33 / 162
#1 レツオウガ起動
Chapter01 邂逅 04-07
しおりを挟む
「あ、またなんか喋った」
そろそろこの異常事態に慣れて来てしまい、億劫そうにつぶやく風葉。
しかし、その認識はまだまだ甘かった事を、風葉はすぐさま知る。
「オウガローダー! シルエットフレームモードッ!」
叫ぶ辰巳の指令に応じ、オウガローダーは轟音と共に立ち上がった。
「……え?」
点になっていた目を擦り、風葉はまじまじと窓の外を見る。
だが、オウガローダーが前輪の脇辺りからスラスターを噴出させて立ち上がろうとしている光景は変わらない。
「あの……その」
風葉が唖然と見つめる前でごうごうと燃え続けるスラスターの炎は、とうとうオウガローダーの巨大な車体を直立させた。
地面を踏みしめる二本のコンテナ。その側面部パネルが展開し、内部機構を露出させ、巨大な足へと変形する。
次いで空を睨んでいたキャブが二つに割れ、左右それぞれが車体側面へと移動。更に車体底面部から鋼の腕が引き出され、飛び出た掌が固い拳を握り締める。
「……は?」
二度三度、四度五度と瞬きを重ねる風葉だが、やはり眼前の光景は変わらない。
巨大トレーラーの形をしていたオウガローダーは、ものの数秒でまったく別物へと姿を変えてしまっていたのだ。
具体的に言えば、巨大なロボットへ。
辰巳に向かって片膝を突くロボットの身長は、キクロプスよりも頭一つ分小さいだろうか。
全体の形だけなら成人男性に似ている、鋼の手足を持つ群青色の異形。
固く、重く、武骨で、巨大で、しかも力強さが全身に漲っているのが分かる鋼のシルエット。
直線的なラインで形作られた全身の装甲は、どこか武者鎧にも似ている。だが良く見れば随所にタイヤや分割された運転席が残っており、確かに数秒前までオウガローダーそのものだった事が伺えた。
更に肩、手首、胸、背中、膝、踝と言った身体各所にはサイズこそ大違いなものの、辰巳の左手首と同じ色をした青石が、宝石のような輝きを放っている。
全身どこを見ても気になる所ばかりだが、中でも一際風葉の目を引いたのが、人体で言う所の鎖骨から上の部分だ。
何せ本来あるべき首や頭が、ごっそりと欠けているのだ。言葉通り、キクロプスよりも頭一つ分低いのである。
代わりにあるのは、所々内部機構が剥き出しになっている鈍色の床と、床一杯に刻まれている大きな魔方陣。そしてその魔方陣の中央に立っている一組のコンソールユニット、のみである。
「……は、は」
本気でくらくらし始めた頭を抑えつつ、風葉は縋るように辰巳を見た。
「どう、する、気なの?」
「勿論乗るのさ」
当然のように即答する辰巳は、いつの間にか泉を横抱きに抱えていた。
「って、何で抱えてるの!?」
「そりゃコクピットの中が一番安全だからさ。なに、乗り心地の悪さは保証するよ」
「しなくて良いよ!? ……って、ん?」
反射的にツッコむ風葉の足元へ、ざわりと風がまとわりつく。だが幻燈結界の中で空気が動く事など、そうそう無い筈だ。
「何……?」
そろそろこの異常事態に慣れて来てしまい、億劫そうにつぶやく風葉。
しかし、その認識はまだまだ甘かった事を、風葉はすぐさま知る。
「オウガローダー! シルエットフレームモードッ!」
叫ぶ辰巳の指令に応じ、オウガローダーは轟音と共に立ち上がった。
「……え?」
点になっていた目を擦り、風葉はまじまじと窓の外を見る。
だが、オウガローダーが前輪の脇辺りからスラスターを噴出させて立ち上がろうとしている光景は変わらない。
「あの……その」
風葉が唖然と見つめる前でごうごうと燃え続けるスラスターの炎は、とうとうオウガローダーの巨大な車体を直立させた。
地面を踏みしめる二本のコンテナ。その側面部パネルが展開し、内部機構を露出させ、巨大な足へと変形する。
次いで空を睨んでいたキャブが二つに割れ、左右それぞれが車体側面へと移動。更に車体底面部から鋼の腕が引き出され、飛び出た掌が固い拳を握り締める。
「……は?」
二度三度、四度五度と瞬きを重ねる風葉だが、やはり眼前の光景は変わらない。
巨大トレーラーの形をしていたオウガローダーは、ものの数秒でまったく別物へと姿を変えてしまっていたのだ。
具体的に言えば、巨大なロボットへ。
辰巳に向かって片膝を突くロボットの身長は、キクロプスよりも頭一つ分小さいだろうか。
全体の形だけなら成人男性に似ている、鋼の手足を持つ群青色の異形。
固く、重く、武骨で、巨大で、しかも力強さが全身に漲っているのが分かる鋼のシルエット。
直線的なラインで形作られた全身の装甲は、どこか武者鎧にも似ている。だが良く見れば随所にタイヤや分割された運転席が残っており、確かに数秒前までオウガローダーそのものだった事が伺えた。
更に肩、手首、胸、背中、膝、踝と言った身体各所にはサイズこそ大違いなものの、辰巳の左手首と同じ色をした青石が、宝石のような輝きを放っている。
全身どこを見ても気になる所ばかりだが、中でも一際風葉の目を引いたのが、人体で言う所の鎖骨から上の部分だ。
