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全知全能と意思決定
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イアビラの陥落がそのままリューマリンの破滅に繋がりかねないという話は、アシラとウィーにとってはかなり重い話だった。
「……参考になりました。聞かせて頂いてありがとうございます」
「聞いていた方が、命懸けでこの街を守ろうと言う気にもなるだろう? 俺の責務はこの街の為にギルドを運営することだからな。その為の手なら尽くすのは当たり前だ」
「クソ真面目だな」
「だが、お前もリューマリンを守る為なら死力を尽くすだろう?」
ドリゥグさんの言葉に、ウィーは小さく笑った。
「おれは生まれはリューマリンじゃないんだけどな」
「そうか。逃げたいなら今の内に逃げることを勧めておくぞ」
「戦わねぇとは言ってね~よ、バカ」
「ハッ、相変わらず素直じゃない奴だな」
笑うドリゥグさんに、アシラも小さく笑っていた。
「……ねぇ、一つ頼みたいことがある」
若干空気の和らいだ中で、ナーシャが机の上にある銀色の貝殻に視線を向けた。
「その貝殻、通信用の魔道具をしっかり調べて欲しい。もしかしたら、向こうの居場所なんかを探知できる可能性もある。ラインを切られてる可能性もあるけど、腕の良い技師ならどうにかなるかも知れない」
「分かった。頼んでおこう」
「うん。恐らくだけど、魔大陸からここまで通信可能な程の魔道具じゃない筈だから」
ドリゥグさんは頷き、そして僅かに腰を浮かせた。
「他に話は無いな?」
「はい、ありません」
「良し、なら解散だ。話を聞かせてくれて助かった。情報の提供分まで含めて報酬は約束しよう。楽しみにしておけ」
「おいおい、そんなに期待上げて大丈夫か?」
ドリゥグさんは完全に席から立ち上がると、にやりと笑みを浮かべてこちらを見た。
「命を懸けても期待出来ないような報酬しか貰えなければ、どの冒険者もこの街を全力で守ろうなんて思えんだろうが」
「……ま、それはその通りだな」
ウィーが同意すると、ドリゥグさんは頷いた。
「そういう訳だ。じゃあ、また話をする機会もあるだろうが、今は解散だ」
「あいよ」
「はい、ありがとうございました」
「ありがとうございましたー」
僕らはぺこりと頭を下げて支部長室から出て行った。
♢
僕らは街の中を歩きながら、四人で話していた。
「しかし……そうか、確かにそうだよなぁ。態々この街を狙う理由が何かって言えば……リューマリンの為か」
「リューマリンを重要な国家として認識しているのはこっちだけじゃないんだろうね」
「……魔族が、そんなこと考えるの?」
僕は今までの魔族のイメージ像から、二人にそう尋ねた。
「大抵の魔族は考えないだろうね。ただ、魔族が人類を舐めていることと魔族が頭を使わないことはイコールじゃない筈だ」
「……というと?」
「魔族には戦闘を楽しむ者も居れば、殺しを楽しむ者も居る。それと同じように……頭を使うことを楽しみにしてる魔族が居たっておかしくはないだろう? それこそ、盤上の遊びのようにね」
「なるほど、ね」
チェスや将棋のような遊びの感覚で頭を使う奴だって居る訳だ。ゲームに本当の意味で全力を賭す人ってのは少ないだろうけど、別に本気を出すってだけなら沢山居るだろう。魔族の感覚がそれと同じかは、分からないけど。
「ま、結局のところ遊び感覚でおれらの相手をしてるのは変わらねぇだろうよ」
「……でも、それだけの戦力差がある割にはそこまで攻め切られてる感じがしないよね」
魔族と人類の間にある差がそれほどに隔絶しているのなら、もう既に人類側の国家は相当奪われていたっておかしくない筈だ。
「……これは噂だが、向こうでも内側で争ってるらしいぜ?」
「ん、なんで?」
僕が前に全知全能に聞いた時には、大陸内での戦いが終わって、統一されたから人類側に攻めだしたみたいに聞いたけども。
「人類を滅ぼす権利っていうのか、こっちに上陸して侵略する権利っていうのか、そこら辺を争ってたりする……らしいぜ? 本当のところは分かんねぇけどな」
「なるほどね……」
それが土地の権利を巡ってのことなのか、侵略して得た物資の為なのか、それとも侵略するという行為そのものに価値を見出しているのかは知らないが、そういう物を巡って身内で争うと言うのは……確かに、聞いている魔族のイメージ像とも一致する話だ。
「何にしても、備える必要がある。向こうの狙いが例え何であれ……僕は、世話になったこの街の為に戦うつもりだ」
「うん、そうだね」
「私も……魔族が来るなら、倒す」
「んだよ、全員やる気十分か……なら、迷う必要もねぇな」
