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全知全能と敵の計画
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魔族。つい最近もこの街を不安に陥れた元凶であろうその存在は、人類の天敵とすら呼んで良いような種族であった。
「この通信機……というより、あのゴブリンの群れは何だったのかと言うことについて、僕達も話し合っていたんですが、考えた結果ある程度の結論は出ました」
「聞かせてくれ」
ドリゥグさんの真剣な眼差しにアシラは頷く。
「先ず、彼らだけでの侵略という目的は有り得ない。質は悪く無くとも、あの程度の量で落ちる程……イアビラは脆くありませんから」
「そうだな。イアビラでなくとも、平均程度の規模の街なら普通はゴブリンの百体や二百体で落ちることは無いだろう」
「ただ、あのゴブリンの群れ以外にも戦力をどこかしらに集めているか準備していて、それらの戦力と同時に侵攻してくると言うのなら有り得ます。現に、魔族が侵攻用の設備を整えていたというような話も会った訳ですから」
「……そうだな」
アシラの言葉に、重い声でドリゥグさんは頷く。
「ここからは、裏に魔族が居るという前提で話になります」
「まぁ、この流れからして……居ない方がおかしいくらいだろうな」
本当にうんざりしたような顔でドリゥグさんは言った。
「それで、恐らくですがあのゴブリンの群れはそこまでの大役を担っているというようなことは無いかと思います。ただ、少なくとも何かしらの役割は持っていた」
「役割とは?」
「具体的には分かりませんが、あの通信機を持たされていた以上、少なくとも何かしら連絡をする必要のある役割ではあったと考えています。ですが、杜撰に森の中を歩いていて、巣穴も大した隠蔽はされていなかったので、そこまで重要な役割ということは無いでしょうね」
「どうだろうな、ゴブリンのことだ。大役を任されていても、適当に仕事をこなすという程度は有り得なくは無いぞ」
まぁ、人間ですら重要な仕事でも適当にやる人は居るもんだからね。
「……ゴブリンに、そんな大役を任せますか?」
「魔族だぞ。人間を心底から舐め腐っている奴らだぞ。適当に数が多いから任せてたという程度でも驚きはしないレベルだ」
「それは、そうかも」
「まぁ、だとしたら良いことだろ。大役を担ってた敵の奴らが、簡単に潰れちまってたとしたらさ」
確かにそうだ。でも、そこまで単純で簡単な話とも思えない。
「……同じ役割を持った、より厄介な敵が投入されてもおかしくない。それか、既に役割を果たされていたか……元の考えのように、そもそも大した役割も持っていなかったか、だな」
ドリゥグさんはそう口にすると暫く考え込んだ。時間が無いと言っていた彼だが、流石にこの件は通常業務なんて気にしているような話では無かったらしい。
「……一番有り得るのは、偵察だな。あの魔族をレティシアが処理した以上、このイアビラを侵略する手段は一つ失われたことになる。というか、アレしか用意されていなかった可能性もある。そして、あの魔族の他に目も耳も用意していなかったとしたら、先ずは何が起きたのか、情報を探る必要があるだろう」
「確かにな。ついでに、こっちの戦力でも調べておこうって感じか?」
「そうかも知れないな」
「……じゃあ、またあの魔族みたいな奴が侵攻用に送られてくるかも知れないってことですか?」
僕が聞くと、ドリゥグさんは当然のように頷いた。
「当たり前だ、敵は魔族だぞ。いや、まだ分からないが……十中八九はそうだ。プライドが異様に高い魔族が、一度の侵攻で諦める筈も無いだろう。そして、それはきっとあのリューマリンについても同じだ」
ドリゥグさんが言うと、アシラとウィーが息を呑んだ。
「魔族は逃した獲物を、決して諦めない」
畳み掛けるように、ドリゥグさんは言った。一度は魔族の侵攻を退けたリューマリン、そこからやって来たアシラとウィー。二人からして、穏やかな話では無いのは確かだった。
「お前ら。ここからは冷静に聞けよ」
「はい」
「……あぁ」
アシラとウィーが、ドリゥグさんの言葉に頷いた。きっと彼らの話であると、僕も察していた。
「魔族が態々この街を狙う理由を、考えてたんだがな」
ドリゥグさんは、ぽつりと話し始めた。
「恐らく、リューマリン侵攻の為だ。あそこから一番近いまともな都市ってなればうちだからな。周りの国もリューマリンを助ける時に、この街が中継拠点として死んでるとしんどいことになる。もしイアビラが奪還出来ても、拠点としてまともに機能しない状態にされていれば中継拠点としても今度は使えなくなるからな」
「そうなれば……そもそも、奪還されるより先にリューマリンが襲撃されるでしょうね。今度は、前のようにゆっくりとはやってくれないかも知れない。そうなれば、前回のように周辺諸国の助けを借りることも出来ない。状況は前よりももっと厳しい中で」
「一応、アレからリューマリンには割と兵力が溜まってるから抵抗も出来ないってことは無いだろうが……ここが落ちれば、直ぐにリューマリンも攻められるのは間違いないだろうな」
