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#1 レツオウガ起動
Chapter01 邂逅 04-07
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「あ、またなんか喋った」
そろそろこの異常事態に慣れて来てしまい、億劫そうにつぶやく風葉。
しかし、その認識はまだまだ甘かった事を、風葉はすぐさま知る。
「オウガローダー! シルエットフレームモードッ!」
叫ぶ辰巳の指令に応じ、オウガローダーは轟音と共に立ち上がった。
「……え?」
点になっていた目を擦り、風葉はまじまじと窓の外を見る。
だが、オウガローダーが前輪の脇辺りからスラスターを噴出させて立ち上がろうとしている光景は変わらない。
「あの……その」
風葉が唖然と見つめる前でごうごうと燃え続けるスラスターの炎は、とうとうオウガローダーの巨大な車体を直立させた。
地面を踏みしめる二本のコンテナ。その側面部パネルが展開し、内部機構を露出させ、巨大な足へと変形する。
次いで空を睨んでいたキャブが二つに割れ、左右それぞれが車体側面へと移動。更に車体底面部から鋼の腕が引き出され、飛び出た掌が固い拳を握り締める。
「……は?」
二度三度、四度五度と瞬きを重ねる風葉だが、やはり眼前の光景は変わらない。
巨大トレーラーの形をしていたオウガローダーは、ものの数秒でまったく別物へと姿を変えてしまっていたのだ。
具体的に言えば、巨大なロボットへ。
辰巳に向かって片膝を突くロボットの身長は、キクロプスよりも頭一つ分小さいだろうか。
全体の形だけなら成人男性に似ている、鋼の手足を持つ群青色の異形。
固く、重く、武骨で、巨大で、しかも力強さが全身に漲っているのが分かる鋼のシルエット。
直線的なラインで形作られた全身の装甲は、どこか武者鎧にも似ている。だが良く見れば随所にタイヤや分割された運転席が残っており、確かに数秒前までオウガローダーそのものだった事が伺えた。
更に肩、手首、胸、背中、膝、踝と言った身体各所にはサイズこそ大違いなものの、辰巳の左手首と同じ色をした青石が、宝石のような輝きを放っている。
全身どこを見ても気になる所ばかりだが、中でも一際風葉の目を引いたのが、人体で言う所の鎖骨から上の部分だ。
何せ本来あるべき首や頭が、ごっそりと欠けているのだ。言葉通り、キクロプスよりも頭一つ分低いのである。
代わりにあるのは、所々内部機構が剥き出しになっている鈍色の床と、床一杯に刻まれている大きな魔方陣。そしてその魔方陣の中央に立っている一組のコンソールユニット、のみである。
「……は、は」
本気でくらくらし始めた頭を抑えつつ、風葉は縋るように辰巳を見た。
「どう、する、気なの?」
「勿論乗るのさ」
当然のように即答する辰巳は、いつの間にか泉を横抱きに抱えていた。
「って、何で抱えてるの!?」
「そりゃコクピットの中が一番安全だからさ。なに、乗り心地の悪さは保証するよ」
「しなくて良いよ!? ……って、ん?」
反射的にツッコむ風葉の足元へ、ざわりと風がまとわりつく。だが幻燈結界の中で空気が動く事など、そうそう無い筈だ。
「何……?」
そろそろこの異常事態に慣れて来てしまい、億劫そうにつぶやく風葉。
しかし、その認識はまだまだ甘かった事を、風葉はすぐさま知る。
「オウガローダー! シルエットフレームモードッ!」
叫ぶ辰巳の指令に応じ、オウガローダーは轟音と共に立ち上がった。
「……え?」
点になっていた目を擦り、風葉はまじまじと窓の外を見る。
だが、オウガローダーが前輪の脇辺りからスラスターを噴出させて立ち上がろうとしている光景は変わらない。
「あの……その」
風葉が唖然と見つめる前でごうごうと燃え続けるスラスターの炎は、とうとうオウガローダーの巨大な車体を直立させた。
地面を踏みしめる二本のコンテナ。その側面部パネルが展開し、内部機構を露出させ、巨大な足へと変形する。
次いで空を睨んでいたキャブが二つに割れ、左右それぞれが車体側面へと移動。更に車体底面部から鋼の腕が引き出され、飛び出た掌が固い拳を握り締める。
「……は?」
二度三度、四度五度と瞬きを重ねる風葉だが、やはり眼前の光景は変わらない。
巨大トレーラーの形をしていたオウガローダーは、ものの数秒でまったく別物へと姿を変えてしまっていたのだ。
具体的に言えば、巨大なロボットへ。
辰巳に向かって片膝を突くロボットの身長は、キクロプスよりも頭一つ分小さいだろうか。
全体の形だけなら成人男性に似ている、鋼の手足を持つ群青色の異形。
固く、重く、武骨で、巨大で、しかも力強さが全身に漲っているのが分かる鋼のシルエット。
直線的なラインで形作られた全身の装甲は、どこか武者鎧にも似ている。だが良く見れば随所にタイヤや分割された運転席が残っており、確かに数秒前までオウガローダーそのものだった事が伺えた。
更に肩、手首、胸、背中、膝、踝と言った身体各所にはサイズこそ大違いなものの、辰巳の左手首と同じ色をした青石が、宝石のような輝きを放っている。
全身どこを見ても気になる所ばかりだが、中でも一際風葉の目を引いたのが、人体で言う所の鎖骨から上の部分だ。
何せ本来あるべき首や頭が、ごっそりと欠けているのだ。言葉通り、キクロプスよりも頭一つ分低いのである。
代わりにあるのは、所々内部機構が剥き出しになっている鈍色の床と、床一杯に刻まれている大きな魔方陣。そしてその魔方陣の中央に立っている一組のコンソールユニット、のみである。
「……は、は」
本気でくらくらし始めた頭を抑えつつ、風葉は縋るように辰巳を見た。
「どう、する、気なの?」
「勿論乗るのさ」
当然のように即答する辰巳は、いつの間にか泉を横抱きに抱えていた。
「って、何で抱えてるの!?」
「そりゃコクピットの中が一番安全だからさ。なに、乗り心地の悪さは保証するよ」
「しなくて良いよ!? ……って、ん?」
反射的にツッコむ風葉の足元へ、ざわりと風がまとわりつく。だが幻燈結界の中で空気が動く事など、そうそう無い筈だ。
「何……?」
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