足りねェな。火力がよ」
その棘は、ユモンの魔力を纏った手を貫くことは出来ず、成長の途中で止められてギギギとせめぎ合うような音を立てた。
「……ならば」
安堂さんは懐から二つの小瓶を取り出した。すると、その中身が流れ出して安堂さんの拳に手袋の様に纏われた。青みがかった光を放つ、銀色の手は波立つように動いている。
「良いぜ、殺す気で来いよォ」
安堂さんは答えることも無く飛び出した。振り抜かれた拳。それがユモンに近付くと、その手を覆う銀色の流体金属が刃と化して迫った。さっきの棘などとは違って、十分に厚さのある刃だった。
「ヒヒッ」
ユモンが愉し気に笑い声を上げる。受け止めようと伸ばして居た腕を引っ込めて、ユモンはその刃を回避した。
「やっと、勝負になって来たな?」
「そう、か……ッ!」
ユモンがぐるりと回転しながらの蹴りを放つ。安堂さんは頭を下げてそれを回避し、その直ぐ後に迫った拳を両腕で防いだ。瞬間、ユモンの拳が弾かれたように跳ねる。
「ッ!? 成る程なぁ、衝撃を反射され……たって訳だなァ」
驚いたユモンの腹部に容赦なく拳を叩き込もうとした安堂さんだったが、ユモンも体を逸らして避けた。ユモンは逸らした体を引き戻す勢いで拳を安堂さんの腹辺りに叩き込む。魔力で強化された肉体は、さっきの一撃よりも速く拳を叩き込んだ。
「へぇ……随分と反応が良いなァ?」
「紋章は神経回路にも作用しますので……反応速度も強化されておりますよ」
「そうかそうか。研究と努力の結晶って所だな」
「えぇ……尤も、金属の開発は他人の力を借りた部分が大きいですがね」
少し話したところで、再び拳を構え合う両者。今更ながらに、凄まじい緊張感が走り抜けていくのが分かった。
「もうちっと、見せてやるよ」
ユモンの体から、更なる魔力が溢れる。それだけで身体能力が数倍に膨れ上がっているだろうということが僕には分かった。
「……いつでも」
「そうかァ」
安堂さんが静かに言うと、ユモンの姿がその場から掻き消えた。次の瞬間には、拳が安堂さんの腹部に叩き込まれていた。
「大丈夫だァ、死に立てホヤホヤならどうにかしてやっからよォ!!」
「殺しはナシよッ!?」
目を見開いて叫ぶ紫苑ちゃんも虚しく、拳が着弾した地点から魔力が爆発するように溢れ出す。安堂さんの体を前側から後ろ側に流れて行くように……
「ふッ!!」
「なッ!?」
受け流されていた。腹部を金属に寄せることが出来たのは、一点読みだったんだろう。そして、ユモンの拳による衝撃と、叩き込まれた魔力の殆ど全てを特殊な金属によって吸収し、霧散させ、受け流していた。
そして、密着状態から伸ばされた安堂さんの手が、掌底がユモンのみぞおちに叩き込まれた。
「ぐッ!?」
咄嗟に魔力を寄せて防御したユモンだったが、苦痛の滲むような声を上げ、体がふらりと揺れた。足腰の側にダメージが抜けて行った。多分、発勁的な技みたいだ。
「はァッ!!」
そこに追い打ちをかけるように、安堂さんの拳がユモンの顎を捉えた。再び魔力を固めるユモンだったが、さっきと同様に凄まじい衝撃を受けてユモンは首をかち上げられた。
……今の、普通の人間なら絶対に死んでるよ。首折れるから。
「い、っでぇ……」
「ふッ!!」
頭にダメージを食らい、まともに反応も出来ない状態になっているであろうユモンに……止めの蹴りが放たれた。手に纏われていた筈の金属も足に纏われており、更に十分に力を籠めて放たれた蹴りは、ユモンの頭を正確に捉えて……
「ヒヒッ」
パシリと、その手に受け止められていた。
「半分ってとこさ……今の、オレ様の魔力のな」
「ッ! まだ……」
ユモンは安堂さんの足を突き返すように離すと、その手を安堂さんの胸に叩き込んだ。
「ぐ、ォォ……!」
ふらりと揺れた安堂さんだが、踏みとどまって金属に纏われたその手を刃に変えてユモンへと突き伸ばす。それは意外にも、ユモンの胸をあっさりと貫いた……ように見えた。
「なーんてな?」
いつの間にか、安堂さんの背後に立っていたユモンが手刀をその首筋に叩き込んだ。
「ッ、ぁ……」
すると、安堂さんは目を見開いた後にぐらりと地面に倒れ伏して、意識を失った。
「ヒヒッ、悪く無かったぜ。マジでな」
横たわる安堂さんの隣で、ユモンは満足気な笑みを浮かべていた。
「悪くねェ」
「ッ!!」
パシリと、その拳を受け止めたユモン。その瞬間に安堂さんは拳に纏った金属を操作して棘の様に突き出させ、ユモンの手を貫こうとした。
「だが、足りねェな。火力がよ」
その棘は、ユモンの魔力を纏った手を貫くことは出来ず、成長の途中で止められてギギギとせめぎ合うような音を立てた。
「……ならば」
安堂さんは懐から二つの小瓶を取り出した。すると、その中身が流れ出して安堂さんの拳に手袋の様に纏われた。青みがかった光を放つ、銀色の手は波立つように動いている。
「良いぜ、殺す気で来いよォ」
安堂さんは答えることも無く飛び出した。振り抜かれた拳。それがユモンに近付くと、その手を覆う銀色の流体金属が刃と化して迫った。さっきの棘などとは違って、十分に厚さのある刃だった。
「ヒヒッ」
ユモンが愉し気に笑い声を上げる。受け止めようと伸ばして居た腕を引っ込めて、ユモンはその刃を回避した。
「やっと、勝負になって来たな?」
「そう、か……ッ!」
ユモンがぐるりと回転しながらの蹴りを放つ。安堂さんは頭を下げてそれを回避し、その直ぐ後に迫った拳を両腕で防いだ。瞬間、ユモンの拳が弾かれたように跳ねる。
「ッ!? 成る程なぁ、衝撃を反射され……たって訳だなァ」
驚いたユモンの腹部に容赦なく拳を叩き込もうとした安堂さんだったが、ユモンも体を逸らして避けた。ユモンは逸らした体を引き戻す勢いで拳を安堂さんの腹辺りに叩き込む。魔力で強化された肉体は、さっきの一撃よりも速く拳を叩き込んだ。
「へぇ……随分と反応が良いなァ?」
「紋章は神経回路にも作用しますので……反応速度も強化されておりますよ」
「そうかそうか。研究と努力の結晶って所だな」
「えぇ……尤も、金属の開発は他人の力を借りた部分が大きいですがね」
少し話したところで、再び拳を構え合う両者。今更ながらに、凄まじい緊張感が走り抜けていくのが分かった。
「もうちっと、見せてやるよ」
ユモンの体から、更なる魔力が溢れる。それだけで身体能力が数倍に膨れ上がっているだろうということが僕には分かった。
「……いつでも」
「そうかァ」
安堂さんが静かに言うと、ユモンの姿がその場から掻き消えた。次の瞬間には、拳が安堂さんの腹部に叩き込まれていた。
「大丈夫だァ、死に立てホヤホヤならどうにかしてやっからよォ!!」
「殺しはナシよッ!?」
目を見開いて叫ぶ紫苑ちゃんも虚しく、拳が着弾した地点から魔力が爆発するように溢れ出す。安堂さんの体を前側から後ろ側に流れて行くように……
「ふッ!!」
「なッ!?」
受け流されていた。腹部を金属に寄せることが出来たのは、一点読みだったんだろう。そして、ユモンの拳による衝撃と、叩き込まれた魔力の殆ど全てを特殊な金属によって吸収し、霧散させ、受け流していた。
そして、密着状態から伸ばされた安堂さんの手が、掌底がユモンのみぞおちに叩き込まれた。
「ぐッ!?」
咄嗟に魔力を寄せて防御したユモンだったが、苦痛の滲むような声を上げ、体がふらりと揺れた。足腰の側にダメージが抜けて行った。多分、発勁的な技みたいだ。
「はァッ!!」
そこに追い打ちをかけるように、安堂さんの拳がユモンの顎を捉えた。再び魔力を固めるユモンだったが、さっきと同様に凄まじい衝撃を受けてユモンは首をかち上げられた。
……今の、普通の人間なら絶対に死んでるよ。首折れるから。
「い、っでぇ……」
「ふッ!!」
頭にダメージを食らい、まともに反応も出来ない状態になっているであろうユモンに……止めの蹴りが放たれた。手に纏われていた筈の金属も足に纏われており、更に十分に力を籠めて放たれた蹴りは、ユモンの頭を正確に捉えて……
「ヒヒッ」
パシリと、その手に受け止められていた。
「半分ってとこさ……今の、オレ様の魔力のな」
「ッ! まだ……」
ユモンは安堂さんの足を突き返すように離すと、その手を安堂さんの胸に叩き込んだ。
「ぐ、ォォ……!」
ふらりと揺れた安堂さんだが、踏みとどまって金属に纏われたその手を刃に変えてユモンへと突き伸ばす。それは意外にも、ユモンの胸をあっさりと貫いた……ように見えた。
「なーんてな?」
いつの間にか、安堂さんの背後に立っていたユモンが手刀をその首筋に叩き込んだ。
「ッ、ぁ……」
すると、安堂さんは目を見開いた後にぐらりと地面に倒れ伏して、意識を失った。
「ヒヒッ、悪く無かったぜ。マジでな」
横たわる安堂さんの隣で、ユモンは満足気な笑みを浮かべていた。
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