リューマリンが攻められれば僕が守ろうという、その考えすらも楽観的だったらしい。先に攻められるのは、どうやらこの街かも知れない。
「この通信機……というより、あのゴブリンの群れは何だったのかと言うことについて、僕達も話し合っていたんですが、考えた結果ある程度の結論は出ました」
「聞かせてくれ」
ドリゥグさんの真剣な眼差しにアシラは頷く。
「先ず、彼らだけでの侵略という目的は有り得ない。質は悪く無くとも、あの程度の量で落ちる程……イアビラは脆くありませんから」
「そうだな。イアビラでなくとも、平均程度の規模の街なら普通はゴブリンの百体や二百体で落ちることは無いだろう」
「ただ、あのゴブリンの群れ以外にも戦力をどこかしらに集めているか準備していて、それらの戦力と同時に侵攻してくると言うのなら有り得ます。現に、魔族が侵攻用の設備を整えていたというような話も会った訳ですから」
「……そうだな」
アシラの言葉に、重い声でドリゥグさんは頷く。
「ここからは、裏に魔族が居るという前提で話になります」
「まぁ、この流れからして……居ない方がおかしいくらいだろうな」
本当にうんざりしたような顔でドリゥグさんは言った。
「それで、恐らくですがあのゴブリンの群れはそこまでの大役を担っているというようなことは無いかと思います。ただ、少なくとも何かしらの役割は持っていた」
「役割とは?」
「具体的には分かりませんが、あの通信機を持たされていた以上、少なくとも何かしら連絡をする必要のある役割ではあったと考えています。ですが、杜撰に森の中を歩いていて、巣穴も大した隠蔽はされていなかったので、そこまで重要な役割ということは無いでしょうね」
「どうだろうな、ゴブリンのことだ。大役を任されていても、適当に仕事をこなすという程度は有り得なくは無いぞ」
まぁ、人間ですら重要な仕事でも適当にやる人は居るもんだからね。
「……ゴブリンに、そんな大役を任せますか?」
「魔族だぞ。人間を心底から舐め腐っている奴らだぞ。適当に数が多いから任せてたという程度でも驚きはしないレベルだ」
「それは、そうかも」
「まぁ、だとしたら良いことだろ。大役を担ってた敵の奴らが、簡単に潰れちまってたとしたらさ」
確かにそうだ。でも、そこまで単純で簡単な話とも思えない。
「……同じ役割を持った、より厄介な敵が投入されてもおかしくない。それか、既に役割を果たされていたか……元の考えのように、そもそも大した役割も持っていなかったか、だな」
ドリゥグさんはそう口にすると暫く考え込んだ。時間が無いと言っていた彼だが、流石にこの件は通常業務なんて気にしているような話では無かったらしい。
「……一番有り得るのは、偵察だな。あの魔族をレティシアが処理した以上、このイアビラを侵略する手段は一つ失われたことになる。というか、アレしか用意されていなかった可能性もある。そして、あの魔族の他に目も耳も用意していなかったとしたら、先ずは何が起きたのか、情報を探る必要があるだろう」
「確かにな。ついでに、こっちの戦力でも調べておこうって感じか?」
「そうかも知れないな」
「……じゃあ、またあの魔族みたいな奴が侵攻用に送られてくるかも知れないってことですか?」
僕が聞くと、ドリゥグさんは当然のように頷いた。
「当たり前だ、敵は魔族だぞ。いや、まだ分からないが……十中八九はそうだ。プライドが異様に高い魔族が、一度の侵攻で諦める筈も無いだろう。そして、それはきっとあのリューマリンについても同じだ」
ドリゥグさんが言うと、アシラとウィーが息を呑んだ。
「魔族は逃した獲物を、決して諦めない」
畳み掛けるように、ドリゥグさんは言った。一度は魔族の侵攻を退けたリューマリン、そこからやって来たアシラとウィー。二人からして、穏やかな話では無いのは確かだった。
「お前ら。ここからは冷静に聞けよ」
「はい」
「……あぁ」
アシラとウィーが、ドリゥグさんの言葉に頷いた。きっと彼らの話であると、僕も察していた。
「魔族が態々この街を狙う理由を、考えてたんだがな」
ドリゥグさんは、ぽつりと話し始めた。
「恐らく、リューマリン侵攻の為だ。あそこから一番近いまともな都市ってなればうちだからな。周りの国もリューマリンを助ける時に、この街が中継拠点として死んでるとしんどいことになる。もしイアビラが奪還出来ても、拠点としてまともに機能しない状態にされていれば中継拠点としても今度は使えなくなるからな」
「そうなれば……そもそも、奪還されるより先にリューマリンが襲撃されるでしょうね。今度は、前のようにゆっくりとはやってくれないかも知れない。そうなれば、前回のように周辺諸国の助けを借りることも出来ない。状況は前よりももっと厳しい中で」
「一応、アレからリューマリンには割と兵力が溜まってるから抵抗も出来ないってことは無いだろうが……ここが落ちれば、直ぐにリューマリンも攻められるのは間違いないだろうな」
リューマリンが攻められれば僕が守ろうという、その考えすらも楽観的だったらしい。先に攻められるのは、どうやらこの街かも知れない。
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