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#1 レツオウガ起動
Chapter02 凪守 02-02
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「さ、こっちだ」
「あ、うん。えーと、おじゃまします?」
おずおずと扉を潜る風葉。
そうしてやって来たファントム・ユニット司令室は、何だか教室に似ていた。
二年二組よりも一回り手狭だろうか。正面の壁には黒板のように大きなモニタがはめ込まれており、教卓を思わせる位置に大きな机がどんと置いてある。白い素材で出来た、丸っこい角の机だ。
更にそれと同型の机が三つ、正面の机と向かい合うように並べられており、なんだか複式学級の教室のようにも見えた。
そんな四つの机には、意外にも誰も座っていない。室内に視線を巡らせても、目に止まるのはすぐ左手で天井を突いている大きな間仕切りくらいだ。
あれ、と風葉が首を傾げるのもつかの間、間仕切りの向こうから唐突に男の声が響く。
「こっちだよーん」
響いてきたのは先日辰巳が通信していた相手、ファントム1の声。それに従い、風葉は間仕切りの向こうに回り込む。
そこにはガラス製のテーブルと、それを囲むように置かれた革張りのソファ四脚があった。どうやら簡易ながら接客スペースになっているようだ。
ガラステーブルは長方形で、天板の短い側を間仕切りに向けて設置されている。四つあるソファはどれも黒色だが、テーブルに合わせて天板の短い方に一人掛け、長い方に三人掛けのソファがそれぞれ設置されている。
そんなソファが並ぶスペースに座りながら、二人の男性が風葉を見ていた。
「やー、遠路はるばるごくろうさん。まぁまずは座ってくれ」
と、自分の真正面にある一人掛けソファを勧める声に、風葉は聞き覚えがあった。
「え、と。初めまして。あなたがファントム1さん、ですか?」
「そだよー。ま、そう呼ばれるのはちょいとくすぐったいけどねー」
ソファに座りつつ、屈託なく頷くその男――ファントム1を、風葉はおずおずと観察する。
年はおそらく三十代前半。服装は今まで見た凪守の職員と同じ、紺青色の六つボタンスーツ。座っているので大体の目算だが、身長は多分辰巳よりも少し小さい。体躯もやや細めだ。
黒い頭髪は長い、というよりも伸ばし放題にしている感じだ。輪ゴムで適当にひっつめられた後ろ髪が、背もたれにだらりと垂れ下がっている。
前髪もやはり同様に長く、右目は完全に隠れている。左目はどうにか見えているが、その眼差しはどうにも眠そうだ。
アゴの所々に生えている無精髭も相まって、何というか、緩んだネジのような雰囲気を漂わせる男だった。
「さて。いつまでも横文字で呼ばれるのも何なんで、自己紹介させてもらうよ。僕は五辻巌。一応、このファントム・ユニットを総括している男だ」
「あ、うん。えーと、おじゃまします?」
おずおずと扉を潜る風葉。
そうしてやって来たファントム・ユニット司令室は、何だか教室に似ていた。
二年二組よりも一回り手狭だろうか。正面の壁には黒板のように大きなモニタがはめ込まれており、教卓を思わせる位置に大きな机がどんと置いてある。白い素材で出来た、丸っこい角の机だ。
更にそれと同型の机が三つ、正面の机と向かい合うように並べられており、なんだか複式学級の教室のようにも見えた。
そんな四つの机には、意外にも誰も座っていない。室内に視線を巡らせても、目に止まるのはすぐ左手で天井を突いている大きな間仕切りくらいだ。
あれ、と風葉が首を傾げるのもつかの間、間仕切りの向こうから唐突に男の声が響く。
「こっちだよーん」
響いてきたのは先日辰巳が通信していた相手、ファントム1の声。それに従い、風葉は間仕切りの向こうに回り込む。
そこにはガラス製のテーブルと、それを囲むように置かれた革張りのソファ四脚があった。どうやら簡易ながら接客スペースになっているようだ。
ガラステーブルは長方形で、天板の短い側を間仕切りに向けて設置されている。四つあるソファはどれも黒色だが、テーブルに合わせて天板の短い方に一人掛け、長い方に三人掛けのソファがそれぞれ設置されている。
そんなソファが並ぶスペースに座りながら、二人の男性が風葉を見ていた。
「やー、遠路はるばるごくろうさん。まぁまずは座ってくれ」
と、自分の真正面にある一人掛けソファを勧める声に、風葉は聞き覚えがあった。
「え、と。初めまして。あなたがファントム1さん、ですか?」
「そだよー。ま、そう呼ばれるのはちょいとくすぐったいけどねー」
ソファに座りつつ、屈託なく頷くその男――ファントム1を、風葉はおずおずと観察する。
年はおそらく三十代前半。服装は今まで見た凪守の職員と同じ、紺青色の六つボタンスーツ。座っているので大体の目算だが、身長は多分辰巳よりも少し小さい。体躯もやや細めだ。
黒い頭髪は長い、というよりも伸ばし放題にしている感じだ。輪ゴムで適当にひっつめられた後ろ髪が、背もたれにだらりと垂れ下がっている。
前髪もやはり同様に長く、右目は完全に隠れている。左目はどうにか見えているが、その眼差しはどうにも眠そうだ。
アゴの所々に生えている無精髭も相まって、何というか、緩んだネジのような雰囲気を漂わせる男だった。
「さて。いつまでも横文字で呼ばれるのも何なんで、自己紹介させてもらうよ。僕は五辻巌。一応、このファントム・ユニットを総括している男だ」
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