何せ本来あるべき首や頭が、ごっそりと欠けているのだ。言葉通り、キクロプスよりも頭一つ分低いのである。
代わりにあるのは、所々内部機構が剥き出しになっている鈍色の床と、床一杯に刻まれている大きな魔方陣。そしてその魔方陣の中央に立っている一組のコンソールユニット、のみである。
「……は、は」
本気でくらくらし始めた頭を抑えつつ、風葉は縋るように辰巳を見た。
「どう、する、気なの?」
「勿論乗るのさ」
当然のように即答する辰巳は、いつの間にか泉を横抱きに抱えていた。
「って、何で抱えてるの!?」
「そりゃコクピットの中が一番安全だからさ。なに、乗り心地の悪さは保証するよ」
「しなくて良いよ!? ……って、ん?」
反射的にツッコむ風葉の足元へ、ざわりと風がまとわりつく。だが幻燈結界の中で空気が動く事など、そうそう無い筈だ。
「何……?」
0
あなたにおすすめの小説
わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...
MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。
ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。
さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
200万年後 軽トラで未来にやってきた勇者たち
半道海豚
SF
本稿は、生きていくために、文明の痕跡さえない200万年後の未来に旅立ったヒトたちの奮闘を描いています。
最近は温暖化による環境の悪化が話題になっています。温暖化が進行すれば、多くの生物種が絶滅するでしょう。実際、新生代第四紀完新世(現在の地質年代)は生物の大量絶滅の真っ最中だとされています。生物の大量絶滅は地球史上何度も起きていますが、特に大規模なものが“ビッグファイブ”と呼ばれています。5番目が皆さんよくご存じの恐竜絶滅です。そして、現在が6番目で絶賛進行中。しかも理由はヒトの存在。それも産業革命以後とかではなく、何万年も前から。
本稿は、2015年に書き始めましたが、温暖化よりはスーパープルームのほうが衝撃的だろうと考えて北米でのマントル噴出を破局的環境破壊の惹起としました。
第1章と第2章は未来での生き残りをかけた挑戦、第3章以降は競争排除則(ガウゼの法則)がテーマに加わります。第6章以降は大量絶滅は収束したのかがテーマになっています。
どうぞ、お楽しみください。
Chivalry - 異国のサムライ達 -
稲田シンタロウ(SAN値ぜろ!)
ファンタジー
シヴァリー(Chivalry)、それは主に騎士道を指し、時に武士道としても使われる言葉である。騎士道と武士道、両者はどこか似ている。強い精神をその根底に感じる。だが、士道は魔法使いが支配する世界でも通用するのだろうか?
これは魔法というものが絶対的な価値を持つ理不尽な世界で、士道を歩んだ者達の物語であり、その中でもアランという男の生き様に主眼を置いた大器晩成なる物語である。(他サイトとの重複投稿です。また、画像は全て配布サイトの規約に従って使用しています)
僕らの10パーセントは無限大
華子
青春
10%の確率でしか未来を生きられない少女と
過去に辛い経験をしたことがある幼ななじみと
やたらとポジティブなホームレス
「あり得ない今を生きてるんだったら、あり得ない未来だってあるんじゃねえの?」
「そうやって、信じたいものを信じて生きる人生って、楽しいもんだよ」
もし、あたなら。
10パーセントの確率で訪れる幸せな未来と
90パーセントの確率で訪れる悲惨な未来。
そのどちらを信じますか。
***
心臓に病を患う和子(わこ)は、医者からアメリカでの手術を勧められるが、成功率10パーセントというあまりにも酷な現実に打ちひしがれ、渡米する勇気が出ずにいる。しかしこのまま日本にいても、死を待つだけ。
追い詰められた和子は、誰に何をされても気に食わない日々が続くが、そんな時出逢ったやたらとポジティブなホームレスに、段々と影響を受けていく。
幼ななじみの裕一にも支えられながら、彼女が前を向くまでの物語。
ちょっと大人な物語はこちらです
神崎 未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な短編物語集です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
敗戦国の姫は、敵国将軍に掠奪される
clayclay
恋愛
架空の国アルバ国は、ブリタニア国に侵略され、国は壊滅状態となる。
状況を打破するため、アルバ国王は娘のソフィアに、ブリタニア国使者への「接待」を命じたが……。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる