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全知全能と殲滅のあと
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ゴブリンの群れをゴーレムの群れが呑み込んだ後、僕は死体の群れを前に立ち昇り始めた酷い匂いと、その光景に吐き気を催していた。
「……結構、嫌な気分になるね」
一応、人型のゴブリンだ。人の死体には全く見えないけど、嫌な気分にはなる。僕がゴブリンという存在を既に知っていなければ、もっと酷い気分になっていただろう。
「臭いも酷いし、見た目もね……こればっかりは、慣れるしかないよ」
「……このくらい、幾らでも見ることになる」
二人だけが喋るのを聞いて、僕はウィーが居なくなっていることに気付いた。
「あれ、ウィーは……?」
僕が不安げに尋ねると、アシラは心配した様子も無く首を振った。
「あぁ、多分だけど……」
「へへッ、心配したか?」
木の上からひょいと飛び降りて来たウィーは、ニヤッと笑って僕を見た。そりゃあ、するだろう。仲間だからね、僕ら。
「斥候が報告の為に逃げて行くのを追いかけてたんだよ。巣穴を見つける為にな?」
「お、見つかった?」
「見つかったぜ。ただ、普通の巣穴じゃねぇな……外から見ただけだから、ハッキリとしたことは言えねぇけど、多分最近作られた巣穴だよ、アレは。雑に植物で偽装しただけの、洞窟をそのまま使ってる巣だな。あと、気配を探った感じだと結構中にも居そうな感じだった。詳しいとこは分かんねぇけど」
「……最近、他の地域から流れて来たゴブリンの群れってところかな」
アシラの言葉に、ウィーは唸った。
「んー、まぁ、たぶんな……」
「早く、潰しにいこう」
思考が滞ったところで、ナーシャがそう言った。
「そうだね。本来なら報告を優先する所だけど……ゴーレムの軍団を見られたってことは、もたもたしてるとまた別の地域に移られて、そこで被害が出る可能性もある」
「そんな直ぐに逃げて行くの?」
「ゴブリンは人間よりも雑食で、そして簡単に繁殖する。余裕があれば群れの単位で別の地域へと逃れて、余裕が無ければ各方向に分散するように逃れて行く。そして、ある程度の安全が確保されればまた巣を作り始める訳だ」
「んで、大きな群れになったら人里襲って物資を得たり……より優秀な個体を残したりする訳だな」
アシラの言葉に捕捉するように、ウィーが忌まわし気に言った。やっぱり、ゴブリンってそういう生き物なんだ。
「嫌われてる理由が分かるね……」
「ゴブリンの子は必ずゴブリンらしいよ。だから、人と交われば人間の優秀さを引き継いでゴブリンが生まれる。話だと、魔族との間に生まれたゴブリンはより強力になるらしい」
「気持ち悪ぃ話は止めて、行こうぜ。おれが案内してやる」
アシラの説明を断ち切って歩き出したウィーに、僕らは付いて行った。アシラ、もしかしたら魔物の習性とか調べるのが好きなのかな。
「……そういえば、ゴブリンの持っていた武器が少し気になるね」
「あぁ、それはおれも思ってたよ。なんつーか、雰囲気がここら辺の武器って感じじゃねぇよなぁ」
「やっぱり、別の地域から来たゴブリンってことじゃないの?」
「多分、そう……だけど、少し違和感がある」
ナーシャの言葉に、アシラが頷いた。
「態々、このタイミングでやって来る……この規模の群れ。やけに装備も整っているし、他のゴブリンと比べて野卑さと言うのかな、そういうのが少し薄い気がするんだ」
「確かに、私もそう感じた。ゴブリンは確かに知性が高い魔物だけど、かなり欲に忠実でもあるから」
「だな。やけに冷静な感じのゴブリンだったぜ。飽くまで、他のゴブリンと比べてって程度だがな」
「……もしかすると、上位種が居るかもね。ゴブリンキングとか」
アシラが言うと、ウィーは首を振った。
「いやぁ……無いと思うけどなぁ、おれは。群れの規模は移動してきた割には大きそうだが、別にその程度っつーか……キングが居る程の群れって雰囲気はなくね?」
「……あいつら、変な感じがする。一応、警戒するに越したことは、ない」
「だったら、やっぱり帰るかい? 僕としては、時間が経って致命的なことになる前に……責めて、もう少しは調べておくべきだと思っているけど」
「僕も、あの施設みたいななんかヤバいことが起きてたら嫌だし……もう少し、その違和感の正体くらいは知っておきたいと思う」
正直、僕自身は違和感とかあんまり感じてないんだけどね。普通のゴブリンすら知らない僕には、変なゴブリンも分からないし。
「……私は、調査を続けることには異論無い。だけど、殲滅まで可能かはちゃんと判断する必要があると思う」
「だな。おれもこのまま放っておいて帰って、顔見知りが死にでもしたら酒が不味くなりそうで嫌だぜ」
「じゃあ、巣穴を調べることまでは決定ってことで良いね」
「うん。取り敢えず僕がゴーレムを突っ込ませるから、調査だけなら危険はそんなに無いと思うよ」
それに、さっき襲ってきた奴らがその群れの主な戦士だった可能性もある。そこまで、大変な事にはならないと思うけど……まぁ、ここは異世界。何が起きるか分からないからね、警戒して行こう。
「……結構、嫌な気分になるね」
一応、人型のゴブリンだ。人の死体には全く見えないけど、嫌な気分にはなる。僕がゴブリンという存在を既に知っていなければ、もっと酷い気分になっていただろう。
「臭いも酷いし、見た目もね……こればっかりは、慣れるしかないよ」
「……このくらい、幾らでも見ることになる」
二人だけが喋るのを聞いて、僕はウィーが居なくなっていることに気付いた。
「あれ、ウィーは……?」
僕が不安げに尋ねると、アシラは心配した様子も無く首を振った。
「あぁ、多分だけど……」
「へへッ、心配したか?」
木の上からひょいと飛び降りて来たウィーは、ニヤッと笑って僕を見た。そりゃあ、するだろう。仲間だからね、僕ら。
「斥候が報告の為に逃げて行くのを追いかけてたんだよ。巣穴を見つける為にな?」
「お、見つかった?」
「見つかったぜ。ただ、普通の巣穴じゃねぇな……外から見ただけだから、ハッキリとしたことは言えねぇけど、多分最近作られた巣穴だよ、アレは。雑に植物で偽装しただけの、洞窟をそのまま使ってる巣だな。あと、気配を探った感じだと結構中にも居そうな感じだった。詳しいとこは分かんねぇけど」
「……最近、他の地域から流れて来たゴブリンの群れってところかな」
アシラの言葉に、ウィーは唸った。
「んー、まぁ、たぶんな……」
「早く、潰しにいこう」
思考が滞ったところで、ナーシャがそう言った。
「そうだね。本来なら報告を優先する所だけど……ゴーレムの軍団を見られたってことは、もたもたしてるとまた別の地域に移られて、そこで被害が出る可能性もある」
「そんな直ぐに逃げて行くの?」
「ゴブリンは人間よりも雑食で、そして簡単に繁殖する。余裕があれば群れの単位で別の地域へと逃れて、余裕が無ければ各方向に分散するように逃れて行く。そして、ある程度の安全が確保されればまた巣を作り始める訳だ」
「んで、大きな群れになったら人里襲って物資を得たり……より優秀な個体を残したりする訳だな」
アシラの言葉に捕捉するように、ウィーが忌まわし気に言った。やっぱり、ゴブリンってそういう生き物なんだ。
「嫌われてる理由が分かるね……」
「ゴブリンの子は必ずゴブリンらしいよ。だから、人と交われば人間の優秀さを引き継いでゴブリンが生まれる。話だと、魔族との間に生まれたゴブリンはより強力になるらしい」
「気持ち悪ぃ話は止めて、行こうぜ。おれが案内してやる」
アシラの説明を断ち切って歩き出したウィーに、僕らは付いて行った。アシラ、もしかしたら魔物の習性とか調べるのが好きなのかな。
「……そういえば、ゴブリンの持っていた武器が少し気になるね」
「あぁ、それはおれも思ってたよ。なんつーか、雰囲気がここら辺の武器って感じじゃねぇよなぁ」
「やっぱり、別の地域から来たゴブリンってことじゃないの?」
「多分、そう……だけど、少し違和感がある」
ナーシャの言葉に、アシラが頷いた。
「態々、このタイミングでやって来る……この規模の群れ。やけに装備も整っているし、他のゴブリンと比べて野卑さと言うのかな、そういうのが少し薄い気がするんだ」
「確かに、私もそう感じた。ゴブリンは確かに知性が高い魔物だけど、かなり欲に忠実でもあるから」
「だな。やけに冷静な感じのゴブリンだったぜ。飽くまで、他のゴブリンと比べてって程度だがな」
「……もしかすると、上位種が居るかもね。ゴブリンキングとか」
アシラが言うと、ウィーは首を振った。
「いやぁ……無いと思うけどなぁ、おれは。群れの規模は移動してきた割には大きそうだが、別にその程度っつーか……キングが居る程の群れって雰囲気はなくね?」
「……あいつら、変な感じがする。一応、警戒するに越したことは、ない」
「だったら、やっぱり帰るかい? 僕としては、時間が経って致命的なことになる前に……責めて、もう少しは調べておくべきだと思っているけど」
「僕も、あの施設みたいななんかヤバいことが起きてたら嫌だし……もう少し、その違和感の正体くらいは知っておきたいと思う」
正直、僕自身は違和感とかあんまり感じてないんだけどね。普通のゴブリンすら知らない僕には、変なゴブリンも分からないし。
「……私は、調査を続けることには異論無い。だけど、殲滅まで可能かはちゃんと判断する必要があると思う」
「だな。おれもこのまま放っておいて帰って、顔見知りが死にでもしたら酒が不味くなりそうで嫌だぜ」
「じゃあ、巣穴を調べることまでは決定ってことで良いね」
「うん。取り敢えず僕がゴーレムを突っ込ませるから、調査だけなら危険はそんなに無いと思うよ」
それに、さっき襲ってきた奴らがその群れの主な戦士だった可能性もある。そこまで、大変な事にはならないと思うけど……まぁ、ここは異世界。何が起きるか分からないからね、警戒して行こう。
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