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#1 レツオウガ起動
Chapter01 邂逅 02-05
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「……え、えっ?」
風葉は目を擦る。次いで、つい十数秒前まで友人が居た場所に立っている異形を、まじまじと観察する。
身長は、優に二メートルはあるだろうか。白い毛むくじゃらの体表と、丸太のように太い手足。
指先には手足ともども鋭い爪が伸びており、腰の少し下辺りから長い尻尾が生えている。
だが何よりも風葉の視線を釘付けたのは、異形と化したその顔だ。
頭上に生える三角形の耳、円錐のように細長い相貌、炎のような赤色を覗かせる切れ長の口。
それは明らかに、狼の顔であった。
「な、なんで……」
訳も分からず狼狽する風葉を見据えながら、訳知り顔でニタつく狼人間。
その耳まで裂けた大口が、掛け値なしの喜びに歪んだ。
「そう! これこそがフェェェェンリル! ワタクシの夢へと続く第一歩であり! アナタから頂いた素敵で素敵な力なのですよ!」
口中に並ぶ牙のせいで多少くぐもっているものの、紛れも無いスペクターの声で叫ぶ狼人間――もとい、フェンリルは、三日月のような笑みを風葉に向ける。
さりとてその意味や真意が分かるはずもなく、風葉はただひたすらに萎縮する。
「ど、どういう事なの?」
「……霧宮さん。ひょっとして、泉さんとやらに頭を触られたりしなかったか?」
振り向かない辰巳の問いかけに、風葉はすぐさま頷く。
「あ、うん。朝、洗面所で、ちょっと」
「やっぱりか」
一人納得する辰巳。
そもそも、なぜスペクターは泉に憑依したのか。
十中八九、術式以外にもう一つ必要なものを調達するためだ。
すなわち、生きた人間そのものである。
通常、人は微々たる霊力しか持っていない。これは生成出来ないから、というわけではない。
霊力とは思念、意志、心の力だ。なので誰でも持ってはいるのだが、操る術を知らなければ、無形のまま放出され続けるしかないのだ。
そうして流れ出た霊力は、寄り集まりながら地形に沿って川のような流れを作り、やがて湖のような溜まり場を作る。
そうして出来上がるのが、辰巳が何度か口走った霊地という訳だ。日乃栄高校の敷地もこれに当たる。
場所にもよるが、霊地は基本的に膨大な量の霊力を保持しており、辰巳はその警護を仕事の一つとしていたのだ。
なので辰巳は霊地の扱いについても熟知しており、こうして全てを察せたのだが、そんな肩書きのない風葉には当然分からない。
「何? 何なの? そんなに枝毛がまずかったの?」
風葉は目を擦る。次いで、つい十数秒前まで友人が居た場所に立っている異形を、まじまじと観察する。
身長は、優に二メートルはあるだろうか。白い毛むくじゃらの体表と、丸太のように太い手足。
指先には手足ともども鋭い爪が伸びており、腰の少し下辺りから長い尻尾が生えている。
だが何よりも風葉の視線を釘付けたのは、異形と化したその顔だ。
頭上に生える三角形の耳、円錐のように細長い相貌、炎のような赤色を覗かせる切れ長の口。
それは明らかに、狼の顔であった。
「な、なんで……」
訳も分からず狼狽する風葉を見据えながら、訳知り顔でニタつく狼人間。
その耳まで裂けた大口が、掛け値なしの喜びに歪んだ。
「そう! これこそがフェェェェンリル! ワタクシの夢へと続く第一歩であり! アナタから頂いた素敵で素敵な力なのですよ!」
口中に並ぶ牙のせいで多少くぐもっているものの、紛れも無いスペクターの声で叫ぶ狼人間――もとい、フェンリルは、三日月のような笑みを風葉に向ける。
さりとてその意味や真意が分かるはずもなく、風葉はただひたすらに萎縮する。
「ど、どういう事なの?」
「……霧宮さん。ひょっとして、泉さんとやらに頭を触られたりしなかったか?」
振り向かない辰巳の問いかけに、風葉はすぐさま頷く。
「あ、うん。朝、洗面所で、ちょっと」
「やっぱりか」
一人納得する辰巳。
そもそも、なぜスペクターは泉に憑依したのか。
十中八九、術式以外にもう一つ必要なものを調達するためだ。
すなわち、生きた人間そのものである。
通常、人は微々たる霊力しか持っていない。これは生成出来ないから、というわけではない。
霊力とは思念、意志、心の力だ。なので誰でも持ってはいるのだが、操る術を知らなければ、無形のまま放出され続けるしかないのだ。
そうして流れ出た霊力は、寄り集まりながら地形に沿って川のような流れを作り、やがて湖のような溜まり場を作る。
そうして出来上がるのが、辰巳が何度か口走った霊地という訳だ。日乃栄高校の敷地もこれに当たる。
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なので辰巳は霊地の扱いについても熟知しており、こうして全てを察せたのだが、そんな肩書きのない風葉には当然分からない。
「何? 何なの? そんなに枝毛がまずかったの?」
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