そうして、僕らの意思はこの街の為に戦うということで決定された。星導の剣の皆の意思もそうだけど、お世話になってる宿の人とか、レティシアも居るし……何にしたって、ここで戦わないって選択肢は無いや。
「……参考になりました。聞かせて頂いてありがとうございます」
「聞いていた方が、命懸けでこの街を守ろうと言う気にもなるだろう? 俺の責務はこの街の為にギルドを運営することだからな。その為の手なら尽くすのは当たり前だ」
「クソ真面目だな」
「だが、お前もリューマリンを守る為なら死力を尽くすだろう?」
ドリゥグさんの言葉に、ウィーは小さく笑った。
「おれは生まれはリューマリンじゃないんだけどな」
「そうか。逃げたいなら今の内に逃げることを勧めておくぞ」
「戦わねぇとは言ってね~よ、バカ」
「ハッ、相変わらず素直じゃない奴だな」
笑うドリゥグさんに、アシラも小さく笑っていた。
「……ねぇ、一つ頼みたいことがある」
若干空気の和らいだ中で、ナーシャが机の上にある銀色の貝殻に視線を向けた。
「その貝殻、通信用の魔道具をしっかり調べて欲しい。もしかしたら、向こうの居場所なんかを探知できる可能性もある。ラインを切られてる可能性もあるけど、腕の良い技師ならどうにかなるかも知れない」
「分かった。頼んでおこう」
「うん。恐らくだけど、魔大陸からここまで通信可能な程の魔道具じゃない筈だから」
ドリゥグさんは頷き、そして僅かに腰を浮かせた。
「他に話は無いな?」
「はい、ありません」
「良し、なら解散だ。話を聞かせてくれて助かった。情報の提供分まで含めて報酬は約束しよう。楽しみにしておけ」
「おいおい、そんなに期待上げて大丈夫か?」
ドリゥグさんは完全に席から立ち上がると、にやりと笑みを浮かべてこちらを見た。
「命を懸けても期待出来ないような報酬しか貰えなければ、どの冒険者もこの街を全力で守ろうなんて思えんだろうが」
「……ま、それはその通りだな」
ウィーが同意すると、ドリゥグさんは頷いた。
「そういう訳だ。じゃあ、また話をする機会もあるだろうが、今は解散だ」
「あいよ」
「はい、ありがとうございました」
「ありがとうございましたー」
僕らはぺこりと頭を下げて支部長室から出て行った。
♢
僕らは街の中を歩きながら、四人で話していた。
「しかし……そうか、確かにそうだよなぁ。態々この街を狙う理由が何かって言えば……リューマリンの為か」
「リューマリンを重要な国家として認識しているのはこっちだけじゃないんだろうね」
「……魔族が、そんなこと考えるの?」
僕は今までの魔族のイメージ像から、二人にそう尋ねた。
「大抵の魔族は考えないだろうね。ただ、魔族が人類を舐めていることと魔族が頭を使わないことはイコールじゃない筈だ」
「……というと?」
「魔族には戦闘を楽しむ者も居れば、殺しを楽しむ者も居る。それと同じように……頭を使うことを楽しみにしてる魔族が居たっておかしくはないだろう? それこそ、盤上の遊びのようにね」
「なるほど、ね」
チェスや将棋のような遊びの感覚で頭を使う奴だって居る訳だ。ゲームに本当の意味で全力を賭す人ってのは少ないだろうけど、別に本気を出すってだけなら沢山居るだろう。魔族の感覚がそれと同じかは、分からないけど。
「ま、結局のところ遊び感覚でおれらの相手をしてるのは変わらねぇだろうよ」
「……でも、それだけの戦力差がある割にはそこまで攻め切られてる感じがしないよね」
魔族と人類の間にある差がそれほどに隔絶しているのなら、もう既に人類側の国家は相当奪われていたっておかしくない筈だ。
「……これは噂だが、向こうでも内側で争ってるらしいぜ?」
「ん、なんで?」
僕が前に全知全能に聞いた時には、大陸内での戦いが終わって、統一されたから人類側に攻めだしたみたいに聞いたけども。
「人類を滅ぼす権利っていうのか、こっちに上陸して侵略する権利っていうのか、そこら辺を争ってたりする……らしいぜ? 本当のところは分かんねぇけどな」
「なるほどね……」
それが土地の権利を巡ってのことなのか、侵略して得た物資の為なのか、それとも侵略するという行為そのものに価値を見出しているのかは知らないが、そういう物を巡って身内で争うと言うのは……確かに、聞いている魔族のイメージ像とも一致する話だ。
「何にしても、備える必要がある。向こうの狙いが例え何であれ……僕は、世話になったこの街の為に戦うつもりだ」
「うん、そうだね」
「私も……魔族が来るなら、倒す」
「んだよ、全員やる気十分か……なら、迷う必要もねぇな」
そうして、僕らの意思はこの街の為に戦うということで決定された。星導の剣の皆の意思もそうだけど、お世話になってる宿の人とか、レティシアも居るし……何にしたって、ここで戦わないって選択肢は無いや。
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