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#1 レツオウガ起動
Chapter01 邂逅 05-09
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「ねぇ、五辻くん。今足場にしてる家にすり抜けたりしないの?」
「しないよ、というか出来ない」
おざなりに言いつつ、辰巳は戦闘体勢を取る。
「悪いけどあのデカイ連中と先約しててさ。話があるなら後にしてくれ」
「ん、ん。わかったよ……」
納得半分、不満半分と言った体を見せながら、風葉はオウガの足元を見下ろす。どうやら斜め下にある一軒家が気になっているらしかったが、今の辰巳にそこまで気を回せる余裕は無い。
「セット。ジャンプ、並びにブースト」
『Roger Rebounder RapidBooster Etherealize』
踝と背中のEマテリアルがワイヤーフレームを形成する合間、辰巳は右の刃を逆手に構え直す。改めて白兵戦を挑む、突撃の構えだ。
対するキクロプスも竜牙兵軍団を指揮し、自身の正面へと壁のように配置する。迎撃の陣形だ。
竜牙兵の武器は全て盾と剣のみで、射撃武器を持っている者は居ない。流石にそこまで術式を仕込む余裕はなかったのだろう。
だが盾を構えて隙間なく待ち構える陣形は堅牢な城壁にも似ていて、まともに突破するのは容易ではあるまい。更には竜牙兵達の隙間から、右腕の竜が待ち構えているのだ。さながらトーチカである。
そんなキクロプスの布陣に、しかし辰巳は顔色一つ変えない。
既に、勝機が見えているからだ。
「三時間目には出たいしな」
学生としての本音をぼやきつつ、辰巳は背中のブースターが生成完了したのを確認。しかる後、手始めに左のブレードを投擲。
狙いはキクロプス。だが直線上に居た竜牙兵がすぐさま反応し、ブレードを防御。盾の中央に刃が突き刺さり、貫通した刃が竜牙兵の眼前で止まる。
ダメージはない。が、目論見は通った。キクロプスの視線が盾で遮られたのだ。
時間にすればほんの僅かでしかない空白。だが、今のオウガにはそれで十分過ぎた。
「っと、そうだ。霧宮さん、歯を食いしばってくれ」
「ふぇ?」
と、風葉が首を傾げたと同時に、凄まじい衝撃がコクピットへと叩きつけた。凪守の技術を持ってしても相殺しきれない重力が、オウガの躯体そのものを揺るがせたのである。
「――ッ!?」
声をあげる間もなく風葉が目を瞬かせた直後、目の前には盾を掲げる竜牙兵が立っていた。
竜牙兵が一気に近づいた、というわけではない。
オウガが、超高速で突撃を敢行したのだ。
ごく短距離、かつ正面方向のみに限られるが、その代わりに稲妻のような機動力を実現させる――それが背中の霊力武装、ラピッドブースターなのだ。
「しないよ、というか出来ない」
おざなりに言いつつ、辰巳は戦闘体勢を取る。
「悪いけどあのデカイ連中と先約しててさ。話があるなら後にしてくれ」
「ん、ん。わかったよ……」
納得半分、不満半分と言った体を見せながら、風葉はオウガの足元を見下ろす。どうやら斜め下にある一軒家が気になっているらしかったが、今の辰巳にそこまで気を回せる余裕は無い。
「セット。ジャンプ、並びにブースト」
『Roger Rebounder RapidBooster Etherealize』
踝と背中のEマテリアルがワイヤーフレームを形成する合間、辰巳は右の刃を逆手に構え直す。改めて白兵戦を挑む、突撃の構えだ。
対するキクロプスも竜牙兵軍団を指揮し、自身の正面へと壁のように配置する。迎撃の陣形だ。
竜牙兵の武器は全て盾と剣のみで、射撃武器を持っている者は居ない。流石にそこまで術式を仕込む余裕はなかったのだろう。
だが盾を構えて隙間なく待ち構える陣形は堅牢な城壁にも似ていて、まともに突破するのは容易ではあるまい。更には竜牙兵達の隙間から、右腕の竜が待ち構えているのだ。さながらトーチカである。
そんなキクロプスの布陣に、しかし辰巳は顔色一つ変えない。
既に、勝機が見えているからだ。
「三時間目には出たいしな」
学生としての本音をぼやきつつ、辰巳は背中のブースターが生成完了したのを確認。しかる後、手始めに左のブレードを投擲。
狙いはキクロプス。だが直線上に居た竜牙兵がすぐさま反応し、ブレードを防御。盾の中央に刃が突き刺さり、貫通した刃が竜牙兵の眼前で止まる。
ダメージはない。が、目論見は通った。キクロプスの視線が盾で遮られたのだ。
時間にすればほんの僅かでしかない空白。だが、今のオウガにはそれで十分過ぎた。
「っと、そうだ。霧宮さん、歯を食いしばってくれ」
「ふぇ?」
と、風葉が首を傾げたと同時に、凄まじい衝撃がコクピットへと叩きつけた。凪守の技術を持ってしても相殺しきれない重力が、オウガの躯体そのものを揺るがせたのである。
「――ッ!?」
声をあげる間もなく風葉が目を瞬かせた直後、目の前には盾を掲げる竜牙兵が立っていた。
竜牙兵が一気に近づいた、というわけではない。
オウガが、超高速で突撃を敢行したのだ。
ごく短距離、かつ正面方向のみに限られるが、その代わりに稲妻のような機動力を実現させる――それが背中の霊力武装、ラピッドブースターなのだ。
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