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全知全能と追いかける者
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裏門から出ていく訳も無く、正門から普通に出て帰路に就いた。生徒達の群れに混じりながら歩いて行き、進んで行くにつれてその群れは数を減らしていく。
「ユモン、僕は帰ったら寝るから……一人で行ける?」
『まぁ、元からそういう話だったしな。起きたらゴーレム作れよな?』
僕はこくりと頷き、すっかり制服を着ているのは僕だけになった道を歩いて行くと……少し細い道に曲がった瞬間、僕は腕をひっ捕まえられた。
「よーし、捕まえた。大人しくしろよ?」
眠すぎた僕は反応すら出来ずに、僕の腕を捕まえた男の顔を見上げた。制服を着た、背の高い男。あぁ、腕が痛いな。
「帰らせてよ……眠いから」
「あ? 舐めんなよ、テメェ」
男の表情が豹変する。捕まえた僕の腕を引き寄せて、膝が僕の腹部に入る。
「ぐ、ぇ……ッ!」
「白山さんが来るまで大人しくしとけや……分かったな?」
僕は溜息を吐き、鈍い痛みに眉を顰めた。帰りたいのに、帰れない。あぁ、クソ……こんなことなら、寅嶋さんの忠告に従って本当に警察でも呼んでおけば良かった。帰る時にパトロールでもしてそうな警察とすれ違ったし、その時に頼めば良かったかなぁ。
「……あぁ、そうっす。捕まえましたよ。えぇ、最初はナマ言ってたすけど、膝蹴り入れたら黙ったッスわ」
スマホを耳に当てて、話している男……今なら、逃げられるかも知れない。
「よいしょ」
「げッ」
電話に気を取られている男に、僕は逆に自分から膝蹴りを叩き込んでやり、腕を握る力が緩んだ隙に逃げ出した。
「て、テメ待てッ! 止まれやァッ、殺すぞォッ!!」
追いかけて来る男に目もくれず、走る僕。しかし、素の身体能力では多分負けている。先輩だし、体格も僕よりずっと良いし。
「ほら、待てやッ!! 止まれッつの!!」
「止まるのはお前だッ!! 待てッ! 止まりなさいッ!!」
背後で増えた声に、僕は思わず振り返った。警察の男が、僕を追いかける男を追いかけていた。
『ハハッ、賑やかだな!』
「……賑やかだな、じゃないよ」
僕は後ろの方で捕まった男を見て、安堵の溜息を吐いた。警察の人が手をこまねいているのが見えたので、僕も話をする為に警察の人の下へと歩いた。本当は、寝たいんだけど。ありもしないことをあの男が警察に伝える可能性もあるし。
「すみません、ありがとうございます……」
僕は頭を下げて感謝を示しつつ、バレないようにあくびを噛み殺した。
♢
そうして、家に帰れたのは数時間後だった。黒崎さんのことを一応隠しておこうと濁したのがバレたのか、ちゃんと問い詰められて真実を話してしまった。あ、勿論白山先輩との喧嘩については話していない。
「……ふぅ」
まぁ、これで黒崎さんも警察に守って貰えたりするかもしれないし、良い選択だった……と、思う。うん。慎重そうな白山先輩のことだし、これで諦める可能性も……いや、無いかなぁ。執念深そうだし。
「どうしたもんかな」
帰った後、ご飯を食べて風呂に入った僕は部屋の椅子の上で溜息を吐いていた。というのも、今日ゴーレムを作らなかったら流石に有事に間に合わない可能性も高いのである。時刻は、八時半を回っている。
「……うん、頑張るか」
僕は裏世界……と言っても、あの星では無く天界とでも呼ぶべきあの石畳の空間に飛んだ。
その世界の中で、ゴーレムを作り上げながら僕は考える。今は、集中力も加速しているし、眠気も無い。万全な状態だ。この後は些か不安だけど、まぁゴーレムさえ出来れば何とかなる。
紫苑ちゃんの方は、というか相談事務所の方は今のところ殆ど何も起きていない状態らしい。どうにも、紫苑ちゃんが護衛に着いたというのが勘付かれたようで、向こうも動きを変えているようなのだ。
「……都合のいい準備期間、になるかな」
準備をしているのは向こうも同じである。ただ、話された内容的に不安なのは紫苑ちゃんを邪魔に思う勢力を味方に付けて動き始める可能性も高いということだった。
紫苑ちゃんは圧倒的な個の力と、元々の血筋で支配者としての地位を確立してはいるが、その立場に成り代わりたいと考える者も当然ながら居る訳だ。邪魔な紫苑ちゃんを退けてしまえば、実効的に一帯を支配することも強力な魔術士の集団であれば十分可能なのである。
その場合は、集団の長が支配者ということになるだろう。そして、その地区の魔術士達はその集団に利用されることになるだろうし、管理局とその集団は敵対するか、最悪の場合は裏で繋がることになるかも知れない。
妄想でも何でも無く、この街の裏でそんな動きが起きていそうだと言う旨を僕はユモンから聞いていたのだった。
「取り敢えず、一体は頑張らないと」
寝て起きて、万全になったらまた二体三体と作るけど、一先ずは護衛として責めて一体は用意しないといけない。それも、僕が態々直接護衛に参加しない価値があったって思われるくらいの奴を……
「頑張ろう」
僕は自分で自分を鼓舞し、念の為に地球から持って来た素材でゴーレムを形作っていくのだった。
「ユモン、僕は帰ったら寝るから……一人で行ける?」
『まぁ、元からそういう話だったしな。起きたらゴーレム作れよな?』
僕はこくりと頷き、すっかり制服を着ているのは僕だけになった道を歩いて行くと……少し細い道に曲がった瞬間、僕は腕をひっ捕まえられた。
「よーし、捕まえた。大人しくしろよ?」
眠すぎた僕は反応すら出来ずに、僕の腕を捕まえた男の顔を見上げた。制服を着た、背の高い男。あぁ、腕が痛いな。
「帰らせてよ……眠いから」
「あ? 舐めんなよ、テメェ」
男の表情が豹変する。捕まえた僕の腕を引き寄せて、膝が僕の腹部に入る。
「ぐ、ぇ……ッ!」
「白山さんが来るまで大人しくしとけや……分かったな?」
僕は溜息を吐き、鈍い痛みに眉を顰めた。帰りたいのに、帰れない。あぁ、クソ……こんなことなら、寅嶋さんの忠告に従って本当に警察でも呼んでおけば良かった。帰る時にパトロールでもしてそうな警察とすれ違ったし、その時に頼めば良かったかなぁ。
「……あぁ、そうっす。捕まえましたよ。えぇ、最初はナマ言ってたすけど、膝蹴り入れたら黙ったッスわ」
スマホを耳に当てて、話している男……今なら、逃げられるかも知れない。
「よいしょ」
「げッ」
電話に気を取られている男に、僕は逆に自分から膝蹴りを叩き込んでやり、腕を握る力が緩んだ隙に逃げ出した。
「て、テメ待てッ! 止まれやァッ、殺すぞォッ!!」
追いかけて来る男に目もくれず、走る僕。しかし、素の身体能力では多分負けている。先輩だし、体格も僕よりずっと良いし。
「ほら、待てやッ!! 止まれッつの!!」
「止まるのはお前だッ!! 待てッ! 止まりなさいッ!!」
背後で増えた声に、僕は思わず振り返った。警察の男が、僕を追いかける男を追いかけていた。
『ハハッ、賑やかだな!』
「……賑やかだな、じゃないよ」
僕は後ろの方で捕まった男を見て、安堵の溜息を吐いた。警察の人が手をこまねいているのが見えたので、僕も話をする為に警察の人の下へと歩いた。本当は、寝たいんだけど。ありもしないことをあの男が警察に伝える可能性もあるし。
「すみません、ありがとうございます……」
僕は頭を下げて感謝を示しつつ、バレないようにあくびを噛み殺した。
♢
そうして、家に帰れたのは数時間後だった。黒崎さんのことを一応隠しておこうと濁したのがバレたのか、ちゃんと問い詰められて真実を話してしまった。あ、勿論白山先輩との喧嘩については話していない。
「……ふぅ」
まぁ、これで黒崎さんも警察に守って貰えたりするかもしれないし、良い選択だった……と、思う。うん。慎重そうな白山先輩のことだし、これで諦める可能性も……いや、無いかなぁ。執念深そうだし。
「どうしたもんかな」
帰った後、ご飯を食べて風呂に入った僕は部屋の椅子の上で溜息を吐いていた。というのも、今日ゴーレムを作らなかったら流石に有事に間に合わない可能性も高いのである。時刻は、八時半を回っている。
「……うん、頑張るか」
僕は裏世界……と言っても、あの星では無く天界とでも呼ぶべきあの石畳の空間に飛んだ。
その世界の中で、ゴーレムを作り上げながら僕は考える。今は、集中力も加速しているし、眠気も無い。万全な状態だ。この後は些か不安だけど、まぁゴーレムさえ出来れば何とかなる。
紫苑ちゃんの方は、というか相談事務所の方は今のところ殆ど何も起きていない状態らしい。どうにも、紫苑ちゃんが護衛に着いたというのが勘付かれたようで、向こうも動きを変えているようなのだ。
「……都合のいい準備期間、になるかな」
準備をしているのは向こうも同じである。ただ、話された内容的に不安なのは紫苑ちゃんを邪魔に思う勢力を味方に付けて動き始める可能性も高いということだった。
紫苑ちゃんは圧倒的な個の力と、元々の血筋で支配者としての地位を確立してはいるが、その立場に成り代わりたいと考える者も当然ながら居る訳だ。邪魔な紫苑ちゃんを退けてしまえば、実効的に一帯を支配することも強力な魔術士の集団であれば十分可能なのである。
その場合は、集団の長が支配者ということになるだろう。そして、その地区の魔術士達はその集団に利用されることになるだろうし、管理局とその集団は敵対するか、最悪の場合は裏で繋がることになるかも知れない。
妄想でも何でも無く、この街の裏でそんな動きが起きていそうだと言う旨を僕はユモンから聞いていたのだった。
「取り敢えず、一体は頑張らないと」
寝て起きて、万全になったらまた二体三体と作るけど、一先ずは護衛として責めて一体は用意しないといけない。それも、僕が態々直接護衛に参加しない価値があったって思われるくらいの奴を……
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